
📘無店舗型性風俗特殊営業届出の手続きガイド 〜行政書士法人塩永事務所による専門解説〜
(2026年8月更新版)
はじめに
無店舗型性風俗特殊営業(いわゆる「デリバリーヘルス」「デリヘル」等)は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」)に基づく届出制度の対象です。許可制の風俗営業とは異なり、法定の要件を満たした届出書類を提出すれば、公安委員会での審査・受理を経て営業を開始できる点が特徴ですが、近年は届出書類の記載精度や広告表現に対するチェックが厳格化しており、実務上のハードルは決して低くありません。
行政書士法人塩永事務所では、熊本を拠点に全国対応で、こうした届出手続きの専門支援を行っています。
🔍 無店舗型性風俗特殊営業とは?
無店舗型性風俗特殊営業は、風営法第2条第7項において次の2類型が定義されています(店舗を構えず営業する点が店舗型性風俗特殊営業=第2条第6項各号との違いです)。
| 区分 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 第7項第1号営業 | 人の住居又は宿泊施設において異性の客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を客の依頼を受けて派遣することにより営むもの | デリバリーヘルス(派遣型ファッションヘルス) |
| 第7項第2号営業 | 電話その他国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら性的好奇心をそそる物品(写真・映像等)を販売・貸付し、配達することにより営むもの | アダルトグッズ等の通信販売 |
一般に「デリヘル」と呼ばれる業態は、このうち第1号営業に該当します。
- 都道府県公安委員会への「届出」が必要(許可制ではなく届出制)
- 届出は営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する警察署(生活安全課)を経由して行う
- 届出受理後に営業開始可能。ただし、欠格事由(風営法第31条の2第2項各号。禁錮以上の刑の執行終了から5年未満、暴力団関係者、法人役員に該当者がいる場合など)に該当する場合は不受理となる
📝 届出手続きの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 事務所・受付所・待機所の確保 | 使用について権原を有することを疎明する書類(賃貸借契約書の写し・使用承諾書等)が必要。用途地域や条例上の禁止区域・禁止地域に該当しないか事前確認が不可欠 |
| ② 必要書類の準備 | 営業開始届出書、営業の方法を記載した書類、事務所の平面図、住民票、法人の場合は登記事項証明書・定款等 |
| ③ 管轄警察署(公安委員会)へ届出 | 書類に不備があると受理されず、営業開始が遅れる。届出後、確認書が交付される |
| ④ 営業開始 | 届出確認書の交付をもって営業可能。以後も広告規制・年齢確認義務・従業者名簿管理などの継続的な遵守事項がある |
なお、届出事項に変更が生じた場合は変更の日から10日以内に変更届出書の提出が必要です。
📌 届出に必要な主な書類
無店舗型性風俗特殊営業(第1号営業)の場合、都道府県により様式番号に若干の差異はありますが、一般的に以下の書類が必要です(多くの都道府県で別記様式第25号・第28号を使用)。
- 無店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書(別記様式第25号相当)
- 営業の方法を記載した書類(別記様式第28号相当):サービス内容、料金体系、受付方法、広告媒体等を記載
- 事務所の使用について権原を有することを疎明する書類(賃貸借契約書の写し・使用承諾書、自己所有の場合は登記事項証明書等)
- 事務所の平面図(受付所を設ける場合は受付所の平面図及び周囲の略図も必要)
- 届出者本人(個人の場合)の住民票の写し(本籍地記載のもの。外国人の場合は国籍等記載のもの)
- 法人の場合:定款、登記事項証明書、役員全員の住民票の写し
- 業務の実施を統括管理する者(管理者)に係る住民票の写し
- 従業者名簿(氏名・生年月日・住所等)※営業開始後も継続的な管理・整備が必要
- 広告媒体の一覧(SNS、ウェブサイト等)
※管轄の都道府県警察によって様式番号や添付書類の細目が異なるため、必ず届出先警察署の最新の要領を確認する必要があります。
⚠️ 実務上、特に注意すべきポイント(2026年現在)
✅ フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)への対応
2024年11月1日に施行された、いわゆる「フリーランス新法」(フリーランス保護新法)は、性風俗業界に限定された法律ではなく、業種を問わず、従業員を使用する事業者がフリーランス(特定受託事業者)に業務委託を行う場合に広く適用される一般法です。無店舗型性風俗特殊営業においても、キャスト(女性従業員等)を業務委託・個人事業主契約として受け入れる形態を取る場合には、この法律の適用対象となり得ます。
主な義務は以下の通りです。
- 業務委託時に、業務内容・報酬額・支払期日等の取引条件を**書面又は電磁的方法(メール・チャット等)**により直ちに明示する義務(同法第3条)
- 報酬は、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払う義務(同法第4条)
- 継続的な業務委託(1か月以上)における、報酬の不当な減額・受領拒否・返品等の禁止行為の遵守(同法第5条)
- 6か月以上の継続的業務委託の場合、妊娠・出産・育児・介護と業務の両立への配慮義務、ハラスメント対策の体制整備義務
- 中途解除・不更新の場合の事前予告義務(原則30日前)
雇用契約か業務委託契約かによって適用される法令(労働基準法か、フリーランス新法か)が異なるため、契約形態の設計そのものが重要な論点となります。
✅ 年齢要件と広告規制
- 風営法上、無店舗型性風俗特殊営業では18歳未満の者を客に接する業務に従事させること、及び18歳未満の者を客とすることが禁止されています(風営法第31条の3第3項)。少しでも疑わしい場合は、必ず本人確認書類による年齢確認を行う必要があります。
- 広告・宣伝についても、風営法第28条第5項の準用により、広告制限区域等における広告物の掲出、誇大広告、実態と異なる表現(虚偽広告)は禁止されており、違反は行政指導・罰則の対象となります。近年はSNSやマッチングアプリ型の集客サービスを通じた実質的な広告についても、内容の適法性が問われるケースが増えています。
✅ 物件確保の難易度
- 事務所・受付所・待機所として使用する物件については、「無店舗型性風俗特殊営業に使用可」であることが賃貸借契約書または使用承諾書上で明確である必要があります。
- 受付所を設置する場合は、風営法第28条の準用により禁止区域・禁止地域規制がかかり、都道府県の条例によっては新規での受付所設置が事実上困難な地域も少なくありません。
- 待機所についても、店舗型営業として実質的に使用されていないか、立入検査で確認される可能性があるため、届出時の図面と実態を一致させておくことが重要です。
🛡️ 行政書士法人塩永事務所のサポート内容
- 物件選定・交渉支援(用途地域・条例上の規制区域の確認、オーナー交渉のサポート)
- 届出書類一式の作成・提出代行(管轄警察署・公安委員会対応を含む)
- 営業方法の適法性チェック(風営法及び都道府県条例への適合性確認)
- 広告表現の法令適合性確認(誇大広告・虚偽表示・年齢誘引表現の排除)
- キャスト等との契約書整備支援(フリーランス新法・業務委託契約設計を含む)
- 変更届出・廃止届出など、開業後の継続的な手続き支援
おわりに
無店舗型性風俗特殊営業の届出は、単なる書類提出ではなく、事業の適法性・透明性・社会的信頼性が問われる重要なプロセスです。届出不受理や事後の行政指導を避けるためには、正確な法令理解と、実態に即した書類・契約整備が不可欠です。
法令や運用の解釈は都道府県・所轄警察署によって異なる場合があり、また改正が行われることもあるため、最新の情報は必ず届出先の警察署・公安委員会に確認することをお勧めします。
行政書士法人塩永事務所では、実績と最新法令の理解に基づく専門的支援で、安心・確実な開業をサポートいたします。
📞 ご相談・お問い合わせ
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な届出可否や必要書類は、事案の内容及び管轄警察署の運用によって異なりますので、必ず専門家又は所轄の公安委員会にご確認ください。
