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不動産業界における法改正の影響と行政書士の役割
― 空き家対策・相続・消費者保護を中心に ―
近年、不動産業界を取り巻く法制度は大きく変化しており、特に2026年に向けては「空き家対策」「相続」「消費者保護」の3つの分野で、行政書士の関与がより重要になっています。
これらの改正は、不動産事業者の実務にも直接的な影響を及ぼしており、従来の業務の在り方そのものを見直す契機となっています。以下、実務上の重要ポイントを整理いたします。
1.空き家対策特別措置法の運用強化
全国的な空き家増加を背景に、自治体による「特定空家」の指定基準および指導・勧告の運用が厳格化しています。
これに伴い、行政手続きの専門家である行政書士の関与領域は確実に拡大しています。
■ 行政代執行への対応支援
所有者不明・管理不全の空き家については、自治体による解体(行政代執行)が行われるケースが増加しています。
この際、
- 所有者調査
- 意見提出手続き
- 行政との折衝資料作成
など、法的手続きに基づく対応が求められ、行政書士の専門性が重要となります。
■ 用途変更に伴う許認可対応
空き家の利活用として、民泊や福祉施設等への転用が進んでいますが、
- 開発許可
- 建築確認
- 各種届出
といった行政手続きが不可欠です。
不動産業者様からのご相談も増加しており、事業化に向けた許認可支援のニーズが高まっています。
2.相続土地国庫帰属制度と「負動産」問題
相続登記の義務化(2024年)に続き、不要な土地を国に引き渡す「相続土地国庫帰属制度」が実務上本格的に活用され始めています。
いわゆる「負動産(価値が低く処分困難な不動産)」への対応として、不動産業界でも注目が集まっています。
■ 行政書士による申請業務
本制度の申請書類作成および手続きは、行政書士の業務領域です。
不動産業者様においても、
「売却できない土地をどうするか」
という顧客課題に対し、行政書士と連携した解決提案が重要になっています。
3.「日本版DBS」施行による影響(2026年度予定)
2026年度中に施行予定の「日本版DBS(子どもに関わる事業者の適格性確認制度)」は、不動産の賃貸・管理にも影響を及ぼす可能性があります。
■ テナント選定基準の変化
学習塾や学童保育など、子ども向けサービス事業者が入居する場合、
- 認定事業者であるか
- 適切なチェック体制が整っているか
といった点が、賃貸契約の判断要素となる可能性があります。
■ 認定手続きのサポート
当該制度の認定取得にあたっては、各種行政手続きや書類整備が必要となる見込みであり、行政書士によるコンサルティング支援の需要が見込まれます。
4.行政書士法改正とコンプライアンス強化
行政書士法の改正により、いわゆる「非弁・非行為」の排除が一層厳格化されています。
これにより、不動産業者様の業務範囲にも明確な線引きが求められるようになりました。
■ 書類作成業務の外部化
これまで一部の不動産業者様が
- 農地転用許可(4条・5条)
- 開発許可申請
- 各種届出書類作成
等を「サービス」や「事務手数料」として対応していたケースについては、今後は行政書士へ正式に依頼する必要があります。
コンプライアンス遵守の観点からも、専門家への業務委託が重要となっています。
まとめ
現在の不動産業界における法改正の本質は、
「これまで慣例的に行われていた事務作業が、法的に明確な専門業務として再定義された」
点にあります。
その結果、
- 行政手続きは行政書士へ
- 不動産取引は不動産業者へ
という役割分担がより明確化されつつあります。
今後は、不動産業者様と行政書士が連携することにより、顧客に対してより適切かつ法令遵守されたサービス提供が可能となります。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
TEL:096-385-9002
空き家対策、相続手続き、許認可申請など、不動産に関する行政手続きについてお気軽にご相談ください。
