
貸切バス事業者安全性評価認定制度(セーフティバス)とは?申請条件・審査・手続きの流れを行政書士が解説【2027年度申請対応】
熊本で貸切バス事業を営む事業者様へ|行政書士法人塩永事務所
貸切バスの車体に貼られた「SAFETY BUS(セーフティバス)」マークは、日本バス協会の「貸切バス事業者安全性評価認定制度」で認定を受けた事業者が使えるものです。
この記事では、2026年10月時点で公表されている2027年度申請案内に基づき、制度の概要、申請条件、審査の仕組み、手続きの詳細、認定後の注意点を解説します。
1. 制度の概要
この制度は、貸切バス事業者の申請に基づき、日本バス協会が安全への取組状況を評価・認定して公表するものです。2011年度に始まり、任意の制度で、評価は法人単位で行われます。営業所ごと、都道府県ごとの申請はできません。バス協会の非会員でも申請できます。
認定事業者は、日本バス協会と国土交通省のホームページで公表されます。認定は、将来の事故がないことを保証するものではありません。
2. 近年の制度変更
- 2024年度:行政処分に対する減点を強化
- 2025年度申請から:審査内容を充実させ、評価を3段階から5段階(一ツ星〜五ツ星)に変更。有効期間は2年のみに統一
- 2025年度の更新認定:従来の最高評価の三ツ星事業者のうち42者が、初めて四ツ星に認定
- 2026年度申請から:審査項目をさらに一部見直し
新基準では、ASV(先進安全自動車)の装置、心臓疾患・大血管疾患・視野障害への対策、山岳道路や雪上の走行訓練などが評価対象に加わりました。点呼の録画やデジタル式運行記録計といった規則改正に対応していない場合は、認定されません。
3. 申請条件
申請基準日(2027年4月1日)時点で、次の条件をすべて満たす必要があります。いずれも貸切バス事業に関するもので、乗合バスの事故や処分は影響しません。
- 事業許可取得後3年以上が経過している(2024年4月1日以前に取得)
- 法令遵守事項に違反がない
- 過去2年間(2025年4月1日〜2027年3月31日)に、有責の第一当事者となる死亡事故がない
- 過去1年間(2026年4月1日〜2027年3月31日)に、有責の第一当事者となる重傷事故がない
- 過去1年間に、有責の第一当事者となる10人以上の負傷者を生じた事故で、負傷の程度が著しいもの(2日以上通院する者がいる場合)がない
- 過去1年間に、有責の第一当事者となる転覆等の事故や、悪質な法令違反(飲酒、無免許、居眠り、薬物乱用、救護義務違反、携帯電話使用に伴う事故など)による運行等がない
- 過去1年間に、1営業所1回当たり50日車を超える行政処分を受けていない
- 過去の認定取消しによる欠格期間に該当していない
1営業所でも条件を満たさない場合は、事業者全体が申請できません。条件3〜6に当たることが申請後に確定した場合は、失格として審査中止または認定取消しとなります。
4. 審査の仕組み
審査は、日本バス協会による書類審査と訪問審査です。学識経験者、国土交通省などで構成される認定委員会が、認定事業者を決定します。
| 評価項目 | 配点 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Ⅰ 安全性に対する取組状況 | 55点 | 運行管理、点呼、運転者教育、ドライブレコーダー活用、健康管理、車両管理など |
| Ⅱ 事故及び行政処分の状況 | 20点 | 事故10点+行政処分10点(国土交通省のデータで審査) |
| Ⅲ 運輸安全マネジメント | 25点 | 安全方針・目標、PDCA、内部監査、情報公開 |
認定には、合計60点以上に加え、Ⅰ・Ⅲが各10点以上、Ⅱの事故が10点であることが必要です。法令遵守事項に違反があれば、合計点にかかわらず審査中止となります。
行政処分は、累積違反点数を10点から差し引きます。10点を超える分もさらに減点されるため、18点なら0点に加えて8点減点です。
認定区分:新規申請は、認定されると全て一ツ星です。更新申請は、現在の区分と得点で決まり、最大で1段階上がります。
| 現在の認定 | 得点と結果 |
|---|---|
| 一ツ星 | 70点以上で二ツ星、60〜69点で一ツ星 |
| 二ツ星 | 80点以上で三ツ星、70〜79点で二ツ星、60〜69点で一ツ星に降格 |
| 三ツ星 | 90点以上で四ツ星、80〜89点で三ツ星、以下は降格 |
| 四ツ星 | 95点以上で五ツ星、90〜94点で四ツ星、以下は降格 |
| 五ツ星 | 95点以上で継続、以下は降格 |
5. 2027年度申請のスケジュールと申請料
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月〜 | 申請案内書・書類の公開、申請書類の作成 |
| 2027年4月1日(木)〜4月30日(金) | 申請書類の受付(新規・更新共通。郵送は4月30日の消印まで有効) |
| 2027年4月1日〜5月12日(水) | 申請料の振込期間 |
| 新規:4〜7月 / 更新:4〜10月 | 書類審査 |
| 新規:5〜8月 / 更新:6〜11月 | 訪問審査 |
| 新規:2027年9月下旬 / 更新:12月下旬 | 認定委員会・認定結果の公表(予定) |
申請料(1事業者・税込)
| 貸切バス車両数 | 協会会員 | 非会員 |
|---|---|---|
| 31両以上 | 188,000円 | 221,000円 |
| 11〜30両 | 141,000円 | 166,000円 |
| 10両以下 | 93,000円 | 110,000円 |
車両数は2027年3月31日現在、会員・非会員の区分は2027年4月1日時点で判断されます。更新でも申請料は必要で、認定されなかった場合や審査中止の場合を含め、原則として返金されません。
評価の対象期間は、2026年4月1日〜2027年3月31日の取組状況です。今まさに対象期間中のため、日々の記録がそのまま評価に直結します。
6. 手続きの詳細
STEP 1 申請条件の確認
事故歴、行政処分歴(営業所別の日車数)、許可取得時期、欠格期間の有無を確認します。
STEP 2 案内書・様式の入手
日本バス協会の特設サイトから、2027年度版の申請案内書、申請書と自己評価シート(Excel。申請書のみWord)、記入例、案内動画を入手します。過去の申請書類や資料の流用はできません。教育状況の写真や会議の議事録なども、2027年度用に新たに作成してください。
STEP 3 自己評価と根拠資料の整理
評価項目ごとに自己評価シート(一部はチェックリストも)があり、必要な添付資料を用意します。添付資料は基本的に写しを提出します。
「安全性に対する取組状況」の主な添付資料(法令遵守事項)
| 区分 | 主な資料 |
|---|---|
| 事業計画等 | 営業所・車庫・休憩仮眠施設の届出住所が分かる書類(経営許可申請書、事業計画変更届出書など)、休憩仮眠施設の図面または写真 |
| 帳票類の整備 | 2026年度の事故記録・自動車事故報告書、乗務員台帳、車両台帳と全貸切車両の車検証の写し、事業報告書・輸送実績報告書・安全情報報告書・原価報告書 |
| 運行管理 | 運行管理規程、服務規程、運行管理者選任届出書、運行管理者手帳(講習修了)、点呼記録簿、乗務記録(日報)、運行指示書、運送申込書・引受書、デジタコとドライブレコーダーの全車両装着の資料、年間教育計画と教育記録、特定運転者の適性診断結果、特別指導の記録 |
| 車両管理 | 整備管理規程、整備管理者選任届出書、研修修了の証明、日常点検表、定期点検整備記録 |
| 労基法等 | 就業規則(労働基準監督署の受付印あり)、36協定届、定期健康診断記録 |
| 苦情・保険 | 苦情記録簿、全車両の保険証券(対人無制限・対物200万円以上) |
日報や運行指示書などは、最繁忙期間中の宿泊を伴う運行から1運行分を選んで提出します。最繁忙期間は、事業者が任意に決められます。
「運輸安全マネジメント」の添付資料
安全方針、組織図、安全統括管理者の選任届出書、安全管理規程、安全目標、安全計画、教育・研修の記録、内部監査の計画・報告、見直しの記録、情報公開の資料などです。各評価基準について、コメント欄に「基準を満たすと考える根拠」を必ず記載します。
自己評価シート共通の注意
- 「添付資料の有無」欄に○または×を記入します(未記入は「なし」と判断されます)。
- 基準を満たす部分は、マーカーで目立たせます。
- 資料がない項目や、どの基準の資料か分からないものは、評価されません。
STEP 4 申請書類のとりまとめ
- 提出順は、様式1(申請書。いちばん上)、様式2(基本情報)、様式3(自己評価シート・チェックリストと添付資料)、様式4(運輸安全マネジメント)です。様式3・4は、評価項目ごとに自己評価シートと添付資料を交互に綴じます。
- 用紙はA4(または折りたたんでA4に収まるもの)、片面印刷で、裏面は白紙にします。
- ファイルは、厚さ10cmまでのパイプ式ファイルに、直接二つ穴を開けて綴じます。ポケットファイル、リング・クリア・紙製ファイルは使えません。1冊に収まらない場合は分冊します。
- 背表紙に、事業者名と本社所在地の都道府県名を記載します。
- 評価項目ごとにインデックスを付けます。ホッチキス留めはできません。
- 修正液、修正テープ、消せるボールペンは使えません。
- 写真は、撮影年月日が分かるものにします。
- 同じ資料でも、該当する自己評価シートごとに添付します。
- 書類は返却されないため、控えを1部作成して保存します(審査で必要になります)。
STEP 5 提出(2027年4月1日〜4月30日)
申請書類一式をそろえ、事業者の責任と負担で郵送等により、貸切バス事業者安全性評価認定委員会事務局へ送付します。着払いは受け付けられません。書類審査は原則として受付順なので、早めの提出が望まれます。不備が著しい場合や、まとめ方に従っていない場合は、受付されないことがあります。提出後に、受付番号がメールで通知されます。
STEP 6 申請料の納付(2027年4月1日〜5月12日)
受付番号の通知後に、金融機関から振り込みます。
- 振込人名義の前に受付番号を入力します(例:「920ニホンバスカンコウ(カ」)。「株式会社」は(カ、「有限会社」は(ユとします。
- 振込手数料は事業者の負担です。
- 振込期間より前の振込はできません。
STEP 7 書類審査
疑義がある場合は、質問連絡票が1回だけ送付されます。原則5日以内(消印有効)に、郵送等で回答と追加資料を送付する必要があります。メールやFAXは不可で、期限内に回答がないと不合格となり、審査が中止されます。すでに提出した資料の差替えは評価されません。
STEP 8 訪問審査
書類審査を終えた事業者を対象に、原則として協会関係者の立会いのもと、1事業者につき1営業所を約2時間で審査します。複数の営業所がある場合は、原則として過去に訪問審査を受けていない営業所を選びます(協会が指定する場合もあります)。実施日は、約1週間前までに通知されます。主に、休憩仮眠施設の状況や書類の保管状況などが確認されます。
STEP 9 認定委員会・結果通知・公表
認定委員会の審議後、全項目の採点結果が各事業者に通知されます(審査中止の場合は点数の通知なし)。認定事業者の名前は公表されますが、得点は公表されません。
STEP 10 認定後の対応
- 認定ステッカー:1枚660円(税込)。貸切登録の車両に、1両につき側面・後面で2枚まで貼れます。乗合・特定など貸切以外の車両には貼れません。
- 認定証:申請書に記載した本社・営業所の数までは無償です。追加は1枚1,100円(税込)です。
- データの提供:認定後、ステッカーのデータが提供され、ホームページなどでのPRに使えます。
- 有効期間:2027年度の認定は、認定日から2030年3月31日までです。次回の更新申請は、2029年4月に行います。
認定後の連絡・届出
- 事業者名、所在地、代表者、担当者などが変わったときは、登録情報変更届を協会へメールで送付します。
- 会社の合併・分割・事業譲渡を予定している場合は、事前に協会へ報告します。認定区分の変更や追加審査、認定の無効となる場合があります。
- ステッカーを貼った車両を廃車・売却する場合は、必ずステッカーを剥がして破棄します(シリアル番号で追跡されます)。
- 認定を取り消された場合は、ステッカーなどのPR物を速やかに撤去・廃棄します。
7. 認定取消しと報告義務
| 認定期間中の事由 | 欠格期間 |
|---|---|
| 不正申請による認定 | 3年 |
| 有責の死亡事故 | 2年 |
| 有責の重傷事故 | 1年 |
| 有責の10人以上負傷事故(著しい場合) | 1年 |
| 有責の転覆等の事故・悪質違反による運行等 | 1年 |
| 50日車を超える行政処分 | 1年 |
| 対象の事故・30日車以上の処分を、故意に30日以内に報告しなかった | 2年 |
| 一ツ星で、同じ営業所が2回目の30〜50日車の処分(警告含む)を受けた | 1年 |
| 認定辞退・事業廃止 | なし(上記に該当する場合を除く) |
複数に該当する場合は、最も長い欠格期間が適用されます。取消し前には弁明の機会が与えられ、取消日から約1週間、協会のホームページで公表されます。
30日以内の報告義務:認定期間中に、有責・他責を問わず、死亡事故、重傷事故、10人以上の負傷事故、転覆等の事故、悪質違反による運行等が起きた場合、または30日車以上の行政処分(警告を含む)を受けた場合は、30日以内に事業者自身が日本バス協会へ報告します。
降格・再評価・特別申請
- 認定期間中に1営業所1回当たり30〜50日車の行政処分等(警告を含む)を受けると、二ツ星以上はワンランク降格します。一ツ星は、次回審査で行政処分の評価が0点となり、さらに減点されます。
- 事故・行政処分による取消しの場合、欠格期間の満了後に「特別申請」ができます(新規申請扱い)。申請基準日が通常と異なるため、事前に協会へ連絡してください。
- 二ツ星以上で現得点が75点以上の事業者は、一定の事故について「再評価」を申請できる場合があります。再評価では現得点から15点が減点されます。
8. 準備のポイント
- 点呼、教育、健康管理、整備の記録を、日常業務の中で残す
- 運行管理者の講習、整備管理者の選任後研修、特定運転者の適性診断の受講状況を、早めに確認する(申請後の受講・受診は評価されない)
- 行政処分の履歴を、営業所ごとに整理する
- 安全目標、内部監査、見直しなど、PDCAの記録を残す
- 4月の受付から逆算して、準備を進める
9. 当事務所のご支援と報酬
申請書類は、申請事業者自身が作成する必要があります。事業者以外の者が作成した書類は審査されず、第三者作成が認められると不正申請として不合格となり、3年間申請資格を失うことがあります。申請の担当者も、申請事業者の従業員で、申請内容を把握している方に限られます。
当事務所では、次の支援をご相談いただけます。
- 申請条件(事故歴・行政処分歴・許可取得時期)の事前確認
- 必要資料の洗い出しと、不足・不備のチェック
- 安全管理規程など、社内規程の整備に関するご相談
- 受付期間から逆算した、スケジュールの整理
報酬について
- 2営業所以降は、1営業所につき132,000円の追加報酬が発生します。
- 新規申請の場合は、コンサルティングを必ずお受けいただきます。
報酬の詳細は、お問い合わせください。
熊本県内で貸切バス事業を営む事業者様は、お気軽にご相談ください。
行政書士法人塩永事務所
電話:096-385-9002 メール:info@shionagaoffice.jp
【ご注意】 本記事は、日本バス協会の公表資料(2026年10月時点)に基づく一般的な解説です。申請料、期間、基準は変更される場合があります。申請の際は、必ず最新の申請案内書をご確認ください。
参考
日本バス協会「申請予定の事業者の皆様へ」https://www.bus.or.jp/safety/shinsei/
日本バス協会「審査内容の変更について」https://www.bus.or.jp/safety/change_exam/
国土交通省「貸切バス事業者安全性評価認定制度」https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000043.html
