
【熊本】産業廃棄物収集運搬業許可・古物営業許可・金属くず関係・有害使用済機器保管等届出まとめ
―リサイクル・スクラップ・買取ビジネスを熊本で始める・続ける事業者様へ―
はじめに
金属スクラップや使用済家電、中古品の買取・リサイクルを事業として営む場合、実は一つの許認可だけでは足りないケースが少なくありません。
熊本県内で、
- 建設現場や工場から出る産業廃棄物を集めて運ぶ
- 中古品・不用品を買い取って販売する
- 銅線などの金属くずを買い取る
- 使用済みの家電・OA機器などを有価物として回収・保管する
といった事業を行おうとすると、扱う品目や事業形態によって、産業廃棄物収集運搬業許可(熊本県知事許可)・古物商許可(熊本県公安委員会)・特定金属くず買受業の届出(都道府県公安委員会・全国共通の新制度)・有害使用済機器保管等届出(都道府県・熊本市) のうち、複数の手続きが同時に必要になることがあります。
しかも、これらは「一度取れば終わり」ではなく、更新・変更届・帳簿の備付け・保管基準の遵守など、事業を続ける限り継続的な対応が求められます。
本記事では、それぞれの制度の概要と熊本県における実務上のポイントを整理してご説明します。特に金属くず関係については、2026年6月1日に全国一律の新しい届出制度(金属盗対策法)が施行されたばかりで、既存事業者には届出の経過措置期限が迫っていますので、該当する可能性のある事業者様は特にご注意ください。
1.産業廃棄物収集運搬業許可(熊本県知事許可)
制度の概要
建設現場や工場、事業所などから排出される産業廃棄物を、他人の委託を受けて収集・運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。排出事業者は自らの廃棄物を自ら処理するか、許可を受けた業者に委託しなければならないと定められており、無許可の業者へ委託した場合は排出事業者側も責任を問われます。
熊本県内で発生した産業廃棄物を運搬する場合は熊本県知事(熊本市内は熊本市長)の許可、県外の処分場へ運搬する場合は運搬先の都道府県知事の許可も別途必要になる点に注意が必要です(例:熊本県内で発生した産業廃棄物を福岡県内の処分場へ運ぶ場合は、熊本県・福岡県双方の許可が必要)。
主な要件・必要書類
- 申請者本人または法人の役員が、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会(新規講習)を受講し、修了証を取得していること
- 事業計画の概要を記載した書類
- 運搬車両の写真・車庫の配置図・付近の見取図・運搬容器の仕様書などの事業用施設に関する書類
- 施設の使用権原を証する書類(自己所有の場合は登記簿謄本等、賃借の場合は賃貸借契約書等)
- 財務内容に関する書類(決算書等)
- 欠格事由(成年被後見人・被保佐人、破産者で復権を得ていない者等に該当しないこと)に関する誓約書
積替え保管を伴う場合は、施設に関する基準がさらに加わり、審査もより慎重に行われます。また、特別管理産業廃棄物(廃油、廃酸、感染性廃棄物等)を扱う場合は、通常の産業廃棄物収集運搬業とは別に特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
熊本県における実務上のポイント
- 申請先は、個人・法人を問わず熊本県知事(管轄保健所経由。熊本市内・県外の事業者は県庁循環社会推進課)です。
- 窓口受付・郵送受付のいずれも、事前に申請日時の予約が必要です。予約から申請日まで1〜2か月先になることが多いため、余裕をもったスケジュールで動く必要があります。
- 更新申請・変更許可申請を同時に行う場合や、産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の許可を同時申請する場合には、共通する添付書類の一部省略が認められる制度があります。うまく活用すれば書類準備の手間を減らせます。
- 優良認定(事業の透明性、環境配慮の取り組み、財務体質の健全性、電子マニフェストの導入状況などを審査する制度)を受けている事業者は、更新申請時に一部書類の添付を省略できる場合があります。
- 申請手数料は熊本県収入証紙で納付します(県庁地下の売店等で購入可能)。
窓口対応・書類作成・講習受講のスケジュール調整など、初めて申請する事業者にとっては煩雑な工程が多いため、専門家に依頼することで手戻りを防ぎ、許可取得までの期間を短縮できます。
2.古物営業許可(熊本県公安委員会)
制度の概要
中古品を仕入れて販売する、中古品を買い取って修理・加工のうえ販売する、ネットオークションやフリマサイトを通じて中古品を継続的に売買するといった営業を行う場合には、古物営業法に基づく古物商許可が必要です。自分が使用していた物・使用するために購入したが未使用の物を単に販売するだけであれば許可は不要ですが、営利目的で反復継続的に他人から買い取って売る場合は許可の対象になります。
主な必要書類
- 許可申請書(別記様式第1号)
- 略歴書、誓約書(申請者本人・営業所の管理者・法人の場合は役員全員分)
- 住民票の写し(本籍地記載のもの。発行から3か月以内が目安)
- 身分証明書(本籍地の市区町村が発行するもので、運転免許証等の本人確認書類とは別のもの)
- 法人の場合は定款の写し・登記事項証明書
- URL使用の届出(ネット取引を行う場合、プロバイダ等からの資料)
- 営業所の賃貸借契約書の写し(賃借の場合)
熊本県における実務上のポイント
- 申請先は、営業所の所在地を管轄する警察署(熊本県公安委員会)です。郵送申請は基本的に受け付けられておらず、警察署窓口への持参が必要です。
- 申請手数料は19,000円で、熊本県収入証紙で納付します(警察署内で購入可能な場合があります)。
- 標準処理期間は申請受理後おおむね40日(土日祝日を除く)です。書類の不備や追加調査が必要な場合は、この期間より延びることがあります。
- 取り扱う古物の品目(美術品類、衣類、機械工具類など13品目)や、店舗型・インターネット型などの営業形態を、事業計画書に具体的に記載する必要があります。
- 欠格事由(一定の前科がある場合、暴力団員等に該当する場合など)に該当しないかが審査されるため、事前に警察署へ相談したうえで書類を準備すると、受理までがスムーズです。
古物商許可を取得していても、後述する金属くず関係の届出義務が別途生じる場合がある点には注意が必要です。両者は制度上まったく別の枠組みだからです。
3.金属くず関係(熊本県における現状と2026年6月施行の新制度)
熊本県には現在「金属くず条例」がない
かつて多くの道府県には、古物営業法の対象とならない金属くず(本来の用途で使用されない金属塊・金属製品等)の売買を規制する独自の条例(いわゆる「金属くず条例」「金属くず営業条例」)が存在していました。熊本県にもかつて「金属屑取扱業に関する条例」がありましたが、平成12年(2000年)に廃止されており、現在、熊本県には金属くず取扱業を独自に規制する条例はありません。
そのため、これまで熊本県内では、古物営業法の対象にならない金属くず(例えば、被覆のない古銅線、金属原材料など)の売買については、県の許可・届出制度の対象外という状態が続いていました。
2026年6月1日、全国一律の新制度がスタート
こうした「条例のある自治体とない自治体で規制に差がある」状況や、太陽光発電設備の銅線ケーブル、道路のグレーチング・マンホールなどの金属盗被害が全国的に急増している状況を受けて、2025年6月20日に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(通称:金属盗対策法)が公布され、2026年6月1日に全面施行されました。
この法律により、熊本県を含む全国すべての都道府県で、次のような規制が統一的に適用されることになりました。
- 対象となるのは「特定金属くず」(現時点では銅、または重量・価格の2分の1以上を銅が占める金属くず。新品製造過程で生じる金属くずや古物営業法上の古物に該当するものは除く)
- 特定金属くずの買受けを営業として行う者(特定金属くず買受業者)は、営業所ごとに、氏名・住所等をその営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(熊本県の場合は熊本県警察)へ届け出る必要があります
- 届出は許可制ではなく届出制で、手数料は無料です
- 買受けの相手方について、運転免許証・マイナンバーカード・在留カードなどによる本人確認を行うことが義務付けられます
- 買受けの相手方の氏名や取引内容等を記録し、一定期間保存する義務があります
- 盗品に由来する疑いがある特定金属くずの持ち込みがあった場合、警察官へ申告する義務があります
- 届出をせずに営業を行った場合は、罰則(拘禁刑または罰金)の対象となります
熊本県内の既存事業者は期限に注意
制度の施行日(2026年6月1日)時点ですでに特定金属くず買受業を営んでいる事業者については、経過措置として一定の猶予期間が設けられており、2026年8月31日までに届出を完了させる必要があります。本記事執筆時点(2026年8月)はまさにこの経過措置期限の直前にあたるため、該当しうる事業者様は至急ご確認ください。
- 古物商許可や産業廃棄物処理業許可を既に取得していても、取り扱う品目が「特定金属くず」に該当する場合は、それらとは別に本届出が必要です。
- 届出は営業所ごとに行うのが原則ですが、県内に複数の営業所がある場合は、いずれか一つの営業所を管轄する警察署にまとめて届出できる場合があります(届出先の運用は都道府県ごとに確認が必要です)。
- 対象となる金属は現時点では銅(および銅を主体とする合金・製品)に限定されていますが、今後、政令改正により対象金属が追加される可能性があります。
自社の取扱品目が「特定金属くず」に該当するかどうかの判断は、実務上迷いやすいポイントです。鉄・アルミくずなど銅以外の金属を扱っている場合や、他人から加工委託を受けて生じた金属くずを扱っている場合など、個別の事情によって判断が分かれることがあるため、早めに専門家へご相談いただくことをお勧めします。
4.有害使用済機器保管等届出(廃棄物処理法)
制度の概要
エアコン、テレビ、冷蔵庫、パソコンなど、鉛・水銀・特定のフロン類などを含む使用済みの家電・機器(有害使用済機器)は、廃棄物として処分される場合は廃棄物処理法の規制対象ですが、有価物として売買され再資源化ルートに乗る場合は、従来は廃棄物処理法の直接の規制対象になっていませんでした。
しかし、不適正な野積み保管や不法投棄まがいの取扱いが社会問題となったことを受け、平成30年(2018年)4月1日施行の改正廃棄物処理法により、「有害使用済機器」の保管・処分を業として行おうとする事業者に、都道府県知事等への事前の届出が義務付けられました(廃棄物処理法第17条の2)。
対象となる機器・行為
対象となる機器は政令で個別に指定されており、代表的なものとして、
- エアコン
- テレビ(ブラウン管式・液晶・プラズマ式)
- 電子レンジ
- 衣類乾燥機
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機
- パーソナルコンピュータ
- 電気温水器
- 換気扇(電気モーター使用のもの)
- 浴室用電気機器
- 体重計(電気式)
などが挙げられます(品目は法令で細かく定義されているため、個別の判断が必要です)。
これらの機器を、有価物として買い取ったり回収したりしたうえで、保管・処分(解体・破砕等)を業として行おうとする場合、原則として事業を開始する10日前までに、事業場を管轄する都道府県(熊本市内の場合は熊本市)へ届出を行う必要があります。
届出が不要となるケース
産業廃棄物処理業(収集運搬業・処分業)の許可や、家電リサイクル法上の指定引取場所としての登録など、既に一定の許可・登録を受けている事業者については、適正な保管が見込まれることから、本制度上の届出が不要とされる場合があります。ただし、この場合でも有害使用済機器保管等の基準に準じた適正な取扱いは求められます。
熊本県・熊本市における窓口
- 熊本市内に事業場がある場合:熊本市(環境局)
- 熊本市を除く熊本県内、または県外の事業者が熊本県内で事業を行う場合:熊本県環境生活部循環社会推進課
届出後も、事業場ごとに帳簿を備え、有害使用済機器の保管・処分・再生の内容(受入量、種類、保管の状況等)を毎月記録し、1年ごとに閉鎖した帳簿を5年間保存する義務があるなど、継続的な管理体制の整備が求められます。保管基準(囲いの設置、高さ制限、火災予防措置など)についても、産業廃棄物の保管基準に準じた基準の遵守が求められる点に注意が必要です。
5.複数手続きを一体的に進める必要性
ここまで見てきたとおり、金属スクラップや使用済家電を取り扱うリサイクル・買取事業では、
- 産業廃棄物としての性質を帯びるものを扱えば産業廃棄物収集運搬業許可
- 中古品としての性質を帯びるものを扱えば古物商許可
- 銅を中心とした特定金属くずを買い取れば特定金属くず買受業の届出
- 有害使用済機器に該当する家電・機器を有価物として保管・処分すれば有害使済機器保管等届出
というように、同じ「金属・家電の買取」という事業であっても、取扱品目や取引形態によって適用される制度が重なり合うことが少なくありません。どれか一つの許可・届出だけで安心してしまうと、後になって別の制度の未届出・無許可状態が発覚し、営業停止命令や罰則の対象となるリスクがあります。
行政書士法人塩永事務所へご相談ください
行政書士法人塩永事務所は、経済産業大臣・熊本県知事等の認定を受けた「認定経営革新等支援機関」として、単なる許認可申請の代行にとどまらず、事業者様の事業内容・取扱品目・取引形態を丁寧にヒアリングしたうえで、
- 産業廃棄物収集運搬業許可(新規・更新・変更)の申請サポート
- 古物商許可の申請サポート
- 2026年6月施行の特定金属くず買受業の届出(既存事業者の経過措置期限対応を含む)
- 有害使用済機器保管等届出の要否判断・届出サポート
など、必要な手続きを漏れなく一体的に整理し、事業計画に沿った形でサポートいたします。「自社がどの制度の対象になるのか分からない」という段階からのご相談も歓迎しております。
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