
【2025年9月運用開始】FIP移行認定申請と併せて蓄電池を設置する場合の手続き
〜事前確認制度の導入で審査期間の短縮が期待される/実務で注意すべきポイントを行政書士が解説〜
FIT制度からFIP制度への移行が進むなか、
「市場価格の高い時間帯に売電したい」
「蓄電池を併設して収益性を高めたい」
というご相談が増えています。
他方で、FIP移行認定と蓄電池設置に関する変更認定は、本来は別の手続きです。
そのため、従来は申請の順序や審査の進行によって、手続きが長期化しやすいという課題がありました。
この点について、資源エネルギー庁は2025年9月1日から新たな運用を開始し、FIP移行認定申請の際に、蓄電池設置に関する変更認定書類を参考資料として添付できる取扱いとしました。
これにより、FIP移行審査と蓄電池設置内容の事前確認を並行して進められるため、FIP認定後の正式な変更認定審査の迅速化が期待されています。
新制度のポイント
まず押さえておきたいのは、FIP移行認定申請と蓄電池の変更認定申請が一本化されたわけではないという点です。
今回の運用は、あくまで事前確認制度です。
FIP移行認定申請の段階で蓄電池に関する資料を提出し、行政側が内容を先に確認できるようにしたものです。
そのため、FIP認定後には、蓄電池設置に関する正式な変更認定申請が別途必要になります。
また、参考資料と正式申請の内容が一致しているほど、後続審査がスムーズに進みやすくなります。
なお、この事前確認の対象は蓄電池に関する変更に限られます。
発電設備の設置場所変更やPCS変更など、蓄電池以外の変更まで含めて事前確認できる制度ではありません。
手続きの流れ
2025年9月以降の標準的な流れは、次のとおりです。
1. FIP移行認定申請を提出する
まず、既存のFIT認定からFIP認定へ移行するための申請を行います。
この申請自体の期限は、従来どおりの取扱いに従います。
2. 蓄電池に関する参考書類を添付する
FIP移行認定申請にあわせて、蓄電池設置に関する書類を参考資料として添付します。
この段階では、正式な変更認定申請そのものを提出するのではなく、事前確認のための資料を提出します。
3. 行政による事前確認が行われる
FIP移行審査と並行して、蓄電池設置内容について事前確認が行われます。
書類内容に不備があれば、後続の正式申請で追加確認が必要になる可能性があります。
4. FIP認定を取得する
審査を経てFIP認定を取得します。
発電量調整供給契約の開始日が、実務上の重要な基準となります。
5. FIP認定後に正式な変更認定申請を提出する
FIP認定後、蓄電池設置について正式な変更認定申請を提出します。
参考資料と正式申請の内容が一致していれば、審査の迅速化が期待できます。
添付する参考書類
FIP移行認定申請時には、次の書類を参考資料として添付できます。
-
蓄電池の変更認定申請書
-
単線結線図
-
設備配置図(蓄電池の設置位置を含むもの)
-
蓄電池の仕様書
これらは、後で正式申請にも使用することが多い書類です。
そのため、設計段階で内容に不整合があると、後続の審査が長引く原因になります。
特に、配置図と単線結線図、仕様書の整合性は重要です。
当事務所でも、参考資料の段階での事前チェックをご依頼いただくケースが増えています。
正式な変更認定申請は必須
この制度は、あくまで審査の前倒しです。
したがって、FIP認定後に正式な変更認定申請を行わなければ、蓄電池の設置に必要な手続きは完了しません。
また、正式申請時の内容が参考資料と異なる場合には、改めて追加審査が必要となる可能性があります。
その場合、事前確認によるメリットが薄れ、かえって審査期間が延びるおそれがあります。
実務上は、参考資料の段階で完成度を高めておくことが非常に重要です。
事前確認の対象となる変更
事前確認の対象となるのは、蓄電池に関する変更です。
例えば、次のような内容が想定されます。
-
蓄電池の新設
-
蓄電池の容量変更
-
蓄電池の設置位置変更
一方で、次のような変更は、蓄電池の事前確認の対象外です。
-
発電設備の設置場所変更
-
太陽光モジュールの仕様変更
-
PCSの変更
-
その他の事業計画変更
蓄電池以外の変更を含む場合は、従来どおり、別途の変更認定申請が必要になります。
ここを誤解すると、申請の組み立てを誤るおそれがあります。
申請期限の考え方
FIP移行認定申請
FIP移行認定申請については、従来どおりの申請ルールに従います。
今回の運用によって、FIP移行申請の期限自体が新たに変わるわけではありません。
蓄電池の正式な変更認定申請
蓄電池の正式な変更認定申請には、年度ごとの申請期限の考え方が適用されます。
そのため、「FIP認定後にいつまでに出せばよいのか」は、案件ごとに確認が必要です。
実務では、FIP認定時期と変更認定申請期限の関係を整理しておくことが重要です。
スケジュール管理を誤ると、蓄電池の設置が翌年度扱いになる可能性があります。
従来どおりの申請方法も可能
FIP認定通知を受けた後、発電量調整供給契約開始日までに、従来どおり蓄電池の変更認定申請を行う方法もあります。
したがって、今回の制度は「必ず事前確認を経なければならない」というものではなく、実務上の選択肢が増えたものと整理できます。
ただし、FIT認定のまま、蓄電池をPCSより太陽光側に設置する場合などは、FIT調達価格への影響が問題になるケースがあります。
このため���設備構成によっては、設計段階での慎重な確認が欠かせません。
実務で注意すべき点
FIP移行と蓄電池導入を同時に進める場合、次の点が特に重要です。
-
参考資料の完成度が審査期間を左右する。
-
設計変更が生じると、事前確認が有効に機能しない。
-
系統連系契約と発電量調整供給契約の整合性を必ず確認する。
-
年度ごとの変更認定申請期限を見落とさない。
形式上はシンプルに見えても、実際には制度・設計・系統・契約・期限管理が複雑に絡みます。
そのため、初期段階での整理が非常に重要です。
行政書士法人塩永事務所にご相談が増えている理由
FIP移行と蓄電池導入は、事業者様だけで判断するには難しい分野です。
特に次のようなご相談が増えています。
-
自社案件が事前確認制度の対象になるか判断したい。
-
設計会社から提示された図面が制度要件を満たしているか確認したい。
-
FIT価格への影響が出るか不安がある。
-
FIP移行と蓄電池導入を同時に進めたいが、スケジュール管理が難しい。
-
参考資料と正式申請の整合性を確保したい。
制度に合った進め方を早い段階で整理することで、無用な差し戻しや審査遅延を防ぎやすくなります。
まずは案件内容をお知らせください
蓄電池の容量、設置位置、PCS構成、FIP移行予定日などによって、最適な進め方は変わります。
行政書士法人塩永事務所では、FIP移行認定申請と蓄電池設置に関する変更認定申請について、実務を踏まえたご案内が可能です。
