
中古太陽光の売買・名義変更で要注意「分割案件」とは?行政書士が解説
野立て太陽光発電所の売買や名義変更を検討する際、見落とされがちなのが「分割案件」のリスクです。特に「49.5kW+49.5kW」のように低圧設備を隣接して設置しているケースでは、契約前の確認が欠かせません。本記事では、行政書士実務の観点から、確認すべきポイントと注意点を整理します。
そもそも「分割案件」とは
本来であれば高圧設備として扱われるべき規模の太陽光発電所を、意図的に50kW未満の低圧設備に分けて設置する手法を「分割設置」と呼びます。資源エネルギー庁のQ&Aでは、発電設備の譲渡に伴う名義変更や、FIT認定が失効した設備の再申込みの際にも、分割設置に該当するかどうかが改めて判断される場合があるとされています。
そのため、
「昔から存在している低圧2基だから問題ない」
とは一概に言えません。既設の設備であっても、売買や名義変更のタイミングで分割性を問われる可能性がある点に注意が必要です。
売買・名義変更の前に確認すべき情報
野立て太陽光の売買・名義変更に関わる案件では、最低限以下の情報を確認しておくことをおすすめします。
- 発電所所在地
- 土地の地番
- 土地所有者
- 現在の発電設備所有者
- 隣接・近接する太陽光発電設備の有無
- 隣接設備の所有者
- 各設備の出力
- FIT/FIP認定状況・認定年月日
- 系統連系状況、受電地点・引込状況
- 過去の土地分筆・合筆の経緯
- 発電所設置時期
- 事業者変更・名義変更の履歴
特に「49.5kW+49.5kW」「同一地権者」「隣接」「同一事業者」がそろっている案件は、分割案件として慎重に確認すべき対象です。
分割案件として問題になりやすいパターン
以下のような特徴を持つ案件は、実態として一体の発電事業とみなされるリスクが高くなります。
- 1つの大規模発電所を複数の低圧設備に分けて設置している
- 同一の土地・一体的な土地利用の中に複数の発電設備がある
- 同一事業者が複数設備を設置している
- 名義だけ別会社・別個人にしているが、実質的には一体の事業
- 土地を分筆し、形式的に別の土地として申請している
- フェンス等で区切っていても、実態としては一体の設備
- 高圧設備を避ける目的で低圧設備に分割していると疑われる
- 同一の系統連系地点・受電設備を利用している
- 既存の発電所の隣に、後から同規模の発電所を追加している
- 「発電所名」「法人名義」だけを変えて実態が同じ
とりわけ次のようなケースは注意度が高いといえます。
- 49.5kW × 2基、あるいは × 3基
- 同一敷地内・隣接する複数の土地に低圧発電所が連続している
- 土地所有者や発電事業者が同一、または実質的に同一グループ
- 同じ施工業者が同時期に、同じ設計・設備構成で複数設備を設置
- 同一の進入路・管理道路、同一の変電設備・キュービクルを利用
- 一つの事業計画を意図的に複数案件に分けたように見える
- 土地を後から分筆して「別案件」にしたように見える
- 売買によって名義だけ変更され、実態としては一体の発電事業が継続している
- 古いFIT案件だからと、現在の手続きで分割性の再確認を怠っている
「問題ない」と思い込みやすい落とし穴
行政書士実務では、以下のような判断は特に警戒すべきポイントです。
- 「49.5kWだから問題ない」
- 「土地が2筆だから別案件」
- 「法人が違うから問題ない」
- 「フェンスが別だから問題ない」
- 「発電所名が違うから問題ない」
- 「昔FIT認定を取っているから問題ない」
また、以下のような進め方もリスクを高めます。
- 系統連系の資料を確認せずに名義変更を進める
- 土地登記だけを確認し、隣接・近接する発電設備を確認しない
- 売買契約を締結した後に分割問題が発覚する
- 分割案件の可能性を確認しないまま、FIT/FIP認定変更・事業者変更・名義変更を進める
最も注意すべき組み合わせ
実務上、以下の条件がそろう案件は特に慎重な調査が必要です。
- 49.5kW × 2基
- 隣接する土地
- 同一の土地所有者
- 同一の発電事業者
- 同一時期の設置
- 同じ系統・連系設備
ただし、隣接しているという一点だけで直ちに「分割」と判断されるわけではありません。土地・設備・所有者・設置時期・系統・事業計画などを総合的に確認することが重要です。
まとめ
中古太陽光の売買や名義変更では、「低圧設備だから」「昔からある設備だから」という理由だけで分割リスクを見過ごしてしまうケースが少なくありません。契約を締結する前に、上記のチェックポイントに沿った「分割リスクチェック」を行うことをおすすめします。
野立て太陽光の売買・名義変更でご不安な点がございましたら、行政書士法人塩永事務所までお気軽にご相談ください。
