
ハイヤー事業開業ガイド|熊本で都市型ハイヤーの許可申請をお考えの方へ
行政書士法人塩永事務所|熊本の認定経営革新等支援機関
※本稿は、2026年10月末時点で確認できた九州運輸局の公示(令和8年6月11日改正の「法人タクシー事業の申請事案の審査基準」等)に基づく内容です。審査基準や指定地域は改正・見直しされることがあるため、申請前に必ず最新の内容を運輸支局で確認してください。
高級セダンや大型ミニバンなどを使用し、企業役員の送迎、空港送迎、訪日外国人向けの移動サービス、ビジネス関係者の送迎などを行うハイヤー事業。熊本でも、阿蘇くまもと空港を利用する企業関係者や観光客、半導体関連企業への訪問者、海外からの来訪者などを対象とした予約制送迎は、事業展開の選択肢の一つです。
ハイヤー事業を有償で行う場合、原則として道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業の経営許可が必要です。車両を購入して予約を受け付ければ営業できるものではなく、営業区域、営業所、車庫、事業用車両、運転者、運行管理体制、資金計画、損害賠償能力などについて、九州運輸局の審査基準を満たす必要があります。
熊本で始める前に押さえておきたい3つのポイント
- 熊本交通圏(熊本市・合志市・菊陽町・益城町・嘉島町)に営業所を置く場合、最低車両数は10両が基準です。その他の多くの営業区域は5両です。
- 「都市型ハイヤー」という呼称で語られる他地域(東京など)の取扱いを、そのまま熊本に当てはめることはできません。
- 営業区域は市町村単位で細かく定められており、営業所をどこに置くかで審査の前提が変わります(例:大津町は熊本交通圏に含まれません)。
1.ハイヤーとは?熊本での位置づけ
ハイヤーは、予約や契約に基づいて旅客を運送する営業形態です。道路上で乗客を探したり、乗客が手を挙げて乗車したりするタクシーとは異なり、事前の予約・契約に基づいて運送を引き受けます。
- 企業役員・経営者向けの送迎
- 空港とホテル・企業間の送迎
- 海外企業の役員・技術者の移動支援
- 訪日外国人向けの予約制送迎、VIP送迎
- 会議・イベントに伴う送迎、観光地への貸切送迎、時間単位の貸切送迎
1-1.ハイヤーは独立した許可制度ではない
ハイヤーは、道路運送法上、一般乗用旅客自動車運送事業の一形態です。タクシー業務適正化特別措置法では、ハイヤーを、一般乗用旅客自動車運送事業に使用する自動車のうち、運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものと定義しています。「ハイヤー事業」という名称の独立した許可があるわけではありません。
1-2.熊本では「都市型ハイヤー」の特例を前提にできない
九州運輸局の審査基準には、道路運送法施行規則第4条第8項第3号に規定するハイヤーのみを配置して行う事業について、業務の範囲をハイヤー事業に限定する条件を付す旨の規定があります。この「ハイヤー」の区分は、地方運輸局長が指定する地域で、事業計画にタクシーとハイヤーの別ごとの台数を記載するものです。
九州運輸局の公示では、この指定地域は北九州交通圏のみとされています(平成20年公示)。熊本交通圏を含む熊本県内は、公示上、指定地域として確認できません。
- 熊本では、ハイヤー限定を理由に最低車両数が緩和される旨の規定は、公示から確認できませんでした。
- 「ハイヤーなら1台から開業できる」といった情報は、他地域の取扱いである可能性があります。
- 熊本での少数台数開業の可否は、営業区域・営業所の所在地を確定したうえで、熊本運輸支局・九州運輸局に確認する必要があります。
2.ハイヤーとタクシーの違い
| 比較項目 | ハイヤー | タクシー |
|---|---|---|
| 基本的な営業形態 | 予約・契約に基づく運送 | 予約・配車・流し営業等 |
| 運送の引受け | 営業所のみで行う | 営業所のほか、法令上認められた方法で行う |
| 流し営業・街頭での客待ち | 原則としてできない | 地域・営業方法のルールに従って可能 |
| 主な利用者 | 企業・役員・予約客・観光客等 | 一般利用者 |
| 車両の表示 | タクシーの車両表示の取扱いは「ハイヤーを除く」とされている | タクシーの表示規定に従う |
予約制であることを理由に、許可が不要になるわけではありません。自社のウェブサイト、電話、旅行会社、ホテル、企業などを通じて予約を受け付ける場合でも、有償で旅客を運送するのであれば、原則として一般乗用旅客自動車運送事業の許可が必要です。また、ハイヤーとして営業する以上、道路上で不特定の乗客を募集したり、流し営業を行ったりすることは認められません。
3.熊本でのハイヤー事業の許可要件
許可申請では、九州運輸局の「法人タクシー事業の申請事案の審査基準」に基づき、事業計画と経営体制が審査されます。主な項目を、熊本の事情に即して整理します。
3-1.営業区域(熊本県内)
営業区域は事業者が自由に決められず、九州運輸局長が定める区域(交通圏、または原則として市・郡単位)に従います。営業所は、申請する営業区域内に置く必要があります。熊本県内の主な交通圏は次のとおりです。
| 営業区域 | 対象 |
|---|---|
| 熊本交通圏 | 熊本市、合志市、菊池郡のうち菊陽町、上益城郡のうち益城町・嘉島町 |
| 阿蘇交通圏 | 阿蘇市、阿蘇郡 |
| 八代交通圏 | 八代市、八代郡 |
| 天草交通圏 | 上天草市、天草市、天草郡 |
| その他 | 原則として市・郡単位 |
熊本の事業計画で特に注意したい点は次のとおりです。
- 阿蘇くまもと空港は益城町にあり、熊本交通圏に含まれます。
- 半導体関連企業が集積する菊陽町、合志市も熊本交通圏に含まれます。
- 大津町、西原村、御船町、宇土市、宇城市などは熊本交通圏に含まれません。これらに営業所を置く場合は、別の営業区域として扱われ、最低車両数などの前提が変わるため、事前に確認が必要です。
- 黒川温泉(南小国町)や阿蘇エリアは阿蘇交通圏(阿蘇郡)です。
営業区域外の運送には法律上の制限があります。道路運送法第20条により、発地と着地のいずれもが営業区域外にある運送は原則として禁止されています。例えば熊本交通圏の事業者が、空港(区域内)と阿蘇方面を往復する運送は、発地または着地が区域内にあるため成り立ちますが、阿蘇内だけで乗車から降車まで完結する運送はできません。観光周遊の行程を組む際は、発地・着地と営業区域の関係を必ず確認してください。
3-2.営業所
営業所は、運行管理と利用者への営業上の対応を行う拠点です。審査では次の点が確認されます。
- 営業区域内にあること
- 土地・建物について1年以上の使用権原があること(賃貸借は契約期間が概ね1年以上。期間満了時に自動更新されると認められる場合は、1年未満でも認められることがあります)
- 建築基準法・都市計画法・消防法・農地法等の関係法令に抵触しないこと
- 事業計画を遂行するのに足る規模であること
熊本市近郊の菊陽町、合志市、益城町などでは、農地や市街化調整区域に関する規制が問題になることがあります。自宅を営業所にする計画も、直ちに認められるわけではありません。
3-3.自動車車庫
車庫は原則として営業所に併設します。併設できない場合は、遠隔点呼が行われる場合を除き、営業所から直線で2キロメートルの範囲内にあり、運行管理が十分可能であることが必要です。そのほか、次の点が確認されます。
- 配置する事業用自動車の全てを確実に収容できること
- 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること(使用しない時間帯の他用途利用は可)
- 1年以上の使用権原があること
- 点検・整備・清掃のための施設があること
- 車両の出入りに支障がなく、前面道路が車両制限令に抵触しないこと(私道の場合は、通行に係る使用権原を有する者の承諾が原則必要)
- 旅客自動車運送事業用自動車の保管場所に関する九州運輸局の基準に適合すること
営業所や車庫の契約後に要件を満たさないことが判明すると、開業計画に大きな影響が出ます。契約前に、候補地の用途、面積、接道状況、使用権原を確認しておくことが重要です。
3-4.最低車両数(熊本の最大の注意点)
審査基準の別表で、営業区域ごとの最低車両数が定められています。
| 営業所を設置する営業区域 | 最低車両数 |
|---|---|
| 福岡交通圏・北九州交通圏・熊本交通圏・鹿児島市 | 10両 |
| 上記以外の営業区域(阿蘇・八代・天草交通圏など) | 5両 |
- 同一営業区域内に複数の営業所を置く場合は、車両数を合算できますが、いずれの営業所も5両以上の配置が必要です。
- 最低車両数の算定には、一般の需要に応じられない車椅子専用車両等は含まれません。
- 営業所が他に存在しない市町村・営業区域などでは、1両を基準とする例外がありますが、業務範囲を限定する条件が付きます。熊本市周辺でハイヤーを行う場合に使える例外ではありません。
この基準は「通常のタクシー・ハイヤー事業を実施するうえで適切と認められる事業規模」として定められています。熊本交通圏でハイヤーを始める場合は、10両を前提に資金計画・車庫・人員計画を組む必要があります。
3-5.運転者
ハイヤーの運転者には、原則として第二種運転免許が必要です。審査では、事業計画を遂行するに足る員数の有資格運転者を常時選任する計画があること、適切な乗務割・労働時間・給与体系であり、労働関係法令に抵触しないことが確認されます。また、運転者に対して営業区域内の地理や利用者への応接について指導監督する要領と、総括する指導主任者の選任も必要です。
外国人を運転者として採用する場合は、第二種免許の取得に加えて、在留資格上その業務に従事できるかを別途確認する必要があります。
3-6.運行管理・整備管理体制
- 法人の場合、役員のうち1名以上が専従すること
- 営業所ごとに、配置車両数に応じた常勤の有資格運行管理者を確保する管理計画があること
- 運行管理者資格者証の交付を受けた者を選任する場合、九州運輸局長が指定する地域では、申請に係る営業区域で5年以上の実務経験が求められることがあります(熊本交通圏が該当するかは事前に確認してください)
- 運行管理規程、事故防止の教育・指導体制、緊急時の連絡体制、苦情処理体制を整えること
- 乗務員の点呼は、原則として対面で行うこと
- 事業用車両が5両以上の場合は、原則として常勤の有資格整備管理者の選任計画が必要です。熊本交通圏では10両以上が前提のため、この要件に該当します(一定のグループ企業への外部委託の例外あり)。
3-7.休憩・仮眠施設
営業所・車庫付近にあり、事業計画に見合う規模と設備を備え、他の用途の部分と区画されていること、運転者が常時使用できること、1年以上の使用権原があることなどが確認されます。
3-8.資金計画
所要資金は、次の合計額として計算します。
- 車両費:取得価格、またはリースの場合は1年分の賃借料
- 土地費・建物費:取得価格、または1年分の賃借料
- 機械器具及び什器備品:取得価格
- 運転資金:人件費、燃料油脂費、修繕費等の2か月分
- 保険料等:保険料及び租税公課の1年分
- その他:創業費等開業に要する費用の全額
この所要資金の50%以上、かつ事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されている必要があります。預貯金は、申請日時点および処分までの適宜の時点の残高証明書等で確認されます。熊本交通圏では10両以上の車両費が必要になるため、資金規模は小規模な計画とは大きく異なります。
3-9.損害賠償能力
国土交通省告示で定める基準に適合する任意保険または共済に、計画車両の全てが加入する計画が必要です。
3-10.法令遵守・法令試験・社会保険
- 専従する常勤役員1名が、九州運輸局等が行う法令試験に合格する必要があります。
- 申請者・常勤役員が、一定期間内に使用停止処分等を受けていないことなど、法令遵守の要件があります。
- 運輸開始までに、社会保険等の加入義務者が加入することが許可の条件とされます。
3-11.熊本交通圏の需給状況と指定地域制度
タクシー・ハイヤー事業は、供給過剰の地域について新規参入を制限する「特定地域・準特定地域」の制度があります。熊本交通圏は、2009年に特定地域に指定された後、準特定地域への移行(2014年)、再度の特定地域指定(2015年)を経て、2019年に準特定地域に移行しました。その後、2024年10月1日付で準特定地域の指定が解除され、新規参入や増車が可能になりました。
- 特定地域に指定されている営業区域を対象とする申請は、審査基準上、受け付けられません。
- 指定は毎年見直されるため、申請を検討する時点での熊本交通圏・八代交通圏などの指定状況を、運輸支局で必ず確認してください。
- 2026年10月の見直し結果については、本稿作成時点で確認できていません。
4.熊本での営業上の注意点
4-1.流し営業や街頭での客待ちはできない
ハイヤーは、運送の引受けを営業所のみで行います。道路上で不特定の乗客を募集したり、営業所以外の場所で運送の引受けを行ったりすることはできません。予約を受けた後の配車や迎車についても、許可内容と関係法令に従う必要があります。
4-2.阿蘇くまもと空港での送迎
阿蘇くまもと空港は益城町にあり、熊本交通圏の区域内です。熊本交通圏に営業所を置くハイヤーであれば、空港を発着地とする運送は区域内の運送として計画できます。
ただし、空港内での乗降場所や待機の可否は、空港の運営会社(熊本国際空港株式会社)が定めるルールに従う必要があります。近年は、空港内に予約制タクシー向けの専用乗り場が設けられた例もあります。ハイヤーについても、乗降場所・待機の可否を空港会社に事前に確認し、予約客を迎える運行計画を作成してください。
4-3.阿蘇・黒川温泉・天草など広域観光の送迎
阿蘇、黒川温泉、天草、八代方面は、熊本交通圏とは別の営業区域です。3-1で述べたとおり、発地と着地のいずれもが営業区域外となる運送は原則としてできません。
- 空港や熊本市内から阿蘇・黒川温泉へ向かい、空港や市内へ戻る行程は、発地・着地が区域内にあるため計画できます。
- 阿蘇内だけで乗車から降車まで完結する運送は、熊本交通圏の事業者にはできません。
- 観光周遊の行程では、区間ごとの発地・着地を整理したうえで、許可内容に適合するか確認してください。
4-4.旅行会社・ホテル・企業との提携
ホテル宿泊客の空港送迎、企業役員や海外からの来訪者の送迎、視察団の移動支援などで、旅行会社やホテルと提携することが考えられます。ただし、運送の責任は許可を受けた事業者にあります。運行管理や運転者の管理を他社に任せきりにしたり、許可名義だけを貸したりすることは認められません。旅行商品の企画・販売まで行う場合は、旅行業法上の登録の要否も確認してください。
4-5.運賃・料金
ハイヤーの運賃・料金も、道路運送法上の認可・届出制度に従います。時間制・距離制などの料金体系を検討する場合は、九州運輸局が公示する運賃適用地域や自動認可運賃等の取扱いを確認する必要があります。
なお、熊本ブロックでは、2026年3月13日付で熊本市の事業者17社から一般乗用旅客自動車運送事業の運賃改定を求める申請があった旨が、九州運輸局から公表されています。タクシーの運賃動向は、周辺の料金水準にも影響するため、計画時点の最新状況を確認しておくと安心です。
5.外国人・外国資本によるハイヤー事業の開業
外国籍の方や外国法人が日本法人を設立してハイヤー事業を行うことは、一定の条件のもとで可能です。ただし、通常の会社設立と運送事業許可に加えて、在留資格と外国為替及び外国貿易法(外為法)の確認が必要になる場合があります。
- 外国人が株式会社・合同会社を設立すること、株主・出資者になることは可能です。
- 外国人が日本に滞在して経営に関与する場合は、在留資格「経営・管理」などの検討が必要です。会社を設立できることと、日本で経営活動を行えることは別の問題です。
- 2025年10月16日から「経営・管理」の許可基準が改正されています。常勤職員の雇用、資本金または出資総額3,000万円以上、日本語能力、経歴要件、事業所の確保などが含まれます。経過措置もあるため、申請時点の最新基準を確認してください。
- 外国投資家による出資や株式取得では、事業内容や投資形態に応じて、外為法上の事前届出または事後報告が必要になる場合があります。旅客運送事業であることだけを理由に、手続が不要と判断することはできません。
日本法人の設立、出資構成、役員選任、外為法の確認、在留資格、運送事業許可を、一体的に検討することが大切です。
6.許可申請から開業までの流れ
STEP1 事業計画の策定
営業区域、想定顧客、サービス内容、車両の種類・台数、運転者数、営業所・車庫の候補地、開業資金、収支計画、予約受付と配車の方法を整理します。熊本交通圏であれば、10両以上を前提に計画します。
STEP2 営業所・車庫の事前確認
契約前に、営業区域内か、1年以上の使用権原を確保できるか、都市計画法・建築基準法・農地法等に抵触しないか、車庫の収容能力、営業所との距離(原則併設、不可なら直線2キロメートル以内)、前面道路、休憩・仮眠施設を確認します。
STEP3 会社設立
株式会社・合同会社などを設立します。事業目的に一般乗用旅客自動車運送事業を記載し、専従する常勤役員を決めておきます。登記申請は司法書士等と連携して進めます。
STEP4 許可申請書類の作成・提出
申請書、事業計画書、営業所・車庫の資料、車両の資料、運行管理・整備管理体制の資料、運転者の確保計画、資金計画書、残高証明書、保険加入計画の資料などを作成します。熊本県内の窓口は、九州運輸局熊本運輸支局(熊本県全域を管轄)です。申請前に事前相談を行うことをおすすめします。
STEP5 法令試験・審査
専従する常勤役員が法令試験を受験します。試験では、道路運送法や旅客自動車運送事業運輸規則などの知識が問われます。書類の補正や追加資料の提出が必要になることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組んでください。
STEP6 許可取得・登録免許税の納付
許可が決定した後、所定の登録免許税を納付し、許可書の交付を受けます。
STEP7 運輸開始までの準備
許可には運輸開始までの期限が付され、期間は6か月とされています。許可後おおむね6か月を経過しても運輸開始の届出がなく事業が実施されていない場合は、事業計画に定める業務の確保命令が出されることがあります。この期間内に、車両登録、任意保険加入、運行管理者・整備管理者の選任、運転者の採用・教育、社会保険・労働保険の加入を完了させます。社会保険等への加入は、許可の条件にもなります。
STEP8 運輸開始届の提出・営業開始
準備が整ったら運輸開始届を提出し、事業を開始します。開業後も、運行管理、労務管理、安全管理、事故対応、法定帳簿の整備を継続して行う必要があります。
7.許可取得までに必要な期間
実際の開業時期は、申請の審査期間だけでなく、会社設立、営業所・車庫の確保、10両以上の車両手配、運転者の採用、資金の確保、法令試験、運輸開始までの準備を含めて計画する必要があります。標準処理期間には、申請者側の準備や補正対応に要する期間が含まれない場合があります。物件契約や車両購入を先行させず、許可要件を確認したうえで準備を進めることが、余分な費用や時間を抑えることにつながります。
8.熊本の事情を踏まえた事業計画のポイント
8-1.半導体関連企業・ビジネス需要
菊陽町や合志市には半導体関連企業が集積しており、いずれも熊本交通圏の区域内です。海外企業の役員・技術者の送迎、企業間の移動、視察団の送迎、空港・ホテル・企業間の移動、外国語対応が可能な運転者による送迎などが事業計画の候補になります。大津町や西原村などは熊本交通圏に含まれませんが、熊本交通圏の営業所から発着する運送であれば、行き先として計画することは可能です。営業所を置く場合に限り、区域の違いが問題になります。
実際の需要や契約獲得の見込みは、顧客層、提携先、営業方法、競合状況を踏まえて検討してください。
8-2.訪日外国人向けの観光送迎
熊本城、阿蘇、黒川温泉、天草など、観光需要のある地域は広域にわたります。多言語での予約受付、キャッシュレス決済、ホテル・旅行会社との連携、空港から観光地までの送迎などが考えられます。4-3で述べた営業区域の制限を踏まえ、行程ごとに適法性を確認してください。
8-3.令和8年熊本地震後の留意点
2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」(マグニチュード7.1、最大震度7)では、熊本県内に大きな被害が出ました。熊本市、八代市、宇土市、美里町、益城町などで震度6強を観測し、嘉島町の商業施設の被害や、九州自動車道の橋梁損壊なども報じられています。政府は激甚災害の指定を決定しています。
新たに事業を計画する際には、次の点に注意してください。
- 営業所・車庫の候補物件は、被災状況、建物の安全性、建築基準法等への適合を、契約前に確認する。
- 道路や橋梁の復旧状況により、運行ルートや所要時間が変わる可能性がある。運行計画は最新の道路状況を踏まえて作成する。
- 復旧・復興関係者の移動や、観光需要の回復を促す支援策(「九州ふっこう応援割」など)の影響で、需要の動きが変わる可能性がある。支援策の内容・期間は変更されることがあるため、最新情報を確認する。
- 被災された方々や地域の状況に配慮した営業活動を心がける。
8-4.営業所・車庫の候補地を早期に確認する
熊本市内だけでなく、合志市、菊陽町、益城町、嘉島町なども熊本交通圏に含まれます。大津町や宇土市、宇城市などに営業所を置く場合は、別の営業区域となるため、最低車両数や審査の前提が変わります。農地や市街化調整区域、用途制限のある土地は、営業所・車庫として使えるかを慎重に確認してください。
9.行政書士法人塩永事務所のハイヤー事業開業サポート
当事務所では、熊本県内でタクシー・ハイヤー事業の開業を検討されている事業者様に対し、許可申請を中心とした開業支援を行っています。
- 事業計画の策定支援:営業形態・営業区域の整理、車両数・車種の検討、資金計画・収支計画、開業スケジュールの作成
- 営業所・車庫の要件確認:候補地の確認、車庫の面積・位置関係、使用権原・賃貸借契約、都市計画法・建築基準法・農地法等の確認
- 法人設立サポート:定款作成、事業目的の整理、株主・出資構成・役員構成の検討(登記申請は司法書士等と連携)
- 運送事業許可申請:許可申請書・事業計画書・資金計画書の作成、添付書類の収集、運輸支局・運輸局への申請対応、補正・審査対応
- 許可後の開業手続支援:必要手続の整理、運行管理・整備管理体制の確認、運輸開始に向けた届出の支援
- 外国人・外国資本による事業参入支援:外国人・外国法人による日本法人設立、外為法の届出要否の確認、在留資格「経営・管理」等の申請支援
熊本の認定経営革新等支援機関として、許認可手続だけでなく、事業計画や資金計画など、事業開始に関係する課題も総合的にサポートしています。
10.熊本でハイヤー事業を開業するなら、まずはご相談ください
ハイヤー事業は、道路運送法に基づく許可を取得しなければ営業を開始できません。熊本交通圏では10両以上が基準となるため、営業所・車庫・車両・運転者・資金の準備は、小規模な開業とは大きく異なります。
申請前に運輸支局で確認しておきたい事項
- 予定する営業区域・営業所の所在地での最低車両数(熊本交通圏は10両が基準)
- 熊本でハイヤー限定の事業計画に、台数や条件の特例があるか
- 申請時点での熊本交通圏・八代交通圏の特定地域・準特定地域の指定状況(2026年10月の見直し結果を含む)
- 運行管理者資格者証の交付を受けた者を選任する場合の、営業区域内5年以上の実務経験の要否
- 空港など、乗降場所を指定されている施設でのハイヤーの取扱い
特に、次のような方は早い段階での事前相談をおすすめします。
- 熊本で新しくハイヤー会社を設立したい方
- 阿蘇くまもと空港を中心とした送迎サービスを展開したい方
- 半導体関連企業や海外企業向けの送迎事業を始めたい方
- 訪日外国人向けの観光送迎事業を始めたい方
- 外国人投資家・外国法人によるハイヤー事業への参入を検討している方
- 少数台数で始められるかを確認したい方
- 営業所や車庫の契約前に、許可要件を確認したい方
行政書士法人塩永事務所
熊本の認定経営革新等支援機関
認定番号:107943000815
所在地:〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
電話:096-385-9002
メール:info@shionagaoffice.jp
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熊本県内を中心に、事業計画や営業形態に応じた許可取得をサポートいたします。
