
【熊本】産業廃棄物収集運搬業許可・古物営業許可・金属くず関係・有害使用済機器保管等届出まとめ
―リサイクル・スクラップ・買取ビジネスを熊本で始める・続ける事業者様へ―
こんな事業者様は、この記事を最後までご確認ください
- 建設現場や工場から出る産業廃棄物を、他社に代わって収集・運搬している(または始めようとしている)
- 中古品・不用品の買取・販売をしている、またはネット物販で継続的に仕入れ・販売をしている
- 銅線・銅製品などの金属スクラップを買い取っている(ヤード業・スクラップ業・解体業を含む)
- 使用済みのエアコン・テレビ・パソコンなどを「まだ使える」「価値がある」として買取・回収している
これらの事業は、複数の許可・届出が同時に必要になることが非常に多い分野です。特に金属スクラップの買取に関しては、2026年6月1日から全国一律の新しい届出制度がスタートしており、既に営業している事業者は2026年8月31日までに届出を済ませなければ罰則の対象になります。「うちは関係ない」と思っていても、実は対象になっているケースが少なくありません。少しでも心当たりのある方は、記事の最後の連絡先までお気軽にご相談ください。
はじめに
金属スクラップや使用済家電、中古品の買取・リサイクルを事業として営む場合、実は一つの許認可だけでは足りないケースが少なくありません。
熊本県内で、
- 建設現場や工場から出る産業廃棄物を集めて運ぶ
- 中古品・不用品を買い取って販売する
- 銅線などの金属くずを買い取る
- 使用済みの家電・OA機器などを有価物として回収・保管する
といった事業を行おうとすると、扱う品目や事業形態によって、産業廃棄物収集運搬業許可(熊本県知事許可)・古物商許可(熊本県公安委員会)・特定金属くず買受業の届出(都道府県公安委員会・全国共通の新制度)・有害使用済機器保管等届出(都道府県・熊本市) のうち、複数の手続きが同時に必要になることがあります。
しかも、これらは「一度取れば終わり」ではありません。更新・変更届・帳簿の備付け・保管基準の遵守など、事業を続ける限り継続的な対応が求められ、対応を怠ると営業停止命令や罰則の対象になり得ます。
本記事では、それぞれの制度の概要と熊本県における実務上のポイントを整理してご説明します。特に金属くず関係については、2026年6月1日に全国一律の新しい届出制度(金属盗対策法)が施行されたばかりで、既存事業者の届出の経過措置期限(2026年8月31日)が目前に迫っていますので、該当する可能性のある事業者様は特にご注意ください。
まず全体像をつかみたい方は、次の早見表をご覧ください。
| 制度 | 主な対象 | 所管・届出/申請先(熊本) | 性質 |
|---|---|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業許可 | 他人の産業廃棄物を収集・運搬する事業者 | 熊本県知事(熊本市域は熊本市長) | 許可制 |
| 古物商許可 | 中古品・不用品を継続的に買取・販売する事業者 | 熊本県公安委員会(管轄警察署) | 許可制 |
| 特定金属くず買受業の届出 | 銅を中心とする金属くずを買い取る事業者(全国共通・2026年6月1日〜) | 都道府県公安委員会(熊本県警察) | 届出制 |
| 有害使用済機器保管等届出 | 使用済みのエアコン・家電等を有価物として保管・処分する事業者 | 熊本県循環社会推進課/熊本市 | 届出制 |
1.産業廃棄物収集運搬業許可(熊本県知事許可)
制度の概要
建設現場や工場、事業所などから排出される産業廃棄物を、他人の委託を受けて収集・運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。排出事業者は自らの廃棄物を自ら処理するか、許可を受けた業者に委託しなければならないと定められており、無許可の業者へ委託した場合は排出事業者側も責任を問われます。
熊本県内で発生した産業廃棄物を運搬する場合は熊本県知事(熊本市内は熊本市長)の許可が必要です。さらに、県外の処分場へ運搬する場合は、運搬先の都道府県知事の許可も別途必要になる点に注意が必要です(例:熊本県内で発生した産業廃棄物を福岡県内の処分場へ運ぶ場合は、熊本県・福岡県双方の許可が必要)。
主な要件・必要書類
- 申請者本人または法人の役員が、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会(新規許可申請の場合は新規講習、更新の場合は更新講習)を受講し、修了証を取得していること
- 事業計画の概要を記載した書類
- 運搬車両の写真・車庫の配置図・付近の見取図・運搬容器の仕様書などの事業用施設に関する書類
- 施設の使用権原を証する書類(自己所有の場合は登記事項証明書等、賃借の場合は賃貸借契約書・使用承諾書等)
- 財務内容に関する書類(決算書等。財務状況によっては追加資料が必要な場合あり)
- 欠格事由(成年被後見人・被保佐人、破産者で復権を得ていない者等に該当しないこと)に関する誓約書
積替え保管を伴う場合は、施設に関する基準がさらに加わり、審査もより慎重に行われます。また、廃油・廃酸・感染性廃棄物等の特別管理産業廃棄物を扱う場合は、通常の産業廃棄物収集運搬業とは別に特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
熊本県における実務上のポイント
- 申請先は、個人・法人を問わず熊本県知事です(熊本市内・熊本県外の事業者は県庁循環社会推進課、それ以外は事業場を管轄する保健所が窓口です)。
- 申請は窓口受付・郵送受付のいずれも可能ですが、いずれの場合も事前に申請日時の予約が必要です。予約から実際の申請日まで1〜2か月先になることが多いため、余裕をもったスケジュールで動く必要があります。
- 更新許可申請と変更許可申請、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の許可申請(届出)等、複数の申請(届出)を同時に行う場合は、共通する添付書類の一部省略が認められる制度があります。うまく活用すれば書類準備の手間を減らせます。
- 優良認定(事業の透明性、環境配慮の取り組み、財務体質の健全性、電子マニフェストの導入状況などを審査する制度)を受けている事業者は、更新申請時に一部書類の添付を省略できる場合があります。
- 申請手数料は熊本県収入証紙で納付します(県庁地下の売店等で購入できます)。
窓口予約・書類作成・講習受講のスケジュール調整など、初めて申請する事業者にとっては手間のかかる工程が多く、書類不備があると審査が長引き、事業開始が遅れてしまいます。「いつまでに許可を取りたいか」から逆算したスケジュール管理が、スムーズな許可取得の鍵です。お困りの際は早めにご相談ください。
2.古物営業許可(熊本県公安委員会)
制度の概要
中古品を仕入れて販売する、中古品を買い取って修理・加工のうえ販売する、ネットオークションやフリマサイトを通じて中古品を継続的に売買するといった営業を行う場合には、古物営業法に基づく古物商許可が必要です。自分が使用していた物・使用するために購入したが未使用の物を単に販売するだけであれば許可は不要ですが、営利目的で反復継続的に他人から買い取って売る場合は許可の対象になります。
主な必要書類
- 許可申請書(別記様式第1号。法人の役員が複数いる場合は継続用紙が必要)
- 略歴書、誓約書(申請者本人・営業所の管理者・法人の場合は役員全員分)
- 住民票の写し(本籍地記載のもの)
- 身分証明書(本籍地の市区町村が発行するもので、運転免許証等の本人確認書類とは別のもの)
- 法人の場合は定款の写し・登記事項証明書
- URLを使用して取引を行う場合は、そのURLの使用権限を疎明する資料
- 営業所の賃貸借契約書の写し(賃借の場合)
熊本県における実務上のポイント
- 申請先は、営業所の所在地を管轄する警察署(熊本県公安委員会)です。窓口への持参が原則で、郵送申請は基本的にできません。
- 申請手数料は19,000円で、熊本県収入証紙で納付します。
- 標準処理期間は、申請受理後おおむね40日(土日祝日を除く)です。書類の不備・添付漏れ、その他特段の調査を要する場合には、この期間より延びることがあります。
- 取り扱う古物の品目(美術品類、衣類、機械工具類など13品目)や、店舗型・インターネット型などの営業形態を、事業計画書に具体的に記載する必要があります。
- 欠格事由(一定の前科がある場合、暴力団員等に該当する場合など)に該当しないかが審査されるため、事前に警察署へ相談したうえで書類を準備すると、受理から交付までがスムーズです。
古物商許可を取得していても、次に説明する金属くず関係の届出義務が別途生じる場合がある点にはご注意ください。両者は制度上まったく別の枠組みだからです。
3.金属くず関係(熊本県における現状と2026年6月施行の新制度)※特に重要
熊本県には現在「金属くず条例」がない
かつて多くの道府県には、古物営業法の対象とならない金属くず(本来の用途で使用されない金属塊・金属製品等)の売買を規制する独自の条例(いわゆる「金属くず条例」「金属くず営業条例」)が存在していました。熊本県にもかつて「金属屑取扱業に関する条例」がありましたが、平成12年(2000年)に廃止されており、現在、熊本県には金属くず取扱業を独自に規制する条例はありません。
そのため熊本県内では、古物営業法の対象にならない金属くず(例えば、被覆のない古銅線、金属原材料など)の売買について、長らく県独自の許可・届出制度の対象外という状態が続いていました。
2026年6月1日、全国一律の新制度がスタート
こうした「条例のある自治体とない自治体で規制に差がある」状況や、太陽光発電設備の銅線ケーブル、道路のグレーチング・マンホールなどの金属盗被害が全国的に急増している状況を受けて、2025年6月20日に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(通称:金属盗対策法)が公布され、2026年6月1日に全面施行されました(犯行用具の隠匿携帯禁止など一部規定は2025年9月1日から先行施行済みです)。
この法律により、熊本県を含む全国すべての都道府県で、次のような規制が統一的に適用されることになりました。
- 対象となるのは「特定金属くず」です。現時点で法律上の「特定金属」は銅のみとされており、重量または価格の2分の1以上を銅が占める金属くずが対象になります(新品製造過程で生じる金属くずや、古物営業法上の古物に該当するものは対象外です)。
- 特定金属くずの買受けを営業として行う者(特定金属くず買受業者)は、営業所ごとに、氏名・住所等をその営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(熊本県の場合は熊本県警察)へ届け出る必要があります。
- 届出は許可制ではなく届出制で、行政手数料は無料です。
- 買受けの相手方について、運転免許証・マイナンバーカード・在留カードなどによる本人確認を行うことが義務付けられます。
- 買受けの相手方の氏名や取引内容等を記録し、一定期間保存する義務があります。
- 盗品に由来する疑いがある特定金属くずの持ち込みがあった場合、警察官へ申告する義務があります。
- 届出をせずに営業を行った場合は、拘禁刑または罰金という刑事罰の対象となります。
【重要】熊本県内の既存事業者は8月31日までに届出を
制度の施行日(2026年6月1日)時点ですでに特定金属くず買受業を営んでいる事業者については、経過措置として一定の猶予期間が設けられており、2026年8月31日までに届出を完了させる必要があります。本記事執筆時点(2026年8月)はまさにこの経過措置期限の直前にあたります。「知らなかった」では済まされない制度ですので、該当しうる事業者様は今すぐご確認ください。
- 古物商許可や産業廃棄物処理業許可を既に取得していても、取り扱う品目が「特定金属くず」に該当する場合は、それらとは別に本届出が必要です(他の許可・届出を持っているから不要、ということにはなりません)。
- 届出は営業所ごとに行うのが原則ですが、都道府県内に複数の営業所がある場合は、いずれか一つの営業所を管轄する警察署にまとめて届出できる運用となっているケースが多く見られます(具体的な運用は熊本県警察への確認が必要です)。
- 対象となる金属は現時点では銅(および銅を主体とする合金・製品)に限定されていますが、今後、政令改正により対象金属が追加される可能性があります。
自社の取扱品目が「特定金属くず」に該当するかどうかの判断は、実務上迷いやすいポイントです。鉄・アルミくずなど銅以外の金属を主に扱っている場合や、他社から加工委託を受けて生じた金属くずを扱っている場合など、個別の事情によって判断が分かれることがあります。「うちは古物商許可を持っているから大丈夫」と自己判断される前に、一度専門家にご確認いただくことを強くお勧めします。
4.有害使用済機器保管等届出(廃棄物処理法)
制度の概要
エアコン、テレビ、冷蔵庫、パソコンなど、鉛・水銀・特定のフロン類などを含む使用済みの家電・機器(有害使用済機器)は、廃棄物として処分される場合は廃棄物処理法の規制対象ですが、有価物として売買され再資源化ルートに乗る場合は、従来は廃棄物処理法の直接の規制対象になっていませんでした。
しかし、不適正な野積み保管や不法投棄まがいの取扱いが社会問題となったことを受け、平成30年(2018年)4月1日施行の改正廃棄物処理法により、「有害使用済機器」の保管・処分を業として行おうとする事業者に、都道府県知事等への事前の届出が義務付けられました(廃棄物処理法第17条の2)。
対象となる機器・行為
対象となる機器は政令で個別に指定されており、代表的なものとして、
- エアコン
- テレビ(ブラウン管式・液晶・プラズマ式)
- 電子レンジ
- 衣類乾燥機
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機
- パーソナルコンピュータ
- 電気温水器
- 換気扇(電気モーター使用のもの)
- 浴室用電気機器
- 体重計(電気式)
などが挙げられます(対象品目は法令上細かく定義されているため、個別の判断が必要です)。
これらの機器を、有価物として買い取ったり回収したりしたうえで、保管・処分(解体・破砕等)を業として行おうとする場合、原則として事業を開始する10日前までに、事業場を管轄する都道府県(熊本市内の場合は熊本市)へ届出を行う必要があります。
届出が不要となるケース
産業廃棄物処理業(収集運搬業・処分業)の許可など、既に一定の許可を受けている事業場については、適正な保管が見込まれることから、本制度上の届出が不要とされる場合があります。ただし、この場合でも有害使用済機器保管等の基準に準じた適正な取扱いは求められます。
熊本県・熊本市における窓口
- 熊本市内に事業場がある場合:熊本市(環境局)
- 熊本市を除く熊本県内、または県外の事業者が熊本県内で事業を行う場合:熊本県環境生活部循環社会推進課
届出後も、事業場ごとに帳簿を備え、有害使用済機器の保管・処分・再生の内容(受入量、種類、保管の状況等)を毎月記録し、1年ごとに閉鎖した帳簿を5年間保存する義務があるなど、継続的な管理体制の整備が求められます。保管基準(囲いの設置、高さ制限、火災予防措置など)についても、適正な取扱いが求められる点にご注意ください。
5.複数手続きを一体的に進める必要性
ここまで見てきたとおり、金属スクラップや使用済家電を取り扱うリサイクル・買取事業では、
- 産業廃棄物としての性質を帯びるものを扱えば産業廃棄物収集運搬業許可
- 中古品としての性質を帯びるものを扱えば古物商許可
- 銅を中心とした特定金属くずを買い取れば特定金属くず買受業の届出
- 有害使用済機器に該当する家電・機器を有価物として保管・処分すれば有害使用済機器保管等届出
というように、同じ「金属・家電の買取」という事業であっても、取扱品目や取引形態によって適用される制度が重なり合うことが少なくありません。どれか一つの許可・届出だけで安心してしまうと、後になって別の制度の未届出・無許可状態が発覚し、営業停止命令や罰則の対象となるリスクがあります。
よくあるご質問
Q. 古物商許可も産廃収集運搬業許可も持っています。それでも金属くずの届出は必要ですか? A. 必要になる可能性があります。特定金属くず買受業の届出は、古物商許可や産業廃棄物処理業許可とは別の制度です。取り扱う品目に銅を主体とする金属くずが含まれる場合は、既存の許可の有無にかかわらず届出が必要です。
Q. うちは鉄くず・アルミくずが中心で銅はほとんど扱いません。それでも対象ですか? A. 現時点の法律では「特定金属くず」は銅(および銅を主体とするもの)に限定されています。ただし、混在して銅製品を含む金属くずを買い取っている場合など、判断に迷うケースは多く見られます。取扱品目を整理したうえで個別に確認することをお勧めします。
Q. すでにいくつか手続きを進めていますが、どこまで進んでいるか自分たちでは把握しきれていません。 A. よくあるご相談です。現状の許可・届出状況を一度洗い出したうえで、不足している手続きを整理するところからサポートいたします。
行政書士法人塩永事務所へご相談ください
行政書士法人塩永事務所は、国(経済産業大臣等)の認定を受けた「認定経営革新等支援機関」として、単なる許認可申請の代行にとどまらず、事業者様の事業内容・取扱品目・取引形態を丁寧にヒアリングしたうえで、
- 産業廃棄物収集運搬業許可(新規・更新・変更)の申請サポート
- 古物商許可の申請サポート
- 2026年6月施行の特定金属くず買受業の届出(既存事業者の経過措置期限対応を含む)
- 有害使用済機器保管等届出の要否判断・届出サポート
など、必要な手続きを漏れなく一体的に整理し、事業計画に沿った形でサポートいたします。
「自社がどの制度の対象になるのか分からない」「複数の手続きが必要そうだが、何から手を付ければよいか分からない」「8月31日の届出期限に間に合うか不安」――そうした段階からのご相談を歓迎しております。まずは現状の事業内容をお聞かせください。お電話またはお問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺一丁目9番6号
TEL:096-385-9005(平日 9:00~18:00)
※特定金属くず買受業の届出については経過措置期限が迫っております。該当する可能性のある事業者様は、お早めにお問い合わせください。
