
【行政書士法人塩永事務所ブログ】監理団体の外部監査とは?その重要性と実務について徹底解説
こんにちは、行政書士法人塩永事務所です。
今回は、外国人技能実習制度において非常に重要な役割を担う「監理団体」に課せられる義務の一つである「外部監査」について、詳しく解説していきます。監理団体の皆様はもちろん、これから監理団体の設立を目指される方、外国人技能実習生を受け入れている実習実施者の皆様にとっても、理解を深めていただく一助となれば幸いです。
1.監理団体の「外部監査」とは?
監理団体とは、外国人技能実習生の受入れから帰国までを一貫してサポートし、実習の適正な実施を監理する団体です。その業務は多岐にわたり、技能実習計画の作成指導、実習実施機関への定期的な訪問指導、実習生の相談対応など、非常に重要な役割を担っています。
しかし、その重要な役割を果たす監理団体自身が、適切に業務を行っているかを確認する仕組みも必要です。そこで設けられているのが、「外部監査」です。
外部監査とは、監理団体が自らの業務運営、特に技能実習の実施状況や実習生の人権保護に関する事項について、外部の専門家によって客観的に評価・確認されることを指します。これは、監理団体が透明性をもって公正な業務運営を行うための重要な仕組みであり、技能実習法の施行により義務付けられました。
2.なぜ外部監査が必要なのか?その重要性
外部監査が義務付けられている背景には、以下の重要な理由があります。
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技能実習制度の適正化・透明性の確保 過去には、技能実習生に対する人権侵害や不当な労働環境が問題となるケースがありました。外部監査は、監理団体がこれらの問題を起こさないよう、また問題が発生した場合に早期に発見・改善できるよう、制度の透明性と信頼性を高めるために不可欠です。
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実習生の人権保護 実習生は、日本の文化や労働慣行に不慣れな中で生活しています。監理団体が適切に機能しないと、実習生が不利益を被る可能性があります。外部監査は、実習生が安心して技能実習に取り組めるよう、人権が守られているかを確認する役割も担います。
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監理団体のガバナンス強化 外部の視点から客観的な評価を受けることで、監理団体は自らの業務における課題や改善点を明確にすることができます。これにより、組織としてのガバナンスが強化され、より質の高い監理業務を提供できるようになります。
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優良な監理団体の認定要件 監理団体が「優良」と認められるためには、外部監査の実施が必須要件の一つとなっています。優良な監理団体であることは、実習実施者からの信頼を得る上でも非常に重要です。
3.外部監査の対象となる監理団体
すべての監理団体が外部監査の対象となります。特に、以下の条件を満たす監理団体は、より厳格な外部監査が求められます。
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一般監理事業を行う監理団体 「優良な監理団体」として、特定技能実習生を受け入れることができる一般監理事業を行う監理団体は、外部監査が義務付けられています。
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許可監理事業を行う監理団体 許可監理事業を行う監理団体も、外部監査を受ける必要があります。
4.外部監査の具体的な内容と流れ
外部監査は、一般的に以下の内容と流れで実施されます。
(1) 監査を行う者(外部監査人)
外部監査は、監理団体と利害関係のない第三者の専門家が行う必要があります。具体的には、以下のいずれかの資格を持つ者が監査人となることが一般的です。
- 弁護士
- 公認会計士
- 税理士
- 中小企業診断士
- 特定行政書士(監理団体の外部監査に関する研修を修了していること)
- その他、監理団体の業務監査に関する専門的な知識及び経験を有する者
当事務所の行政書士も、外部監査に関する専門知識を有しており、監理団体の皆様の外部監査に対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
(2) 監査の対象期間と頻度
原則として、毎年1回以上、監理事業の実施状況について監査を受ける必要があります。監査の対象期間は、直近の監査以降の期間となります。
(3) 監査の実施事項
外部監査では、主に以下の項目について確認・評価が行われます。
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技能実習計画の作成指導・確認の適正性 実習内容が適正か、法令に違反していないかなどを確認します。
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実習実施機関への訪問指導・監査の実施状況 定期的な訪問が実施されているか、指導内容が適切か、記録は残っているかなどを確認します。
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実習生の相談対応・保護体制 実習生からの相談に適切に対応できているか、人権侵害の防止策が講じられているかなどを確認します。
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監理費の徴収状況の適正性 監理費が適正に徴収され、不透明な費用がないかを確認します。
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帳簿書類の整備・保管状況 監理事業に関する各種書類が適切に整備・保管されているかを確認します。
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その他、技能実習法令遵守状況 労働関係法令、入管法令など、関連法令の遵守状況を確認します。
(4) 監査報告書の作成と提出
外部監査人は、監査の結果をまとめた「外部監査報告書」を作成します。この報告書には、監査の内容、評価、指摘事項、改善提案などが記載されます。
監理団体は、この外部監査報告書を主務大臣(法務大臣及び厚生労働大臣)に提出する必要があります。
5.外部監査を受ける監理団体が準備すべきこと
外部監査をスムーズかつ的確に進めるためには、監理団体側での事前の準備が非常に重要です。
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関連書類の整理・準備 技能実習計画、実習実施機関との契約書、訪問指導記録、実習生の相談記録、監理費の収支に関する書類など、監査対象となるすべての関連書類を整理し、すぐに提示できるように準備しておきましょう。
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担当者の決定と連携 外部監査に対応する担当者を明確にし、監査人との円滑な連携を図れる体制を整えましょう。
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業務プロセスの見直し 日頃から、監理業務の各プロセスが適切に行われているか、法令遵守の観点から問題がないかを確認し、必要に応じて改善を図っておくことが重要です。
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懸念事項の洗い出し 監査を受ける前に、自団体内で懸念している事項や改善したいと考えている点を洗い出しておくことで、監査人との意見交換がより有意義なものになります。
6.外部監査は「単なる義務」ではない!
外部監査は、確かに法律で義務付けられたものです。しかし、単なる「義務」として捉えるだけでなく、監理団体自身の事業運営を見直し、改善していくための貴重な機会として活用することが、今後の持続的な発展に繋がります。
外部の専門家からの客観的な視点やアドバイスは、これまで気づかなかった課題の発見や、より効率的・効果的な業務運営へのヒントを与えてくれるはずです。
7.行政書士法人塩永事務所がお手伝いできること
行政書士法人塩永事務所では、これまで多くの法人様の外国人材に関する手続きをサポートしてまいりました。監理団体の外部監査についても、以下のサポートが可能です。
- 外部監査人の選定・紹介
- 外部監査に向けた事前準備のアドバイス
- 監理団体の業務運営に関するコンサルティング
- 外部監査対応に関するご相談
監理団体の皆様が安心して監理事業を運営できるよう、当事務所が全力でサポートさせていただきます。外部監査に関するご不明な点やご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に行政書士法人塩永事務所までお問い合わせください。
お問い合わせ先: 行政書士法人塩永事務所 [096-385-9002] [info@shionagaoffice.jp]