
農業分野における外国人雇用・在留資格管理の実務
在留期間更新・特定技能・退職時の届出・社会保険対応まで徹底解説
行政書士法人塩永事務所 認定経営革新等支援機関
はじめに
近年、農業分野において外国人材の活用は欠かせないものとなっています。
特に、
- 特定技能外国人
- 技術・人文知識・国際業務
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者等
など、多様な在留資格を持つ外国人が農業現場で活躍しています。
一方で、
「在留期限を見落としていた」
「退職時の届出を忘れていた」
「選果作業だけを担当させていた」
「社会保険加入手続きができていなかった」
といった事例も少なくありません。
外国人雇用では、採用時だけでなく、雇用後の継続的な在留資格管理が極めて重要です。
本稿では、2026年10月時点の制度を踏まえ、農業分野の受入れ企業が知っておくべき実務を解説します。
1.在留期間更新・在留資格変更と申請時の注意点
在留期間更新とは
在留期間更新許可申請とは、現在の在留資格のまま、引き続き日本で活動を継続するための手続きです。
農業分野では、
- 特定技能1号
- 技術・人文知識・国際業務
- 経営・管理
などの外国人が対象となります。
更新で確認される事項
- 雇用契約内容
- 給与支払状況
- 業務内容
- 出勤状況
- 納税状況
- 社会保険加入状況
- 受入機関の法令遵守状況
単に在留期限が来たから更新できるというものではありません。
在留資格変更とは
現在の在留資格から別の在留資格へ変更する手続きです。
例えば、
- 留学 → 技術・人文知識・国際業務
- 技能実習 → 特定技能1号
- 特定技能1号 → 特定技能2号
などがあります。
実際には、
「この業務が在留資格に適合しているか」
が最も重要になります。
2026年10月からの手数料改定
2026年10月から在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の手数料が改定され、許可される在留期間ごとの料金体系へ変更されました。
企業によっては、
- 特定技能の更新
- 家族滞在の更新
- 管理者クラスの更新
などが重なるため、予算管理が必要になります。
特に農業法人で複数名の外国人を受け入れている場合は、更新時期を一覧管理することをおすすめします。
2.農業分野において認められる業務の範囲
農業分野で最も多いトラブルが、
「その業務は本当に特定技能で認められているのか」
という問題です。
耕種農業
主な業務
- 播種
- 育苗
- 定植
- 栽培管理
- 収穫
- 選別
- 集出荷
など
畜産農業
主な業務
- 飼養管理
- 搾乳
- 繁殖管理
- 衛生管理
- 集出荷
など
関連業務として認められる例
- 農産物加工
- 出荷業務
- 販売補助
- 資材運搬
- 冬季除雪
など
注意点
選果だけ
出荷だけ
販売だけ
加工だけ
という業務配置は認められません。
特定技能農業では、
栽培管理または飼養管理が必須業務
となります。
農業法人では職務内容を定期的に確認しておくことが重要です。
3.特定技能1号から2号への移行
近年最も相談が増えている分野です。
特定技能2号になることで、
- 更新回数制限がなくなる
- 長期就労が可能になる
- 家族帯同が可能になる
などのメリットがあります。
主な要件
① 農業技能測定試験(2号)の合格
耕種農業または畜産農業の試験に合格する必要があります。
② 実務経験
一般的には、
- 農業現場での十分な経験
- 指導者としての経験
- 工程管理経験
などが求められます。
企業側が準備すべき資料
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 在職証明
- 実務経験証明書
- 職務内容資料
- 指導実績資料
など
よくある失敗
- 試験合格だけで申請可能と考えている
- 実務経験の立証資料がない
- 在留期限直前に準備を始める
特定技能2号を検討している場合は、1年以上前から準備することをおすすめします。
4.転職・退職・一時帰国時の手続き
外国人雇用では採用時よりも退職時の手続き漏れが多く発生します。
転職時
確認事項
- 転職先の業務内容
- 在留資格との適合性
- 届出義務
特定技能では新たな受入機関側での手続きも必要になります。
退職時
企業側では、
- 雇用契約終了日
- 社会保険資格喪失
- 雇用保険手続き
- 特定技能関係届出
を確認します。
一時帰国時
確認事項
- パスポートの有効期限
- 在留期限
- 再入国の予定
- 雇用契約の継続状況
長期帰国の場合には個別の確認が必要です。
5.税金・年金・社会保険の未納が審査に与える影響
更新・変更申請では、
外国人本人だけでなく、
企業側の雇用管理状況
も確認されます。
よく問題となる項目
住民税未納
更新審査で確認されます。
国民年金未納
加入義務がある場合は審査上考慮されます。
社会保険未加入
企業側の問題として指摘されるケースがあります。
農業法人に多い相談
- 季節雇用の扱い
- パートタイムの加入要件
- 外国人だけ未加入になっていた
など
社会保険関係は入管審査でも重要な確認事項です。
6.在留資格取消し・不法就労を防ぐポイント
企業が最も注意しなければならない事項です。
不法就労となる例
- 在留期限切れ
- 資格外活動
- 在留資格外の業務従事
特定技能で多い事例
- 加工業務だけを担当
- 販売業務だけを担当
- 農業以外の作業が中心
など
企業が整備すべき体制
- 在留期限管理表
- 更新スケジュール管理
- 業務内容確認表
- 届出チェックリスト
- 社会保険管理体制
これらを整えておくことで不法就労リスクを大幅に軽減できます。
7.2026年10月時点の制度改正と今後の留意点
外国人雇用制度は大きな転換期を迎えています。
在留許可手数料の改定
2026年10月から変更。
企業は更新費用の見直しが必要です。
特定技能制度の活用拡大
農業分野でも特定技能2号制度の活用が進んでいます。
今後は長期雇用を見据えた人材育成が重要になります。
育成就労制度への移行
技能実習制度に代わる新制度として、
育成就労制度が2027年4月施行予定
となっています。
現在技能実習生を受け入れている農業法人は、今後の影響を確認しておく必要があります。
外国人雇用の管理体制に不安がある企業様へ
在留資格の手続きは、
- 更新申請
- 資格変更
- 特定技能
- 届出管理
- 社会保険
- 税務対応
など、複数の制度が関係します。
特に農業分野では、業務範囲を誤ることで不法就労と判断されるリスクもあります。
行政書士法人塩永事務所では、
✅ 特定技能外国人の受入れ支援
✅ 在留期間更新・資格変更
✅ 特定技能1号から2号への移行支援
✅ 外国人雇用管理体制の構築
✅ 農業法人向けコンサルティング
を行っております。
熊本県・福岡県をはじめ九州全域対応、オンライン相談にも対応しております。
「更新期限が近い」「特定技能2号へ移行したい」「農業分野で適法な受入れができているか確認したい」
という場合は、お早めに行政書士法人塩永事務所までご相談ください。
行政書士法人塩永事務所
認定経営革新等支援機関
〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
TEL:096-385-9002
外国人雇用・特定技能・在留資格なら行政書士法人塩永事務所へ。
