
【行政書士法人塩永事務所ブログ】経営革新計画とは?承認獲得で中小企業を次のステージへ!徹底解説
こんにちは、行政書士法人塩永事務所です。
中小企業の経営者の皆様、事業のさらなる成長のために、新たな挑戦を考えていらっしゃいますか?もしそうであれば、「経営革新計画」という制度をご存知でしょうか。この制度は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、経営力の向上を図るための計画を策定し、都道府県知事等の承認を受けることで、様々な支援措置が受けられる非常に強力なツールです。
今回は、この「経営革新計画」について、その概要から申請のポイント、そして行政書士としてどのように皆様をサポートできるのかまで、詳しく、ボリュームたっぷりで解説していきます。
1.経営革新計画とは?中小企業の成長を後押しする制度
まず、経営革新計画とは何か、その全体像から見ていきましょう。
「経営革新」とは、「中小企業が新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と中小企業等経営強化法に定義されています。そして、「経営革新計画」とは、この経営革新を実現するための具体的な事業計画書を指します。
この計画を都道府県知事などの承認を得ることで、様々な優遇措置(後述します)を受けることができるようになります。これは、単なる計画書作成というよりも、自社の未来を描き、その実現に向けた具体的なアクションプランを明確にするプロセスそのものと言えるでしょう。
(1) 「新事業活動」とは?
経営革新計画の肝となるのが、「新事業活動」への取り組みです。これは、単なる既存事業の延長線上にある改善ではなく、以下のいずれかの分類に該当する「新たな取り組み」である必要があります。
- 新商品の開発又は生産: 全く新しい商品を開発したり、既存商品を大幅に改良して新たな価値を創造したりすること。
- 新役務(サービス)の開発又は提供: 新しいサービスを開発したり、既存サービスに新たな提供方法を加えたりすること。
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入: 生産プロセスや販売チャネル、マーケティング手法に革新的な変化をもたらすこと。
- 役務(サービス)の新たな提供の方式の導入: サービスの提供方法に画期的な改善を加え、顧客への価値提供を向上させること。
- 技術に関する研究開発及びその成果の利用: 新しい技術の研究開発を行い、その成果を事業に活用すること。
- その他の新たな事業活動: 上記に当てはまらないが、明確な新規性があり、経営の向上に資すると認められる活動。
ここで重要なのは、「自社にとっての新規性」があるかどうかです。同業他社が既に実施している取り組みであっても、自社にとっては初めての挑戦であり、それによって経営の向上が見込まれる場合は、新事業活動として認められる可能性があります。
(2) 「経営の相当程度の向上」とは?
経営革新計画の承認を受けるためには、新事業活動によって「経営の相当程度の向上」が見込まれる必要があります。具体的には、以下の財務指標において、計画期間(3~5年)の終了時点で一定の伸び率を達成することが求められます。
- 付加価値額 または 一人当たりの付加価値額: 年率3%以上の伸び率
- 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
- 一人当たりの付加価値額 = 付加価値額 / 従業員数
- 給与支給総額: 年率1.5%以上の伸び率
これらの数値目標は、計画の実現可能性を示す上で非常に重要です。単なる希望的観測ではなく、具体的な根拠に基づいた綿密な計画が求められます。
2.経営革新計画を申請するメリット・デメリット
経営革新計画の承認は、中小企業にとって非常に大きなメリットをもたらします。一方で、注意すべき点も存在します。
(1) メリット
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資金調達の優遇措置
- 日本政策金融公庫による低利融資: 通常よりも有利な条件で融資を受けることができます。新事業に必要な設備投資や運転資金の確保に役立ちます。
- 信用保証の特例: 信用保証協会による保証限度額の拡大や、保証料の減免など、融資を受けやすくなる措置があります。
- 中小企業投資育成株式会社の特例: 成長が期待される中小企業に対して、投資育成会社からの投資を受けられる場合があります。
- 高度化融資制度: 設備資金や運転資金を長期かつ低利で借り入れられる可能性があります。
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補助金・助成金の加点措置 ものづくり補助金や事業再構築補助金など、国や地方自治体が実施する様々な補助金・助成金の審査において、経営革新計画の承認を受けていることが加点対象となるケースが多くあります。これにより、補助金採択の可能性を高めることができます。
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税制優遇(一部) 一部の税制優遇措置の対象となる場合があります。
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販路開拓支援 都道府県によっては、専門家による販路開拓支援や、展示会出展費用の補助など、承認企業向けの支援メニューが用意されていることがあります。
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企業価値・信用力の向上 公的に認められた事業計画を持つことで、金融機関や取引先、従業員、そして社会からの信用力が高まります。これは、新たなビジネスチャンスの獲得や、優秀な人材の確保にも繋がります。
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経営の可視化と社内意識の向上 計画策定のプロセスを通じて、自社の強み・弱み、市場環境、将来の目標、そしてその達成に向けた具体的な戦略が明確になります。これにより、経営陣はもちろん、従業員全体の目標意識が高まり、組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。
(2) デメリット・注意点
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計画策定に時間と労力がかかる 経営革新計画は、緻密な分析と具体的な内容が求められます。自社の現状分析、市場調査、競合分析、SWOT分析、財務計画など、多岐にわたる項目について詳細に記述する必要があるため、それなりの時間と労力を要します。
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承認されない可能性もある 計画が承認されるためには、前述の「新事業活動」の要件と「経営の相当程度の向上」の数値目標をクリアし、かつ計画の実現可能性や新規性が十分に示されている必要があります。全ての申請が承認されるわけではないため、不承認となる可能性も考慮に入れる必要があります。
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承認後の進捗管理・報告義務 承認された後も、計画の進捗状況を定期的に報告する義務があります。計画通りに事業が進まない場合でも、その理由や今後の対応について説明責任が生じます。
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目的が計画承認自体になりがち 計画の承認がゴールではなく、あくまで事業を成長させるための「手段」であることを忘れてはいけません。承認されたことに満足し、その後の事業実行がおろそかになってしまうと、本末転倒です。
3.経営革新計画の申請要件と必要書類
経営革新計画を申請するためには、いくつかの基本的な要件を満たしている必要があります。
(1) 申請の対象となる事業者
中小企業等経営強化法に規定される中小企業者が対象です。具体的には、以下のいずれかの基準を満たす会社および個人事業主が該当します。
※常時使用する従業員には、事業主、法人の役員、臨時の従業員は含みません。 ※組合なども対象となる場合があります。
また、以下の要件も求められます。
- 直近1年(少なくとも6ヶ月以上)の事業実績があり、この期間に決算(税務申告)を行っていること。
- 創業間もない企業や休眠明けの企業は、一定期間の実績が必要です。
- 本社所在地が申請先の都道府県内にあること(個人事業主の場合は住民登録地)。
(2) 申請に必要な主な書類
申請書類は都道府県によって若干異なりますが、一般的には以下の書類が必要となります。
- 経営革新計画に係る承認申請書(様式第1号)
- 別表1:経営革新計画(計画の概要、事業内容、目標など)
- 別表2:実施計画と実績(具体的な実施内容、スケジュールなど)
- 別表3:経営計画及び資金計画(損益計算書、貸借対照表、資金繰り計画など)
- 別表4:設備投資計画及び運転資金計画
- 別表5:経営革新計画等の公表等について
- 別表6:企業概要
- 別表7:負担金の賦課の基準等(該当の場合)
- 誓約書
- 申請企業役員名簿
- 履歴事項全部証明書(法人のみ)
- 直近3期分の決算書(確定申告書)の写し
- 法人:貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費内訳書、製造原価報告書など
- 個人事業主:確定申告書(第一表・第二表)、青色申告決算書(1~4ページ)又は収支内訳書(1~2ページ)
- その他経営革新に係る資料(会社案内、補足資料、商品やサービスのパンフレットなど)
これらの書類は、一つ一つが計画の実現可能性や新規性を裏付ける重要な資料となります。特に財務計画は、今後の事業の収益性や資金繰りの健全性を評価されるため、非常に重要なポイントです。
4.経営革新計画申請のプロセスと行政書士の役割
経営革新計画の申請プロセスは、一般的に以下の流れで進みます。
(1) 事前相談
まずは、各都道府県の経営革新計画担当窓口(中小企業支援課など)や、地域の商工会・商工会議所、認定支援機関などに事前相談を行います。ここで、自社の事業内容や計画の方向性が経営革新計画の対象となるか、大まかな要件を満たしているかなどを確認します。
(2) 計画策定
事前相談を経て、いよいよ具体的な計画書の作成に入ります。これが最も時間と労力を要する段階です。前述の「新事業活動」と「経営の相当程度の向上」の要件を満たすべく、詳細な分析と具体的な計画を盛り込んでいきます。
(3) 申請書の提出
必要な書類が揃ったら、チェックリストで確認し、申請窓口に提出します。
(4) 審査会
提出された計画書は、審査会で内容が審査されます。場合によっては、プレゼンテーションを求められることもあります。審査では、計画の新規性、実現可能性、目標達成の見込みなどが厳しく評価されます。
(5) 承認・不承認通知
審査会終了後、適宜、承認または不承認の通知がなされます。承認された場合、晴れて各種支援措置の対象となります。
(6) 承認後の進捗報告
承認後も、計画期間中は定期的に進捗状況の報告が求められます。
行政書士の役割:なぜ専門家に依頼すべきなのか?
経営革新計画の申請は、その重要性と複雑さから、多くの事業者が行政書士などの専門家を活用しています。行政書士法人塩永事務所が皆様をサポートできるのは、まさにこの部分です。
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計画策定の伴走支援: 「頭の中にあるアイデアをどうやって文書にすればいいか分からない」「数値目標の設定が難しい」といったお悩みを抱える経営者様は少なくありません。行政書士は、貴社の事業内容や強みを深く理解し、ヒアリングを通じて具体的なビジネスプランを言語化・文書化するお手伝いをします。承認されるためのポイントを踏まえ、説得力のある計画書を作成します。
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財務計画の精緻化: 経営革新計画では、付加価値額や給与支給総額の伸び率など、具体的な数値目標の設定が求められます。行政書士は、貴社の財務状況を分析し、実現可能かつ説得力のある財務計画の策定をサポートします。
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申請要件の確認と適合支援: 「新事業活動」の定義や、「経営の相当程度の向上」の数値目標など、専門的な要件を正確に理解し、貴社の計画がそれらの要件を満たしているかを確認します。不足している点があれば、適切なアドバイスを提供し、適合できるように支援します。
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必要書類の収集・作成代行: 多くの必要書類を漏れなく、正確に作成・収集することは、事業者にとって大きな負担となります。行政書士は、これらの書類作成を代行し、不備なく申請が行えるようサポートします。
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申請窓口への同行・説明支援(可能な場合): 申請窓口での相談や、審査会でのプレゼンテーションに同行し、専門家としての視点から説明を補足するなど、申請を円滑に進めるためのサポートを行います。
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承認後のサポート: 承認後も、計画の進捗報告に関するアドバイスや、計画変更が必要になった場合の変更申請手続きなどもサポートいたします。
当事務所の行政書士は、経営革新計画に関する知識と経験が豊富です。皆様の「こんな事業をやりたい!」「こんな風に会社を成長させたい!」という熱意を、具体的な「計画」として形にするお手伝いをいたします。
5.経営革新計画承認後の活用事例
経営革新計画が承認された後の活用事例をいくつかご紹介します。
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新商品開発のための設備投資: 承認された計画に基づき、最新の生産設備を導入するために日本政策金融公庫から低利融資を受け、新商品の生産体制を確立。市場投入を早め、競合優位性を確立した。
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新たなサービス提供体制の構築: ITを活用したオンラインサービス提供に舵を切る計画が承認され、システム開発費用の一部を信用保証協会の特例を活用して調達。全国にサービス展開を拡大し、顧客基盤を大幅に拡大した。
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研究開発費の確保と補助金活用: 革新的な技術の研究開発計画が承認され、ものづくり補助金などの加点対象となり、採択を獲得。研究開発を加速させ、将来の主力事業となる技術を確立した。
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海外市場への展開: 海外展開に関する計画が承認され、海外での販路開拓支援を受けるとともに、政府系金融機関からの融資を活用し、海外子会社の設立費用やマーケティング費用を賄った。
これらの事例からもわかるように、経営革新計画は単なる書類作成で終わるものではなく、承認されることによって、中小企業が成長戦略を具体的に実行するための強力な足がかりとなるのです。
6.まとめ:経営革新計画で未来を切り拓く!
経営革新計画は、中小企業が持続的な成長を実現するための羅針盤であり、様々な公的支援を受けるためのパスポートでもあります。計画を策定するプロセス自体が、自社の強みと弱みを洗い出し、将来のビジョンを明確にする貴重な機会となります。
「自社でも申請できるのだろうか?」「どんな計画を立てればいいか分からない」といったお悩みをお持ちの経営者の皆様、ご安心ください。行政書士法人塩永事務所では、経営革新計画の申請を強力にサポートいたします。
貴社の「革新」への挑戦を、私たち行政書士法人塩永事務所が全力で応援いたします。まずは、お気軽にご相談ください。
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