
熊本でハイヤー事業を開業するには?都市型ハイヤーの許可・規制・最低車両数・会社設立を行政書士が解説
熊本のハイヤー事業開業サポート|行政書士法人塩永事務所
熊本交通圏の許可要件、ハイヤー限定の営業形態、営業所・車庫の確保、車両数、資金計画まで、開業前に確認すべき事項を詳しく解説します。
はじめに|熊本でハイヤー事業への新規参入を検討されている方へ
熊本県内では、熊本空港を利用する企業関係者や観光客、半導体関連企業への訪問者、海外からのビジネス関係者などを対象とした送迎サービスへの事業展開が考えられます。
特に、菊陽町のJASM(TSMC関連企業)をはじめとする半導体関連産業の集積に伴い、熊本市、合志市、菊陽町、大津町などを移動する企業関係者や技術者、海外からの来訪者向けの移動サービスは、事業計画上の検討対象となります。
こうした需要に対応する事業形態の一つが、予約・契約に基づいて旅客を送迎するハイヤー事業です。
高級セダンやアルファードなどの大型ミニバンを使用し、企業役員の送迎、空港送迎、VIP送迎、観光客向けの貸切送迎などを提供することが考えられます。
ただし、ハイヤー事業は、車両を購入して予約を受け付ければ自由に営業できるものではありません。
有償で旅客を運送する場合には、原則として道路運送法第4条に基づく一般乗用旅客自動車運送事業の経営許可が必要です。
さらに、熊本で開業する場合には、営業区域ごとの最低車両数や、ハイヤー限定の許可条件、営業所・車庫の要件などを確認しなければなりません。
特に重要なのが、熊本交通圏における最低車両数の基準です。
九州運輸局の令和8年6月11日改正の法人タクシー事業審査基準では、熊本交通圏に営業所を設置する場合、通常の法人タクシー事業の最低車両数は原則10両とされています。
ハイヤー事業を計画する場合も、事業範囲を限定する条件や適用される審査基準を確認せずに、少数台数で開業できると判断することはできません。
行政書士法人塩永事務所では、熊本県内でタクシー・ハイヤー事業への新規参入を検討されている事業者様に対し、営業区域の確認、営業所・車庫の事前調査、法人設立、許可申請、資金計画などを総合的に支援しています。
1.ハイヤー事業とは?都市型ハイヤーとの違い
ハイヤーとは、一般乗用旅客自動車運送事業に使用する自動車のうち、当該自動車による運送の引受けを営業所のみにおいて行うものをいいます。
これはタクシー業務適正化特別措置法第2条第2項にも定められている考え方です。
一般的なタクシーが、予約配車のほか、認められた営業方法により乗客を乗せるのに対し、ハイヤーは営業所で運送の引受けを行う予約・契約型の営業形態となります。
例えば、次のようなサービスが考えられます。
- 企業役員・経営者向けの専属送迎
- 熊本空港とホテル・企業間の送迎
- 海外企業の役員・技術者の送迎
- 半導体関連企業への訪問者の送迎
- 高級セダンや大型ミニバンによるVIP送迎
- 観光客向けの予約制貸切送迎
- 国際会議・展示会・企業イベントに伴う送迎
- 時間制・貸切契約による移動サービス
1-1.都市型ハイヤーという独立した許可があるのか?
「都市型ハイヤー」という名称は、都市部において予約制で送迎サービスを提供する営業形態を説明する際に使用されます。
しかし、名称だけで独立した運送事業の許可が設けられているわけではありません。
道路運送法上は、一般乗用旅客自動車運送事業の枠組みの中で、ハイヤーとしての営業形態を整理する必要があります。
九州運輸局管内で事業を開始する場合も、東京など他地域の都市型ハイヤーに関する取扱いを、そのまま熊本に適用できると考えるべきではありません。
重要なのは、次の事項です。
- 一般乗用旅客自動車運送事業の許可をどのような事業範囲で取得するのか
- ハイヤーのみを配置する事業として申請するのか
- 運送の引受けをどのように行うのか
- どの営業区域で事業を行うのか
- 予定車両数が九州運輸局の審査基準に適合するのか
九州運輸局の法人タクシー事業審査基準には、ハイヤーのみを配置して行う事業について、業務の範囲をハイヤー事業に限定する条件を付す旨が定められています。
したがって、熊本で開業する際には、「都市型ハイヤー」という名称だけで判断せず、予定する営業形態に応じた許可条件を確認することが必要です。
2.熊本でハイヤー事業を始める際に最初に確認すべき営業区域
一般乗用旅客自動車運送事業では、事業者が自由に営業区域を設定できるわけではありません。
九州運輸局長が定める営業区域を単位として事業計画を作成し、営業所も原則として当該営業区域内に設置する必要があります。
2-1.熊本交通圏とは?
熊本市周辺でタクシー・ハイヤー事業を始める場合、まず確認するのが熊本交通圏です。
熊本交通圏は、熊本市、合志市、菊陽町、益城町などを対象とする営業区域です。
この営業区域で事業を行う場合、熊本交通圏に適用される審査基準に従って申請することになります。
例えば、次のような事業計画が考えられます。
- 熊本市内に営業所を設け、熊本空港への送迎を行う
- 菊陽町・合志市周辺の企業関係者を対象とした送迎を行う
- 熊本市内のホテルと企業間の送迎を行う
- 海外からの来訪者向けに予約制の移動サービスを提供する
営業所の所在地と実際の運送内容を照らし合わせ、営業区域に適合する事業計画を作成することが重要です。
2-2.熊本県内ならどこでも同じ許可要件ではない
熊本県内でも、営業所を設置する地域によって営業区域や最低車両数が異なります。
例えば、熊本交通圏と、それ以外の営業区域では、法人タクシー事業の最低車両数が異なります。
九州運輸局の令和8年6月11日改正審査基準では、原則として次のように定められています。
| 営業所の設置区域 | 最低車両数 |
|---|---|
| 熊本交通圏 | 10両 |
| 福岡交通圏 | 10両 |
| 北九州交通圏 | 10両 |
| 鹿児島市 | 10両 |
| 上記以外の営業区域 | 5両 |
※通常の法人タクシー事業に関する最低車両数です。ハイヤー限定の事業については、許可条件や適用基準を個別に確認する必要があります。また、一定の例外的な取扱いがあります。
熊本市内で営業所を設ける場合と、熊本県内のその他の営業区域で営業所を設ける場合では、必要な車両数が異なる可能性があります。
少数台数での開業を希望する場合には、営業所の所在地を決定する前に、営業区域と適用される審査基準を確認することが大切です。
3.ハイヤー事業に対する規制と新規参入の注意点
ハイヤー事業への参入を検討する際には、通常の許可要件だけでなく、タクシー事業の供給調整に関する規制も確認する必要があります。
3-1.特定地域・準特定地域の規制
タクシー事業では、地域の輸送需要と供給輸送力のバランスを確保するため、「特定地域」及び「準特定地域」の制度が設けられています。
これらは、特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づく制度です。
特定地域
タクシーの供給過剰が特に深刻であると認められる地域です。
特定地域では、通常の法人タクシー事業の新規許可について、原則として申請受付が行われないなど、厳しい参入規制があります。
ただし、ハイヤー限定など、業務範囲を限定する一定の申請については例外的な取扱いがあります。
準特定地域
タクシーの供給過剰を防止し、地域の輸送需要との均衡を図る必要がある地域です。
新規許可や増車について、地域の需給状況、適正車両数、増加可能車両数などを踏まえた規制が適用されます。
そのため、通常の許可要件を満たしているだけでは、必ずしも新規参入が認められるとは限りません。
3-2.熊本交通圏の規制を確認する必要性
熊本でハイヤー事業を始める場合には、熊本交通圏が申請時点でどの地域指定を受けているかを確認する必要があります。
地域指定や関連する公示は変更される可能性があるため、過去の指定状況だけで判断することは適切ではありません。
また、特定地域・準特定地域の規制は、一般乗用旅客自動車運送事業に関する制度であり、ハイヤーという名称だけで一律に適用除外になるものではありません。
ハイヤー限定の許可申請では、事業範囲を限定する条件や、該当する審査基準を踏まえた判断が必要です。
行政書士法人塩永事務所では、申請予定地域の最新の指定状況や九州運輸局の公示を確認したうえで、事業計画の適法性を検討しています。
3-3.熊本交通圏では最低10両という基準に注意
熊本で法人によるタクシー・ハイヤー事業を始める際に、特に注意したいのが最低車両数です。
九州運輸局の法人タクシー事業審査基準では、熊本交通圏に営業所を設置する場合、通常の法人タクシー事業について最低10両が定められています。
この基準を踏まえずに、1台や2台での開業を前提として会社設立や車両購入を進めると、事業計画の見直しが必要になる可能性があります。
一方、ハイヤーのみを配置する事業については、一般のタクシー営業とは異なる業務範囲の限定条件が設けられます。
ただし、ハイヤー限定であれば当然に1両から許可される、あるいは通常の最低車両数がそのまま適用されないといった単純な判断はできません。
申請する営業区域、ハイヤーの法令上の区分、事業の範囲、許可条件などを整理したうえで、九州運輸局に確認することが重要です。
車両を購入・リースする前に、予定台数で申請できるかを確認することをおすすめします。
4.ハイヤーとタクシーの営業上の違い
ハイヤー事業は、一般的なタクシーとは営業方法が異なります。
| 比較項目 | ハイヤー | タクシー |
|---|---|---|
| 運送の引受け | 営業所のみ | 法令上認められた方法 |
| 主な営業形態 | 予約・契約型 | 予約・配車・流し営業等 |
| 流し営業 | 不可 | 認められた範囲で可能 |
| 街頭での客待ち | 不可 | 認められた範囲で可能 |
| 主な顧客 | 企業・役員・予約客等 | 一般利用者等 |
| 営業方法 | 契約に基づく送迎 | 予約・乗り場・流し等 |
4-1.営業所で運送の引受けを行う必要がある
ハイヤーの重要な特徴は、運送の引受けを営業所のみで行うことです。
そのため、道路上で乗客を探したり、駅前や繁華街で不特定の利用者を対象に客待ちをしたりする営業はできません。
ウェブサイト、電話、旅行会社、ホテル、企業などから予約を受け付ける場合にも、実際の運送契約の締結方法や引受けの場所が法令に適合している必要があります。
4-2.空港での待機や送迎にも注意が必要
熊本空港を利用する旅客の送迎は、ハイヤー事業の営業内容として考えられます。
ただし、予約客を迎えに行くことと、空港で自由に客待ち営業を行うことは別です。
空港施設の管理者が定める乗降場所や待機場所の利用ルールを遵守しなければなりません。
また、営業区域、運送の引受け方法、出発地・到着地などを踏まえた運行計画を作成する必要があります。
4-3.運賃・料金は自由に決められるわけではない
ハイヤー事業でも、運賃・料金については道路運送法上の制度に従う必要があります。
時間制、距離制、貸切料金などの設定を検討する場合には、適用される運賃・料金の認可制度や届出制度を確認しなければなりません。
予約制であることや、高級車を使用することを理由に、自由な料金設定が認められるわけではありません。
5.熊本のハイヤー事業に必要な主な許可要件
5-1.営業所
営業所は、事業用車両の運行管理や利用者への営業上の対応を行う拠点です。
主な確認事項は次のとおりです。
- 営業区域内に設置されていること
- 土地・建物の使用権原を有していること
- 原則として1年以上の使用権原があること
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等に抵触しないこと
- 事業計画を遂行できる規模・設備を備えていること
自宅を営業所として使用することも、条件によって検討できますが、建物の用途や使用権原、事業運営上の設備などを確認する必要があります。
5-2.自動車車庫
車庫は、事業用車両を安全に保管するための施設です。
九州運輸局の審査基準では、原則として営業所に併設する必要があります。
併設できない場合には、原則として営業所から直線2km以内に設置し、運行管理を含む管理が十分に可能であることが求められます。
主な確認事項は次のとおりです。
- 全事業用車両を収容できること
- 営業所との位置関係が基準に適合すること
- 土地の使用権原があること
- 車両の出入りに支障がないこと
- 前面道路が車両制限令に抵触しないこと
- 都市計画法・建築基準法等に適合すること
- 点検・整備・清掃を行える環境があること
熊本市内や菊陽町、合志市、大津町などで営業所・車庫を探す場合には、用途地域や市街化調整区域の規制にも注意が必要です。
特に市街化調整区域では、建物や土地の利用目的によって営業所・車庫としての使用が制限される場合があります。
物件を契約する前に、所在地、地目、用途、接道状況、建物の使用状況などを確認することが重要です。
5-3.事業用車両
一般乗用旅客自動車運送事業で使用する車両は、原則として乗車定員10人以下の自動車が対象となります。
例えば、次のような車両が考えられます。
- 高級セダン
- アルファードなどの大型ミニバン
- VIP送迎用車両
- 空港送迎用車両
- 外国人ビジネス客向けの送迎車両
車両については、申請者が使用権原を有している必要があります。
購入する場合だけでなく、リースを利用する場合にも、契約内容や契約期間などを確認します。
また、最低車両数の算定では、一般の需要に応じることができない車椅子専用車両等が算入されない取扱いがあります。
5-4.運転者
ハイヤー事業の運転者には、原則として第二種運転免許が必要です。
普通自動車第一種運転免許だけでは、有償で旅客を運送する事業用車両の運転者として乗務することはできません。
また、次の事項についても確認が必要です。
- 必要な第二種運転免許を保有していること
- 事業計画に見合った運転者を確保できること
- 適切な雇用・勤務体制が整備されていること
- 健康状態や適性に問題がないこと
- 運転者に対する教育・指導体制があること
- 労働関係法令を遵守していること
外国人を運転者として採用する場合には、第二種運転免許だけでなく、在留資格上、運転業務に従事できるかどうかも確認する必要があります。
5-5.運行管理体制・整備管理体制
旅客運送事業では、安全な運行を確保するため、適切な運行管理体制を構築しなければなりません。
具体的には、次のような業務を実施します。
- 運行管理者の選任
- 乗務前・乗務後の点呼
- 運転者の勤務管理
- 運転者への安全教育
- 乗務記録の管理
- 事故発生時の対応体制
- 運行管理規程の整備
運行管理者の必要人数は、配置車両数などに応じて決まります。
また、事業用車両が5両以上の場合には、原則として常勤の有資格整備管理者の選任計画が必要となります。
少数台数であっても、安全管理や車両管理が不要になるわけではありません。
5-6.休憩・仮眠施設
運転者が安全に勤務できるよう、休憩・仮眠施設を確保する必要があります。
営業所や車庫との位置関係、施設の規模、設備、使用権原、他の用途との区画などを確認します。
長距離送迎や空港送迎を予定する場合には、運転者の勤務時間や休憩時間を考慮した運行計画を作成することが重要です。
5-7.資金計画・自己資金
ハイヤー事業の許可申請では、事業開始に必要な資金と、開業後の運転資金を確保していることが求められます。
主な資金項目は次のとおりです。
- 車両購入費またはリース費用
- 営業所の取得費・賃料・敷金等
- 車庫の取得費・賃料
- 事務所設備・備品費
- 人件費
- 燃料費
- 車両整備費
- 保険料・租税公課
- 広告宣伝費
- 開業に必要な諸経費
九州運輸局の法人タクシー事業審査基準では、所要資金の50%以上、かつ事業開始当初に必要となる資金の100%以上の自己資金を確保することが求められています。
また、自己資金は申請日以降も常時確保しておく必要があります。
資本金の額だけで許可が判断されるわけではありません。実際の事業計画に基づいて資金を算定する必要があります。
5-8.損害賠償能力
事業用車両について、国土交通省の基準に適合する任意保険または共済への加入計画を整備しなければなりません。
旅客の生命・身体・財産に損害が生じた場合に備え、十分な補償体制を確保することが必要です。
6.熊本でハイヤー事業を展開する際の市場・営業戦略
熊本でハイヤー事業を始める場合には、地域の産業構造や交通事情を踏まえた営業戦略が重要です。
6-1.熊本空港を中心とした送迎サービス
熊本空港は、熊本県内のビジネス・観光の玄関口です。
空港と熊本市内、菊陽町、合志市、大津町などを結ぶ送迎サービスは、ハイヤー事業の営業内容として検討できます。
例えば、次のような顧客層が考えられます。
- 国内外の企業役員
- 海外からの技術者・研究者
- 企業視察団
- 国際会議・イベント参加者
- ホテル宿泊客
- VIP観光客
ただし、空港内の乗降場所や待機場所については、施設管理者のルールを遵守する必要があります。
6-2.TSMC・JASMをはじめとする半導体関連企業の送迎
熊本県では、菊陽町を中心に半導体関連企業の進出や関連産業の集積が進んでいます。
こうした産業の発展に伴い、国内外から企業関係者や技術者、取引先などが訪問する機会があります。
例えば、次のようなサービスが考えられます。
- 熊本空港と菊陽町の企業間の送迎
- 海外企業の役員・技術者の送迎
- 工場や事業所への視察団の送迎
- 熊本市内のホテルと企業間の送迎
- 会議・商談・研修に伴う移動支援
- 外国語での予約・案内に対応した送迎
特に、一般的なタクシーとは異なり、事前予約や継続的な法人契約を中心とする営業形態は、企業向けの移動サービスと組み合わせて検討できます。
ただし、実際の需要や契約獲得可能性については、企業との商談、提携先、競合状況などを踏まえて判断する必要があります。
6-3.阿蘇・黒川温泉などへの観光送迎
熊本県内には、熊本城、阿蘇、黒川温泉など国内外の観光客に知られる観光地があります。
こうした観光地への移動を、予約制のハイヤーで提供することも考えられます。
例えば、次のようなサービスです。
- 熊本空港から阿蘇方面への送迎
- 熊本市内のホテルから観光地への貸切送迎
- 外国人観光客向けの多言語対応
- 高級車を使用したプライベート送迎
- 企業関係者の視察・観光を兼ねた移動支援
なお、旅行商品の企画・販売や旅行業者としての業務を行う場合には、別途、旅行業法上の登録要否を確認する必要があります。
7.外国人・外国資本によるハイヤー事業への参入
外国籍の方や外国法人が日本でハイヤー事業を始めることも、一定の条件のもとで可能です。
例えば、外国人投資家が日本法人を設立し、熊本県内でハイヤー事業を運営するケースなどが考えられます。
ただし、外国人・外国資本による事業参入では、通常の会社設立や運送事業許可に加え、在留資格や外国為替及び外国貿易法(外為法)などの確認が必要になる場合があります。
7-1.外国人による会社設立
外国籍の方であっても、日本国内で株式会社や合同会社を設立することは可能です。
外国人が株主・出資者になることもできます。
複数の外国人や日本人が共同出資して会社を設立することも可能ですが、出資割合、議決権、代表者、経営権限などを事前に整理する必要があります。
7-2.在留資格「経営・管理」
外国人が日本で会社を経営する場合には、在留資格「経営・管理」が関係することがあります。
2025年10月16日から許可基準が改正されており、資本金等の事業規模、常勤職員、日本語能力、申請者の学歴・職歴、事業所、事業計画などについて新たな基準が設けられています。
法人設立ができることと、外国人本人が日本に滞在して経営活動を行えることは別の問題です。
申請時点の最新の許可基準と経過措置を確認する必要があります。
7-3.外国資本による出資と外為法
外国投資家が日本法人を設立したり、日本法人の株式を取得したりする場合には、外為法に基づく対内直接投資等の手続を確認する必要があります。
投資家の属性、出資割合、投資形態、事業内容などによって、事前届出や事後報告の要否が異なります。
外国資本によるハイヤー事業への参入では、次の手続を一体的に検討することが大切です。
- 日本法人の設立
- 株主・出資構成の設計
- 代表取締役・役員の選任
- 外為法上の届出要否の確認
- 在留資格「経営・管理」等の検討
- 一般乗用旅客自動車運送事業の許可申請
8.熊本でハイヤー事業を開業するまでの流れ
ハイヤー事業は、会社を設立すればすぐに営業できるわけではありません。
許可取得までの一般的な流れは次のとおりです。
STEP1 事業計画の策定
まず、営業区域、車両数、顧客層、送迎サービスの内容、予約受付方法、運賃・料金などを整理します。
特に、ハイヤー限定の事業として申請する場合には、営業所での運送引受けを含めた営業方法を具体化します。
STEP2 営業区域・最低車両数の確認
熊本交通圏で開業するのか、それ以外の営業区域で開業するのかを確定します。
最低車両数、地域指定、ハイヤー限定の取扱いなどを確認し、予定台数で申請可能かを検討します。
STEP3 営業所・車庫の事前調査
営業所と車庫の候補地を選定し、都市計画法、建築基準法、接道状況、使用権原などを確認します。
物件契約の前に確認することが重要です。
STEP4 会社設立
法人で事業を行う場合には、株式会社または合同会社などを設立します。
株主・出資者、役員、資本金、事業目的などを決定し、定款を作成します。
登記申請については司法書士等の専門家と連携して進めます。
STEP5 許可申請書類の作成・提出
事業計画、営業所、車庫、車両、人員、資金計画などを整理し、一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請書を作成します。
熊本県内の事業については、九州運輸局の審査基準に従って手続を進めます。
STEP6 法令試験・審査
申請後は、運輸局による書類審査や法令試験が行われます。
法人の場合には、原則として所定の常勤役員等が法令試験を受験します。
STEP7 許可取得・開業準備
許可取得後、登録免許税を納付し、車両登録、保険加入、運行管理者等の選任、運転者の採用・教育などを進めます。
STEP8 運輸開始届・営業開始
必要な準備が整った後、運輸開始に関する届出などを行い、営業を開始します。
9.ハイヤー事業の開業で失敗しないための注意点
ハイヤー事業の開業では、許可要件を十分に確認しないまま準備を進めてしまうことが問題になります。
特に、次の事項には注意が必要です。
① 車両を先に購入しない
予定車両数や許可条件を確認する前に車両を購入すると、事業計画の変更が必要になる場合があります。
② 営業所・車庫を契約する前に調査する
土地や建物が営業所・車庫として使用できるかを確認する必要があります。特に市街化調整区域や接道条件には注意が必要です。
③ 熊本交通圏の最低車両数を確認する
通常の法人タクシー事業では熊本交通圏に10両という基準があります。ハイヤー限定での申請についても、適用される基準を事前に確認する必要があります。
④ 予約制なら自由に営業できると考えない
ハイヤーは運送の引受けが営業所のみで行われる営業形態です。予約の受け方、契約方法、配車方法を適法に整備する必要があります。
⑤ 開業後の資金繰りも考える
車両費や人件費、燃料費、保険料などを踏まえ、売上が安定するまでの運転資金を確保することが重要です。
10.行政書士法人塩永事務所のハイヤー事業開業サポート
行政書士法人塩永事務所では、熊本県内でタクシー・ハイヤー事業の開業を検討されている事業者様に対し、許可申請を中心とした開業支援を行っています。
当事務所では、次のような業務についてご相談を承っています。
① 営業区域・許可要件の確認
- 熊本交通圏とその他の営業区域の確認
- 最低車両数の確認
- ハイヤー限定の許可条件の確認
- 特定地域・準特定地域の規制確認
- 営業形態の整理
② 営業所・車庫の事前調査
- 営業所候補地の確認
- 車庫の位置・面積・収容能力の確認
- 使用権原・賃貸借契約の確認
- 都市計画法・建築基準法等の確認
- 休憩・仮眠施設の確認
③ 法人設立サポート
- 株式会社・合同会社の設立に関する手続支援
- 定款作成
- 事業目的の整理
- 株主・出資構成の検討
- 役員構成の整理
※登記申請については司法書士等の専門家と連携して進めます。
④ 一般乗用旅客自動車運送事業の許可申請
- 経営許可申請書の作成
- 事業計画書・資金計画書の作成
- 添付書類の収集・整理
- 運輸局への申請対応
- 補正・審査に関する対応
⑤ 許可後の開業手続支援
- 許可後の必要手続の整理
- 車両登録に関する手続の案内
- 運行管理・整備管理体制の確認
- 運輸開始に向けた届出の支援
⑥ 外国人・外国資本による事業参入支援
- 外国人による会社設立に関する手続支援
- 外国法人による日本法人設立に関する手続支援
- 外為法に関する届出要否の確認・手続支援
- 在留資格「経営・管理」等に関する申請支援
- 外国人経営者による事業開始に向けた手続の整理
当事務所は、熊本の認定経営革新等支援機関として、許認可手続だけでなく、事業計画や資金計画、開業後の経営基盤の整備についても総合的にサポートしています。
11.熊本でハイヤー事業を始めるなら、まずは事前相談を
ハイヤー事業の開業では、営業区域、最低車両数、ハイヤー限定の許可条件、営業所・車庫、運転者、資金計画など、事前に確認すべき事項が数多くあります。
特に熊本交通圏では、通常の法人タクシー事業に最低10両という基準があるため、少数台数での事業開始を検討している場合には、許可条件の確認が欠かせません。
また、熊本空港や半導体関連企業への送迎など、地域の需要を見据えた事業計画を立てることも重要です。
次のような方は、ぜひ早い段階でご相談ください。
- 熊本で新しくハイヤー会社を設立したい方
- 都市型ハイヤー事業への新規参入を検討している方
- 熊本交通圏での最低車両数や許可条件を確認したい方
- 1台・2台など少数台数で開業できるか知りたい方
- 高級セダンや大型ミニバンを使用した送迎事業を始めたい方
- 熊本空港を中心とした送迎サービスを展開したい方
- TSMC・JASM関連企業や海外企業向けの送迎事業を検討している方
- 外国人投資家・外国法人によるハイヤー事業への参入を検討している方
- 営業所や車庫の契約前に許可要件を確認したい方
行政書士法人塩永事務所では、事業構想の段階からご相談を承り、熊本でのハイヤー事業開業に必要な条件を整理したうえで、許可取得に向けた手続を支援いたします。
物件契約や車両購入を進める前に、まずは事業計画についてご相談ください。
行政書士法人塩永事務所
熊本の認定経営革新等支援機関
認定番号:107943000815
所在地:〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
電話:096-385-9002
Web:https://shionagaoffice.jp/
熊本県内を中心に、一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー・ハイヤー)の許可申請、法人設立、事業計画の策定をサポートしています。
