
外国人が派遣会社で働く場合の「就労ビザ申請」手続きとポイント
派遣元・派遣先の関係を踏まえた在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請実務
外国人材を日本で受け入れる方法には、企業が外国人を直接雇用するケースだけでなく、労働者派遣事業者(派遣会社)が外国人を雇用し、派遣先企業で就労してもらうケースがあります。
このような派遣形態では、外国人と雇用契約を結ぶ「派遣元」だけを確認すればよいわけではありません。
入管手続きでは、実際に外国人がどの派遣先で、どのような業務に従事するのかが重要な審査対象となります。
特に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格については、出入国在留管理庁が2026年2月に派遣形態についての取扱いを公表し、2026年3月9日申請分から提出書類を変更しています。申請時点で派遣先が確定していない場合は、在留諸申請の許可等を受けることができないと明示されています。
本記事では、行政書士が担当できる「入管・在留資格」の業務に焦点を当て、派遣会社で働く外国人の就労ビザ申請のポイントを解説します。
1.そもそも「派遣」で外国人が働く場合とは?
労働者派遣とは、派遣元事業主が自ら雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働させる仕組みです。
労働者派遣事業を行うには、原則として厚生労働大臣の許可が必要です。
外国人については、一般の日本人派遣労働者と異なり、さらに「その外国人が保有する在留資格で、派遣先における具体的な仕事が認められているか」を確認する必要があります。
例えば、
- システムエンジニアとしてIT企業へ派遣
- 通訳・翻訳担当者として企業へ派遣
- 海外取引・貿易業務担当者として企業へ派遣
- 技術系人材として専門的な業務を行う企業へ派遣
などの場合、「技術・人文知識・国際業務」の該当性を検討することになります。
重要なのは、「派遣会社が外国人を雇用しているから、その会社の事業内容だけで判断される」というわけではないことです。
派遣先で実際に何をするのかを具体的に確認する必要があります。
2.派遣形態の就労ビザで最も重要なのは「派遣先」
派遣形態の在留資格申請では、派遣元だけでなく派遣先企業と派遣先での具体的な業務内容が重要になります。
出入国在留管理庁も、派遣形態で「技術・人文知識・国際業務」をもって就労する場合について、派遣元だけでなく派遣先についても、申請人の業務内容や活動状況を直接確認する場合があるとしています。
したがって、申請前に次のような事項を整理することが重要です。
派遣先について確認する事項
- 派遣先企業の名称・所在地
- 派遣期間
- 派遣先での所属部署
- 具体的な職務内容
- 外国人本人の担当業務
- 必要とされる専門知識・技術
- 外国人本人の学歴・専攻・職歴との関連性
- 派遣元と派遣先との契約関係
- 派遣先における指揮命令関係
単に「事務」「IT関係」「営業」「技術職」などと記載するだけでは、在留資格との適合性を十分に説明できない場合があります。
「誰が、どこで、何の仕事を、どのような専門性を使って行うのか」を具体化することが重要です。
3.2026年3月9日から特に注意したい「派遣先未確定」
派遣形態の就労ビザ申請で、現在特に注意したいポイントがあります。
それが、申請時点で派遣先が確定している必要があるという点です。
出入国在留管理庁は2026年2月公表の取扱いで、派遣形態の場合、申請時点で派遣先が確定していなければ在留諸申請の許可等を受けることができないと明示しています。
そのため、
「まず外国人を採用して在留資格を取得し、許可後に派遣先を探す」
という考え方には注意が必要です。
派遣元企業として外国人を採用する場合には、在留資格申請の段階から、実際の派遣先と仕事内容を具体的に固めておくことが重要になります。
4.「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事なのか?
派遣先が決まっていても、その仕事内容が在留資格に該当しなければ許可されません。
「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な知識・技術や外国の文化・感性等を必要とする一定の業務を対象とする在留資格です。
出入国在留管理庁は、2026年4月にも「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について、許容される活動や具体的事例等を更新しています。
例えば、
- システムエンジニア
- プログラマー
- 技術開発
- 通訳・翻訳
- 海外取引業務
- 貿易業務
- 経理・財務等の専門業務
- 外国人顧客を対象とした一定の専門的業務
などは、具体的な仕事内容や本人の経歴等を踏まえて該当性を検討します。
一方で、単純な補助作業や、専門的知識・技術を必要としない業務を中心とする場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当しない可能性があります。
したがって、派遣会社から、
「この人をこの派遣先に出したいのですが、ビザは取れますか?」
と相談を受けた場合には、まず派遣先で実際に行う業務の内容を確認することが出発点となります。
5.外国人本人の「学歴・専攻・職歴」と仕事内容の関連性
在留資格申請では、会社側の事情だけでなく、外国人本人の経歴も重要です。
例えば、大学で情報工学を専攻した外国人がITエンジニアとして派遣される場合と、専門分野との関連性が乏しい業務に派遣される場合では、申請上の説明が異なります。
そのため、行政書士が入管手続きを行う際には、
外国人本人の経歴
↓
派遣先での具体的業務
↓
在留資格「技術・人文知識・国際業務」への該当性
という流れで整理していきます。
単に履歴書を提出するだけではなく、**「なぜこの外国人が、この仕事を担当することができるのか」**を資料上明確にすることがポイントです。
6.派遣期間と「在留期間」にも注意
2026年の出入国在留管理庁の取扱いでは、派遣形態で就労する場合、派遣契約期間に応じた在留期間が決定されることが明示されています。
したがって、
「派遣会社との雇用契約が長期だから問題ない」
と考えるだけでは不十分です。
入管では、派遣元との雇用関係だけでなく、具体的な派遣契約や派遣先での活動の継続性も確認されます。
派遣形態の場合は、直接雇用よりも関係資料が増えやすいため、申請前の書類確認が重要です。
7.派遣形態の就労ビザ申請で準備する資料
具体的な提出資料は申請内容や企業のカテゴリー等によって異なりますが、一般的には次のような資料を確認します。
派遣元に関する資料
- 会社概要
- 登記事項に関する資料
- 事業内容を確認できる資料
- 雇用契約書等
- 外国人本人の採用経緯に関する資料
派遣先に関する資料
- 派遣先企業の情報
- 派遣先との労働者派遣契約に関する資料
- 派遣期間
- 配属部署
- 職務内容
- 組織図等
外国人本人に関する資料
- パスポート
- 在留カード(在留資格変更・更新等の場合)
- 履歴書
- 卒業証明書
- 成績証明書等
- 職歴を証明する資料
そして最も重要なのが、派遣先での具体的な仕事内容を説明する資料です。
8.行政書士法人塩永事務所ができる業務
ここで、行政書士と社会保険労務士の業務範囲について明確にしておきます。
行政書士法人塩永事務所が担当するのは、主として入管・在留資格に関する行政手続きです。
具体的には、
行政書士が担当する入管業務
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 就労資格に関する事前相談
- 派遣先での業務内容と在留資格の該当性の確認
- 入管提出用の申請書類の作成
- 理由書・説明書等の作成
- 派遣元・派遣先に関する資料の整理
- 申請取次行政書士による入管への申請取次
- 在留資格申請に関する入管対応
などです。
つまり、行政書士法人塩永事務所では、
「この外国人を、この派遣先で、この仕事に従事させる場合、どの在留資格が必要なのか」
という入管・在留資格の側面からの確認と申請手続きをサポートします。
9.社会保険労務士との業際には注意が必要です
一方で、外国人を派遣する場合には、入管手続きだけでなく、労働・社会保険、労働者派遣法、雇用管理などの問題も発生します。
これらは行政書士の入管業務とは別の領域です。
厚生労働省は、社会保険労務士について、労働・社会保険に関する書類の作成・提出代行、労務管理や労働保険・社会保険に関する相談等を行う専門家と説明しています。
したがって、行政書士が行う業務と社会保険労務士の業務を混同しないことが重要です。
行政書士の領域
入管・在留資格
- 在留資格の該当性確認
- 在留資格認定
- 在留資格変更
- 在留期間更新
- 入管提出書類の作成
- 入管への申請取次
- 外国人の就労内容に関する入管向け説明
社会保険労務士の領域
労働・社会保険・労務
- 労働保険・社会保険手続
- 労務管理
- 就業規則等の労務関係書類
- 社会保険・労働保険に関する手続・相談
- 労働関係法令に関する一定の業務
- 給与計算等の社労士業務
このように、「外国人だから全部行政書士が担当する」というわけではありません。
外国人の在留資格・入管手続きは行政書士、労働・社会保険・労務管理は社会保険労務士というように、専門領域を分けて対応することが適切です。
10.「就労ビザ」と「労務手続き」は別問題
外国人を派遣する企業からは、
「就労ビザが取れれば、外国人を派遣して働かせても問題ないですか?」
という質問を受けることがあります。
しかし、在留資格の許可と、労働者派遣に関する法令上の適法性は別問題です。
入管から「技術・人文知識・国際業務」の許可を受けたとしても、労働者派遣法や労働関係法令への対応が不要になるわけではありません。
逆に、労働者派遣事業として適法に運営していたとしても、その外国人の在留資格で派遣先の業務が認められるとは限りません。
したがって、
入管上の適法性
+
労働・社会保険上の適法性
+
労働者派遣法上の適法性
をそれぞれ確認する必要があります。
労働者派遣事業そのものについては、厚生労働省が許可制度や事業運営に関する最新の業務取扱要領・マニュアルを公表しています。
11.行政書士法人塩永事務所にご相談いただきたいケース
次のような場合は、派遣開始前に在留資格の確認をおすすめします。
- 外国人を派遣会社で採用したい
- 外国人を新たに派遣先へ派遣したい
- 留学生を派遣会社で採用して就労させたい
- 「技術・人文知識・国際業務」で派遣できるか確認したい
- 派遣先の仕事内容が在留資格に該当するか確認したい
- 派遣先が変更になった外国人について手続きが必要か知りたい
- 在留期間更新時に派遣契約について説明したい
- 派遣形態で在留資格変更申請をしたい
- 入管から追加資料の提出を求められた
- 以前の申請で不許可になった
特に現在は、申請時点で派遣先を確定させることが重要になっています。
「とりあえず採用してから派遣先を決める」という進め方ではなく、入管申請を見据えて派遣先・業務内容・契約関係を整理しておくことが大切です。
12.行政書士法人塩永事務所の外国人就労ビザサポート
行政書士法人塩永事務所では、申請取次行政書士として、外国人の在留資格・入管手続きをサポートしています。
派遣形態の場合は、単に外国人本人の書類だけを確認するのではなく、
派遣元
↓
外国人本人
↓
派遣先
↓
具体的な仕事内容
↓
在留資格の該当性
という関係を整理した上で、入管に提出する資料を準備することが重要です。
特に「技術・人文知識・国際業務」の派遣については、2026年3月9日以降の取扱いを踏まえた確認が必要です。申請時点で派遣先が確定しているか、派遣先での具体的な業務が在留資格に該当するか、派遣期間や契約関係をどのように説明するかなどを、申請前に確認しておきましょう。
外国人の派遣・就労ビザ申請は「派遣先の仕事内容」から確認を
外国人を派遣会社で雇用する場合、重要なのは「派遣会社で外国人を雇った」という事実だけではありません。
実際にどの派遣先で、どのような業務を行うのか。
そして、
その業務が外国人本人の学歴・専攻・職歴等と関連し、申請する在留資格で認められる活動なのか。
ここを具体的に確認することが、派遣形態の在留資格申請では非常に重要です。
行政書士法人塩永事務所では、入管・在留資格に関する行政書士業務に専門領域を明確に置き、外国人の採用から在留資格申請までをサポートしています。
一方、労働・社会保険・労務管理等については、社会保険労務士等の専門家との連携を含め、適切な専門領域で対応することが重要です。
「この派遣先の仕事で就労ビザを取得できるのか?」
「派遣先が決まったが、どの在留資格で申請すればよいのか?」
「外国人を派遣する前に、入管上の問題がないか確認したい」
このような場合は、派遣開始・採用開始の前に行政書士法人塩永事務所へご相談ください。
初回相談から、派遣元・派遣先・外国人本人の状況を確認し、在留資格の該当性と必要な入管手続きを整理します。
