
特定技能「自動車運送業」の受入企業に必要なGマーク・働きやすい職場認証制度とは?取得手順から注意点まで行政書士が解説
重要:特定技能「自動車運送業分野」(トラック運転者・バス運転者・タクシー運転者)の受入企業は、Gマーク(安全性優良事業所認定)または働きやすい職場認証制度のいずれかの取得が事実上の受入要件です。
どちらも取得していない場合、特定技能外国人を雇用することができません。
- 特定技能「自動車運送業分野」の概要
- なぜGマーク・職場認証が必要なのか
- Gマーク(安全性優良事業所認定)とは
- 働きやすい職場認証制度とは
- GマークとAの比較——どちらを取るべきか
- 受入企業のその他の要件
- Gマーク・職場認証の取得手順
- 特定技能外国人雇用までの全体フロー
- よくある質問(FAQ)
- 塩永事務所(熊本)への無料相談
2024年3月の閣議決定により、特定技能の対象分野に「自動車運送業」が新たに追加されました。深刻な運転者不足に直面するトラック・バス・タクシー業界にとって、外国人材の活用は急務ですが、受入企業には通常の特定技能要件に加え、Gマークまたは働きやすい職場認証制度の取得という特有の要件が課されています。これを満たしていない企業は、どれほど採用意欲があっても特定技能外国人を受け入れることができません。
本記事では、熊本を拠点に入管業務・外国人雇用支援を手がける行政書士法人塩永事務所が、両制度の内容・取得要件・手続きの流れを詳しく解説します。
特定技能「自動車運送業分野」の概要
自動車運送業分野の特定技能は、2024年3月29日の閣議決定により新設されました。日本の自動車運送業界は深刻な運転者不足に陥っており、特に2024年問題(時間外労働の上限規制の適用)を契機にその深刻さは一層増しています。政府はこの状況に対応するため、特定技能制度による外国人材の受入れを解禁しました。
対象となる3つの業務区分
必要な在留資格と試験
自動車運送業分野は特定技能1号のみが対象です(特定技能2号はなし)。在留期間は最大5年(1年ごとの更新)で、家族帯同は原則認められません。就労のためには次の要件をすべて満たす必要があります。
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格
- 自動車運送業分野の技能測定試験の合格
- 日本の運転免許の取得(大型・中型・普通免許など業務に応じた免許)
注意:外国で取得した運転免許は原則として日本では使用できません。特定技能外国人が就労を開始するまでに、日本の運転免許を取得していることが必要です。入国後の免許取得までの期間も考慮したスケジュール管理が重要です。
なぜGマーク・職場認証が受入要件になっているのか
自動車運送業分野の特定技能において、Gマークまたは働きやすい職場認証制度の取得が要件とされている理由は、外国人労働者を受け入れる企業の「安全管理水準」と「労働環境の適正さ」を担保するためです。
自動車運送業は、公道を走る輸送手段として社会インフラを担う一方、長時間労働・過労運転・交通事故リスクなど労働安全上の課題が大きい産業でもあります。外国人材を受け入れる企業が、こうした課題に適切に対処できる体制にあることを、第三者機関の認定を通じて確認する仕組みとして設けられたのが、この要件です。
法的位置づけ:この要件は「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入要件および分野別運用方針に明記されており、Gマークまたは働きやすい職場認証のいずれも取得していない事業者は、特定技能外国人の受入れ自体ができません。在留資格認定証明書の交付申請・在留資格変更許可申請においても審査対象となります。
Gマーク(安全性優良事業所認定)とは
Gマーク(正式名称:貨物自動車運送事業安全性評価事業)は、公益社団法人全日本トラック協会が実施する認定制度で、トラック運送事業者の安全性に関する取り組みを第三者が評価・認定するものです。1989年に創設され、現在では約3万5,000事業所が認定を取得している、業界で権威ある認定制度です。
Gマーク認定の対象
Gマークは一般貨物自動車運送事業者が対象です。バス・タクシー事業者は対象外となるため、これらの事業者は後述の「働きやすい職場認証制度」の取得が必要です。
Gマーク認定の評価項目
Gマークの審査は、大きく3つのカテゴリで構成されています。
- 輸送の安全に関する基本方針の策定・公表
- 安全目標・計画の設定
- 安全に関する教育・研修の実施
- 事故防止対策の実施状況
- 法令遵守の状況(行政処分等の有無)
- 巡回指導の結果(総合評価)
- 事故件数(死亡・負傷事故)
- 適性診断の受診状況
- 安全管理規程の策定状況
- 安全統括管理者の選任状況
- ISO39001の認証取得状況
- Gマーク取得後の継続的改善
Gマーク認定の取得要件(申請資格)
- 一般貨物自動車運送事業の許可を受けていること
- 申請する事業所が貨物自動車運送事業に使用する事業所であること
- 申請日以前2年間に、国土交通省または都道府県から行政処分(輸送施設の使用停止処分)を受けていないこと
- 申請日以前2年間に、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)に違反していないこと
- 運輸安全マネジメントの取り組みを実施していること
Gマーク認定の有効期限と更新
Gマーク認定の有効期限は2年間です。継続するためには更新申請が必要です。なお、Gマーク認定事業所には、認定証・ステッカー・認定プレートが交付されます。
働きやすい職場認証制度とは
働きやすい職場認証制度は、国土交通省が2020年度に創設した認証制度で、正式名称は「職場環境改善に向けた取り組みへの認証制度」です。トラック・バス・タクシーを含む自動車運送業全体を対象としており、主に「働きやすい職場環境の整備」の観点から評価・認証を行います。
認証の対象となる業種
- 一般貨物自動車運送事業者(トラック)
- 一般乗合旅客自動車運送事業者(路線バス)
- 一般貸切旅客自動車運送事業者(貸切バス)
- 一般乗用旅客自動車運送事業者(タクシー・ハイヤー)
- 特定旅客自動車運送事業者
一つ星・二つ星・三つ星の3段階評価
働きやすい職場認証制度は、取り組みの水準に応じて一つ星から三つ星の3段階で認証されます。特定技能外国人の受入れには、このうち一つ星以上の取得で要件を満たします。
一つ星の評価項目(主なもの)
- 労働基準法・労働安全衛生法の遵守
- 改善基準告示(拘束時間・休息期間)の遵守
- 行政処分(輸送施設の使用停止等)がないこと
- 就業規則の整備・周知
- 安全衛生委員会または衛生委員会の設置
- 健康診断の実施
- 有給休暇取得の促進
- 時間外労働の削減への取り組み
- ハラスメント防止対策の実施
- 安全運転管理者の選任
- ドライブレコーダーの活用
- 健康起因事故防止対策
認証の有効期間
働きやすい職場認証の有効期間は1年間です(毎年更新が必要)。更新審査では前年の取り組み状況が評価されます。Gマークと比べて更新頻度が高いため、継続的な管理体制の整備が求められます。
GマークとAの比較——どちらを取るべきか
トラック事業者はGマーク・働きやすい職場認証のどちらでも要件を満たせますが、バス・タクシー事業者は働きやすい職場認証一択です。では、選択の余地があるトラック事業者はどちらを選ぶべきでしょうか。
選び方のポイント
- トラック事業者で安全管理体制がすでに整っている場合→ Gマークが取りやすく、2年有効で管理も楽
- これから体制を整える場合や早急に取得したい場合→ 働きやすい職場認証(一つ星)が随時申請できて取り組みやすい
- バス・タクシー事業者→ 働きやすい職場認証一択
- 将来的に両方取得する場合→ まず働きやすい職場認証(一つ星)で受入れを開始し、Gマーク取得後に並行保有も可能
受入企業のその他の要件
Gマーク・職場認証の取得に加え、特定技能「自動車運送業分野」の受入企業には次の要件も必要です。
① 自動車運送業分野特定技能協議会への加入
受入企業は、「自動車運送業分野特定技能協議会」に加入することが義務付けられています。加入は特定技能外国人の入国・在留資格変更後4ヶ月以内に行わなければなりません。協議会は国土交通省が事務局を担い、制度の適正運用・情報共有・課題解決を図る場として機能します。
② 道路運送法・貨物自動車運送事業法上の許可・登録
当然のことながら、受入企業は道路運送法または貨物自動車運送事業法に基づく許可・登録を受けた適法な事業者であることが前提です。いわゆる白ナンバーでの運送は対象外です。
③ 一般的な特定技能受入機関としての要件
分野共通の要件として、以下も満たす必要があります。
- 労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること
- 1号特定技能外国人に対し、同等の業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬を支払うこと
- 特定技能所属機関として適切な支援体制を有すること(または登録支援機関に委託)
- 過去5年以内に出入国・労働関係法令に係る違反がないこと
Gマーク・職場認証の取得手順
Gマーク取得の流れ
申請受付期間の確認
Gマークの申請は年1回の受付です。都道府県トラック協会から申請案内が届きますので、申請期間を逃さないよう注意が必要です。
年1回のみ受付
申請書類の作成・提出
安全性評価申請書・自動車事故報告書等を作成し、都道府県トラック協会へ提出します。添付書類として、運輸局の巡回指導結果通知書なども必要になります。
都道府県トラック協会へ提出
書類審査・認定評価
全日本トラック協会による書類審査が行われます。安全性評価点数が基準点以上であれば認定されます。審査期間は申請から数ヶ月かかります。
認定証・Gマークステッカーの交付
認定後、認定証・Gマークステッカーが交付されます。認定番号は特定技能の申請書類にも記載する必要があります。
有効期間2年
働きやすい職場認証(一つ星)取得の流れ
要件の確認と社内整備
一つ星の評価項目を確認し、未整備の項目(就業規則の整備・安全衛生委員会の設置・健康診断の実施等)を整えます。既存の法定事項が整っている企業は比較的短期間で準備できます。
随時申請可能
申請書類の作成(オンライン)
国土交通省の「働きやすい職場認証」専用サイトからオンラインで申請します。評価項目ごとに取り組み状況を入力・証明書類をアップロードします。
国交省オンラインで申請
書類審査
申請内容をもとに審査が行われます。必要に応じて追加書類の提出を求められることがあります。審査完了まで1〜2ヶ月程度かかります。
認証の取得・公表
認証された事業者は国土交通省のウェブサイトで公表されます。認証番号・認証ロゴを名刺や求人広告に使用できます。
有効期間1年(毎年更新)
Gマーク申請のタイミングに注意:Gマークは年1回の申請受付のため、特定技能外国人の採用時期を逆算して申請スケジュールを組む必要があります。申請期間を逃した場合は翌年まで待つことになるため、早期の準備開始が重要です。採用予定がある場合は、まず働きやすい職場認証(随時申請)で対応しておき、Gマークを並行取得する戦略も有効です。
特定技能外国人雇用までの全体フロー
Gマーク or 働きやすい職場認証の取得
まず受入要件を満たすための認定・認証を取得します。取得なしに次のステップへ進むことはできません。
最初にここを完了させる
求人・人材のマッチング
ハローワーク・民間職業紹介機関・送出機関・JITCO等を通じて特定技能外国人の求人・採用活動を行います。
雇用条件の確定・雇用契約の締結
日本人と同等以上の報酬・労働条件での雇用契約を締結します。給与・労働時間・休日等を明示した雇用契約書を日本語・外国語両方で作成します。
支援計画の策定(または登録支援機関への委託)
1号特定技能外国人に対する支援(日本語学習支援・生活オリエンテーション・相談窓口設置等)の計画を策定します。自社対応が難しい場合は登録支援機関に委託します。
在留資格認定証明書交付申請 / 在留資格変更許可申請
入管(出入国在留管理庁)へ申請を行います。海外からの受入れの場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内在留者の場合は「在留資格変更許可申請」です。申請書類にGマーク認定証または職場認証番号を記載します。
行政書士による代理申請可
運転免許の取得(未取得の場合)
特定技能外国人が日本の運転免許を保有していない場合、入国・在留資格変更後に免許取得手続きを進めます。業務に必要な免許の種類(大型・中型・普通等)を事前に確認してください。
就労開始・協議会への加入
就労開始後4ヶ月以内に「自動車運送業分野特定技能協議会」へ加入します。加入を怠ると特定技能所属機関としての要件を失うため注意が必要です。
就労開始後4ヶ月以内に加入必須
よくある質問(FAQ)
塩永事務所(熊本)への無料相談
行政書士法人塩永事務所は、熊本を拠点に九州全域の企業様の外国人雇用・在留資格手続きを支援しています。特定技能「自動車運送業分野」については、Gマーク・働きやすい職場認証の取得支援から、特定技能の申請代行まで、一貫してサポートします。
- 申請要件の充足状況の確認
- 社内規程・就業規則の整備アドバイス
- 申請書類作成のサポート
- 審査スケジュールの管理
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 支援計画の策定・登録支援機関の紹介
- 協議会加入手続きのサポート
特定技能 自動車運送業 Gマーク 特定技能 働きやすい職場認証 トラック 外国人雇用 バス タクシー 特定技能 特定技能 熊本 行政書士 在留資格 自動車運送業 外国人
