
経営のバトンを次世代へ。事業承継・M&A補助金で熊本の未来をつなぐ
経営者の想いを次世代へ引き継ぐこと、あるいは地域に根ざした事業を新たに受け継ぐことは、熊本の雇用と地域経済を守るうえで重要な経営戦略です。
2026年度の「事業承継・M&A補助金」は、親族内承継・従業員承継・M&A・PMI・廃業再チャレンジを一体的に後押しする制度として公募されています。
制度の全体像
14次公募の正式な位置づけは、「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金」です。
この補助金は、事業の引継ぎ前、M&A実行時、承継後の統合、やむを得ない廃業後の再出発までを支える仕組みです。
熊本の中小企業・小規模事業者にとっては、単なる資金調達ではなく、承継を実現するための実務支援として活用できるのが特徴です。
4つの申請枠
14次公募では、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠の4枠が用意されています。
なお、PMI推進枠はさらに「PMI専門家活用類型」と「事業統合投資類型」に分かれます。
自社がどの段階にあるかを先に整理すると、申請枠の選定がぶれにくくなります。
2026年度の重要ポイント
14次公募の大きな特徴は、賃上げ実施による補助上限の引上げと、M&A実務に沿った経費設計です。
また、申請対象や対象外要件が公募要領でかなり具体的に整理されており、形式要件の確認が以前より重要になっています。
補助上限の拡充
事業承継促進枠では、通常の補助上限は800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円まで引き上げられます。
PMI推進枠の事業統合投資類型でも、同様に賃上げ要件を満たせば上限が800万円から1,000万円に上がります。
専門家活用枠の買い手支援類型では、100億企業要件を満たす場合に最大2,000万円の特例が設けられています。
小規模案件にも対応
専門家活用枠は、M&Aの規模が大きくなくても利用しやすいように設計されています。
熊本の飲食店、小売店、整骨院、建設業、製造業など、地域に根ざした小規模案件でも活用の余地があります。
売り手側についても、赤字や営業利益率の低下など一定の事情がある場合は、補助率の面で配慮があります。
廃業支援の位置づけ
M&Aが成立しない場合や、承継に伴って一部を廃業する場合でも、廃業・再チャレンジ枠で費用を補助できます。
在庫処分、原状回復、解体など、廃業時に負担が重くなりやすい費用を抑えられるため、挑戦しやすい制度です。
「撤退支援」ではなく、「次の事業への再挑戦」を支える制度として理解すると実態に合います。
補助率と補助上限
補助率と上限額は枠ごとに異なり、さらに賃上げや小規模事業者該当の有無で変動します。
公募要領では、補助対象経費の契約・発注・納品・検収・支払が、交付決定後かつ補助事業期間内であることが求められています。
経費の時期管理を誤ると、対象外になるため注意が必要です。
申請の流れ
申請は、GビズIDプライムを取得して、Jグランツから電子申請します。
GビズIDプライムは申請・発行に1〜2週間程度、混雑時は3週間程度かかるため、締切直前の取得では間に合わない可能性があります。
2026年の申請受付期間は、2月27日から4月3日17時までと公表されています。
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自社の状況を整理する。
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該当枠を決める。
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GビズIDプライムを取得する。
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必要書類と事業計画を作成する。
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Jグランツで電子申請する。
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採択後、交付申請・実績報告・事業化状況報告へ進む。
必要書類の考え方
必要書類は、申請枠と申請形態で大きく異なります。
共通して重要なのは、法人であれば履歴事項全部証明書と直近3期分の決算書、個人事業主であれば確定申告書や開業届などです。
M&A案件では、最終契約書、株主名簿、クロージング証憑、DD実施証跡が求められます。
事業承継促進枠で重要な資料
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法人なら履歴事項全部証明書、直近3期分の決算書、従業員の労働条件通知書。
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個人事業主なら住民票、確定申告書B、青色申告決算書、開業届など。
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賃上げ上限を希望する場合は、誓約書、表明書、賃金台帳が必要です。
専門家活用枠で重要な資料
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M&A最終契約書と、M&Aの形態に応じた契約書類。
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クロージングが確認できる振込明細や通帳等。
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DDの実施証跡として、業務委託契約書やDDレポート。
PMI推進枠で重要な資料
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PMI推進枠の事業計画書。
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M&A最終契約書、クロージング証憑、対象会社の名簿等。
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PMI実施の証跡や、統合後の投資内容を示す資料。
審査で見られる点
審査では、資格要件だけでなく、事業計画の合理性や地域経済への波及効果が重視されます。
具体的には、事業統合投資の目的と必要性、補助事業期間内に完了可能か、統合効果が本当に見込めるか、財務内容が健全かが確認されます。
熊本の事業者であれば、雇用維持、地場サプライチェーンの維持、地域サービスの継続といった点を丁寧に示すことが重要です。
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設備投資の必要性を具体的に示す。
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承継後の売上、利益、雇用への効果を数値で説明する。
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M&AならPMIまで含めた統合計画を作る。
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廃業枠を使う場合は再挑戦の構想を明確にする。
熊本で活用する意義
熊本では、後継者不足、人材確保、設備更新、地域商圏の縮小といった課題が重なりやすく、事業承継の難度が上がりやすい状況です。
そのため、補助金を単独で考えるのではなく、承継スキーム、許認可、税務、統合後の運営まで含めて設計することが重要です。
建設業、運送業、飲食業、製造業などの許認可業種では、行政手続と資金計画を同時に進めることが成功の鍵になります。
塩永事務所の支援
行政書士法人塩永事務所では、熊本の地域事情に即した事業承継・M&A支援を行い、補助金申請と許認可承継を並行して進める体制づくりを支援できます。
また、申請を行政書士法人に委任する場合の手続や、必要書類の整理、関係士業との連携まで見据えた実務支援が可能です。
水前寺拠点での対面相談を活かし、経営者の想いを事業計画に落とし込む伴走型支援が強みです。
相談のご案内
事業承継・M&A補助金は、制度を知っているだけでは使いこなせません。
自社がどの枠に当たるか、どの経費が対象になるか、承継やM&Aの進め方に補助金をどう組み込むかを早めに整理することが重要です。
熊本で事業承継やM&Aを検討中の経営者様は、申請期限を意識しながら早めに準備を進めることをおすすめします。
