
熊本で一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可申請なら|行政書士法人塩永事務所
熊本県内でトラック運送事業を始める方へ。営業所・車庫・車両5両以上・人員・資金計画を、九州運輸局の審査基準に沿って事前に確認します。
熊本で運送会社を設立したい方、緑ナンバーのトラックで他社の貨物を有償運送したい方、既存会社に運送部門を設けたい方は、行政書士法人塩永事務所にご相談ください。
一般貨物自動車運送事業を始めるには、貨物自動車運送事業法に基づく国土交通大臣の許可が必要です。許可申請では、営業所や車庫の場所、事業用車両、人員体制、資金計画、損害賠償能力、法令遵守体制などが審査されます。
熊本県内の申請は、九州運輸局の審査基準に基づき、熊本運輸支局を窓口として手続きを進めます。営業所や車庫を先に契約してしまうと、都市計画法・農地法・接道条件などの問題で、予定していた場所を使用できない可能性があります。
「車両は確保できそうだが、車庫の広さや前面道路に問題がないか分からない」「5両分の車両費や運転者の人件費を含め、必要資金がどのくらいになるか知りたい」という段階からご相談いただけます。
1.一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)とは
一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償でトラックなどの自動車を使用して貨物を運送する事業です。
荷主から運賃を受け取り、自己の事業用トラックで貨物を運ぶ場合は、原則として一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。
主な事業例は次のとおりです。
- 企業間の貨物配送・集配
- 建築資材、鋼材、機械、部品などの運送
- 食品・冷凍冷蔵品の配送
- 引越運送
- メーカーや卸売業者から委託を受けるトラック輸送
- 工場・物流施設間の定期輸送
- 建設現場や事業所への資材運搬
許可を取得して事業用自動車として登録すると、一般に「緑ナンバー」と呼ばれる事業用ナンバープレートを使用して営業します。
なお、緑ナンバーを取得すれば、どのような貨物でも自由に運べるというわけではありません。車両の構造・積載量、運送契約、関係法令、必要な資格や設備などに応じた運送体制が必要です。
2.最初に確認したい運送事業の区分
同じ「配送」でも、誰の貨物を、誰から運賃を受け取り、どの車両で運ぶかによって必要な手続きが異なります。
| 事業区分 | 概要 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業 | 他人の需要に応じ、トラック等で有償運送する事業 | 許可 |
| 特定貨物自動車運送事業 | 特定の単一の運送需要者の需要に応じて有償運送する事業 | 許可 |
| 貨物軽自動車運送事業 | 軽自動車・二輪自動車を使用した有償運送 | 経営届出 |
| 貨物利用運送事業 | 自ら実運送を行わず、他の運送事業者を利用して運送を引き受ける事業 | 第一種は登録、第二種は許可 |
| 自家用自動車による自社配送 | 自社の貨物を自社の車両で運ぶ運送 | 原則として一般貨物の許可不要 |
特に注意したいのが、特定貨物自動車運送事業と一般貨物自動車運送事業の違いです。
九州運輸局の審査基準では、特定の荷主が単一である場合は特定貨物自動車運送事業、特定の荷主が複数である場合は一般貨物自動車運送事業として申請する取扱いが示されています。
また、特定貨物自動車運送事業では、単一の荷主に特定され、その荷主の輸送量の大部分を確保できることなどが確認されます。
一方、自社の商品を自社の車両で配送する場合と、他社から運賃を受け取って運ぶ場合とでは、法的な取扱いが異なります。事業開始前に契約関係や運送の実態を整理することが重要です。
3.熊本で一般貨物自動車運送事業を始める際の地域事情
熊本県内で運送事業を始める場合、営業所・車庫の立地だけでなく、実際の運送先や荷主との距離、幹線道路へのアクセス、車両の出入りのしやすさも事業計画に関わります。
熊本市・県央地域
熊本市を中心とする地域では、企業間配送、建築資材・設備機器の運送、食品配送、店舗・事業所への納品など、さまざまな運送需要が考えられます。
熊本市内に営業所を設置する場合は、市街地の道路幅員、車両の出入り、近隣住宅への影響、駐車スペースの確保などを確認する必要があります。
菊陽町・大津町・合志市周辺
菊陽町・大津町・合志市周辺では、半導体関連の工場・事業所や関連企業の集積に伴い、設備、部品、資材、製造関連貨物などの輸送を検討する事業者もいます。
ただし、特定の工場や企業との取引が見込まれる場合でも、実際の受注量、契約条件、納品先、車両の種類、運行頻度などを確認し、無理のない事業計画を作成することが必要です。
熊本港・八代港・高速道路へのアクセス
熊本港や八代港を利用する貨物、九州自動車道・九州中央自動車道などを利用する広域輸送を予定している場合は、営業所・車庫から主要道路や港湾施設までのアクセスも検討材料になります。
大型車やトレーラーを使用する場合は、車庫の面積だけでなく、進入路の幅員、曲がり角、周辺道路の交通規制、車両の転回・待機スペースなども事前に確認することが大切です。
熊本県内の申請窓口
熊本県内に営業所を設置する場合の申請窓口は、熊本運輸支局です。
熊本運輸支局(輸送・監査部門)
- 所在地:熊本市東区東町4丁目14番35号
- 電話:096-369-3155
- 管轄:熊本県全域
申請書は、営業所所在地を管轄する運輸支局に提出します。熊本県内の営業所については、熊本運輸支局を窓口として九州運輸局の審査を受けることになります。
4.一般貨物自動車運送事業の主な許可要件
一般貨物自動車運送事業の許可では、営業所、車両、車庫、休憩・睡眠施設、運行管理体制、整備管理体制、資金計画、法令遵守、損害賠償能力などが確認されます。
以下は、九州運輸局の公示基準を基本に整理した主な要件です。
4-1.営業所
営業所は、運送事業の運行管理や事業運営を行う拠点です。
主な確認事項は次のとおりです。
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令に抵触しないこと
- 事業を適切に遂行できる規模・構造であること
- 営業所として使用する権原があること
- 机、椅子、電話、書類保管設備など、事業遂行に必要な備品が備わっていること
九州運輸局の公示基準では、営業所の広さについて一律の面積だけで判断するのではなく、事業遂行上適切な規模であることが求められています。
賃貸物件を使用する場合は、契約上、運送事業の営業所として使用できるかも確認してください。
熊本県内では、市街化調整区域、農地、用途地域による建築・用途制限などが問題になることがあります。特に、事務所や倉庫として利用できるように見える建物であっても、運送事業の営業所として使用できるとは限りません。
営業所の賃貸借契約や購入契約を締結する前に、所在地・建物の用途・関係法令を確認することをおすすめします。
4-2.車庫
車庫は、計画する事業用自動車をすべて収容できることが必要です。
主な要件は次のとおりです。
- 原則として営業所に併設されていること
- 併設が困難な場合は、営業所から直線距離で原則5km以内であること
- ただし、政令指定都市にあっては直線距離10km以内であること
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令に抵触しないこと
- 前面道路が車両制限令に適合していること
- 計画車両すべてを収容できること
- 車両と車庫の境界、車両相互間にそれぞれ50cm以上の間隔を確保できること
- 車庫として使用する権原があること
- 車庫以外の用途に使用する部分と明確に区画されていること
熊本市は政令指定都市であるため、熊本市内の営業所について車庫を別の場所に設ける場合は、原則として直線距離10km以内が基準となります。熊本市以外の地域では、原則5km以内が基準です。
距離は道路を走行した距離ではなく、直線距離で判断します。
車庫の面積については、単に土地全体の面積が広ければよいわけではありません。車両の長さ・幅・配置、車両相互の間隔、出入口の位置、車両の出入りや転回の可否などを確認する必要があります。
また、熊本県内では、農地や市街化調整区域、資材置場として利用されている土地などを車庫として使用したいという相談も考えられます。土地の登記上の地目だけでなく、現況や都市計画法・農地法上の手続きの要否を確認してください。
車庫の契約前に、土地の所在地、地目、面積、前面道路、出入口、営業所からの直線距離を確認することが重要です。
4-3.休憩・睡眠施設
運転者が業務の途中で休憩し、必要に応じて睡眠を取るための施設を確保する必要があります。
九州運輸局の基準では、原則として営業所または車庫に併設することが求められています。
主な確認事項は次のとおりです。
- 運転者が実際に利用できる施設であること
- 休憩・睡眠に適した設備や環境が確保されていること
- 使用権原があること
- 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令に抵触しないこと
- 睡眠を与える必要がある場合は、同時睡眠者1人当たり2.5㎡以上の広さがあること
休憩施設と睡眠施設のどちらが必要となるかは、運行計画や勤務形態によって異なります。長距離輸送や深夜運行を予定している場合は、運転者の勤務・休息の実態に合わせて施設を計画することが重要です。
4-4.事業用自動車(最低5両以上)
一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに、事業用自動車を種別ごとに5両以上配置する必要があります。
けん引車と被けん引車を使用する場合は、けん引車1両と被けん引車1両の組合せを合わせて1両として算定します。
九州運輸局の公示では、霊柩運送、一般廃棄物運送、一定の島しょ地域における運送など、5両以上の配置が適当でないと認められる場合に特例が設けられています。通常の一般貨物運送について、単に開業規模が小さいという理由で5両未満が認められるわけではありません。
車両については、次の事項を確認します。
- 輸送する貨物に適した大きさ・構造であること
- 使用権原があること
- 購入・リースなどの契約内容が確認できること
- 車検証上の用途・車両の仕様が事業計画に適合していること
購入予定の車両やリース予定の車両を申請計画に含める場合は、契約状況や使用権原の裏付けについて、申請時点の取扱いを確認します。
4-5.運行管理体制
運送事業では、運転者の安全確保と適切な運行管理を行う体制が必要です。
主な確認事項は次のとおりです。
- 車両数や運行計画に応じた運転者を確保できること
- 法令上必要な人数の常勤運行管理者を確保する計画があること
- 運転者の勤務割・乗務割が改善基準告示などに適合していること
- 運行管理者と担当役員などの指揮命令系統が明確であること
- 点呼、アルコール検知、日常点検を適切に実施できること
- 事故防止教育や事故発生時の対応体制が整っていること
- 苦情処理体制が整っていること
運行管理者の必要人数は、事業用自動車の数に応じて法令上定められています。貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づき、車両数に応じた必要人数を確認します。
一般的には、事業用自動車29両までであれば運行管理者1名、30両以上になると車両数に応じて必要人数が増加します。
また、営業所と車庫が離れている場合は、両施設間で常時連絡を取れる体制を整え、点呼などを確実に実施できる仕組みを構築する必要があります。
4-6.整備管理体制
事業用自動車の点検・整備を適切に行うため、法令上選任が必要となる整備管理者を確保する計画が必要です。
整備管理者の資格要件や選任の要否は、車両の種類・台数などによって確認します。
主な確認事項は次のとおりです。
- 整備管理者の選任義務の有無
- 整備管理者の資格・実務経験等の要件
- 日常点検・定期点検の実施体制
- 整備管理者と担当役員等の指揮命令系統
- 車両の整備記録や点検記録の管理方法
整備管理者の選任義務がある場合は、必要な資格・要件を満たす人を確保し、実際に点検整備を管理できる体制を整えます。
4-7.資金計画・自己資金
一般貨物自動車運送事業の許可申請では、事業開始に必要な資金を適切に見積もり、その全額を調達できる裏付けが求められます。
九州運輸局の申請の手引では、主に次の項目を計上する取扱いが示されています。
| 資金項目 | 算定の基本的な考え方 |
|---|---|
| 人件費 | 6か月分 |
| 燃料油脂費 | 6か月分 |
| 車両修繕費・タイヤ費 | 6か月分 |
| その他の運営費 | 手引に定める算定方法による |
| 車両購入費 | 取得価格。一括払い・分割払いで算定方法が異なる |
| 車両リース料 | 原則として1年分 |
| 営業所・車庫・休憩施設の賃借料 | 原則として1年分 |
| 什器・備品費 | 必要な備品・機械器具等の取得価格 |
| 自動車税・自動車重量税等 | 計画車両に係る所要額 |
| 自賠責保険・任意保険 | 原則として全車両の1年分 |
| 登録免許税 | 許可時に12万円 |
人件費には、役員報酬・給与・手当・法定福利費など、事業計画に応じた費用を含めて算定します。車両費や施設費も、購入かリースか、自己所有か賃貸かによって計算方法が異なります。
自己資金は、事業開始に要する資金の合計額の全額が必要です。
また、自己資金は申請時だけ確保していればよいわけではありません。申請日以降、許可日までの間も常時確保されている必要があります。九州運輸局の手引では、申請時点および申請後に指定される時点の預貯金残高証明書によって、資金の裏付けを確認する取扱いが示されています。
したがって、「5両なら必ず2,000万円」「3,000万円あれば許可が取れる」といった一律の金額はありません。車両の購入・リース、運転者数、給与水準、営業所・車庫の賃料、保険料、運行内容などによって必要資金は変わります。
資金計画を作成する際は、見積書・契約書・預金残高証明書などの裏付け資料を整理しておくことが重要です。
4-8.損害賠償能力・保険加入
事業用自動車による事故に備え、自賠責保険に加えて、十分な補償内容の任意保険に加入する計画が必要です。
九州運輸局の申請の手引では、任意保険について、次の補償水準が示されています。
- 対人賠償:被害者1名につき無制限
- 対物賠償:1事故につき200万円以上
危険物輸送などを行う場合は、通常の貨物輸送とは別に、輸送内容に対応した保険の必要性も確認します。
実際の事業運営では、対物賠償についても、運ぶ貨物や車両、取引先との契約内容などを踏まえ、十分な補償額を検討することが大切です。
4-9.法令遵守・社会保険・欠格事由
許可申請では、申請者や法人役員が事業を適正に遂行するための法令知識を有し、法令を遵守できることが確認されます。
主な確認事項は次のとおりです。
- 法令試験に合格すること
- 社会保険・労働保険の加入義務者が、運輸開始前に必要な加入手続きを行うこと
- 貨物自動車運送事業法・道路運送法違反による一定の行政処分歴がないこと
- 法律上の欠格事由に該当しないこと
過去の行政処分歴や役員の状況によっては、許可に影響する場合があります。申請前に確認しておくことが重要です。
5.申請時の法令試験
一般貨物自動車運送事業の新規許可申請では、原則として法令試験が実施されます。
九州運輸局の公示による主な取扱いは次のとおりです。
- 受験者は1申請につき1名
- 個人事業の場合は申請者本人
- 法人の場合は、許可後に申請事業に専従する常勤役員のうち1名
- 試験は隔月で実施
- 初回試験は原則として申請受理月の翌月以降
- 不合格の場合は、翌々月に1回に限り再試験を受験可能
- 再試験でも合格点に達しない場合は、申請が却下される取扱い
- 出題数30問、試験時間50分
- 合格基準は正解率80%以上
出題範囲には、貨物自動車運送事業法、同施行規則、輸送安全規則、道路運送法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、改善基準告示、労働安全衛生法、独占禁止法などが含まれます。
九州運輸局の法令試験は福岡市の九州運輸局で実施されます。熊本県内で申請する場合でも、受験会場は熊本運輸支局ではありません。
試験当日は関係法令の条文集が配付されますが、参考資料の持込みはできません。申請を予定している法人では、受験者となる常勤役員を早めに決め、計画的に準備することが大切です。
6.熊本での許可申請から運輸開始までの流れ
九州運輸局が公示する一般貨物自動車運送事業の標準処理期間は、申請受理から許可まで3~5か月です。
この期間には、申請書の補正や申請内容の変更に要する期間は含まれません。また、法令試験の実施時期や申請内容によって、実際の所要期間は前後します。
営業所・車庫の選定、車両や人員の確保、資金準備などを含めると、開業までにはさらに準備期間が必要です。
STEP1 事業内容の確認
まず、予定する運送事業の内容を整理します。
- 何を運ぶのか
- 誰から運送を依頼されるのか
- 荷主は単一か、複数か
- 運送区域や主な運送先はどこか
- 使用する車両の種類・台数
- 自社で運送するのか、他社の運送を利用するのか
- 荷主との契約や受注見込みはあるか
事業内容によって、一般貨物・特定貨物・貨物軽自動車・貨物利用運送のどの手続きが必要になるかを確認します。
STEP2 営業所・車庫・休憩施設の事前調査
営業所や車庫の候補地について、関係法令・距離・道路・面積・使用権原などを確認します。
熊本県内では、特に次の点が重要です。
- 熊本市内の営業所と車庫の距離基準
- 市街化調整区域における建築・用途上の制限
- 農地を車庫として使用する場合の農地法上の手続き
- 車庫前面道路の幅員と大型車の通行可能性
- 車両の出入りや転回が可能か
- 近隣住宅や周辺施設への影響
- 5両以上の車両を安全に収容できるか
土地や建物の契約を先に進めるのではなく、候補地の段階で確認することをおすすめします。
STEP3 車両・人員・資金計画の作成
事業計画に応じて、事業用車両、運転者、運行管理者、整備管理者などの確保計画を作成します。
併せて、車両費・人件費・燃料費・修繕費・施設費・保険料などを積算し、所要資金と自己資金の裏付けを準備します。
STEP4 申請書類の作成・提出
営業所所在地を管轄する熊本運輸支局に、一般貨物自動車運送事業経営許可申請書と必要書類を提出します。
主な書類は次のとおりです。
- 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書
- 事業計画書
- 営業所・車庫・休憩施設の位置図、平面図等
- 施設の使用権原を証明する書類
- 車両に関する資料
- 運行管理・整備管理体制に関する書類
- 運転者の確保計画
- 資金計画書・資金調達の裏付け資料
- 保険加入計画に関する資料
- 法人の定款・登記事項証明書等
- その他、審査上必要となる資料
申請者が法人か個人か、施設や車両の確保状況、事業内容などによって必要書類は異なります。
STEP5 法令試験・審査・補正
申請後、九州運輸局による審査が進められます。法人の場合は、所定の常勤役員が法令試験を受験します。
申請内容について確認や補正が求められた場合は、図面・契約書・資金資料・事業計画などを見直し、必要な対応を行います。
STEP6 許可・登録免許税の納付
審査を経て許可となった場合は、登録免許税12万円を納付し、許可書の交付を受けます。
九州運輸局の処理方針では、許可後1年以内に運輸を開始する旨の条件が付されます。
STEP7 運輸開始前の準備
許可を取得しただけでは、直ちに運送事業を開始できません。
運輸開始前に、必要な手続きを進めます。
- 運行管理者の選任届
- 整備管理者の選任届
- 運転者の雇用・確保
- 社会保険・労働保険の加入
- 任意保険への加入
- 事業用自動車の登録(緑ナンバー取得)
- 運賃・料金の設定届出
- 運輸開始前の確認報告
運行管理者・整備管理者の選任届については、許可条件や選任時期に応じて提出期限を確認します。
STEP8 運輸開始届の提出
必要な準備が整い、運輸を開始した後は、所定の運輸開始届を提出します。
また、九州運輸局の処理方針では、運輸開始届出後1か月以降3か月以内に、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関による巡回指導が行われる取扱いが示されています。
開業直後から、点呼記録、運転日報、点検整備記録、労務管理記録、教育記録などを適切に整備しておくことが重要です。
7.2025年・2026年の法改正と運送事業者への影響
トラック運送業界では、取引の適正化や物流の持続可能性を確保するため、貨物自動車運送事業法等の改正が進められています。
新規許可を取得する事業者も、許可要件だけでなく、開業後の契約管理や委託先管理を見据えて準備する必要があります。
2025年4月施行の改正
2024年に公布された改正法により、主に次の事項が導入されました。
- 運送契約締結時等の書面交付義務
- 運送内容や運賃・料金等の明確化
- 委託先の健全な事業運営を確保するための取組に関する努力義務
- 一定の事業者における運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任
- 一定の貨物について実運送体制管理簿の作成・保存義務
運送契約では、運送区間、貨物の内容、運賃・料金、附帯業務などを明確にしておくことが重要です。
2026年4月施行の改正
2025年6月公布の貨物自動車運送事業法改正法の一部が、2026年4月1日に施行されました。
主な内容は次のとおりです。
- 違法な白トラ事業者への運送委託に対する荷主等への規制強化
- 運送事業者・貨物利用運送事業者に対する委託次数を2回以内とする努力義務
- 一定の貨物利用運送事業者への書面交付義務等の適用拡大
特に、許可を受けていない白ナンバー車両による有償運送を利用した場合、荷主側も処罰の対象となる規定が設けられています。
運送を委託する側も受託する側も、相手方の事業許可や契約内容を確認することが重要です。
今後施行される予定の制度
2025年6月公布の改正法には、トラック事業者の許可更新制度や、国土交通大臣が定める適正原価を下回る運賃・料金の制限に関する規定も含まれています。
これらは公布から3年以内に政令で定める日に施行される予定であり、2026年10月時点では施行日・具体的な運用を確認しながら対応する必要があります。
新規開業を予定する場合も、短期的な許可取得だけでなく、適正な運賃設定、運送契約の書面管理、再委託の管理、運転者の処遇確保などを含めた事業運営を検討しておくことが大切です。
8.許可申請で注意したいポイント
営業所・車庫を先に契約してしまう
営業所や車庫は、契約した後に許可要件を満たさないことが判明しても、簡単に変更できない場合があります。
熊本県内では、市街化調整区域、農地、前面道路の幅員、車両の出入口などの確認が特に重要です。
車両台数と車庫の配置が合わない
5両以上の車両を計画していても、車庫にすべて収容できなければ要件を満たしません。車両の寸法や配置を具体的に確認する必要があります。
資金計画の積算が不足している
車両購入費だけでなく、人件費、燃料費、修繕費、施設費、保険料、税金などを適切に積算する必要があります。申請後に自己資金が不足することがないよう、資金の管理にも注意してください。
運行管理者・整備管理者の確保ができていない
必要な資格や選任要件を満たす人を確保できなければ、事業開始に支障が生じます。申請準備の初期段階から人員計画を立てることが重要です。
法令試験の準備が不足している
法令試験は隔月で実施され、不合格の場合の再試験にも制限があります。受験予定者を早めに決め、十分に準備してください。
申請書類の数字や内容が一致していない
例えば、次のような不一致は補正の原因になります。
- 事業計画書と資金計画書の車両台数が異なる
- 車庫図面と車両明細の台数が合わない
- 車両購入・リースの見積額と資金計画の金額が異なる
- 運転者の人数と勤務割・乗務割が整合していない
- 営業所・車庫の契約内容と申請上の使用目的が一致していない
許可を受ける前に運送を始めてしまう
一般貨物自動車運送事業の許可が必要な事業を、許可を受けずに開始することはできません。
「試験運行」「知人からの依頼」「少額の運賃」であっても、実態によっては無許可営業と判断される可能性があります。事業開始の時期は、許可・登録・届出の状況を確認して決定してください。
9.許可取得後に必要となる主な手続き・管理
一般貨物自動車運送事業は、許可を取得した後も、法令に基づく届出・報告・記録管理が必要です。
変更手続き
次のような変更は、内容に応じて認可申請・届出などが必要となる場合があります。
- 営業所の新設・移転・廃止
- 車庫の新設・移転・変更
- 事業用自動車の増車・減車
- 役員の変更
- 運行管理者・整備管理者の変更
- 事業計画の変更
変更内容によって手続きや必要書類が異なるため、実施前に確認することが重要です。
定期報告
一般貨物自動車運送事業者には、主に次の報告義務があります。
- 事業報告書:毎事業年度経過後100日以内
- 事業実績報告書:毎年7月10日まで
提出対象や記載内容は事業形態等によって確認が必要です。期限を把握し、毎年の報告を適切に行う体制を整えましょう。
日常の運行管理・安全管理
許可取得後は、次のような記録や管理を適切に行う必要があります。
- 点呼記録
- 運転日報
- アルコール検知記録
- 日常点検・定期点検の記録
- 運転者の勤務・労務管理記録
- 安全教育・指導記録
- 事故・苦情対応記録
- 運送契約・運賃料金に関する書類
巡回指導や監査に備えるだけでなく、日常的な安全管理と適正な事業運営のために、開業時から記録の作成・保存方法を整えておくことが大切です。
10.行政書士法人塩永事務所のサポート内容
行政書士法人塩永事務所では、熊本県内で一般貨物自動車運送事業を始める事業者様に対し、許可要件の確認から申請書類の作成、許可後の手続きまでサポートしています。
主なサポート内容は次のとおりです。
- 一般貨物・特定貨物・貨物軽自動車・貨物利用運送の事業区分確認
- 営業所・車庫・休憩睡眠施設の事前調査
- 熊本県内の都市計画法・農地法・建築基準法等の確認
- 車庫の距離・面積・前面道路・車両配置の確認
- 事業用車両5両以上の配置計画
- 運行管理者・整備管理者の要件確認
- 運転者の確保計画・勤務割・乗務割の整理
- 資金計画・事業開始に要する資金の積算
- 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書の作成
- 添付書類の収集・整理
- 熊本運輸支局への申請対応
- 法令試験に向けた準備支援
- 審査中の補正対応
- 許可後の運輸開始前手続き・運輸開始届の支援
- 許可取得後の変更認可・届出、事業報告・実績報告の支援
会社設立から検討されている場合は、定款の事業目的や会社形態、出資構成などについても整理します。会社設立登記については司法書士等の専門家と連携し、社会保険・労務管理については社会保険労務士等と連携して進めます。
当事務所は、熊本の認定経営革新等支援機関として、許可申請だけでなく、事業計画や資金計画の整理についてもご相談を承っています。
※許可の取得を保証するものではありません。土地・建物の法令適合性や車庫の使用可能性は、関係行政機関等への確認が必要となる場合があります。
11.よくある質問
Q.熊本で一般貨物自動車運送事業を始める場合、車両は最低何台必要ですか?
原則として、営業所ごとに事業用自動車5両以上が必要です。けん引車と被けん引車を使用する場合は、所定の方法で台数を算定します。霊柩運送、一般廃棄物運送など、一定の事業には特例があります。
Q.熊本市内に営業所を設ける場合、車庫は何km以内に必要ですか?
車庫は営業所に併設することが原則です。併設が困難な場合、熊本市は政令指定都市に該当するため、営業所から直線距離10km以内が基準となります。熊本市以外の地域は原則5km以内です。
Q.車庫がまだ決まっていませんが、相談できますか?
はい。むしろ契約前のご相談をおすすめします。所在地、面積、前面道路、営業所との距離、土地の地目や都市計画上の制限などを確認し、許可申請に使用できる可能性を検討します。
Q.自己資金はいくら必要ですか?
一律の金額はありません。車両費、人件費、燃料費、修繕費、施設費、保険料などを積算した所要資金の全額に相当する自己資金が必要です。申請日から許可日まで資金を確保し続ける必要があります。
Q.個人事業主でも許可を取得できますか?
個人事業主でも申請できます。ただし、法人の場合と同様に、営業所・車庫・車両・人員・資金・法令遵守などの要件を満たす必要があります。法人化するかどうかは、取引先、融資、採用、税務・会計なども踏まえて検討することが大切です。
Q.許可が下りるまでどのくらいかかりますか?
九州運輸局が公示する標準処理期間は3~5か月です。申請書の補正や申請内容の変更に要する期間は含まれません。営業所・車庫・車両・人員・資金の準備期間も必要となるため、余裕を持ったスケジュールをおすすめします。
Q.会社設立から相談できますか?
はい。会社設立と運送事業許可の準備を並行して進めることができます。定款の事業目的や出資構成などを整理し、登記手続きは司法書士等と連携して進めます。
12.熊本で一般貨物自動車運送事業の許可申請をお考えの方へ
一般貨物自動車運送事業の許可申請では、営業所・車庫・車両・人員・資金計画など、多くの要件を同時に満たす必要があります。
特に熊本県内では、営業所・車庫の立地や前面道路の条件、農地・市街化調整区域に関する確認が重要です。土地や車両を契約した後に問題が判明しないよう、計画段階から要件を整理しておくことをおすすめします。
行政書士法人塩永事務所では、熊本県内全域の一般貨物自動車運送事業許可申請について、事業計画の確認、施設調査、資金計画、申請書類の作成、許可後の運輸開始手続きまで対応しています。
「緑ナンバーを取得して運送事業を始めたい」「熊本で運送会社を設立したい」「現在の事業にトラック運送部門を加えたい」とお考えの方は、お早めにご相談ください。
行政書士法人塩永事務所
〒862-0950
熊本県熊本市中央区水前寺一丁目9番6号
電話:096-385-9002
メール:info@shionagaoffice.jp
熊本県内全域対応/全国オンライン相談対応
※ご相談は事前予約制です。
