
農振除外の手続き完全ガイド【2026年最新版】
― 農業振興地域からの除外申請を熊本の行政書士が実務的に解説 ―
行政書士法人塩永事務所(熊本市中央区)
事務所紹介
行政書士法人塩永事務所は、熊本市中央区を拠点として、農地転用・農振除外をはじめとする農地関連手続きを専門的に支援してまいりました。
熊本県内の農業委員会・市町村担当窓口・熊本県農政部局との連携実績を有し、地域の実務運用を熟知した専門家として、確実かつ迅速な手続きの遂行をお約束いたします。
はじめに
農業振興地域内の農用地区域(いわゆる「農振農用地」)に指定された土地は、農業上の利用を確保するために、原則として農地転用・開発行為・建築等が厳しく制限されています。
住宅建築・太陽光発電設備の設置・資材置き場の整備・事業用地としての活用等を目的として農振農用地を転用しようとする場合、農地法に基づく農地転用許可申請の前提として、**農業振興地域整備計画における農用地区域からの除外(農振除外)**を受けることが必要です。
農振除外は、申請から除外決定まで長期間を要するとともに、除外要件の充足を厳格に審査される手続きです。要件を正確に把握した上で計画的に手続きを進めることが、円滑な土地利用実現の鍵となります。
本稿では、農振除外の意義・要件・手続きの流れ・実務上の留意点について、行政書士の実務的視点から詳述いたします。
1. 農業振興地域制度の概要
(1)農業振興地域整備法とは
農業振興地域の整備に関する法律(農振法)は、優良農地を長期的に確保・保全し、農業の健全な発展を図ることを目的として制定された法律です。
農振法に基づき、都道府県知事は農業振興地域を指定し(農業振興地域整備基本方針)、市町村はその区域内に農業振興地域整備計画を策定します。
(2)農用地区域とは
農業振興地域整備計画において、農業上の利用を確保すべき土地として指定された区域を農用地区域といいます。農用地区域内の土地は「農振農用地」と呼ばれ、以下の行為が原則として禁止されます。
- 農地転用(農地法第4条・第5条の許可申請)
- 農地以外への利用目的変更
- 開発行為・建築物の建築
- 土地の形質変更
農振農用地を転用・開発しようとする場合、まず農用地区域からの除外(農振除外)を受けた上で、農地転用許可等の手続きを行う必要があります。
(3)農振農用地の確認方法
対象土地が農振農用地に該当するかどうかは、以下の方法で確認することができます。
| 確認方法 | 内容 |
|---|---|
| 市町村窓口での確認 | 農林水産担当課にて農用地区域の該当確認 |
| 農業委員会への照会 | 農地台帳・農用地区域図の閲覧 |
| 熊本県農林水産部のシステム | 農業振興地域情報システムによる確認 |
土地の利用計画を検討する段階で、早期に確認することが重要です。
2. 農振除外とは
農振除外とは、農業振興地域整備計画において農用地区域に指定されている土地について、当該区域から除外するよう整備計画の変更を求める申し出をいいます。
法律上は「農用地区域からの除外申出」と称され、申請者の申し出を受けた市町村が農業振興地域整備計画の変更手続きを行うことで除外が実現します。
なお、農振除外は申請者の権利として認められるものではなく、除外要件(後述)を充足している場合に限り認められる行政処分です。要件を満たさない場合は申し出が認められないため、事前の要件確認と計画立案が極めて重要となります。
3. 農振除外の要件
農振除外が認められるためには、農振法第13条第2項各号に定める以下の要件をすべて充足することが必要です。いずれか一つでも充足しない場合、除外は認められません。
要件①|農用地等以外の用途に供することが必要かつ適当
除外を求める土地を農用地以外の用途に供することが必要であり、かつ農用地区域以外の土地をもってその目的を達成することができないことが要件となります。
実務上のポイント
- 転用目的の必要性・合理性を具体的に説明できることが必要
- 農用地区域外の代替地で目的を達成できないことの説明が求められる
- 住宅建築の場合、申請者の居住実態・家族構成・現住所等の確認が行われる
要件②|農用地区域内の土地利用に支障を及ぼさない
除外対象地の転用が、周辺の農用地の農業上の利用に支障を及ぼさないことが必要です。
実務上のポイント
- 排水・用水への影響がないこと
- 日照・通風への影響がないこと
- 農業機械の通行に支障が生じないこと
- 周辺農地の営農環境を悪化させないこと
要件③|農用地区域内の農用地の集団化に支障を及ぼさない
除外により、周辺農用地の集団的・効率的な利用が妨げられないことが必要です。
実務上のポイント
- 農用地の集団化・区画整理に支障がないこと
- 農道・水路等の整備計画に影響を与えないこと
- 当該地が農地の集団性(ひとまとまりの農地)の中核に位置していないこと
要件④|効率的かつ安定的な農業経営を営む者の農業経営に支障を及ぼさない
除外対象地またはその周辺において、認定農業者等の効率的・安定的な農業経営が行われている場合、その経営に支障が生じないことが必要です。
実務上のポイント
- 認定農業者・農業法人等が利用している農地の近傍でないこと
- 農作業の効率性を低下させる要因にならないこと
要件⑤|土地改良事業等の施行に係る土地でないこと
土地改良事業(圃場整備・用排水改良・農道整備等)の完了後8年を経過していない土地は、原則として除外対象となりません。
実務上のポイント
- 土地改良事業の履歴は、土地改良区または市町村の農林担当部署に照会することで確認可能
- 8年未満の場合は、原則として除外申し出ができない
要件⑥|除外後の利用目的が具体的・確実であること
除外後の利用目的が明確であり、かつ実現可能性が高いことが求められます。
実務上のポイント
- 建築確認申請の見通し・資金計画の具体性が問われる場合がある
- 除外後に長期間放置することは認められない
- 転用目的の実現に向けた具体的なスケジュールの提示が求められる
4. 農振除外の申し出ができる時期(申出窓口期間)
農振除外の申し出は、市町村が設定する**申出窓口期間(受付期間)**にのみ行うことができます。随時申し出ができるわけではなく、受付期間外の申し出は受理されませんので注意が必要です。
熊本県内の市町村における申出窓口期間は、おおむね年に1〜2回設定されていますが、市町村によって受付時期・期間が異なります。
| 市町村 | 申出窓口期間の目安 |
|---|---|
| 熊本市 | 年2回程度(4月・10月頃) |
| その他市町村 | 年1〜2回(各市町村へ要確認) |
申し出の準備には一定の期間を要するため、次回の受付期間に向けて早期に準備を開始することが不可欠です。
5. 農振除外の手続きの流れ
農振除外の手続きは、申し出から除外決定まで概ね6か月〜1年以上を要します。以下に標準的な手続きの流れを示します。
STEP 01|事前相談・現地確認
所要期間の目安:申し出の2〜3か月前
対象土地の所在地を管轄する市町村の農林担当課に対し、以下の事項について事前相談を行います。
- 対象土地の農振農用地該当の確認
- 土地改良事業の履歴確認(要件⑤の確認)
- 除外要件の充足見込みの確認
- 必要書類の確認
- 次回申出窓口期間の確認
事前相談は、申し出の可否を早期に見極めるための極めて重要なプロセスです。事前相談なしに書類作成を進めた場合、要件不充足により申し出が受理されないリスクがあります。
STEP 02|必要書類の収集・作成
所要期間の目安:申し出の1〜2か月前
農振除外の申し出に必要な書類を収集・作成します。市町村によって求められる書類が異なりますが、標準的な必要書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 取得先・備考 |
|---|---|
| 農振除外申出書 | 市町村所定の様式に記載 |
| 土地の登記事項証明書 | 法務局 |
| 公図(地図に準ずる図面) | 法務局 |
| 土地の位置図・案内図 | 1/50,000〜1/10,000程度の地図 |
| 現況写真 | 対象地および周辺農地の写真 |
| 転用後の利用計画図 | 建物配置図・造成計画図等 |
| 固定資産税評価証明書 | 市町村税務課 |
| 土地改良区の同意書(該当する場合) | 土地改良区 |
| 農業委員会の意見書(求められる場合) | 農業委員会 |
| 資金計画書・建築見積書(求められる場合) | 転用目的の実現可能性を示す書類 |
| 申請者の住民票 | 市区町村役場 |
| 権利関係を証する書類(賃借の場合) | 賃貸借契約書等 |
書類の不備や記載内容の不整合は申し出の受理拒否・差し戻しの原因となります。書類間の整合性を十分に確認した上で提出することが重要です。
STEP 03|申出窓口期間内に市町村へ申し出
市町村が設定した申出窓口期間内に、必要書類一式を農林担当課へ提出します。
提出後、市町村担当者による書類審査が行われ、不備がある場合は補正を求められます。補正対応は迅速に行うことが求められます。
STEP 04|農業委員会への意見照会
市町村は、申し出内容について農業委員会に意見を求める手続きを行います。農業委員会は、対象土地の農業上の利用状況・周辺農地への影響等を審査し、意見を市町村に回答します。
農業委員会の意見は除外の可否に大きな影響を与えるため、事前に農業委員会との調整を行っておくことが実務上有効です。
STEP 05|熊本県農政部局との協議
市町村は、農振除外の可否について熊本県農政部局と協議を行います。この協議において、除外要件の充足状況・農業への影響等が精査されます。
県との協議に時間を要する場合があり、これが手続き全体の期間に影響する主要な要因のひとつとなっています。
STEP 06|農業振興地域整備計画の変更(除外決定)
県との協議が整い、除外が認められた場合、市町村は農業振興地域整備計画を変更し、対象土地を農用地区域から除外します。
変更後、申請者に対して除外決定の通知が行われます。
STEP 07|農地転用許可申請等の後続手続き
農振除外が完了した後、目的に応じて以下の後続手続きを行います。
| 転用目的 | 後続手続き |
|---|---|
| 住宅建築・施設建設 | 農地転用許可申請(農地法第4条・第5条)→ 建築確認申請 |
| 太陽光発電設備の設置 | 農地転用許可申請 → FIT/FIP認定申請等 |
| 資材置き場・駐車場 | 農地転用許可申請 |
農振除外は農地転用許可の前提手続きであり、除外のみで転用が可能となるわけではありません。除外決定後、速やかに農地転用許可申請に着手することが重要です。
6. 農振除外が認められない主なケース
以下のような場合、農振除外が認められない可能性が高いため、事前の確認と計画立案が不可欠です。
(1)土地改良事業完了後8年未満の土地 圃場整備・用排水改良等が完了してから8年を経過していない土地は、原則として除外対象となりません。
(2)集団農地の中核に位置する土地 周辺農地と一体的に利用されている集団農地の中心部に位置する土地は、農地の集団性を損なうとして除外が認められにくい傾向があります。
(3)転用後の利用計画が不明確な土地 転用目的・資金計画・実施時期が具体的でない場合、除外後の放置が懸念されるとして申し出が認められない場合があります。
(4)代替地が存在する場合 農用地区域外に同等の条件の土地が存在する場合、農振農用地を利用する必要性が認められないとして除外が認められないことがあります。
(5)優良農地として高く評価されている土地 生産性が高く、農業上の利用価値が特に大きい土地は、除外要件の充足が困難となる場合があります。
7. 農振除外に要する期間と費用の目安
(1)手続き期間
| フェーズ | 所要期間の目安 |
|---|---|
| 事前相談〜申し出準備 | 1〜3か月 |
| 申し出〜農業委員会意見照会 | 1〜2か月 |
| 県との協議〜除外決定 | 3〜6か月 |
| 合計(申し出から除外決定まで) | 概ね6か月〜1年以上 |
市町村・県の審査状況・案件の複雑性によっては、1年を超える場合もあります。住宅建築・事業計画の全体スケジュールに組み込んだ上で、余裕をもって手続きを開始することが不可欠です。
(2)費用の目安
農振除外の申し出自体に法定の手数料は発生しません。ただし、以下の実費が必要となります。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 登記事項証明書取得費用 | 1通につき600円 |
| 公図取得費用 | 1通につき450円 |
| 固定資産税評価証明書取得費用 | 市町村により異なる |
| その他書類取得費用 | 実費 |
行政書士に手続きを依頼する場合は、別途報酬が発生いたします。詳細は当事務所までお問い合わせください。
8. 農振除外と農地転用の関係
農振除外と農地転用は、しばしば混同されますが、別個の手続きです。両者の関係を正確に理解することが、円滑な手続き遂行の前提となります。
| 項目 | 農振除外 | 農地転用許可 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 農業振興地域の整備に関する法律 | 農地法 |
| 申請先 | 市町村(農林担当課) | 農業委員会(経由)→ 都道府県知事等 |
| 手続きの順序 | 先行して行う | 農振除外後に行う |
| 対象 | 農振農用地のみ | すべての農地 |
| 手続き期間 | 概ね6か月〜1年以上 | 概ね2〜3か月 |
農振農用地の転用においては、農振除外→農地転用許可の順序で手続きを進めることが原則です。農地転用許可申請を先行して行っても、農振除外が完了していない限り許可を受けることはできません。
9. 当事務所のサポート内容
農振除外の手続きは、除外要件の充足判断・各種書類の作成・市町村および農業委員会との調整・後続手続きとの連携など、専門的な知識と実務経験を要する手続きです。
当事務所では、農振除外の申し出から農地転用許可申請・建築確認申請との連携まで、一貫したサポートを提供しております。
提供サービス一覧
✅ 事前調査・要件確認 対象土地の農振農用地該当確認・土地改良事業履歴調査・除外要件の充足見込み診断
✅ 市町村・農業委員会との事前協議の代行 担当窓口との調整・意見聴取・申し出方針の確定
✅ 農振除外申出書類の作成・提出代行 申出書をはじめとする必要書類一式の作成・整合性確認・提出代行
✅ 農地転用許可申請の代行 農振除外完了後の農地転用許可申請(農地法第4条・第5条)の代行
✅ 後続手続きとの連携サポート 建築確認申請・FIT/FIP認定申請・開発許可申請等との連携支援
✅ 農振除外・農地転用のワンストップ対応 除外申し出から転用完了まで、一貫した窓口として対応
10. おわりに
農振除外は、申し出から除外決定まで長期間を要するとともに、除外要件の充足を厳格に審査される手続きです。「土地を購入してから農振除外の手続きを始めた」「申し出の受付期間を知らずに機会を逃した」といった事態は、事業計画全体に深刻な影響を与えます。
農振農用地の利用を検討されている場合は、計画の早い段階で専門家に相談し、手続きの見通しを把握した上で事業計画を立案することが、円滑な実現への最善の道です。
行政書士法人塩永事務所は、熊本県内の農業委員会・市町村農林担当部署・県農政部局との連携実績を有し、農振除外・農地転用に関する豊富な実務経験のもと、皆様の土地利用計画の実現を誠実にサポートいたします。
「農振除外が必要かどうかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談くださいますようお願い申し上げます。初回のご相談は無料にて承っております。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
熊本市中央区水前寺1-9-6
| 電話 | 096-385-9002(平日受付) |
| 受付時間 | 9:00〜17:00(土日祝休) |
| メール | info@shionagaoffice.jp |
| Web | 行政書士法人塩永事務所 公式サイト |
ご相談の際は、「農振除外について相談したい」とお申し出いただけますと、担当者へ速やかにお繋ぎいたします。
※本稿の内容は2026年1月時点の情報に基づくものです。制度改正等により手続き内容が変更される場合がありますので、最新情報は農林水産省および熊本県農林水産部の公式サイトにてご確認ください。
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