
貸切バス事業者安全性評価認定制度(セーフティバス)とは?2027年度申請の流れと注意点を行政書士が解説
熊本の貸切バス事業者様へ|行政書士法人塩永事務所
「SAFETY BUS(セーフティバス)」マークを車体に貼った貸切バスを見かけたことはありませんか。これは、貸切バス事業者安全性評価認定制度の認定を受けた事業者が掲げられる、安全への取組みの証です。
この記事では、制度の目的、申請条件、審査内容、2027年度申請のスケジュール、手続きの流れ、認定取消しとなるケースを整理します。
制度の概要
この制度は、日本バス協会が貸切バス事業者からの申請に基づいて安全性や安全確保に向けた取組状況を評価・認定し、公表するものです。2011年度から実施されており、バス協会の会員でない事業者も申請できます(申請料は会員・非会員で異なります)。
認定を受けると、日本バス協会と国土交通省のホームページで公表されます。認定ステッカーを貸切登録の車両に貼ることができ(1両につき側面・後面で2枚まで)、認定証の掲示や、自社ホームページ・名刺などでのシンボルマークの活用もできます。
日本バス協会によると、2026年8月1日現在の認定事業者は1,790者で、全国の貸切バス事業者数の54%、貸切バス車両数の71%にあたります。
近年の制度見直し
制度は近年、大きく見直されています。
- 2024年度:行政処分に対する減点を強化
- 2025年度申請から:審査内容を充実させ、評価レベルを3段階から5段階(一ツ星〜五ツ星)に引き上げ、有効期間を2年更新のみに統一(4年更新は廃止)
- 2025年度の更新認定:制度開始以来初めて、四ツ星の事業者が誕生
- 2026年度申請から:審査項目の一部をさらに見直し
申請案内書は、見直しの背景として、静岡県駿東郡での貸切バス横転事故と、2024年4月の改善基準告示改正・運行管理に関する規制強化を挙げています。報道によれば、日本バス協会は軽井沢スキーバス事故から10年を迎えることも踏まえて、審査基準を厳格化したと説明しています。
新基準では、衝突被害軽減ブレーキ以外の先進安全自動車(ASV)装置や、心臓疾患・大血管疾患、視野障害への対策といった健康管理の取組みも評価対象です。デジタル式運行記録計や点呼の録画といった規則改正への対応が不十分な場合は、認定されません。
申請条件
本制度は任意で、法人(事業者)単位で評価・認定されます。営業所や都道府県ごとの申請はできません。申請には、申請基準日(2027年4月1日)時点で次の条件をすべて満たす必要があります。いずれも貸切バス事業に関するもので、乗合バスの事故や行政処分は影響しません。
- 事業許可取得後3年以上が経過していること(2024年4月1日以前に許可を取得)
- 「安全性に対する取組状況」の法令遵守事項に違反がないこと
- 過去2年間(2025年4月1日〜2027年3月31日)に、有責の第一当事者となる「死者を生じた事故」がないこと
- 過去1年間(2026年4月1日〜2027年3月31日)に、有責の第一当事者となる「重傷者を生じた事故」がないこと
- 過去1年間に、有責の第一当事者となる「10人以上の負傷者を生じた事故」で、負傷の程度が著しいもの(1日で治療が完了する者を除き、2日以上通院する場合)がないこと
- 過去1年間に、有責の第一当事者となる転覆等の事故、または悪質な法令違反による運行等(飲酒、酒気帯び、無免許、無資格、居眠り、薬物乱用、救護義務違反、携帯電話使用に伴う事故など)がないこと
- 過去1年間に、1営業所1回当たり50日車を超える行政処分を受けていないこと
- 過去の認定取消しによる欠格期間に該当していないこと
有責の第一当事者に当たることが申請後に確定した場合(条件3〜6)は、失格として審査中止または認定取消しの対象です。また、後述の認定取消基準に該当する事象が申請受付日以降に発生した場合も、同様に扱われます。1営業所でも条件を満たさなければ、他の営業所を含めて事業者全体が申請できません。
審査内容と評価基準
審査は日本バス協会による書類審査と訪問審査で行われます。訪問審査は1事業者あたり1営業所で、所要時間は約2時間です。審査員の交通費・宿泊費は協会が負担します。学識経験者、有識者、国土交通省、日本バス協会で構成される認定委員会が、審査結果を踏まえて認定事業者を決定します。
評価項目は次の3つで、合計100点満点です。
| 大項目 | 配点 | 基準点 |
|---|---|---|
| Ⅰ. 安全性に対する取組状況 | 55点(上位事項。法令遵守事項は必須) | 10点 |
| Ⅱ. 事故及び行政処分の状況 | 20点(事故10点+行政処分10点) | 事故のみ10点 |
| Ⅲ. 運輸安全マネジメント取組状況 | 25点 | 10点 |
認定には、合計60点以上であることに加え、基準点が設定された項目がすべて基準点以上であることが必要です。基準点を1つでも下回ると、合計が60点以上でも認定されません。法令遵守事項で違反が確認された場合は、失格として審査が中止されます。
Ⅰ. 安全性に対する取組状況
法令で定められたレベルの「法令遵守事項」(1つでも満たさなければ認定不可)と、それより高いレベルの「上位事項」の2段階で評価します。上位事項には、高性能アルコール検知器の導入、デジタコを活用した教育、ドライブレコーダー映像を用いた教育、先進安全自動車の装着率、健康起因事故の防止対策などがあります。
Ⅱ. 事故及び行政処分の状況
国土交通省のデータで審査するため、事業者からの提出書類はありません。事故は、申請条件に該当する事故等がなければ10点です。行政処分は、過去2年間(2025年4月1日〜2027年3月31日)の累積違反点数を配点10点から差し引いた点数になります。2024年度以降は下限がなく、累積違反点数が10点を超えると超過分も減点されます(18点なら0点に加えてさらに8点減点)。
Ⅲ. 運輸安全マネジメント
国土交通省の手引きに基づき、PDCA(計画7点・実施12点・点検2点・改善2点)と情報公開(2点)が評価されます。安全方針や安全目標の作成、内部監査、マネジメントレビュー、外部への情報公開などの取組みが、記録とともに確認されます。
審査項目は2026年度申請からも見直されています。最新の評価項目は、必ず申請年度の申請案内書で確認してください。
認定種別(一ツ星〜五ツ星)
新規申請で認定される場合は、すべて一ツ星からのスタートです。更新申請では、現在の認定種別と今回の得点によって次のように決まります。
| 現在の認定 | 得点に応じた結果 |
|---|---|
| 一ツ星 | 70点以上で二ツ星、60〜69点で一ツ星 |
| 二ツ星 | 80点以上で三ツ星、70〜79点で二ツ星、60〜69点で一ツ星に降格 |
| 三ツ星 | 90点以上で四ツ星、80〜89点で三ツ星、以下は降格 |
| 四ツ星 | 95点以上で五ツ星、90〜94点で四ツ星、以下は降格 |
| 五ツ星 | 95点以上で五ツ星を継続、以下は降格 |
認定の有効期間は2年更新のみです。2027年度申請で認定された場合は、認定日から2030年3月31日までが有効期間で、次回の更新申請は2029年4月に行います。
2027年度申請のスケジュールと費用
日本バス協会は、2026年9月30日に2027年度の申請案内と申請書類を公開しています。
- 申請受付期間:2027年4月1日(木)〜4月30日(金)。郵送等の場合は4月30日の消印(受付)まで有効で、新規・更新とも共通です。書類審査は原則として受付順なので、早めの提出が望まれます。
- 提出方法:郵送等で貸切バス事業者安全性評価認定委員会事務局へ送付します。着払いは受け付けられません。
- 審査の目安:新規は書類審査が4〜7月、訪問審査が5〜8月。更新は書類審査が4〜10月、訪問審査が6〜11月の予定です。
- 公表時期(予定):新規申請は2027年9月下旬、更新申請は2027年12月下旬。
申請料(1事業者あたり・税込)
| 貸切バス車両数 | 協会会員 | 非会員 |
|---|---|---|
| 31両以上 | 188,000円 | 221,000円 |
| 11〜30両 | 141,000円 | 166,000円 |
| 10両以下 | 93,000円 | 110,000円 |
車両数は2027年3月31日現在、会員・非会員の区分は2027年4月1日時点で判断されます。申請書類を提出して受付番号がメールで通知された後に、2027年4月1日〜5月12日の間に金融機関から振り込みます。期間前の振込は認められません。更新申請でも申請料が必要で、認定されなかった場合や審査中止の場合を含め、原則として返金されません。
評価の対象期間に注意
2027年度申請では、「安全性に対する取組状況」と「運輸安全マネジメント」は2026年4月1日〜2027年3月31日の取組状況が審査対象です。つまり、今まさにその対象期間の最中です。提出する記録や資料もこの期間のものに限られ、過去の申請で使った資料を流用することはできません。更新申請でも、自己評価シートと添付資料の再提出が必要です。
特に、次の項目は対象期間を過ぎてから対応しても評価されません。
- 選任した運行管理者全員の基礎講習または一般講習の受講(選任された年度と、その後2年に1度)
- 整備管理者の選任後研修(2年に1度。2026年度に新たに選任した場合は、2027年度末までの受講で可)
- 特定の運転者(初任運転者・高齢運転者・事故惹起者)の適性診断(初任は2026年4月1日〜2027年3月31日、高齢運転者と事故惹起者は2024年4月1日〜2027年3月31日の受診結果)
- 初任運転者・事故惹起者への特別指導(座学10時間以上、実技20時間以上。旅客を乗せた営業運転での実技は時間に含められません)
2027年度に入ってからの受診や、申請後の受講は評価されません。これらの不備で認定に至らない事業者が毎年出ていると、申請案内書も注意を促しています。
申請手続きの流れ
- 申請条件の確認:過去2年分の事故状況、過去1年分の行政処分歴、営業所ごとの処分日車数を整理します。
- 申請案内書・書類の入手:日本バス協会の特設サイトから、申請案内書、申請書と自己評価シート(Excel。申請書のみWord)、自己評価シートの記入例をダウンロードします。
- 根拠資料の整理と自己評価:点呼記録、運行管理者・整備管理者の講習記録、ドライブレコーダーとデジタコの運用・教育記録、安全管理規程、PDCAの実施記録、安全情報の公表状況などを揃えます。
- 申請書類の提出:4月の受付期間内に、申請事業者自身が郵送で送付します。書類はパイプ式ファイル(厚さ10cmまで)に綴じ、片面印刷で提出します。申請書類は返却されないため、必ず控えを保存してください。
- 申請料の納付:受付番号の通知後、振込期間内に金融機関から振り込みます。
- 書類審査・訪問審査:疑義があれば質問連絡票が1回だけ送付され、原則5日以内(消印有効、郵送のみ)に回答しないと審査中止になります。書類の整備だけでなく、実際の運用との一致も確認されます。
- 認定委員会での審議・認定・公表:新規は9月下旬、更新は12月下旬の公表予定です。
- 認定後の運用と更新:認定期間中は、事故や行政処分の報告を適切に行う必要があります。
申請書類は、申請事業者自身が作成したものでなければなりません。事業者以外の者が作成した書類は審査されず、第三者が作成したことが認められた場合は、不正申請として不合格となり、以後3年間申請資格を失うことがあります。
認定取消しとなるケースと欠格期間
認定後に次の事由が生じると、認定が取り消され、一定期間は申請できなくなります。
| 取消しの事由(認定期間中) | 欠格期間 |
|---|---|
| 不正申請等により認定を受けたことが確認された場合 | 3年間 |
| 有責の第一当事者となる死亡事故が発生した場合 | 2年間 |
| 有責の第一当事者となる重傷事故が発生した場合 | 1年間 |
| 有責の第一当事者となる10人以上の負傷者を生じた事故で、負傷の程度が著しい場合 | 1年間 |
| 有責・他責を問わず対象の事故・違反・30日車以上の処分があったのに、故意に30日以内に協会へ報告しなかった場合 | 2年間 |
| 1営業所1回当たり50日車を超える行政処分を受けた場合 | 1年間 |
| 有責の第一当事者となる転覆等の事故、または悪質違反による運行等が発生した場合 | 1年間 |
| 一ツ星の事業者が、同じ有効期間内に同じ営業所で2回目の30日車以上50日車以下の行政処分等(警告含む)を受けた場合 | 1年間 |
| 認定辞退の申出、事業廃止 | なし(上記のいずれかに該当する場合を除く) |
(出典:日本バス協会「2027年度 申請案内書」、貸切バス事業者安全性評価認定規程)
補足として、次の点も押さえておいてください。
- 複数の取消基準に該当する場合は、最も長い欠格期間が適用されます。
- 認定取消しの処分を行う場合は、事前に事業者へ弁明の機会が与えられます。
- 認定取消しとなった事業者は、取消日から約1週間、日本バス協会のホームページで公表されます。
- 事故・行政処分による取消しの場合、欠格期間の満了後に、新規申請として「特別申請」ができます。認定取消し後は一ツ星からのスタートです。
- 認定期間中に1営業所1回当たり30日車以上50日車以下の行政処分等(警告を含む)を受けると、一ツ星は次回審査で行政処分の評価が0点となってさらに減点され、二ツ星以上はワンランク降格します。
- 認定期間中に有責・他責を問わず死亡事故、重傷事故、10人以上の負傷者を生じた事故、転覆等の事故、悪質違反による運行等が発生した場合や、30日車以上の行政処分等(警告を含む)を受けた場合は、事故の発生日または処分の効力発生日から30日以内に、事業者自身が日本バス協会へ報告する必要があります。
社会的信用に直結するため、事故・行政処分の報告を30日以内に行う社内ルールを徹底しておくことが重要です。
申請に向けた準備のポイント
- 日々の記録をルーティン化する:点呼、運転者教育、ドライブレコーダーを使った指導の記録は、申請直前に整えられるものではありません。
- 講習・適性診断・研修の受講状況を今のうちに確認する:運行管理者の講習、整備管理者の研修、特定運転者の適性診断は、期限を過ぎると取り返せません。
- 行政処分の履歴と日車数を、営業所ごとに早めに把握する:申請の可否と点数の両方に影響します。
- 運輸安全マネジメントは「PDCAを回した証拠」を残す:規程があるだけでなく、安全目標、内部監査、見直しや改善の記録、安全情報の公表がそろって評価されます。
- 4月の受付に向けて逆算して準備する:受付期間は1か月だけで、案内書はすでに公開されています。2026年度の取組状況が審査対象のため、今の運用がそのまま評価に直結します。
- 申請案内書の最新版で、評価項目の変更を確認する:年度ごとに審査項目が見直されています。
当事務所のご支援について
この制度の申請は、申請書の記入だけでなく、自社の安全管理の運用が基準を満たしていることを、根拠資料で示す作業が中心になります。申請書類は事業者様ご自身で作成していただく必要がありますので、当事務所では次のようなご支援を行います。
- 申請条件の事前確認と、申請に向けた準備状況の整理
- 必要資料の洗い出しと、不足・不備のチェック
- 安全管理規程など、社内規程類の整備に関するご相談
- 受付期間(4月)から逆算した、準備スケジュールのご提案
熊本県内で貸切バス事業を営まれている事業者様、これから認定を目指す事業者様は、お気軽にご相談ください。
行政書士法人塩永事務所
096-385-9002 info@shionagaoffice.jp
【ご注意】 本記事は、国土交通省および公益社団法人日本バス協会の公表資料(2026年10月時点で確認)に基づく一般的な解説です。申請料、受付期間、様式、評価基準などは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、必ず日本バス協会の最新の申請案内書をご確認ください。
