相続のこと
■預金者が亡くなったとき
銀行の預貯金口座を持っている方が亡くなったことを銀行が知ったとき、その方の預貯金口座はいわゆる「凍結」し、遺族が預貯金を引き出すことができなくなります。
葬儀費用など現金が必要な場合は、凍結前であれば家族が故人のキャッシュカードを使って預貯金を引き出すことが可能です。
ただし、故人の財産は、亡くなった時点で相続人全員の共有財産になります。後の相続手続でのトラブル防止のためにも、引き出した預貯金の使い道は、領収書や記録を残しましょう。
故人名義の預貯金の調査は、銀行から残高証明書を発行してもらうことで確認します。
通帳等が無い場合も、その銀行で口座管理しているものであれば確認可能です。
■凍結口座の解約や引き出し方
(1)一部引き出し
以前は、口座が凍結されると、基本的に相続手続が完了するまで預貯金の解約や引き出しはできませんでしたが、2019年の法律改正により、一部の引き出しが認められるようになりましたが、それなりの手続きと書類が必要です。
(2)一部引き出しできる金額
相続人は次の計算式で求められる金額の払い戻しを受けることができます。
故人の預貯金額×1/3×その相続人の法定相続分=引き出し可能額
例えば、相続人が故人の配偶者で、口座に300万円の預貯金があった場合に、配偶者が引き出すことができる金額は次のようになります。
300万円×1/3×1/2(配偶者の法定相続分)=50万円
ただし、同一銀行に複数口座がある場合は、口座毎の金額で計算され、また一つの金融機関につき合計150万円までという上限が設けられています。
(3)一部引き出しに必要な書類
この方法で預貯金を引き出すには次のような書類が必要になりますが、金融機関により対応が異なりますので、事前に確認が必要です。
・故人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預貯金の払い戻しを求める人の印鑑証明書および本人確認書類
■口座解約
預貯金の相続手続は、基本的には故人の口座を解約して、現金化したものを指定の口座に移してもらうというのが一般的です。
(1)凍結された口座を相続で解約する手続き
一般的に必要とされる通帳や書類の他に、銀行指定の届出書等が必要になりますので、銀行窓口かホームページで情報を確認します。
金融機関により必要とされる手続や書類に違いがあります。
(2)必要な書類
①遺言書がある場合
- 遺言書
- 自筆証書遺言書の場合は、検認調書または検認済証明書
- 銀行指定の相続届
- 預金通帳、キャッシュカード
- 故人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑登録証明書
②遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
- 遺産分割協議書
- 銀行指定の相続届
- 預金通帳、キャッシュカード
- 故人(口座名義人)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
③遺言書も遺産分割協議書もない場合
- 銀行指定の相続届
- 預金通帳、キャッシュカード
- 故人(口座名義人)のの除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
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