
目的は、再エネを「電力市場に統合」し、主力電源化を進めることです。FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、市場価格を意識した発電・売電行動を促しつつ、投資インセンティブを確保します。
これにより、国民負担(再エネ賦課金)の抑制と再エネの自立化を両立させることを目指しています。
2. FIP制度の基本的な仕組み発電事業者は以下の収入を得ます。収入 = 市場での売電収入 + プレミアム(供給促進交付金) + 非化石価値の売却収入(任意)プレミアムの計算式プレミアム単価 = 基準価格(FIP価格) − 参照価格
プレミアム交付額 = プレミアム単価 × 再エネ電気供給量(kWh)
- 基準価格(FIP価格)
再エネ電気を効率的に供給する場合に通常要する費用を基礎に、価格目標などを勘案して定められます。FIT制度の調達価格と同水準で設定されるのが基本です。電源種・規模・年度ごとに毎年調達価格等算定委員会の意見を踏まえて経済産業大臣が決定します。 - 参照価格
市場取引などで期待される収入を表す価格で、1か月ごとに更新されます。
主な構成要素:
① 卸電力市場(JEPXなど)の価格に連動した価格
+ ② 非化石価値取引市場の価格に連動した価格
− ③ バランシングコスト
プレミアムは毎月決定・交付されます。出力制御が発生した時間帯の電気には原則として交付されません。
3. FIT制度との主な違い
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項目
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FIT制度(固定価格買取)
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FIP制度(市場連動型)
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売電方法
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電力会社が固定価格で全量買取
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事業者が自ら卸市場・相対取引で売電
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収入の性質
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固定価格で安定
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市場価格に連動 + プレミアム
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価格リスク負担
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ほぼなし(国民負担に転嫁)
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事業者が一部負担
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インバランス責任
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免除
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事業者が負う(計画と実績の差を調整)
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非化石価値
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原則として国側に帰属
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事業者が保有し、自ら販売可能
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発電行動のインセンティブ
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いつ発電しても同じ収入
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市場価格が高い時間帯に多く供給するインセンティブあり(蓄電池活用など)
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政策の狙い
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初期導入の加速・収益の確実性確保
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市場統合・需給を意識した自立した電源化
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FIPは「FITから完全な市場競争への橋渡し」として位置づけられています。
4. FIP制度のメリット・デメリット(事業者視点)メリット
- 市場価格が高い時間帯に売電量を増やす(蓄電池による時間シフトなど)ことで、FIT以上の収益を得られる可能性がある。
- 非化石証書を自ら販売でき、追加収入を得られる。
- 出力制御の優先順位で有利になるケースが増えている(FITより後回しにされる方向)。
- 大規模案件を中心に新規認定でFIPが主流・必須化しつつある。
デメリット・注意点
- 市場価格変動リスクを負うため、収益の予見性がFITより低くなる。
- 発電計画の作成やインバランス対応(バランシング)が必要。小規模事業者はアグリゲーター(複数電源を束ねる事業者)との連携が重要。
- 制度理解や運用の難易度が上がるため、専門知識やサポートが必要になる場合が多い。
5. 対象となる電源・規模(概要)電源種や規模によって、FITのみ・FIPのみ・選択可能などが異なります。
特に事業用太陽光発電では、規模が大きくなるほどFIPや入札制度が適用される傾向が強まっています(例:50kW以上や250kW以上でFIP中心)。既存のFIT認定案件でも、一定規模以上は事業者の希望によりFIPへの移行が可能です。移行を促すためのインセンティブ(バランシングコストの一時的な増額など)も設けられています。
6. 最新動向(2025〜2026年頃)
- FIP認定件数・移行件数は大幅に増加。
- 出力制御の順番を「FIT → FIP」に変更する動きが進み、FIPの優位性が高まっている。
- バランシングコスト交付額の一時増額などでFITからFIPへの移行を促進。
- 屋根設置太陽光など特定区分では初期投資支援スキーム(段階的価格)が導入されるなど、細かな制度調整が続いている。
- 2026年度以降の基準価格・対象区分は、調達価格等算定委員会の意見に基づき毎年更新。
詳細な価格表や対象区分は、資源エネルギー庁の「なっとく!再生可能エネルギー」サイトや「FIT・FIP制度ガイドブック」で確認できます。
まとめ
FIP制度は「固定価格で守る時代」から「市場を意識しながら支援を受ける時代」への転換点です。収益の安定性を重視するならFITの残存案件や小規模案件、市場対応力や成長を重視するならFIP、という選択になります。
制度は毎年細かく見直されるため、個別の設備規模・認定状況・移行可否などは最新の情報で確認することが重要です。
実際の手続きや移行検討、事業計画の整理などでお困りの場合は、認定経営革新等支援機関などの専門家に相談することをおすすめします。
