
【2026年最新】育成就労制度とは?技能実習との違いを比較表で行政書士が解説
更新日:2026年9月1日
はじめに
2024年6月21日に公布された改正法により、従来の技能実習制度を発展的に解消する形で、2027年4月1日から「育成就労制度」が開始されることが確定しています。
これまでの技能実習制度は、建前として「国際貢献のための技能移転」を目的としていましたが、新しい育成就労制度では、「人材育成」と「人材確保」が制度目的として明確に位置付けられています。
企業にとっては、単なる制度名の変更ではなく、外国人材の受入れの制度目的や運用の方向性を根本から見直す改正といえます。
本記事では、2026年9月現在で公表されている最新情報に基づき、企業担当者向けに育成就労制度の概要と技能実習制度との違いを、比較表付きで実務上のポイントを中心に解説します。
育成就労制度とは?
育成就労制度は、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材確保が困難な産業分野において、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、人材を確保する制度です。
つまり、従来の技能実習のように「母国への技能移転」を前面に出す制度ではなく、日本国内での就労と育成を通じて、「将来的な戦力となる人材を確保する制度」へ転換されたといえます。
経過措置と制度の移行
あわせて押さえておきたいのは、育成就労制度が始まっても、現在の技能実習生が直ちに育成就労へ切り替わるわけではないという点です。
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2027年3月31日までに認定された技能実習計画または施行時点で実習中の技能実習生については、引き続き技能実習制度のもとで実習を続けることができます(経過措置)。
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施行日前に技能実習計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は、2027年6月30日までに入国が必要です。
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特定技能制度もなくなるわけではなく、引き続き存続します。
育成就労制度は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成する制度として設計されており、その後の特定技能1号への移行も見据えた仕組みです。
技能実習と育成就労の違い【比較表】
まずは、技能実習制度と育成就労制度の違いを一覧で確認しておきましょう。
制度の目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ変わる
技能実習制度では、制度の建前として「日本で修得した技能等を母国へ移転し、国際貢献につなげること」が中心に据えられていました。
しかし実際には、各現場で人手不足対応として十分に機能していても、制度の目的と実態の間にズレがあると長く指摘されてきました。
これに対し、育成就労制度では、人材育成と人材確保が目的として明確化されています。
企業としては、これまで以上に「一定期間受け入れて終わり」ではなく、将来的に特定技能1号へ移行し、戦力として定着してもらうことまで見据えた制度設計が求められるようになります。
受入れ対象分野は特定技能と原則一致
技能実習制度では、受入れ対象が職種・作業ごとに定められていたため、技能実習では受け入れられていた業務でも、特定技能では対象分野や業務区分の違いから、そのまま移行しにくい場合がありました。
これに対し、育成就労制度は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、その後の特定技能1号への移行につなげることを前提にした制度で、受入れ対象分野が特定技能制度と原則一致する方向で制度設計されています。
現在の特定技能の対象分野は以下の17分野です。
特定技能17分野(育成就労の対象分野と原則一致)
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介護
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ビルクリーニング
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素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
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建設
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造船・舶用工業
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自動車整備
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航空
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宿泊
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農業
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漁業
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飲食料品製造業
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外食業
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素材産業
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産業保安
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建設
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造船・舶用工業
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その他(今後追加の可能性あり)
もっとも、特定技能の対象分野がそのまま全て育成就労の対象になるわけではありません。
就労を通じた育成になじまない分野は、育成就労の対象外となる可能性があります。
一定の条件を満たせば、本人意向による転籍が可能になる
技能実習制度では、やむを得ない事情がある場合を除き、本人都合による転籍は原則としてできませんでした。
この点は、実習生保護や制度の実効性の面から、長く課題として指摘されてきた部分です。
育成就労制度では、やむを得ない事情による転籍に加え、本人の意向による転籍も、一定の要件を満たせば認められることになりました。
公式資料では、以下の要件が示されています。
本人意向による転籍の要件
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同一の受入れ機関での就労期間が1年以上(分野により1〜2年の範囲で設定)
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技能評価試験(基礎級相当)に合格
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日本語能力試験(A1〜A2相当)に合格
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転籍先が同一の業務区分であること
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転籍先の受入れ機関が一定の適正要件を満たしていること
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民間の紹介事業者を介さないこと
特に重要なのは、本人意向の転籍に関して、同一機関での就労期間は分野ごとに1年から2年の範囲で設定予定とされている点です。
また、日本語能力についても、分野ごとにA1〜A2相当の試験合格が要件となる想定が示されています。
つまり、すぐに自由に転職できる制度ではなく、一定の育成と定着を前提にした上で、従来よりも柔軟な制度になるということです。
企業側から見ると、これは単に外国人社員の転職リスクが高まるということだけでなく、賃金水準、労働環境、教育体制、日本語支援などを含めて、選ばれる職場になれるかが社員の定着にとって重要になります。
日本語能力の要件がこれまで以上に明確になる
育成就労制度では、日本語能力の向上が制度の重要な要素として位置付けられています。
公表資料では、以下の日本語能力要件が示されています。
日本語能力要件(段階的)
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就労開始前:A1相当(N5相当)以上の日本語試験合格 または 認定日本語教育機関での100時間以上の講習受講
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育成期間中(就労開始後1年経過時):A1〜A2相当の試験合格(転籍条件にも関係)
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特定技能1号移行時:A2.2相当(N4相当)の日本語試験合格が必須(技能試験も必須)
また、A2相当については、当分の間は相当講習の受講でも可とする経過的な扱いも示されています。
企業としては、採用時点の日本語能力だけではなく、入国後・就労後も含めて、計画的に日本語能力を高めていく支援が必要になります。
従来の技能実習でも日本語教育は重要でしたが、育成就労では、より制度上必要性が明確にされました。
今後は、日本語検定受験機会の確保、日本語学習の時間的配慮、外部講習の活用など、企業側の支援体制がこれまで以上に問われることになるでしょう。
監理・支援体制が厳格化される
育成就労制度では、受入れを支える機関の仕組みも大きく見直されます。
監理団体 → 監理支援機関へ
従来の監理団体は、監理支援機関へ改められ、許可要件として外部監査人の設置が求められるなど、独立性・中立性を高める方向で制度が設計されています。
外国人技能実習機構 → 外国人育成就労機構へ
また、外国人技能実習機構に代わって、外国人育成就労機構が設立される予定です。
この新しい機構は、従来の監督・保護機能に加え、育成就労外国人の転籍支援や、1号特定技能外国人への相談援助業務も担うこととされています。
企業にとっては、制度の監督が厳しくなるという面だけでなく、外国人本人の保護や相談体制の整備、適正な受入れの実現がこれまで以上に重視されると理解しておくべきでしょう。
企業が今から準備しておきたいこと
育成就労制度は2027年4月1日開始予定ですが、2026年9月1日から育成就労計画の認定に係る施行日前申請が開始される予定です。
今のうちから準備しておくべきことは少なくありません。
1. 自社の業務が育成就労の対象分野に入るかを確認
まず重要なのは、自社の業務が今後の育成就労の対象分野に入るのかを確認することです。
特定技能の対象分野に入っていても、そのまま当然に育成就労の対象になるとは限らないため、今後公表される分野別運用方針を見ていく必要があります。
2. 日本語支援と定着支援の体制づくり
次に、日本語支援と定着支援の体制づくりです。
育成就労制度では、3年間で育成し、その後、特定技能1号につなげる制度設計が前提になっています。
そのため、採用だけでなく、育成計画、評価の仕組み、相談体制、生活面の支援まで含めて、受入れ後のサポート体制を見直す必要があります。
3. 選ばれる職場づくり
本人意向による転籍が可能になることで、企業は「受け入れる側」から「選ばれる側」へという意識転換が求められます。
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適正な賃金水準
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安全な労働環境
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計画的な教育・育成体制
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日本語支援の充実
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生活面のサポート(住居、医療、銀行口座など)
これらを整備し、長期的に定着してもらえる職場環境を構築することが、今後の外国人材の採用・定着において大きな差につながるでしょう。
よくある質問
Q1.育成就労制度はいつから始まりますか?
A. 育成就労制度は、2027年4月1日に開始予定とされています。
ただし、2026年9月1日から育成就労計画の認定に係る施行日前申請が開始される予定です。
Q2.今の技能実習制度は、すぐになくなるのですか?
A. いいえ、技能実習制度は、育成就労制度の開始と同時に終了するわけではありません。
2027年3月31日までに認定された技能実習計画や、施行時点で実習中の技能実習生については、そのまま技能実習を継続する経過措置が設けられています。
施行日前に技能実習計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は、2027年6月30日までに入国が必要です。
Q3.育成就労が始まると、特定技能制度はなくなりますか?
A. なりません。
育成就労制度は、特定技能1号への移行を見据えた制度であるため、特定技能制度は引き続き存続します。
将来的になくなるのは、技能実習制度です。
Q4.育成就労では自由に転職できますか?
A. いいえ、自由に転職できる制度ではありません。
本人意向による転籍は認められる方向ですが、就労期間(1〜2年)、技能(基礎級合格)、日本語能力(A1〜A2相当)、転籍先の適正性など、一定の要件を満たす必要があります。
まとめ
育成就労制度は、これまでの技能実習制度をそのまま引き継ぐものではなく、人材育成と人材確保を正面から目的に据えた新しい制度です。
技能実習と比べると、制度の目的だけでなく、特定技能とのつながり、本人意向による転籍の考え方、日本語能力の位置付け、監理・支援体制など、大きな見直しが行われます。
特に企業としては、これからは「受け入れて終わり」ではなく、3年間で育成し、その後の特定技能1号への移行や定着まで見据えた受入れ体制を整えていくことが重要になります。
2027年4月1日の制度開始まではまだ時間がありますが、2026年9月1日から施行日前申請が開始されるため、今の段階から、自社が対象分野に入るか、日本語支援や相談体制の整備をどう進めるか、今後も選ばれる職場になるために何が必要かを確認しておくことが、今後の外国人材の採用・定着において大きな差につながるでしょう。
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