
更新日:2026年8月31日 外国人雇用/就労ビザ/技能実習/育成就労
(本記事は2026年8月末時点で公表されている公式資料・運用要領・分野別運用方針に基づいて作成しています。)
行政書士法人塩永事務所
- 育成就労制度とは?
- 技能実習と育成就労の違い【比較表】
- 制度の目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ変わる
- 受入れ対象分野は特定技能と原則一致(17分野)
- 一定の条件を満たせば、本人意向による転籍が可能になる
- 日本語能力の要件がこれまで以上に明確になる
- 監理・支援体制が厳格化される
- 企業が今から準備しておきたいこと
- よくある質問
- まとめ
育成就労制度とは?
育成就労制度は、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材確保が困難な産業分野において、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、当該分野における人材を確保することを目的とする制度です。 従来の技能実習のように「母国への技能移転」を前面に出す制度ではなく、日本国内での就労と育成を通じて「将来的な戦力となる人材を確保する制度」へ転換されたといえます。
あわせて押さえておきたいのは、育成就労制度が始まっても、現在の技能実習生が直ちに育成就労へ切り替わるわけではないという点です。
- 2027年4月1日時点で既に技能実習を行っている人
- 施行日前に技能実習計画の認定を受け、経過措置の要件を満たす人
については、引き続き技能実習制度のもとで実習を続けることができます。施行日前に技能実習計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は、原則として2027年6月30日までに入国する必要があります。
また、特定技能制度もなくなるわけではありません。育成就労制度は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成する制度として設計されており、その後の特定技能1号への移行も見据えた仕組みです。
制度のイメージとしては、「技能実習がすぐ全部なくなる」のではなく、経過措置のもとで現在の技能実習制度は当面続き、今後の新たな受入れは育成就労へ移っていきます。
技能実習と育成就労の違い【比較表】
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比較項目
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技能実習制度
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育成就労制度
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制度の目的
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国際貢献(技能移転)が建前
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人材育成・人材確保が目的
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制度の位置付け
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国際貢献を目的とする人材育成制度
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特定技能1号への移行を見据えた育成・就労制度
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在留資格
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技能実習1号・2号・3号
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育成就労
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在留期間
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最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)
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原則3年(試験不合格の場合は最長1年の延長あり)
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受入れ対象
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技能実習の対象職種・作業(約90職種)
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特定技能の特定産業分野と原則一致する17分野(航空・自動車運送業は対象外)。就労を通じた育成になじまない分野は対象外
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転籍(職場変更)
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原則不可(やむを得ない事情がある場合を除く)
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やむを得ない事情に加え、一定要件を満たせば本人意向の転籍が可能(分野ごとに1〜2年の制限期間)
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日本語能力
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入国時に原則なし(介護などを除く)
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就労開始前にA1相当以上(試験合格または相当講習100時間以上)。特定技能1号移行時はA2相当以上が基本。転籍時は分野によりA2.1相当など
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監理機関
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監理団体
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監理支援機関(外部監査人の設置が必須)
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機構の役割
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外国人技能実習機構が監督・保護
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外国人育成就労機構が監督・保護に加え転籍支援等も担う
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前職要件
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あり
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なし
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制度の目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ変わる技能実習制度では、制度の建前として「日本で修得した技能等を母国へ移転し、国際貢献につなげること」が中心に据えられていました。
そのため、現場では人手不足対応として機能していても、制度目的と実態の間にズレがあると長く指摘されてきました。 これに対し、育成就労制度では、人材育成と人材確保が目的として明確化されています。
企業としては、これまで以上に「一定期間受け入れて終わり」ではなく、将来的に特定技能1号へ移行し、戦力として定着してもらうことまで見据えた制度設計が求められるようになります。
受入れ対象分野は特定技能と原則一致(17分野)技能実習制度では、受入れ対象が職種・作業ごとに細かく定められていたため、技能実習では受け入れられていた業務でも、特定技能では対象分野や業務区分の違いから移行しにくい場合がありました。
育成就労制度は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、その後の特定技能1号への移行につなげることを前提にした制度で、受入れ対象分野が特定技能制度と原則一致する方向で設計されています。
2026年1月23日の閣議決定により、対象は17分野(特定技能の19分野から航空・自動車運送業を除いたもの)と確定。業務区分は計46区分程度で、転職できる範囲もこれで画されます。
なお、就労を通じた育成になじまない分野は対象外となります。
一定の条件を満たせば、本人意向による転籍が可能になる技能実習制度では、やむを得ない事情がある場合を除き、本人都合による転籍は原則としてできませんでした。この点は、実習生保護の観点から長く課題として指摘されてきました。
育成就労制度では、やむを得ない事情による転籍に加え、本人の意向による転籍も、一定の要件を満たせば認められます。
公式資料では、
- 同一機関での就労期間(分野ごとに1年から2年の範囲で設定)
- 技能等の水準(技能検定基礎級等または相当する評価試験)
- 日本語能力(分野によりA2.1相当など)
- 転籍先の適正性
などが要件とされています。
すぐに自由に転職できる制度ではなく、一定の育成と定着を前提にした上で、従来よりも柔軟な制度になるということです。企業側から見ると、賃金水準、労働環境、教育体制、日本語支援などを含めて、「選ばれる職場」になれるかが定着にとって重要になります。
日本語能力の要件がこれまで以上に明確になる育成就労制度では、日本語能力の向上が制度の重要な要素として位置付けられています。
- 就労開始前:A1相当以上の試験合格(JLPT N5やJFT-Basicなど)、または認定日本語教育機関の相当講習(100時間以上)の受講
- 本人意向の転籍時:分野によりA2.1相当以上など
- 特定技能1号移行時(育成就労終了時):A2相当以上(JLPT N4など)が基本(分野により上乗せあり。当分の間、講習での代替措置がある場合も)
企業としては、採用時点の日本語能力だけではなく、入国後・就労後も含めて計画的に日本語能力を高めていく支援が必要になります。
従来の技能実習でも日本語教育は重要でしたが、育成就労ではより制度上必要性が明確にされました。
監理・支援体制が厳格化される育成就労制度では、受入れを支える機関の仕組みも大きく見直されます。従来の監理団体は監理支援機関へ改められ、許可要件として外部監査人の設置が必須となります(弁護士・社会保険労務士・行政書士等で、養成講習を修了し、密接な関係のない中立な者)。
独立性・中立性を高める方向で制度が設計されています。
また、外国人技能実習機構に代わって、外国人育成就労機構が設立される予定です。この新しい機構は、従来の監督・保護機能に加え、育成就労外国人の転籍支援や、1号特定技能外国人への相談援助業務も担うこととされています。
企業にとっては、制度の監督が厳しくなるという面だけでなく、外国人本人の保護や相談体制の整備、適正な受入れの実現がこれまで以上に重視されると理解しておくべきでしょう。
企業が今から準備しておきたいこと育成就労制度は2027年4月1日開始ですが、今のうちから準備しておくべきことは少なくありません。
- 自社の業務が対象分野に入るかの確認
特定技能の対象分野に入っていても、そのまま当然に育成就労の対象になるとは限りません。分野別運用方針を確認しましょう。 - 監理支援機関との連携確認
2026年4月15日から許可申請が始まっています。取引先の監理団体が監理支援機関の許可を申請しているか確認を。 - 日本語支援と定着支援の体制づくり
3年間で育成し、特定技能1号につなげる制度設計が前提です。育成計画、評価の仕組み、相談体制、生活面の支援まで含めて、受入れ後のサポート体制を見直す必要があります。 - 育成就労計画の事前申請準備
2026年9月1日から育成就労計画の認定申請受付が始まります。早めの準備を推奨します。
よくある質問
Q1.育成就労制度はいつから始まりますか?
A. 2027年4月1日に施行されます(政令で正式確定)。
Q2.今の技能実習制度は、すぐになくなるのですか?
A. いいえ。育成就労制度の開始と同時に終了するわけではありません。施行日時点で実習中の技能実習生や、施行日前に必要な認定等を受け経過措置の要件を満たす人については、そのまま技能実習を継続する経過措置が設けられています。
Q3.育成就労が始まると、特定技能制度はなくなりますか?
A. なくなりません。育成就労制度は特定技能1号への移行を見据えた制度であるため、特定技能制度は引き続き存続します。将来的になくなるのは技能実習制度です。
Q4.育成就労では自由に転職できますか?
A. いいえ。自由に転職できる制度ではありません。本人意向による転籍は認められる方向ですが、就労期間(分野ごとに1〜2年)、技能、日本語能力、転籍先の適正性など、一定の要件を満たす必要があります。
まとめ
育成就労制度は、これまでの技能実習制度をそのまま引き継ぐものではなく、人材育成と人材確保を正面から目的に据えた新しい制度です。 技能実習と比べると、制度の目的だけでなく、特定技能とのつながり、本人意向による転籍の考え方、日本語能力の位置付け、監理・支援体制など、大きな見直しが行われます。
特に企業としては、これからは「受け入れて終わり」ではなく、3年間で育成し、その後の特定技能1号への移行や定着まで見据えた受入れ体制を整えていくことが重要になります。
2027年4月1日の制度開始まではまだ時間がありますが、2026年9月1日からの育成就労計画事前申請や監理支援機関の許可申請がすでに動き出しています。
今の段階から、自社が対象分野に入るか、日本語支援や相談体制の整備をどう進めるか、今後も選ばれる職場になるために何が必要かを確認しておくことが、今後の外国人材の採用・定着において大きな差につながるでしょう。 行政書士法人塩永事務所では、育成就労制度への移行準備や在留資格に関するご相談を承っております。
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