
特定原産地証明書の申請代行とは?原産品判定を含む手続きをわかりやすく解説
熊本の認定経営革新等支援機関 行政書士法人塩永事務所
EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)を利用して輸出を行う際、輸入国側から関税の減免を受けるために必要となるのが「特定原産地証明書」です。しかし、この証明書を取得するまでの手続きは、原産地規則の理解や原産品判定など専門性が高く、初めて取り組む企業にとっては負担の大きい作業になります。
今回は、特定原産地証明書の申請代行(原産品判定を含む)について、実務の流れを事務的に整理してご説明します。
特定原産地証明書とは
特定原産地証明書は、EPA・FTAの特典関税(関税の減免)を輸入国側で受けるために必要となる証明書です。輸出する産品がその協定上の「原産品」であることを証明するもので、第一種特定原産地証明書については日本商工会議所が指定発給機関として発給を行っています。
輸入先の取引先から「特定原産地証明書を取得してほしい」と求められて初めて必要性に気づく企業も多く、急な対応を迫られるケースも少なくありません。
手続きの全体像
特定原産地証明書の取得までは、おおむね次のステップで進みます。
1. 企業登録 日本商工会議所へ企業情報を登録します。登録は無料で、有効期限は2年間です。1企業につき1登録のみで、法人と個人で必要書類が異なります。法人の場合は登録申請書と履歴事項全部証明書(発行日から3か月以内の原本)が必要です。登録が完了すると、専用システムを利用するためのID・パスワードが簡易書留で送付されます。
2. HSコード・適用協定の確認 輸出する産品のHSコード(関税分類番号)を調べ、利用したいEPA・FTAにおいてその産品がどのような原産地規則の対象になっているかを確認します。
3. 原産性の確認 産品が協定上の原産品に該当するかどうかを、完全生産品基準、関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準などのルールに沿って検討します。原材料の調達先や製造工程、原材料費・加工費などの情報をもとに、立証資料を整える必要があります。
4. 原産品判定依頼 原産性の検討結果をもとに、専用の発給システムから「原産品判定依頼書」を提出し、日本商工会議所に原産品判定を依頼します。生産者が判定依頼者となる場合、輸出者(発給申請者)が同一でないときは、生産者から輸出者に対して産品の利用を許可する「同意通知書」の提出が必要です。
5. 発給申請 原産品として判定を受けた産品について、輸出者(協定によっては生産者も可)が特定原産地証明書の発給申請を行います。申請受理から審査結果通知までは原則2営業日とされています。
原産品判定の難しさとよくある課題
この手続きの中でも特に専門性が問われるのが「原産品判定」です。例えば次のようなケースで企業が苦労されることがあります。
- 部品や原材料の種類が数百〜千種類以上に及び、関税分類変更基準で使う品目別規則に当てはめて分類する作業が膨大になる
- 付加価値基準を使う場合、原材料価格や製造コストなど機密性の高い情報を取りまとめる必要があり、社内のどの部署が担当するか調整が難しい
- 自社で申請したものの、立証資料の不備により判定が認められなかった
- 海外の取引先(買い手)と直接情報をやり取りする必要があるが、言語や実務知識の壁がある
これらは制度を熟知した専門家が間に入ることで、整理や交渉がスムーズになることが多い場面です。
申請代行を依頼するメリット
行政書士は、経済産業省が所管する公的書類である特定原産地証明書について、法律上、企業に代わって取得代行を行うことができます。代行を依頼する主なメリットは次のとおりです。
書類作成・原産性検討の負担軽減 原産地規則の解釈や立証資料の整理など、専門知識が必要な部分を任せることができます。
機密情報の取り扱いの安心感 製造原価や仕入先といった機密性の高い情報を、行政書士が守秘義務のもとで取りまとめることができます。輸出者に開示せず、行政書士がメーカーと直接やり取りする形を取ることも可能です。
取引先との関係維持 情報開示の範囲を適切に調整することで、輸出者・生産者・輸入国側の取引先の間で円滑な関係を保ちながら証明書を取得できます。
継続的な申請への対応 反復的に発給申請が発生する企業様には、継続的な業務委託としての対応も可能です。
当事務所(行政書士法人塩永事務所)でのサポート内容
当事務所は熊本県の認定経営革新等支援機関として、貿易実務に関わる手続き全般をサポートしております。特定原産地証明書に関しては、以下のような業務を承っております。
- 企業登録(日本商工会議所への登録申請書類の作成・提出サポート)
- HSコード確認、適用協定および品目別規則の確認
- 原産性の検討(完全生産品・関税分類変更基準・付加価値基準・加工工程基準)
- 原産品判定依頼書の作成・提出代行
- 立証資料(原材料リスト、コスト計算ワークシート等)の整理・作成支援
- 特定原産地証明書の発給申請代行
- 継続的な申請が発生する企業様向けの顧問契約によるサポート
特に、原材料・部品数が多く分類作業に時間がかかるケースや、機密情報を含むため社内対応が難しいケースについては、経験を踏まえたアドバイスが可能です。
おわりに
特定原産地証明書の取得は、輸出先国での関税減免というメリットがある一方、原産地規則の理解や資料整備など、社内のリソースだけでは対応が難しい場面が多くあります。「取引先から証明書の取得を求められたが、何から始めればよいかわからない」「原産品判定の進め方に不安がある」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
行政書士法人塩永事務所 熊本県 認定経営革新等支援機関
※本記事は手続きの一般的な流れをご案内するものです。協定の種類や産品の内容によって必要な手続き・資料は異なりますので、詳細は個別にご相談ください。
