
小型焼却炉を持っている事業者の方へ
ダイオキシン類特別措置法の届出、きちんと済んでいますか?
「処理業者に任せているから大丈夫」と思われがちなこの問題。じつは炉を設置・使用している事業者自身に義務が生じます。
農業法人、食品工場、動物病院、建設業者など、事業活動のなかで焼却炉を使っている方から、「なんとなく届出が必要とは聞いたが、何をどこに出せばいいのかわからない」というご相談をよく受けます。
ダイオキシン類対策特別措置法(以下「ダイオキシン法」)は、焼却炉の規模に応じた排出基準と届出義務を定めており、未届出のまま稼働していると行政指導・改善命令・最終的には罰則の対象になることもあります。この記事では、熊本の認定経営革新等支援機関でもある塩永行政書士法人が、実務の目線で要点を整理します。
そもそも「ダイオキシン法」とは何か
1999年(平成11年)に制定されたダイオキシン類対策特別措置法は、廃棄物焼却等で発生するダイオキシン類の大気・水・土壌への排出を規制し、国民の健康を守ることを目的とした法律です。廃棄物処理法や大気汚染防止法とは別立ての規制体系であることに注意が必要です。
焼却炉については「特定施設」として指定を受けるものがあり、都道府県知事(政令市では市長)への届出が義務づけられています。熊本県内の場合、窓口は熊本県環境局(または各保健福祉環境事務所)となります。
どのような焼却炉が届出対象になるのか
ダイオキシン法が規制する「廃棄物焼却炉」は、廃棄物(産業廃棄物・一般廃棄物を問わず)を焼却する設備で、一定の火格子面積や焼却能力を持つものです。具体的には以下の基準が届出のトリガーになります。
| 判定基準 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 火格子面積 | 0.5㎡以上 | 炉床(火格子)の実面積で判定 |
| 焼却能力 | 50kg/h以上 | 1時間あたりの処理能力 |
| 廃棄物の種別 | 産廃・一廃を問わない | 自社発生分のみの焼却も含む |
届出が必要になるタイミング
届出義務が生じる主な場面は次の三つです。それぞれ期限が異なるので注意が必要です。
届出に必要な書類
届出書類は条例や地域によって若干異なる場合がありますが、熊本県での標準的な構成は以下のとおりです。
| 書類名 | 内容・備考 |
|---|---|
| 特定施設設置(使用)届出書必須 | 所定様式。施設の名称・所在地・代表者等を記入 |
| 施設の構造等に関する書類必須 | 焼却炉の図面・仕様書(火格子面積・焼却能力を明記したもの) |
| 排ガス処理設備に関する書類必須 | 集じん器・洗煙設備等の仕様。設備がない場合は理由書 |
| 位置図・平面図必須 | 施設の設置場所を示した地図と、敷地内の配置図 |
| 排出ガスの測定結果状況による | 既存炉の変更届等では測定データの添付が求められることがある |
| 登記事項証明書等状況による | 法人の場合、登記内容の確認のために求められる場合がある |
よくある失敗と、見落としがちなポイント
実際に相談を受けるなかで多いのが、次のような勘違いです。
- 「廃棄物処理法の許可を取っているからダイオキシン法の届出は不要」——両法律は別物です。廃棄物処理法の収集運搬・処分業許可を持っていても、ダイオキシン法の届出は別途必要です。
- 「以前の事業者が届出していたはず」——事業を引き継いだ場合、前の事業者の届出は承継されません。承継届または新規届出が必要です。
- 「農業廃棄物(稲わら等)を燃やしているだけ」——廃棄物に該当するかどうかは使用状況によります。農業系副産物でも廃棄物として処理している場合は対象となりえます。
- 「もう使っていない炉がある」——使用を停止しているが廃止届を出していない状態は、法的にはまだ届出施設として存在しています。ご自身の把握外で未届出炉が残っていないか確認が必要です。
- 「自分で様式を探してみたが、古い様式を使ってしまった」——都道府県や市の窓口によって最新様式が変わっていることがあります。提出前に最新版を確認するか、専門家に依頼するのが確実です。
排出基準の遵守と定期測定
届出をして終わり、ではありません。ダイオキシン法は、特定施設の設置者に対して排ガス中のダイオキシン類濃度を年1回以上測定し、記録・保存することを義務づけています。
測定は都道府県知事が指定した計量証明事業者(登録測定機関)に委託します。測定結果が排出基準を超えた場合は、速やかに改善措置を講じ、行政へ報告する義務が生じます。測定記録は3年間保存が必要で、立入検査の際に提示を求められることがあります。
届出を怠った場合・基準超過の場合のリスク
ダイオキシン法違反の主なリスクは次のとおりです。行政手続きを踏んだうえで、最終的に刑事罰に至る場合もあります。
- 行政指導・報告徴収:まず知事等から指導・是正指示が行われます。
- 改善命令・使用停止命令:指導に従わない場合、施設の改善または使用停止を命じられます。
- 罰則(刑事罰):届出義務違反は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」(法人の場合は両罰規定で法人にも罰金)が規定されています。
- 許可取消・業務停止:産廃処理業許可を持つ事業者の場合、廃棄物処理法上の欠格事由にもかかわる可能性があります。
塩永行政書士法人にご相談いただける内容
塩永行政書士法人は、熊本市に拠点を置く認定経営革新等支援機関です。環境関連の許認可・届出の分野では、廃棄物処理業許可・産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度への対応、大気汚染防止法・水質汚濁防止法に基づく届出など、幅広い実績があります。
ダイオキシン法に関する届出サポートとして、以下の業務を承っています。
- 焼却炉の仕様確認と届出要否の判断(無料相談にて対応)
- 新規設置届出書・変更届出書・廃止届出書の作成と提出代行
- 承継手続き(事業譲渡・合併・相続に伴う届出)
- 測定義務の確認と委託先(測定機関)の紹介
- 既存施設の過去の届出状況の整理と行政との事前協議
- 廃棄物処理法・大気汚染防止法との整合確認
※ ダイオキシン法届出に関するご相談・書類作成のご依頼はお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
※ 熊本県内全域のほか、九州各県からのご相談も受け付けています。
