
外国系出会い系アプリ(マッチングアプリ等)の警察関連手続き
~インターネット異性紹介事業の届出について~
行政書士法人塩永事務所
外国系(海外法人が運営する)出会い系アプリ・マッチングアプリを日本国内で正式に提供する場合、**「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(通称:出会い系サイト規制法)**に基づく公安委員会への届出が必須です。
※ご質問等でよく「風適法」と混同されますが、これは別の法律です。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)ではなく、この出会い系サイト規制法が直接適用されます。
無届で事業を行うと、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。近年はX(旧Twitter)などの広告審査で届出番号の提示が求められるケースも増えており、日本での本格展開には不可欠な手続きです。
1. インターネット異性紹介事業の定義(届出が必要な4要件)
以下のすべてを満たすサービスが対象です(有料・無料を問いません)。
- 面識のない異性との交際を希望する者の求めに応じて、異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること
- その情報を不特定または多数の者が閲覧できること
- 閲覧した者が電子メール等で相互に連絡できるサービスであること
- これらのサービスを反復継続して提供していること
マッチング機能(プロフィール掲載+メッセージ交換)を持つアプリ・サイトは、名称にかかわらず該当する可能性が高いです。なお、本規制は異性交際を対象とするものであり、同性交際専用のマッチングサービスは現行法上「インターネット異性紹介事業」には該当しませんが、この場合も児童保護の観点からの対応は別途検討が必要です。個別の該当性判断が必要な場合はご相談ください。
2. 外国系アプリ特有の最重要ポイント
海外法人のままでは届出できません。 日本の公安委員会・警察の運用上、**日本国内に事業の本拠となる事務所(または住居)**が必要です。
- 海外本社名義だけで直接届出するスキームは認められません。
- 日本国内に実体のある拠点(営業所)を設ける必要があります。
- 知人・個人の住所や名義を借りる方法も理論上は可能ですが、近年「名義貸し」は厳しく取り締まられており、発覚すれば刑事罰の対象となります。
- 責任の明確化・銀行口座開設・広告運用の観点からも、日本法人(子会社・合同会社など)の設立を強く推奨します。
- 事業目的欄に「インターネット異性紹介事業」またはこれに類する記載を、登記事項証明書上に設けておく必要があります。
3. 届出の基本情報
- 届出先:事業の本拠となる事務所(事務所がない場合は住居)の所在地を管轄する警察署長を経由して、都道府県公安委員会(窓口は通常、警察署の生活安全課・少年係など)
- 期限:事業を開始しようとする前日まで
- 手数料:不要
- 届出単位:事業者単位で1通(1事業者が複数のURL・呼称を使う場合も1通で可)
事業を廃止したときは廃止の日から14日以内、届出事項に変更があったときは変更の日から14日以内(登記事項証明書の添付が必要な変更の場合は20日以内)の届出が必要です。
4. 主な必要書類(法人の場合の例)
管轄警察署により細部の運用が異なる場合がありますが、一般的には以下のとおりです。
個人・法人共通
- 事業開始届出書(別記様式第1号)
- 住民票の写し(本籍記載。外国人の場合は国籍等記載のもの)※法人の場合は役員全員分
- 市町村長発行の身分証明書(破産手続開始決定を受けて復権を得ない者でないことの証明)※役員全員分
- 送信元識別符号(URL等)を使用する権限があることを疎明する資料(ドメイン登録情報、Whois、アプリ管理画面キャプチャ、デベロッパーアカウント情報など)
法人の場合の追加書類
- 定款の謄本
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 役員全員分の欠格事由非該当誓約書
年齢確認業務を外部委託する場合は、委託先についても住民票・身分証明書・誓約書・診断書(薬物中毒等でないこと)・定款・登記事項証明書などが追加で必要になります。
外国法人・外国人役員の場合
- 添付書類の日本語訳(必要に応じて公証・アポスティーユ)
- 日本国内拠点の使用権限を証明する資料(賃貸借契約書または所有者の使用承諾書)
年齢確認の実装要件
「私は18歳以上です」というチェックボックスのみでは不十分とされています。運転免許証・パスポートなどの公的証明書の画像アップロードと生年月日確認など、児童でないことを具体的に確認する方法を実装し、その画面遷移図・仕様書を届出時に提出する必要があります。
5. 欠格事由
以下に該当する者(法人の場合は役員のいずれか)は事業を行うことができません。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
- 一定の刑罰を受け、執行終了等から5年を経過していない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
- 心身の故障により事業を適正に行うことができない者
- 直近5年以内に事業停止命令等に違反した者 など
6. 関連する他の手続き
マッチングアプリではユーザー間の1対1メッセージ機能がある場合、電気通信事業法に基づく総務省(総合通信局)への届出が別途必要になることが多くあります。警察への届出書に電気通信事業者情報を記載する運用も増えているため、両方をセットで準備することをお勧めします。
7. 手続きの目安スケジュール(当事務所対応の場合)
全体で約1.5~2か月を想定しています。
- 日本国内拠点構築・法人設立・リーガルチェック(仕様・利用規約の適合確認)
- 電気通信事業届出
- 警察署への事前相談・書類調整
- 正式提出・受理(届出番号発行)
当事務所のサポート
行政書士法人塩永事務所(熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6/認定経営革新等支援機関・登録支援機関)は、海外法人の日本進出スキームから書類作成・警察署への提出代行まで、ワンストップで対応しています。全国対応可能です。
外国系アプリの場合は特に拠点実体の設計や翻訳・公証対応が複雑になるため、早めのご相談をお勧めします。初回オンライン相談も可能です。
お問い合わせ TEL:096-385-9002 MAIL:info@shionagaoffice.jp
正確な手続きで安心して日本市場に参入できるよう、サポートいたします。
