
太陽光パネルの処分に必要となる産業廃棄物収集運搬業許可及び産業廃棄物処分業許可について―廃棄物処理法に基づく許認可制度と今後の制度動向―
はじめに
再生可能エネルギーの導入促進を目的として開始された固定価格買取制度(FIT制度)等を背景に、全国において事業用太陽光発電設備の導入が急速に進展しました。一方で、これらの設備は一般的に20年から30年程度の使用期間を経て更新又は撤去の時期を迎えることから、2030年代後半以降は使用済太陽光パネルの排出量が大幅に増加すると見込まれています。
使用済太陽光パネルには、ガラス、アルミニウム、銅等の有価資源が含まれる一方、製品によっては鉛、カドミウム、セレン等の有害物質を含有するものも存在するため、生活環境の保全及び資源循環の観点から、適正な収集運搬、処分及び再資源化を実施することが不可欠です。
太陽光パネルの廃棄については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」といいます。)」をはじめ、関係法令及び各種ガイドラインに基づき適切に処理しなければならず、その処理を業として行う場合には、都道府県知事又は政令市長等から必要な許可を受ける必要があります。
本稿では、太陽光パネルの処分に係る「産業廃棄物収集運搬業許可」及び「産業廃棄物処分業許可」の概要、許可取得要件並びに近時の制度動向について、認定経営革新等支援機関である行政書士法人塩永事務所が解説いたします。
1 事業用太陽光パネルは廃棄物処理法上の産業廃棄物として適正な処理が求められます
事業活動に伴って排出される使用済太陽光パネルは、その排出形態及び性状に応じて、廃棄物処理法上の産業廃棄物として取り扱われます。
廃棄物処理法第3条では、事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物について、自らの責任において適正に処理しなければならない旨が規定されており、いわゆる「排出事業者責任」が課されています。
したがって、排出事業者は、自ら処理を行う場合はもちろん、第三者へ処理を委託する場合においても、法令に適合した処理が行われるよう必要な措置を講じなければなりません。
具体的には、次の事項が求められます。
- 産業廃棄物処理業の許可を有する事業者への委託
- 法定事項を満たした委託契約書の締結
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付及び保存
- 委託した産業廃棄物が適正に処理されたことの確認
無許可業者への委託、不法投棄又は不適正処理が認められた場合には、排出事業者に対しても措置命令、改善命令その他の行政処分が行われるほか、刑事責任を問われる可能性があります。
2 太陽光パネルの収集運搬には産業廃棄物収集運搬業許可が必要となります
他人から委託を受け、使用済太陽光パネルを収集し、又は運搬する行為を業として行う場合には、廃棄物処理法第14条第1項に基づく産業廃棄物収集運搬業許可を受けなければなりません。
もっとも、排出事業者自らが自己の産業廃棄物を運搬する、いわゆる「自社運搬」については、収集運搬業許可は不要とされています。ただし、この場合であっても、廃棄物処理法施行令及び施行規則に定める運搬基準を遵守しなければなりません。
許可取得の主な要件
産業廃棄物収集運搬業許可の取得に当たっては、主として次の要件について審査が行われます。
- 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター等が実施する講習会を修了していること
- 継続して事業を遂行するに足りる経理的基礎を有すること
- 適正な収集運搬車両及び運搬容器を保有していること
- 廃棄物の飛散、流出及び悪臭の発散防止措置が講じられていること
- 申請者及び役員等が廃棄物処理法に定める欠格要件に該当しないこと
また、許可は都道府県等ごとに付与されるため、積込み地及び荷卸し地が複数の都道府県等にまたがる場合には、それぞれの行政庁から許可を受ける必要があります。
3 破砕・選別・再資源化には産業廃棄物処分業許可が必要となります
収集運搬とは異なり、太陽光パネルの破砕、切断、選別、焼却、再資源化その他中間処理又は最終処分を業として行う場合には、廃棄物処理法第14条第6項に基づく産業廃棄物処分業許可が必要となります。
処分業は、廃棄物の性状を変更する処理を伴うため、収集運搬業と比較してより厳格な施設基準及び維持管理基準が適用されます。
行政庁では、主として次の事項について審査が実施されます。
- 処理施設の構造及び能力
- 保管施設の適法性
- 環境保全措置の内容
- 技術管理体制
- 維持管理体制
- 周辺生活環境への影響
- 財務基盤及び継続的事業運営能力
設備基準に適合しない場合又は生活環境保全上支障があると認められる場合には、許可は認められません。
4 有害物質を含有する太陽光パネルへの対応
太陽光パネルには、アルミニウム、ガラス、シリコン、銀等の再資源化可能な資源が多く含まれています。
一方、製造時期や製品の種類によっては、鉛、カドミウム又はセレン等を含有するものも存在するため、破砕又は保管方法によっては生活環境への影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、処分業者には、飛散防止措置、流出防止措置、粉じん対策その他関係法令に基づく環境保全措置を講じることが求められます。
また、処理対象物の種類によっては、許可品目の追加、施設変更許可その他の行政手続が必要となる場合もあります。
5 太陽光パネルの再資源化制度は今後も制度整備が進められます
国は、今後本格化する大量廃棄に対応するため、太陽光パネルの再資源化を推進する制度整備を進めています。
近年は、再資源化を促進する新たな制度の創設、認定事業者制度の整備、再資源化率の向上に向けた仕組み等について検討及び法整備が進められており、産業廃棄物処理業者のみならず、発電事業者や解体事業者にも影響を及ぼすことが想定されています。
そのため、今後の法改正や政省令の改正、環境省・経済産業省による通知及びガイドラインについて、継続的に確認することが重要です。
6 産業廃棄物処理業許可は専門家による事前確認が重要です
産業廃棄物収集運搬業許可及び産業廃棄物処分業許可は、申請書類を提出すれば当然に取得できる許可ではありません。
行政庁は、法令上の許可要件に加え、申請内容、施設計画、経理的基礎、事業継続性等について総合的な審査を実施します。
また、自治体によって提出書類や審査基準、事前協議の運用に相違があることから、事前の制度確認及び適切な申請準備が極めて重要となります。
さらに、許可取得後も更新申請、役員変更届、施設変更許可、事業範囲変更届等の各種手続が継続して発生するため、許可取得後を見据えた法務管理体制の構築が望まれます。
7 行政書士法人塩永事務所による許認可取得支援
行政書士法人塩永事務所は、認定経営革新等支援機関として、産業廃棄物収集運搬業許可、産業廃棄物処分業許可をはじめ、建設業許可、運送事業許可等、企業活動に必要となる各種行政許認可手続を専門的に支援しております。
太陽光発電設備の大量更新時代を迎え、関連する収集運搬業及びリサイクル事業への新規参入は今後さらに増加することが予想されます。一方で、産業廃棄物処理業は極めて高度な法令遵守が求められる分野であり、許可取得に当たっては、法令、行政実務及び自治体運用を踏まえた適切な対応が不可欠です。
当事務所では、事前相談から事業計画の検討、許可申請、行政庁との事前協議、許可取得後の更新・変更手続まで一貫して支援しております。
太陽光パネルの処分・再資源化事業への参入、産業廃棄物収集運搬業許可及び産業廃棄物処分業許可の取得をご検討の事業者様は、認定経営革新等支援機関である行政書士法人塩永事務所までお気軽にご相談ください。最新の法令及び制度動向を踏まえ、事業内容に即した適切な許認可取得をサポートいたします。
