
【2026年11月最新版】くまもと事業者再出発支援補助金|第2次公募・定額補助(多重被災事業者)と認定経営革新等支援機関の役割を徹底解説
行政書士法人塩永事務所(認定経営革新等支援機関)
令和8年熊本地震で被災された事業者の皆様へ
前回の記事(申請手続き・対象経費・必要書類を徹底解説)では、くまもと事業者再出発支援補助金の基本的な流れをご紹介しました。今回はその続編として、第2次公募が始まった現在の状況と、補助率10/10の定額補助(多重被災事業者)を使うために欠かせない認定経営革新等支援機関による確認書を中心に、実務のポイントを詳しく解説します。
※本記事は2026年11月4日時点で公表されている熊本県の情報(11月2日更新分を含む)をもとに作成しています。制度の詳細は変更される場合があるため、申請前に必ず熊本県の公式ページと最新の手引き・Q&Aをご確認ください。
1.現在の公募状況(2026年11月4日時点)
熊本県の交付申請手続きのページでは、次の公募日程が示されています。
| 公募回 | 開始日 | 締切日 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 第1次 | 2026年10月1日(木) | 2026年10月26日(月) | 受付終了 |
| 第2次 | 2026年11月2日(月) | 2026年11月17日(火) | 受付中 |
| 第3次 | 2026年12月1日(火) | 2026年12月16日(水) | 開始前 |
今後の日程は県のページに随時掲載される予定です。また、申請回数は原則1回で、施設と設備で分けるなど分割する場合でも原則として上限2回とされています。「第1次に間に合わなかったから、すべてを次回に回す」のではなく、どの施設・設備をどの回で申請するかを最初に設計することが大切です。
申請予定額連絡票(10月31日期限)について
熊本県は、国からの支援に上限額が設定されていることから、申請の時期と金額を把握するため、2026年10月31日までに「申請予定額連絡票」へ回答するよう呼びかけていました。回答した金額が交付申請額の上限になるものではないとされています。まだ回答していない事業者様は、受付センター(096-284-7660)へお早めにご確認ください。
2.補助率10/10の「定額補助」とは
通常の補助率は、中小企業者等が3/4、中堅企業等が1/2です。これに対し、要件を満たした多重被災事業者は、**補助対象経費5億円まで定額補助(10/10)**となり、補助上限額は15億円です(5億円を超える部分は通常の補助率)。
| 区分 | 補助率 | 1事業者あたり上限額 |
|---|---|---|
| 中小企業者等 | 3/4 | 3億円 |
| 中堅企業・みなし中堅企業 | 1/2 | 3億円 |
| 多重被災事業者 | 5億円まで定額(10/10)、超過分は通常の補助率 | 15億円 |
| 特定被災事業者 | 通常の補助率に準ずる | 15億円 |
自己負担をほぼなくせる可能性がある制度ですが、その分、要件の確認書類が多く、第三者による確認も必要です。ここで登場するのが認定経営革新等支援機関です。
3.多重被災事業者の要件(5つすべてを満たす必要があります)
熊本県の「定額補助(多重被災事業者)申請マニュアル」では、次の1〜5をすべて満たすことが求められています。
- 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者であること
- 過去10か年度以内の激甚指定災害で被害を受け、(ア)事業用資産の被災を証明でき、(イ)国等の復旧・復興支援を活用していること
- 次のア・イのいずれかに該当すること
- ア 過去の災害発生日以降、売上高が20%以上減少している復興途上の事業者
- イ 令和8年熊本地震の発生時に厳しい債務状況にあり、交付申請時に経営再建等に取り組み、かつ認定経営革新等支援機関に事業計画等について確認を受けている事業者
- 交付申請時に、過去の災害からの復旧・復興のための債務を抱えており、県知事が認めた事業者
- 令和8年熊本地震により施設・設備が被災し、その復旧を行おうとする者
熊本県で対象となる激甚指定災害は、平成28年熊本地震、令和2年7月豪雨、令和7年8月豪雨の3つです。
4.【最重要】認定経営革新等支援機関の確認書が必要になるケース
前記の要件3のうち、「イ」のルートを選ぶ場合に、認定経営革新等支援機関の関与が必須となります。マニュアルでは、次の書類をすべて提出するとされています。
- 企業再建計画(県のホームページに様式あり)
- 認定経営革新等支援機関による企業再建計画(事業計画)の確認書
- 金融機関による企業再建計画の確認書
つまり、売上が20%以上減少していない事業者様が定額補助を目指す場合、「実行可能な企業再建計画をつくり、認定経営革新等支援機関と金融機関の確認を受ける」ことが入口になります。逆に、要件3の「ア」(売上20%以上減少)で足りる場合は、この確認書は不要です。どちらのルートに当てはまるかは、決算書や月次の売上データを確認しないと判断できません。
認定経営革新等支援機関とは
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)は、中小企業が安心して経営相談を受けられるよう、専門知識や実務経験が一定以上ある支援機関を国が認定する制度です。事業者の経営改善や事業計画づくりを支援する役割を担っています。
行政書士法人塩永事務所は、国の認定を受けた認定経営革新等支援機関です。 補助金の申請書類の作成と、企業再建計画の策定・確認を一つの窓口で進められることが、当事務所の強みです。
※認定支援機関であることは、補助金の交付や確認書の発行を保証するものではありません。確認書は、計画の内容を確認したうえで作成します。
5.認定支援機関の確認書を得るまでの実務の流れ
確認書の取得は、申請直前に慌てて依頼しても間に合わないことがあります。一般的な進め方は次のとおりです。
| STEP | 内容 | 主な準備物 |
|---|---|---|
| 1 | どのルート(売上20%減/債務状況+再建計画)に当てはまるか判定 | 決算書、月次試算表、売上台帳、確定申告書別表一の控え |
| 2 | コロナの影響・過去の激甚災害の被災・支援活用を示す書類の収集 | 給付金・融資の関係書類、罹災証明書や被害写真、交付確定通知書など |
| 3 | 企業再建計画の作成 | 借入金の状況、今後の収支見通し、復旧後の事業の見通し |
| 4 | 認定経営革新等支援機関による確認 | 企業再建計画、関係資料 |
| 5 | 金融機関による確認 | 企業再建計画、借入金残高証明書など |
| 6 | 定額補助要件確認様式と交付申請書類一式の完成 | 通常の交付申請書類+定額補助専用書類 |
ポイントは、認定支援機関と金融機関の二つの確認が必要なことです。金融機関との調整には時間がかかる場合があるため、第2次(11月17日締切)を目指すのか、第3次(12月16日締切)で確実に整えるのかを、早めに判断することをおすすめします。
売上減少を示す書類の考え方
マニュアルでは、売上高の比較に使う書類として、確定申告書別表一の控え、法人事業概況説明書の控え、売上台帳などが例示されています。該当する売上高の部分にマーカーを付け、余白に事業者名を記載するよう求められています。時期による売上の変動が大きい事業者は、県へ個別相談するよう案内されています。
6.特定被災事業者について
補助申請額が3億円を超える見込みの事業者のうち、サプライチェーンにとって不可欠な小規模事業者等で、被害規模が多重被災事業者に相当するものとして県知事が認め、九州経済産業局長が承認した場合は、特定被災事業者として補助上限額が15億円となります。
ただし、手引きでは「特定被災事業者に承認された場合でも、定額補助はありません」と明記されています。また、特定被災事業者の場合は、実績報告時に事業継続計画(BCP)の策定と損害保険への加入が求められます。該当しそうな場合は、個別に県へ相談する必要があります。
7.補助対象経費で間違えやすいポイント
定額補助でも通常補助でも、補助対象経費の考え方は共通です。手引きに基づき、特に誤解の多い点を整理します。
- 復旧は修理が原則です。修理不能の場合や、見積書の比較で入替・建替のほうが安い場合などに限り、入替・建替ができます。
- 規模を拡張した建替や高機能設備への入替も可能ですが、補助対象経費の上限は原状回復に必要な経費です。たとえば原状回復が500万円、新設備が800万円なら、対象は500万円までです。原状回復分の見積書も必要です。
- 施設は原則として登記されているもの、設備は資産計上されているものが対象です。登記や資産計上がない場合でも、固定資産課税台帳証明書や売買契約書などで所有と事業利用を証明できれば対象になる場合があります。
- 保険金・共済金を受け取っている場合は、復旧費用から保険金等を控除した額が対象経費です。
- 1件100万円(税込)以上の工事・購入は、原則2者以上の見積書が必要です。
- 対象外の例:住宅部分(店舗兼住宅は面積按分)、テーブル・椅子・食器・什器などの汎用備品、商品・在庫、消耗品、ソフトウェア、地震に係る清掃・消毒費、租税公課、保険料、自社で復旧する場合の人件費など。
- 申請代行に係る費用は補助対象外です。
- 交付決定前に復旧した経費も、発災日(令和8年7月28日)以降であれば対象になり得ますが、被害状況が写真や書類で確認できることが条件です。
- 同じ施設・設備について、他の国や県の補助金と重複して受けることはできません。
8.交付決定後に注意したいこと
- 精算払いが原則です。復旧費用を先に支払う必要があるため、つなぎ資金の準備が重要です。一定の要件を満たす場合は、1回に限り概算払いを請求できます。
- 交付決定は支払いの約束ではなく、いったん決定した額を増額することはできません。
- 対象経費の減少が30%を超えるなど、事業内容に変更が生じる場合は、事前相談と変更申請が必要です。
- 実績報告では、熊本県版BCPシート(またはこれに代わる事業継続計画)を提出します。
- 復旧した施設・設備は処分制限財産となり、一定期間、譲渡・貸付・取壊し・担保設定などには事前の県の承認が必要です。
- 帳簿や契約書・請求書・領収書は、財産処分制限期間中は保存します。支払いは原則として口座振込で、「いつ、誰に、何のために、いくら」支払ったかが明確である必要があります。
- 交付決定を受けた事業者の名称・所在地は、県のホームページで公表されます。
9.申請書類の作成は行政書士へ
熊本県の交付申請手続きのページには、行政書士または行政書士法人でない者が、申請者から報酬を得てこの申請書類を作成することは、行政書士法違反となる旨の注意書きが掲載されています(他の法律に別段の定めがある場合を除く)。
補助金の申請書類作成を依頼される際は、依頼先が行政書士・行政書士法人であるかを、あらかじめご確認ください。
10.行政書士法人塩永事務所のサポート
当事務所は認定経営革新等支援機関として、次のようなサポートを行っています。
- 通常の補助(3/4・1/2)と定額補助(10/10)のどちらを目指せるかの要件判定
- 定額補助に必要な企業再建計画の策定支援と、認定経営革新等支援機関としての確認書の作成
- 金融機関への確認書依頼に向けた資料整理・調整のご案内
- 交付申請書・補助事業計画書など申請書類一式の作成
- 見積書・被害写真・保険金等計算書などの添付資料のチェック
- 交付決定後の実績報告に向けた書類整理
申請期限が迫ってからでは、見積書の取得や金融機関との調整が間に合わないことがあります。「うちは定額補助の対象になるのか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
※支援の範囲はご依頼の内容により異なります。補助金の採択・交付、確認書の発行を保証するものではありません。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所(認定経営革新等支援機関)
所在地:〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
電話:096-385-9002 / メール:info@shionagaoffice.jp
受付時間:9時〜18時 / 対応エリア:熊本県内を中心に、オンライン相談にも対応
申請先・県の問い合わせ先
くまもと事業者再出発支援補助金受付センター
〒862-0954 熊本市中央区神水1丁目3-1 ヨネザワ熊本県庁前ビル4階
電話:096-284-7660 / 受付時間:平日9時〜17時(祝日除く)
参考資料
- 熊本県「令和8年熊本地震に係る『くまもと事業者再出発支援補助金』の交付申請手続きについて」(2026年11月2日更新)https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/61/280961.html
- 熊本県「くまもと事業者再出発支援補助金手引き」(令和8年10月5日更新)
- 熊本県「定額補助(多重被災事業者)申請マニュアル」(令和8年10月1日更新)
