
貨物利用運送事業(いわゆる「水屋」)の登録手続について―制度概要・登録要件・申請手続を行政書士が解説
はじめに
荷主から運送の依頼を受け、自らは輸送手段を保有することなく、一般貨物自動車運送事業者等の実運送事業者を利用して貨物を運送する事業は、「貨物利用運送事業」として貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)の適用を受けます。
物流業界においては、このような事業者を一般に「水屋」と称することがありますが、事業を適法に営むためには、貨物利用運送事業法に基づく登録又は許可を受けなければなりません。
無登録のまま事業を開始した場合には法令違反となるおそれがあるため、事業開始に当たっては制度を十分に理解し、適切な手続を履践することが重要です。
本稿では、第一種貨物利用運送事業を中心として、その制度の概要、登録要件、申請手続及び登録後の留意事項について解説します。
貨物利用運送事業とは
貨物利用運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、実運送事業者の行う運送を利用して貨物を運送する事業をいいます。
貨物利用運送事業者は、荷主との契約当事者として運送責任を負う一方、自らが貨物を輸送するのではなく、一般貨物自動車運送事業者、鉄道事業者、海上運送事業者又は航空運送事業者等へ運送を委託する点に特徴があります。
したがって、自社で車両を保有していない場合であっても、荷主から運送の依頼を受け、その運送を第三者へ手配する事業形態であれば、貨物利用運送事業法の適用対象となる可能性があります。
第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業
貨物利用運送事業は、第一種貨物利用運送事業及び第二種貨物利用運送事業に区分されています。
第一種貨物利用運送事業
第一種貨物利用運送事業は、実運送事業者の運送を利用して貨物を運送する事業であり、最も一般的な利用運送事業の形態です。
当該事業を開始するためには、管轄する地方運輸局長への登録申請を行い、登録を受ける必要があります。
第二種貨物利用運送事業
第二種貨物利用運送事業は、利用運送に加え、集貨又は配達等の業務を一体として行う事業であり、その公共性及び事業規模に鑑み、国土交通大臣の許可を要します。
事業形態によって適用される制度が異なるため、事前に十分な検討を行うことが重要です。
第一種貨物利用運送事業の登録要件
登録に当たっては、貨物利用運送事業法及び関係法令並びに審査基準に適合していることが求められます。
主な審査事項としては、次の事項が挙げられます。
- 適法な営業所を有していること
- 利用運送機関との契約関係が確保されていること
- 実現可能かつ適正な事業計画であること
- 申請者及び役員等が欠格事由に該当しないこと
- 法令を遵守して事業を遂行する体制が整備されていること
申請内容によっては、追加資料の提出又は補正を求められる場合があります。
登録申請手続
登録申請は、営業所の所在地を管轄する地方運輸局に対して行います。
一般的な手続の流れは、次のとおりです。
- 事業計画の策定
- 必要書類の収集及び作成
- 登録申請書の提出
- 地方運輸局による審査
- 登録及び事業開始
申請書類に不備がある場合には補正を求められ、登録までの期間が延びることがあります。そのため、事前に法令及び審査基準を十分に確認したうえで申請を行うことが望まれます。
登録後の主な手続
登録後においても、事業者には各種届出義務が課されています。
例えば、次のような事項について変更が生じた場合には、法令に基づく届出又は認可申請等が必要となることがあります。
- 商号又は名称の変更
- 本店所在地又は営業所所在地の変更
- 役員の変更
- 事業計画の変更
- 事業の休止又は廃止
- 利用運送約款の変更
これらの手続を怠った場合には、行政指導等の対象となる可能性があるため、適時適切な対応が求められます。
行政書士へ依頼する意義
貨物利用運送事業の登録申請においては、単に申請書を作成するのみならず、事業計画の法適合性の確認、必要書類の整備、利用運送契約の内容確認、地方運輸局との事前調整など、専門的な知識及び実務経験が求められます。
行政書士へ依頼することにより、法令に適合した申請書類の作成、適切な手続の進行及び登録後の各種届出まで、一貫した支援を受けることが可能となります。
熊本県における貨物利用運送事業の登録申請は行政書士法人塩永事務所へ
行政書士法人塩永事務所では、貨物利用運送事業(第一種・第二種)の登録・許可申請をはじめ、一般貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業その他運輸関係許認可について幅広く対応しております。
事業開始に当たっては、事業形態に応じて必要となる手続が異なります。当事務所では、関係法令及び行政実務を踏まえ、依頼者の事業計画に即した適切なご提案を行っております。
熊本県内はもとより、九州各県からのご相談にも対応しておりますので、貨物利用運送事業の登録・許可申請をご検討の際は、行政書士法人塩永事務所までお気軽にお問い合わせください。
