
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金|第2回以降に向けて熊本の中小企業が今から準備すべきこと
熊本の認定経営革新等支援機関|行政書士法人塩永事務所
熊本で新規事業への進出、大型設備投資、新製品開発をお考えの経営者様へ。
1. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは
中小企業等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発、新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化などの設備投資を支援する国の補助金です。2026年度に、ものづくり補助金と新事業進出補助金を統合する形で創設されました。
この補助金は、設備を購入すること自体が目的ではありません。新しい価値を生み出し、付加価値額の増加と従業員の賃上げにつなげることが目的です。
主な特徴
- 補助上限は最大9,000万円(新事業進出枠・グローバル枠で賃上げ特例を適用した場合)
- 申請枠は3つ(革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠)
- 新事業進出枠・グローバル枠では建物費も対象
- 3〜5年の事業計画と賃上げ計画が必須で、未達の場合は返還リスクがある
- 申請は電子申請のみ
- 採択後も、交付申請・実績報告・事業化状況報告が必要
2. 公募スケジュールと「第2回以降」の考え方
第1回公募(参考)
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募要領の公開 | 2026年6月29日 |
| 電子申請の受付 | 2026年9月30日〜 |
| 応募締切 | 2026年10月30日(金)18:00(本日) |
| 採択発表 | 2027年1月頃(予定) |
当初は8月31日開始・9月30日締切の予定でしたが、全体が1か月後ろ倒しになりました。公募要領は令和8年9月28日に1.3版へ改訂されています。
第1回は本日が締切のため、これから準備を始める方は、第2回以降が対象になります。
第2回以降のスケジュール
第2回以降の日程・要件は、2026年10月30日時点で公表を確認できていません。公募回ごとに、要件・特例・加点項目が見直される可能性があります。
旧新事業進出補助金は、公募要領の公開から申請受付まで約2か月、そこから締切まで約1か月という流れでした。次回以降も、公募要領の公開から申請受付開始までの期間が、準備の勝負どころになると考えられます。
3. 3つの申請枠
3つの枠は、補助額の大小で選ぶものではありません。事業の内容、顧客、市場、海外展開の有無で選びます。1回の公募につき、1事業者1申請が原則です。
① 革新的新製品・サービス枠
自社の技術・ノウハウを活用した、革新的な新製品・新サービスの開発を支援します。既存の生産工程の改善や設備の更新だけでは対象になりません。
| 従業員数 | 基本上限 | 賃上げ特例時 |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
- 補助下限額:100万円
- 補助率:中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例で2/3)、小規模企業・小規模事業者・再生事業者2/3
- 補助事業実施期間は、交付決定日から10か月以内(ただし採択発表日から12か月以内)
- 機械装置・システム構築費が必須(建物費は対象外)
② 新事業進出枠
既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援します。次の2つを満たす必要があります。
- 新たに製造・提供する製品・サービスが、自社にとって新しいこと
- その市場が、自社にとって新しい市場であること
日本初・世界初といった社会全体での新規性は求められません。
従業員数1〜20人は基本上限2,500万円(賃上げ特例3,000万円)、21〜50人は4,000万円(5,000万円)、51〜100人は5,500万円(7,000万円)、101人以上は7,000万円(9,000万円)です。補助下限額は750万円です。
- 補助率:中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例で2/3)
- 補助事業実施期間は、交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)
- 機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須
対象になりにくい例
- 既存製品の増産だけの投資
- 過去に製造していた製品の再製造
- 製造方法の変更だけの取り組み
- 既存製品と同じ市場への、単なる商品・メニューの追加
- 既存事業と同じ製品・サービスを、別の地域で提供するだけの事業
商圏の拡大や店舗の増設だけでは、新市場進出と認められない場合があります。
③ グローバル枠
自社製品を活用して、自発的に新しい海外販路を開拓するための、国内の製造・供給体制の強化を支援します。海外取引先の指示に従って設備を導入するだけの取り組みは、対象になりません。
- 補助上限額:新事業進出枠と同じ(特例適用で最大9,000万円)、補助下限額750万円
- 補助率:2/3(地域別最低賃金引上げ特例の適用はなし)
- 実施期間:交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)
- 海外旅費・通訳翻訳費も対象
4. 補助対象者
日本国内に本社と補助事業実施場所を有する中小企業者等が対象です。株式会社・合同会社、個人事業主、要件を満たす組合・特定非営利活動法人・農事組合法人などが該当します。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業等 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
※業種分類には例外があります。実際の判定は、公募要領の定義に従います。
申請できない・注意が必要なケース
- 従業員0人の事業者
- みなし大企業
- 直近3年の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者
- 宗教法人・政治団体・収益事業を行っていない法人
- 新事業進出枠では、創業・設立から1年未満の事業者(最低1期分の決算書が必要)
- 不動産賃貸・駐車場経営など、資産運用的性格が強い事業
- 過去の補助金受給歴による制限(下記)
補助金の受給歴による制限(第1回公募要領の内容)
- 申請締切日から16か月以内に、事業再構築・新事業進出・ものづくり・本補助金で採択された事業者(採択辞退を除く)は対象外
- 応募申請日から過去3年間に、上記補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者は対象外
**第1回に応募して採択された場合、第2回以降の申請に影響する可能性があります。**第2回以降の要領で、必ずご確認ください。
5. 基本要件(3〜5年の事業計画)
- 付加価値額:年平均成長率+4.0%以上(営業利益+人件費+減価償却費)
- 賃上げ:一人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上。役員報酬・法定福利費・退職金などは含みません。交付申請時までに、従業員全員または従業員代表者に目標値を表明する必要があります。
- 事業場内最低賃金:熊本県の地域別最低賃金+30円以上。事業場が複数ある場合は、最も低い事業場が基準です。
- ワークライフバランス:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を、「両立支援のひろば」で公表する。掲載まで1〜2週間かかる場合があります。
- 子育て等に関する職場環境整備:ライフデザインサービス、家事代行・ベビーシッター、既存制度の周知のいずれかを実施する。くるみん等の認定で免除されます。
- 金融機関要件:借入で実施する場合は、金融機関による確認書が必要です(自己資金のみなら不要)。
熊本県の地域別最低賃金は、毎年10月頃に改定されます。申請時点の最新の金額で確認してください。
6. 賃上げ特例・地域別最低賃金引上げ特例
賃上げ特例(上限額の引き上げ)
次の追加要件を達成することで、補助上限額が引き上がります。
- 一人当たり給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上
- 事業場内最低賃金が、地域別最低賃金+50円以上
追加要件が未達の場合は、上限額の引き上げ分に相当する補助金の返還が求められます。
地域別最低賃金引上げ特例(補助率の引き上げ)
補助率が1/2から2/3に上がる特例です。第1回では、2024年10月〜2025年9月のうち3か月以上、「当時の地域別最低賃金以上〜2025年度改定後の地域別最低賃金未満」の賃金で雇用する従業員が、全従業員の30%以上いることなどが要件でした。判定期間などの要件は、公募回によって変わる可能性があります。
2つの特例は別の制度です。混同しないようご注意ください。
7. 補助対象経費
機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などが対象です。建物費は新事業進出枠・グローバル枠のみ、海外旅費・通訳翻訳費はグローバル枠のみです。
経費ごとの上限
- 技術導入費・知的財産権等関連経費:補助対象経費総額の1/3まで
- 外注費:同1/4まで
- 専門家経費:同1/5まで
主な対象外
- 土地の購入費、建物の単なる購入・賃貸
- 汎用パソコン・カメラなど、目的外使用が可能な設備
- 車両・船舶・航空機
- 太陽光発電設備などの再エネ発電設備
- 消費税相当額
- 交付決定前に発注・契約した経費
- 補助事業期間外の経費
- 事業計画書の作成に関する経費
機械装置は、単価10万円(税抜)以上が対象です。契約先1件当たりの見積額が50万円(税抜)以上の場合は、3者以上の相見積が必要です。
8. 返還リスク・採択後の注意点
- 賃上げ要件未達:未達成率に応じた返還
- 事業場内最低賃金未達:原則として、交付額÷計画年数を、未達の年ごとに返還
- 賃上げ特例の追加要件未達:上限額の引き上げ分を返還
- 目的外使用・処分:補助金で取得した財産は、補助事業の目的に沿って使う必要があり、譲渡・貸付・担保設定などには制限があります
- 不正受給:交付決定の取消し、返還、事業者名の公表などの対象
返還は、付加価値額が増えず、かつ企業全体の営業利益が赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない場合には免除されます。
9. 申請から受給までの流れ
- 事前相談・適格性の確認(補助金受給歴・みなし大企業の判定など)
- 申請枠の選定
- 事業計画書の作成(事業者自身が作成する必要があります)
- GビズIDプライム取得、一般事業主行動計画の公表
- 電子申請
- 口頭審査(該当者のみ。申請者本人のみ対応可)
- 採択発表
- 交付申請(採択発表から原則2か月以内)
- 交付決定 → 発注・契約・事業実施
- 実績報告 → 補助金額の確定 → 精算払請求
- 事業化状況報告(5年間で計6回)
補助金は原則として後払いです。数千万円規模の投資では、自己資金やつなぎ融資を含めた資金繰りの検討が欠かせません。
10. 第2回以降に向けて、今から準備できること
公募要領が公開されてから動いても、間に合わない項目があります。
| 準備項目 | 目安 |
|---|---|
| GビズIDプライムの取得 | 発行まで約1週間 |
| 一般事業主行動計画の公表 | 掲載まで1〜2週間以上 |
| 決算書(直近3期分)の整理 | 早めに |
| 賃金台帳・労働者名簿の整理 | 賃上げ要件の確認に必須 |
| 補助金の受給歴の確認 | 申請可否に直結 |
| 新規事業の構想・市場調査 | 計画書の質に直結 |
| 設備・建物の見積取得(相見積) | 50万円以上は3者以上 |
| 金融機関への事前相談 | 確認書が必要な場合 |
| 加点項目の取得検討 | 取得に時間がかかるものあり |
加点項目には、パートナーシップ構築宣言、くるみん・えるぼし、健康経営優良法人、経営革新計画、事業継続力強化計画、DX認定などがあります(第1回公募要領1.2版時点で17種。回ごとに変わる可能性があります)。
**賃上げの実績づくりも、準備のひとつです。**第1回では、補助事業完了を待たずに実施する「足下の賃上げ」も、書面審査で評価されると明記されました。
11. 熊本県内の事業者の活用イメージ
熊本県は、半導体関連産業の集積、製造業の設備投資、農業・食品加工業の高付加価値化など、事業機会の多い地域です。
- 製造業:精密部品・半導体関連部品の新規製造、新たな産業向けの製品開発
- 建設業:建築資材の製造事業への進出、施工技術を活用した新製品の開発
- 農業・食品加工業:加工食品の新規開発、新しい製造ラインの整備、輸出向けの製造体制強化
- IT・サービス業:新しい業務システムの開発、異業種向けの専門サービス
いずれも、既存事業との違い、市場の新規性、顧客層を整理したうえで、適切な枠を判断する必要があります。
12. 熊本の認定経営革新等支援機関|行政書士法人塩永事務所
当事務所は、熊本市中央区を拠点とする認定経営革新等支援機関です。認定経営革新等支援機関とは、中小企業等経営強化法に基づき、専門的な知識や実務経験等について一定の要件を満たし、国の認定を受けた支援機関です。
この補助金では、認定経営革新等支援機関による確認が申請の必須要件とされているわけではありません。ただ、新規事業の構想、数値計画、賃上げ、資金調達を一体で検討するこの制度では、経営計画の整理に慣れた支援機関に相談するメリットは大きいと考えています。
当事務所のサポート内容
- 適格性の確認:申請枠の判断、補助金受給歴・みなし大企業の確認
- 事業計画のブラッシュアップ:新規性・市場性・収益性の整理
- 数値計画の設計支援:付加価値額・賃上げ計画
- 経費区分・相見積の整理
- 申請手続きの支援:GビズID、一般事業主行動計画、電子申請、口頭審査の準備
- 採択後の支援:交付申請、実績報告、事業化状況報告の準備
公募要領では、事業計画書の作成は事業者自身が行う必要があり、申請者以外の者が作成することは禁止されています。当事務所は、制度に沿った助言・整理・確認の立場で支援します。
また、事業計画書等の作成・提出に係る費用は、補助対象外です。
補助金の活用と併せて、会社設立、創業支援、建設業許可、各種許認可申請、外国人雇用・在留資格申請、事業承継に関する手続きも、ワンストップでご相談いただけます。
※当事務所の支援は、採択・交付を保証するものではありません。
13. よくある質問
Q1. 第1回に間に合わなかった場合は?
第2回以降の公募を待つことになります。日程は未公表のため、事務局サイトで確認してください。それまでに準備を進めておくことをお勧めします。
Q2. 補助上限額はいくらですか?
革新的新製品・サービス枠は最大2,500万円(特例3,500万円)、新事業進出枠・グローバル枠は最大7,000万円(特例9,000万円)です。
Q3. 補助率は?
革新的新製品・サービス枠は、中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例で2/3)、小規模企業・小規模事業者・再生事業者は2/3です。新事業進出枠は1/2(特例で2/3)、グローバル枠は2/3です。
Q4. 既存事業の設備更新でも申請できますか?
単なる設備更新や増産のための投資は、原則として対象外です。
Q5. 建物の新築・改修は対象になりますか?
新事業進出枠・グローバル枠で、要件を満たす場合に対象となります。革新的新製品・サービス枠では対象外です。
Q6. 個人事業主でも申請できますか?
要件を満たせば可能です。従業員数や事業実態、創業時期などを確認する必要があります。
Q7. 創業したばかりでも申請できますか?
新事業進出枠では、創業・設立から1年未満は対象外です。
Q8. 認定経営革新等支援機関への相談は必須ですか?
必須ではありません。ただし、金融機関から資金提供を受ける場合は、金融機関による確認書が必要です。事業計画の検討には、認定経営革新等支援機関にご相談いただけます。
Q9. 行政書士に依頼できますか?
申請要件の確認、資料の整理、事業計画のブラッシュアップなどの支援を依頼できます。ただし、事業計画書は申請者自身が作成する必要があります。
Q10. 採択されれば、申請した金額が全額もらえますか?
いいえ。採択は交付決定を保証するものではなく、交付申請・実績報告の審査で、減額される場合があります。
まとめ
- 第1回の締切は本日(2026年10月30日18:00)です。これから準備する方は、第2回以降を目指してください。
- 第2回以降の日程・要件は未公表です。公募回ごとに変わる可能性があります。
- 賃上げ・最低賃金の要件が未達の場合は、補助金の返還リスクがあります。
- GビズIDや一般事業主行動計画の公表など、時間のかかる準備は今から始められます。
- 補助金は、受け取ることが目的ではありません。持続的に成長できる事業計画づくりが重要です。
熊本の認定経営革新等支援機関 行政書士法人塩永事務所
熊本市中央区水前寺1-9-6(JR新水前寺駅 徒歩約3分)
TEL 096-385-9002 / info@shionagaoffice.jp
熊本県内全域・全国オンライン対応|初回相談無料(事前予約制)
公式情報:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト(中小機構)|中小企業庁|GビズID|両立支援のひろば
※制度の詳細は公募要領の改訂で変更されることがあります。申請前に、必ず最新の公式資料をご確認ください。
