
【2026年10月最新版】農業分野の外国人雇用・特定技能の手続き完全ガイド|在留資格更新・2号移行・税金・社会保険を行政書士が解説
農業法人・農業事業者の皆様へ|外国人材の適正な受入れと在留資格管理をサポート
行政書士法人塩永事務所
はじめに|農業分野の外国人雇用では継続的な在留管理が重要です
農業分野で外国人材を雇用する企業にとって、在留資格の確認や申請手続きは、採用時だけ対応すればよいものではありません。
雇用開始後も、在留期間の更新、転職・退職時の届出、担当業務の変更、税金・社会保険の管理、特定技能1号から2号への移行など、継続的に確認しなければならない事項があります。
特に、農業分野の特定技能外国人については、農業の仕事であれば何でも任せられるわけではありません。制度上認められた業務範囲を理解し、雇用契約と実際の作業内容を一致させることが重要です。
また、2026年10月1日からは在留資格変更・在留期間更新などの手数料が改定されました。さらに、特定技能所属機関の定期届出についても、2026年4月から新しい届出ルールが適用されています。
本記事では、農業法人・農業事業者の経営者、人事担当者、外国人材の受入れ担当者に向けて、実務上の注意点を7つの項目に分けて解説します。
1.在留期間更新・在留資格変更と申請時の注意点
1-1.在留期間更新と在留資格変更の違い
外国人が日本で働き続けるためには、現在の在留資格で認められている活動を継続していることが基本となります。
在留手続きには、主に「在留期間更新許可申請」と「在留資格変更許可申請」があります。
在留期間更新許可申請は、現在の在留資格を維持したまま、引き続き日本に在留して活動するための手続きです。
例えば、特定技能1号の在留資格で農業法人に勤務している外国人が、引き続き同じ在留資格で農業に従事する場合などに利用します。
一方、在留資格変更許可申請は、現在の在留資格とは異なる活動を行うため、在留資格を変更する手続きです。
農業分野では、次のようなケースが考えられます。
- 技能実習を修了した外国人が特定技能1号へ移行する
- 特定技能1号の外国人が、要件を満たして特定技能2号へ移行する
- 現在の在留資格とは異なる活動を行うため、別の在留資格への変更を検討する
ただし、転職した場合に必ず在留資格変更が必要となるわけではありません。在留資格の種類や転職先の業務内容によって必要な手続きが異なります。
特定技能については、新しい受入れ機関との契約や受入れ機関側の要件などを確認し、原則として新しい勤務先で働き始める前に在留資格変更許可を受ける必要があります。
1-2.在留期間更新はいつから準備すべきか
在留期間更新許可申請は、原則として在留期間満了のおおむね3か月前から申請できます。
農業は、作物の生育状況や収穫時期によって繁忙期が変わる業種です。繁忙期に申請準備が重なると、担当者の負担が大きくなることがあります。
そのため、外国人従業員の在留期限を一覧表などで管理し、期限が近づく前に必要書類を確認しておくことをおすすめします。
更新準備では、主に次の事項を確認します。
- 在留カードとパスポートの内容
- 現在の在留資格と在留期間
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 実際に従事している業務
- 給与や勤務状況
- 住民税などの納税状況
- 年金・健康保険などの加入・納付状況
- 本人が必要な届出を行っているか
- 受入れ企業が在留資格ごとの要件を満たしているか
必要書類は、在留資格や本人の状況、受入れ企業の区分などによって異なります。過去に提出した書類をそのまま使うのではなく、申請時点の最新の提出書類一覧を確認することが重要です。
1-3.申請中の就労で注意すべきこと
在留資格変更許可申請を提出しただけで、変更後の業務に従事できるわけではありません。
原則として、新しい在留資格での活動は許可を受けてから開始する必要があります。許可前に新しい勤務先で働き始めたり、現在の在留資格で認められていない業務を行ったりすると、不法就労などの問題につながるおそれがあります。
在留期間更新については、満了日までに申請した場合、一定の条件のもとで特例期間中の在留が認められることがあります。ただし、どのような活動を継続できるかは、現在の在留資格や申請内容によって確認が必要です。
企業は、申請を提出したという本人の説明だけで判断せず、在留カードや申請受付の状況を確認してください。
1-4.2026年10月1日から在留申請手数料が改定
2026年10月1日以降に受け付けられた在留資格変更・在留期間更新などの申請では、改定後の手数料が適用されます。
今回の改定では、許可される在留期間に応じて手数料が変わる仕組みになっています。
| 許可される在留期間 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 3か月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3か月超~6か月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6か月超~1年未満 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超~3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上~5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
※在留資格変更・在留期間更新の基本手数料です。オンライン申請では、別途決済手数料がかかります。上記は在留期間に応じた区分の整理であり、実際の納付額は出入国在留管理庁の最新案内で確認してください。
窓口申請では、許可時に従来どおり収入印紙で納付します。一方、2026年10月1日以降にオンライン申請で受け付けられた申請については、原則としてコンビニ決済または銀行決済による納付となり、収入印紙による納付はできません。
オンライン申請では、出入国在留管理庁が案内する決済手続きに従う必要があります。決済案内を装った詐欺メールにも注意し、公式案内に記載された送信元や手順を確認してください。
なお、2026年9月30日までに受け付けられた申請については、許可が10月1日以降となっても、原則として改定前の手数料が適用されます。
申請手数料と行政書士への依頼報酬は別の費用です。外国人従業員を複数名雇用する企業では、申請予定時期、申請方法、手数料、専門家報酬を区別して予算を管理しましょう。
公式情報:
出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」
https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html
2.農業分野で認められる業務の範囲と注意事項
農業分野で特定技能外国人を雇用する場合、特に注意したいのが、在留資格で認められる業務の範囲です。
「農業に関係する仕事であれば、どのような作業でも任せられる」というわけではありません。
特定技能1号・2号の農業分野では、主に「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の業務が認められています。
2-1.耕種農業全般
耕種農業とは、農作物を栽培する農業です。
主な業務には、次のようなものがあります。
- 栽培管理
- 農産物の集出荷
- 選別など
例えば、野菜や果樹の栽培、植付け、生育管理、収穫、農産物の集出荷などが想定されます。
2-2.畜産農業全般
畜産農業では、主に次のような業務が対象となります。
- 飼養管理
- 畜産物の集出荷
- 選別など
畜産分野では、家畜の飼養管理など、制度上認められた業務に従事していることが重要です。
2-3.選果・出荷・加工・販売だけを行わせる場合の注意
農産物の選果・選別や出荷に関する作業は、農業分野の業務に含まれる場合があります。
ただし、作業の名称だけで判断することはできません。実際に従事する業務全体が、制度上の業務範囲に該当している必要があります。
特に、加工・販売・運搬などの業務については、農業の主たる業務に付随する関連業務として認められるかを確認する必要があります。
例えば、農業法人が特定技能外国人を雇用し、日常的に農産物の加工や販売だけを担当させ、栽培管理などの農業業務に従事させていない場合は、制度上の要件を満たしているか慎重に確認しなければなりません。
2-4.関連業務として認められる可能性がある作業
主たる農業業務に関連するものとして、具体的な条件のもとで、次のような作業が関連業務に該当する場合があります。
- 農畜産物の製造・加工
- 農畜産物の運搬
- 農畜産物の販売作業
- 農業の業務上必要な範囲で行う冬季の除雪作業
ただし、関連業務は、あくまでも主たる業務に付随する範囲で行うものです。実際の業務内容、作業の割合、雇用契約などを踏まえ、個別に確認する必要があります。
2-5.特定技能2号では管理業務も対象
特定技能2号の農業分野では、耕種農業全般または畜産農業全般の業務に加え、それらに関する管理業務が対象となります。
例えば、現場作業を行いながら複数の従業員を指導し、作業工程を管理する業務などが想定されます。
ただし、特定技能2号であれば、農業に関係するあらゆる管理業務が無条件に認められるわけではありません。実際の職務内容が農業分野の制度上の範囲に該当しているかを確認することが重要です。
2-6.農業分野では派遣による受入れも可能
特定技能の農業分野では、一定の要件を満たす場合、直接雇用だけでなく派遣形態による受入れも認められています。
ただし、派遣事業者と派遣先事業者には、それぞれ制度上の要件があります。また、農業特定技能協議会への対応など、受入れ機関に求められる事項もあります。
一般的な派遣労働と同じように考えず、派遣元・派遣先の双方が必要な要件を満たしているか確認しましょう。
農業分野の実務で重要なのは、職務内容を明確にすることです。
採用時に業務内容を整理し、雇用契約書、労働条件通知書、職務記述書、実際の作業内容が一致しているかを確認することが、不適切な受入れを防ぐことにつながります。
公式情報:
出入国在留管理庁「農業分野」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/agriculture.html
農林水産省「農業分野における外国人材の受入れ」
https://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/index.html
3.特定技能1号から2号への移行要件と申請実務
特定技能1号で勤務する外国人が、一定の技能水準と実務経験などの要件を満たした場合、特定技能2号への移行を検討できます。
特定技能2号は、熟練した技能を有する外国人材を受け入れるための在留資格です。
農業法人にとっては、経験を積んだ外国人材に長く働いてもらい、現場の中心的な人材として活躍してもらうことを考えるうえで、重要な制度です。
3-1.農業分野の特定技能2号で確認する要件
農業分野の特定技能2号では、主に次の2点を確認します。
① 2号農業技能測定試験への合格
耕種農業全般または畜産農業全般に対応する2号農業技能測定試験への合格が必要です。
本人がどの分野の試験に合格しているかを確認し、予定している業務との整合性を確認しましょう。
② 所定の実務経験
農業分野では、農業の現場における実務経験が求められます。具体的には、複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験、または農業の現場における実務経験など、所定の要件を満たす必要があります。
実務経験の具体的な年数や証明方法は、申請時点の最新の運用要領で確認してください。
単に農業法人に長期間勤務しているという事実だけで、要件を満たすと判断できるわけではありません。担当していた業務、実際の役割、指導や工程管理の経験などを確認することが重要です。
3-2.実務経験を証明するための資料
実務経験の要件を満たしていても、その事実を適切に証明できなければ、申請が円滑に進まない可能性があります。
企業では、次のような資料を整理しておくとよいでしょう。
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 在職期間を確認できる資料
- 担当業務の内容が分かる資料
- 作業工程の管理や従業員指導の実績を示す資料
- 実務経験証明書などの所定様式
- 試験合格を証明する資料
特に、工程管理や従業員指導の実務経験を根拠とする場合は、単に勤続年数を示すだけでなく、どのような立場で、どのような業務を担当していたかを具体的に整理する必要があります。
受入れ企業には、特定技能外国人から求められた場合に、実務経験を証明する書面を交付することが求められる点にも注意してください。
3-3.特定技能2号への変更申請の流れ
一般的には、次のような流れで準備を進めます。
- 現在の在留資格と在留期限を確認する
- 2号農業技能測定試験の合格状況を確認する
- 実務経験の要件を満たしているか確認する
- 実務経験を証明する資料を準備する
- 受入れ企業の要件や必要書類を確認する
- 在留資格変更許可申請書などを作成する
- 出入国在留管理庁へ申請する
- 審査結果に応じて追加資料などに対応する
本人が試験に合格していることと、在留資格変更が許可されることは別です。申請前に、技能・実務経験・雇用条件・必要書類を総合的に確認することが重要です。
3-4.在留期限が迫っている場合
特定技能1号の在留期限が迫っているにもかかわらず、試験の受験や必要書類の準備が間に合わない場合は、早めに対応を検討する必要があります。
特定技能2号への移行を希望する場合に利用できる特定活動の制度が設けられていますが、利用には所定の要件があります。自動的に在留が認められるわけではありません。
「2号へ移行する予定だから、在留期限を過ぎても問題ない」と考えることは危険です。
在留期限、試験日程、実務経験の証明、受入れ機関の手続きなどを早めに整理し、必要な申請を計画的に進めましょう。
公式情報:
出入国在留管理庁「農業分野」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/agriculture.html
出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/10_00001.html
4.転職・退職・一時帰国に伴う届出や手続き
外国人従業員の転職・退職・一時帰国などが発生した場合、本人と企業の双方で必要な確認や手続きが発生します。
特に特定技能外国人については、受入れ機関側にも届出義務があるため、退職が決まった時点で必要な手続きを整理することが重要です。
4-1.外国人本人が行う所属機関に関する届出
中長期在留者のうち、所属機関に関する届出の対象となる在留資格を持つ外国人は、所属機関の変更などがあった場合、原則として事由が生じた日から14日以内に届出を行う必要があります。
例えば、次のような場合が考えられます。
- 退職した
- 所属機関との契約が終了した
- 新たな所属機関と契約した
- 所属機関の名称や所在地などに変更があった
ただし、必要な届出の種類や対象は在留資格によって異なります。本人の在留資格を確認し、該当する届出を行う必要があります。
4-2.転職先が決まっても、すぐに働けるとは限らない
転職先が決まった場合でも、現在の在留資格で新しい勤務先の業務に従事できるとは限りません。
特定技能外国人が転職する場合は、新しい受入れ機関との雇用契約や、受入れ機関側の要件などを確認したうえで、原則として在留資格変更許可申請などの手続きを行います。
転職先が決まったことと、新しい勤務先で就労できることは同じではありません。
必要な許可を受ける前に新しい勤務先で働き始めないよう注意してください。
4-3.特定技能外国人が退職する場合の企業側の届出
特定技能所属機関には、特定技能外国人の雇用契約が終了した場合や、受入れの継続が困難になった場合などに、所定の届出を行う義務があります。
受入れの継続が困難となった場合は、実際に退職する日まで待つのではなく、継続が困難となった時点で届出が必要となる場合があります。
また、退職や一定期間以上活動できない事由などについて、原則14日以内の届出が必要となるケースがあります。届出の種類や起算日は事由によって異なるため、最新の届出要領を確認してください。
退職が決まった場合、企業は次の事項を確認しましょう。
- 雇用契約の終了日
- 特定技能関係の届出の種類と期限
- 登録支援機関への連絡
- 外国人本人への必要な案内
- 社会保険・雇用保険の資格喪失手続き
- 未払い賃金や最終給与の精算
- 転職・帰国に伴う支援の必要性
登録支援機関に支援業務を委託していても、受入れ企業自身が行うべき届出まで、当然に登録支援機関が代行してくれるわけではありません。届出の主体を確認することが重要です。
4-4.一時帰国する場合の注意点
外国人従業員が一時帰国する場合は、次の事項を確認します。
- 在留資格と在留期間
- 再入国の予定
- 休暇期間と雇用契約の継続
- 出国時に利用する再入国許可・みなし再入国許可
- 長期帰国や休業に伴う届出の要否
有効な在留資格と在留期間があり、所定の条件を満たす場合は、再入国許可またはみなし再入国許可を利用できることがあります。
ただし、出国時の手続きや再入国できる期限を誤ると、予定どおりに日本へ戻れないおそれがあります。長期間の帰国や休業についても、在留資格に関する活動状況や企業側の届出義務を確認しましょう。
4-5.2026年4月からの特定技能の定期届出にも注意
特定技能所属機関の定期届出については、2026年4月から新しいルールが適用されています。
定期届出は、原則として毎年4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を対象とし、翌年5月31日までに提出する仕組みです。期限日が土日祝日に当たる場合の取扱いなど、最新の案内を確認してください。
従来の四半期ごとの届出を前提に管理している企業は、現在の届出周期と提出書類を見直す必要があります。
公式情報:
出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri10_00002
5.税金・年金・社会保険の未納等が在留資格の審査に与える影響
在留期間更新や在留資格変更の審査では、外国人本人の活動状況だけでなく、納税義務などの公的義務を履行しているかどうかも考慮されます。
そのため、税金・年金・健康保険料などの未納がある場合は、早めに状況を確認し、必要な対応を行うことが重要です。
5-1.住民税などの税金の未納
在留資格の変更・更新では、納税義務を履行していることが求められます。
例えば、次のような事項が確認対象となることがあります。
- 住民税の課税・納税状況
- 納税義務がある税金の納付状況
- 未納の金額や期間
- 未納となった理由
- 納付状況や今後の対応
納税義務があるにもかかわらず、高額または長期間にわたって未納となっている場合などは、審査で不利な事情として評価される可能性があります。
ただし、未納が一度でもあれば必ず不許可になるというわけではありません。未納の内容や理由、納付状況などを含め、個別の事情が総合的に判断されます。
5-2.年金・健康保険料の未納
国民年金保険料や国民健康保険料など、法令上納付義務がある保険料についても、高額または長期間の未納などが判明した場合、在留審査に影響する可能性があります。
企業に雇用されている外国人については、加入要件を満たす場合に健康保険・厚生年金などへの加入が必要です。
外国人であることを理由に、社会保険に加入させなくてもよいという取扱いはできません。
企業は、日本人従業員と同様に、加入要件、保険料の控除、納付状況などを確認し、適切な手続きを行う必要があります。
5-3.企業側の社会保険手続きにも注意
在留資格の審査では、本人の公的義務の履行状況に加え、受入れ企業の適正な雇用管理も重要です。
企業が社会保険の加入義務を果たしていない場合や、雇用契約・報酬の支払いに問題がある場合には、申請に関連して確認や説明を求められる可能性があります。
企業は、次の事項を定期的に確認しましょう。
- 社会保険の加入対象者を適切に加入させているか
- 給与から控除した保険料を適切に処理しているか
- 労働条件通知書と実際の勤務条件が一致しているか
- 給与や残業代を適切に支払っているか
- 税金や保険料の納付に問題がないか
なお、出入国在留管理庁のガイドラインでは、健康保険証等を提示できないことだけを理由として在留資格の変更・更新を不許可とするものではないとされています。一方、納税義務等の不履行については、未納の金額や期間などによって消極的に評価される場合があります。
5-4.未納が判明した場合の対応
税金や保険料の未納が判明した場合は、まず次の事項を整理します。
- 未納の種類
- 未納額と対象期間
- 誰に納付義務があるのか
- 未納となった理由
- 現在の納付状況
- 今後の納付方法や相談状況
そのうえで、自治体、年金事務所、税務署などの関係機関に確認し、必要な納付や相談を進めます。
申請時に未納の経緯や納付状況について説明が必要な場合は、関係資料を整理し、申請内容に応じて準備することが重要です。
納付すれば必ず在留資格が許可されるというものではありませんが、問題を把握したまま放置せず、適切に対応することが大切です。
公式情報:
出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
6.在留資格取消しや不法就労を防ぐために知っておくべき事項
外国人を雇用する企業は、在留資格の確認を怠ると、不法就労を発生させてしまうおそれがあります。
不法就労に該当する状況が生じた場合、外国人本人だけでなく、企業側も法令上の責任を問われる可能性があります。
6-1.在留資格に合わない業務に従事させない
外国人が日本で就労できる範囲は、保有する在留資格によって異なります。
特定技能についても、認められた分野・業務の範囲を守る必要があります。
採用時だけでなく、次のようなタイミングでも在留資格との適合性を確認しましょう。
- 配置転換を行うとき
- 職務内容を変更するとき
- 事業内容を変更するとき
- 転職や雇用契約の変更が発生したとき
特に農業分野では、収穫期や繁忙期に人手が足りないからといって、制度上認められていない業務を継続的に行わせることがないよう注意が必要です。
6-2.在留期間の満了日を管理する
在留カードの在留期間を確認し、期限管理を徹底してください。
更新申請を行っている場合でも、申請の受付状況や特例期間の適用条件を確認し、就労を継続できるかどうかを判断する必要があります。
単に「更新申請を出したと聞いている」というだけで判断せず、本人の在留カードや申請受付の状況を確認することが重要です。
6-3.在留資格取消しの主なケース
在留資格取消し制度では、例えば次のようなケースが対象となることがあります。
- 偽りや不正な手段によって在留資格を取得した
- 虚偽の書類を提出して許可を受けた
- 在留資格に基づく活動を行わず、他の活動を行っている
- 正当な理由なく、在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない
- 住居地の届出を行わない
- 虚偽の住居地を届け出た
就労系の在留資格では、正当な理由なく本来の活動を継続して3か月以上行っていない場合など、在留資格取消しの対象となる可能性があります。ただし、法律上の要件や正当な理由の有無などを踏まえて判断されます。
退職しただけで直ちに在留資格が取り消されるわけではありません。一方で、退職後の活動状況や必要な届出を放置することは避けなければなりません。
6-4.企業が整備しておきたい管理体制
不法就労や在留資格に関するトラブルを防ぐため、企業では次のような体制を整えることをおすすめします。
- 在留カードの確認手順を定める
- 在留期間の満了日を一覧表で管理する
- 更新申請の担当者と期限を明確にする
- 採用時に業務内容と在留資格の適合性を確認する
- 配置転換や職務変更時に在留資格を再確認する
- 退職・転職時の届出をチェックリスト化する
- 特定技能の場合は受入れ機関としての届出・支援義務を管理する
- 給与、税金、社会保険などの資料を適切に保管する
外国人従業員の在留資格管理を担当者個人の経験だけに頼るのではなく、社内のルールとして整備することが重要です。
公式情報:
出入国在留管理庁「在留資格の取消し」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/torikeshi_00002.html
7.2026年10月時点の制度改正と今後の留意点
外国人雇用に関する制度は、法令改正や運用の見直しが行われることがあります。企業は過去の手続き方法をそのまま使い続けるのではなく、最新の制度を確認することが重要です。
7-1.在留申請手数料の改定
2026年10月1日から、在留資格変更・在留期間更新などの手数料が改定されました。
許可される在留期間に応じた料金体系となり、オンライン申請では決済方法も変更されています。
外国人従業員を複数名雇用している企業は、更新時期と費用を一覧化し、年間予算を見直しましょう。
7-2.特定技能の定期届出は年1回へ
特定技能所属機関の定期届出は、従来の四半期ごとの届出から、年1回の届出へ変更されています。新しいルールに基づく届出は2026年4月から始まっています。
原則として、毎年4月1日から翌年3月31日までの状況を対象とし、翌年5月31日までに届出を行う仕組みです。
ただし、年1回の定期届出になったからといって、すべての届出が年1回になったわけではありません。
雇用契約の変更・終了、受入れ継続が困難となった場合、支援計画の実施が困難になった場合などには、別途、随時届出が必要となることがあります。
企業は、定期届出と随時届出を区別し、届出の種類ごとに期限を管理する必要があります。
7-3.育成就労制度への備え
技能実習制度を見直し、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度は、2027年4月1日に施行される予定です。
育成就労制度では、外国人材の育成、受入れ計画、雇用管理、転籍の取扱い、関係機関との連携などについて、企業側で確認すべき事項が生じます。
ただし、育成就労制度と特定技能制度は同じものではありません。施行前後の経過措置や個別の取扱いを含め、最新の公表資料を確認する必要があります。
現在、技能実習生や特定技能外国人を受け入れている企業は、今後の採用・育成計画を立てる際に、制度変更の影響を確認しておくとよいでしょう。
7-4.オンライン申請やデジタル手続きの確認
在留申請オンラインシステムの利用や手数料の納付方法など、手続きのデジタル化も進んでいます。
オンライン申請を利用する場合は、利用対象者、申請できる手続き、必要なアカウント、手数料の納付方法などを確認してください。
オンラインで申請できることと、すべての手続きがオンラインで完結することは同じではありません。個別の申請内容に応じて、最新の案内を確認する必要があります。
公式情報:
出入国在留管理庁「育成就労制度」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html
出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri10_00002
8.行政書士法人塩永事務所の外国人雇用・在留資格サポート
外国人を雇用する企業では、採用から在留期間更新、転職・退職時の届出、特定技能の受入れ管理まで、継続的な対応が必要です。
しかし、日々の事業運営と並行して制度の変更を確認し、必要書類を整え、期限を管理することは簡単ではありません。
行政書士法人塩永事務所では、企業の外国人雇用に関する在留資格手続きについて、個別の状況に応じた相談・申請支援を行っています。
主なサポート内容
① 在留期間更新許可申請
在留期限、必要書類、雇用状況などを確認し、更新申請に必要な書類の作成・準備を支援します。
② 在留資格変更許可申請
技能実習から特定技能への移行、特定技能1号から2号への移行など、個別の状況に応じて必要な手続きを確認します。
③ 農業分野の特定技能に関する相談
農業分野で認められる業務範囲、受入れ機関の要件、必要書類、届出などについて相談を承ります。
④ 転職・退職に伴う手続きの確認
外国人本人や受入れ企業に必要となる届出、在留資格変更の要否などを確認し、手続き漏れを防ぐための整理を支援します。
⑤ 在留資格管理体制の整備
在留期間の管理、更新時期の確認、必要書類の整理など、企業内で継続的に管理するための体制づくりをサポートします。
⑥ 制度改正に関する相談
在留申請手数料の改定、特定技能制度の運用変更、育成就労制度への移行など、企業に影響する制度について必要な確認事項を整理します。
※実際の支援範囲は、案件の内容や申請人・企業の状況によって異なります。申請内容によっては、他の専門家や関係機関への確認が必要となる場合があります。許可・認定などの結果を保証するものではありません。
9.農業分野の外国人雇用・特定技能の手続きでお困りの企業様へ
外国人材の雇用では、採用時の在留資格確認だけでなく、雇用を継続する間の更新申請、業務内容の管理、税金・社会保険の確認、退職・転職時の届出など、継続的な管理が重要です。
特に農業分野では、特定技能で認められる業務の範囲を正しく理解し、本人の技能や経験に応じた雇用管理を行うことが求められます。
次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 在留期間の満了日が近づいている
- 更新申請に必要な書類が分からない
- 在留資格変更が必要か判断できない
- 農業分野の特定技能外国人に任せられる業務を確認したい
- 特定技能1号から2号への移行を検討している
- 転職・退職に伴う届出が分からない
- 税金・年金・社会保険の未納について不安がある
- 特定技能の定期届出や随時届出を確認したい
- 外国人雇用の管理体制を整えたい
行政書士法人塩永事務所では、企業の状況をお伺いし、必要な手続きと確認事項を整理したうえで、適切な申請準備をサポートします。
「どの在留資格を申請すればよいのか分からない」「更新の準備を始めたい」「特定技能の受入れについて相談したい」という段階でも、お気軽にお問い合わせください。
行政書士法人塩永事務所
認定経営革新等支援機関
所在地:〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
電話:096-385-9002
外国人雇用・在留資格・特定技能に関するご相談は、行政書士法人塩永事務所までお問い合わせください。
主な参考資料
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」
https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html - 出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」
https://www.moj.go.jp/isa/11_00107.html - 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html - 出入国在留管理庁「農業分野」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/agriculture.html - 農林水産省「農業分野における外国人材の受入れ」
https://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/index.html - 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri10_00002 - 出入国在留管理庁「在留資格の取消し」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/torikeshi_00002.html - 出入国在留管理庁「育成就労制度」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html
※本記事は2026年10月時点の公表情報をもとに作成しています。制度、申請手数料、必要書類、運用要領などは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、必ず出入国在留管理庁・農林水産省などの最新情報をご確認ください。
