
【開業支援】遊技場・風俗・接待を伴う飲食店の許可申請手続きを徹底解説
行政書士法人塩永事務所の代表、塩永です。
パチンコ店、ゲームセンター、スナック、キャバクラ、ホストクラブなど、お客様に遊技や飲食、接待を提供する店舗の開業を検討されている皆様へ。これらの事業は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、いわゆる**「風営法」**に基づく許可が必須となります。
風営法の許可申請は、その要件の厳しさ、必要書類の複雑さ、そして警察との綿密な連携が求められるため、専門知識なしに進めるのは非常に困難です。
本日は、風営法の許可を必要とする主要な業種について、その概要と共通する申請手続きのポイントを徹底解説いたします。合法的な店舗運営を実現し、安心して事業をスタートさせるためにも、ぜひ最後までお読みください。
1.風営法の対象となる主要な営業種別
風営法は、その営業形態によって1号営業から8号営業に分類され、それぞれに異なる規制が適用されます。ここでは、特に許可申請が多い主要な種別についてご紹介します。
- 1号営業:接待飲食店(キャバクラ、ホストクラブ、スナック等)
- 定義:「ナイトクラブ、ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」「バー、キャバレーその他設備を設けて客の接待をして客に飲食をさせる営業」
- 特徴:お客様の横に座って会話をする、お酌をする、デュエットするなど、「人の話相手となることその他の役務」を提供し、かつ、お客様に飲食をさせる営業がこれに該当します。いわゆる「接待」行為が伴う点がポイントです。
- 2号営業:ダンスホール等
- 定義:設備を設けて客にダンスをさせる営業。
- 特徴:ダンスホールやディスコが該当しますが、1号営業と重複する場合が多いです。
- 3号営業:区画席飲食店(個室ビデオ、ネットカフェ等)
- 定義:区画された場所で飲食をさせる営業で、設備を設けて客に飲食をさせる営業。
- 特徴:個室のインターネットカフェや漫画喫茶、個室ビデオなどが該当します。
- 4号営業:マージャン店、パチンコ店等
- 定義:設備を設けて客にマージャン、パチンコその他これらに類する遊技をさせる営業。
- 特徴:パチンコ店、パチスロ店、雀荘などが該当します。
- 5号営業:ゲームセンター等(アミューズメントカジノ、ポーカーバー等)
- 定義:スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途に供するおそれがあるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業。
- 特徴:ビデオゲーム、UFOキャッチャーなどを置く一般的なゲームセンターや、アミューズメントポーカーを提供する店舗などが該当します。
2.風営法許可の共通取得要件
どの種類の風俗営業を行う場合でも、以下の3つの主要な要件を満たす必要があります。
(1)場所的要件(営業所の立地規制)
営業所を設置する場所は、都市計画法に基づく用途地域や、学校・病院などの「保全対象施設」からの距離によって厳しく制限されます。
- 用途地域による制限:
- 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域では、原則として風俗営業はできません。
- 多くの場合、商業地域、近隣商業地域、準工業地域などが営業可能地域となりますが、都道府県や市町村の条例によって具体的な要件が異なります。
- 保全対象施設からの距離制限:
- 学校、病院、図書館、児童福祉施設、美術館などの周辺では、都道府県の条例で定められた距離(例:〇〇メートル以内)に営業所を設置することはできません。
- 距離制限の基準は施設の種類や地域によって異なりますので、必ず管轄警察署や行政書士に確認し、物件の契約前に候補地の調査を行うことが極めて重要です。
(2)構造・設備の要件
営業所の内部構造や設備には、各営業種別に応じた基準が定められています。主な共通事項は以下の通りです。
- 客室の見通し確保:
- 原則として客室内部に見通しを妨げる設備(高さ1メートル以上の衝立、パーテーションなど)を設けてはなりません。(※1号営業は一部例外あり)
- 個室を設ける場合でも、見通しを確保するための工夫(ガラス張り、すりガラスの高さ制限など)が必要です。
- 客室出入口の施錠禁止:
- 客室の出入口(店舗の出入口を除く)に施錠設備を設けてはなりません。個室の場合でも鍵の設置はできません。
- 照度の維持:
- 客室の照度(明るさ)が、条例で定める基準値以下にならないように維持される構造または設備が必要です。(例:1号営業では10ルクス以下とならないこと、など)調光器(スライダックス等)の設置も制限される場合があります。
- 騒音・振動の規制:
- 周辺住民に迷惑をかけないよう、営業に伴う騒音や振動の数値が条例で定める基準値以下である必要があります。防音対策も重要になります。
- 換気設備の設置:
- 適切な換気が行える設備が必要です。
- 善良の風俗を害するおそれのある物品の設置禁止:
- 性的なサービスを誘発するような物品や設備を置いてはなりません。
(3)人的要件(欠格事由)
申請者(法人であれば役員全員)、法定代理人、営業所の管理者には、以下のいずれかに該当しないことが求められます。一つでも該当すると許可は得られません。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者
- 風営法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律などに違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤の中毒者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に行うことができない者として都道府県公安委員会規則で定めるもの
- 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者(法人の場合は、その役員の中に該当者がいる場合も含む)
- 未成年者(ただし、相続により許可を受け継いだ場合は例外あり)
3.風営法許可申請の手続きと流れ
風営法の許可申請は、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課へ行います。
(1)事前準備・調査
- 物件の選定と用途地域・保全対象施設の確認:
- 最も重要なステップです。物件契約前に、必ず管轄の警察署や行政書士に相談し、候補地の風営法適合性を確認しましょう。後戻りできないトラブルを避けるためにも必須です。
- 店舗の設計・内装工事の検討:
- 構造・設備の要件を満たすよう、内装設計を行います。設計段階で警察の指導を受けることも可能です。
- 飲食店営業許可の取得(飲食提供の場合):
- 飲食物を提供する場合は、別途、保健所への飲食店営業許可の申請が必要です。風営法の申請と並行して、あるいは風営法の申請前に取得しておくことが推奨されます。
- 消防法関連の手続き:
- 防火管理者選任届、消防計画届出、消防用設備点検など、消防法に基づく手続きも必要です。内装工事の段階から消防署と綿密に打ち合わせを行いましょう。
(2)申請書類の作成・収集
提出書類は非常に多岐にわたり、専門的な図面作成も必要となります。
【主な必要書類の例】
- 風俗営業許可申請書:所定の様式に必要事項を記載。
- 営業の方法を記載した書類:提供するサービス内容、料金体系、営業時間などを詳細に記載。
- 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類:賃貸借契約書の写し、建物の登記事項証明書、使用承諾書など。
- 営業所の平面図、照明設備図、音響設備図:
- 営業所の全体図、客室求積図、各設備の配置図など、非常に詳細な図面が必要です。測量に基づいて正確に作成しなければなりません。
- 見通しを妨げる設備がないか、照度が適切かなどを図面上でも示します。
- 客室の求積図:各客室の面積を正確に計算した図面。
- 申請者・役員・管理者の住民票の写し(本籍地記載、マイナンバーなし、発行後3ヶ月以内)。
- 申請者・役員・管理者の身分証明書(本籍地の市区町村役場で発行)。
- 申請者・役員・管理者の誓約書(欠格事由に該当しない旨を誓約)。
- 管理者の選任書、履歴書、写真。
- 法人の場合:登記事項証明書(履歴事項全部証明書、発行後3ヶ月以内)、定款の写し。
- 営業所の周辺見取図:保全対象施設との位置関係を示す地図。
- その他、公安委員会が必要と認める書類。
(3)警察署への申請
- 事前予約:多くの警察署では申請が予約制です。事前に電話で予約を取り、必要書類について最終確認を行いましょう。
- 申請書の提出:必要書類が全て揃ったら、管轄警察署の生活安全課に提出します。この際、担当官による厳密な書類チェックが行われ、不備があれば補正を求められます。
- 申請手数料の納付:申請手数料は24,000円です(収入証紙で納付)。
(4)現地調査(実査)
申請受理後、概ね数週間から1ヶ月程度で、警察官と風俗環境浄化協会の担当者が店舗の現地調査(実査)に訪れます。
- 提出した図面と実際の店舗構造に相違がないか、構造・設備の要件を満たしているか(見通し、照度、施錠の有無、騒音対策など)が厳しくチェックされます。
- 申請者や管理者が立ち会い、質問に的確に答える必要があります。
- 場合によっては、周辺住民への聞き取り調査が行われることもあります。
(5)審査・許可通知・許可証交付
現地調査で問題がなければ、公安委員会による審査が進められます。標準処理期間は、申請受理の翌日から土日祝日を除く55日以内とされています。
- 審査が完了し、許可が下りれば、警察署から電話で許可の連絡が入ります。
- 後日、警察署で「風俗営業許可証」と「管理者証」を受け取ります。許可証は営業所の見やすい場所に掲示する義務があります。
- 不許可となった場合は、その理由が通知されます。
4.行政書士法人塩永事務所に依頼するメリット
風営法の許可申請は、その要件の多さ、必要書類の複雑さ、そして警察との綿密なやり取りが求められるため、ご自身で全てをこなすには相当な労力と専門知識、そして時間が必要となります。特に、正確な図面作成や、警察との円滑なコミュニケーションは専門家でなければ難しい部分です。
行政書士法人塩永事務所では、風営法専門の行政書士が、お客様の遊技場・風俗・接待を伴う飲食店の開業を強力にサポートいたします。
- 物件の事前調査・アドバイス:開業前に候補物件の立地が風営法要件を満たすか詳細に調査・確認し、後々のトラブルや無駄なコストを低減します。
- 煩雑な書類作成の代行:専門知識を要する図面作成を含め、多岐にわたる申請書類を正確かつ迅速に作成します。
- 警察署との事前相談・折衝:お客様に代わって警察署との事前相談を行い、スムーズな審査をサポートします。
- 現地調査の立ち会い:実査に立ち会い、的確な対応をサポートします。
- 関連する許認可の一括サポート:飲食店営業許可や消防法関連の手続きなど、必要に応じて他の許認可もワンストップで対応可能です。
- 不許可リスクの軽減:過去の事例や警察の運用を熟知しているため、不許可になるリスクを最小限に抑えるためのアドバイスを提供します。
合法的な店舗運営を実現し、安心して事業をスタートさせるために、ぜひ行政書士法人塩永事務所にご相談ください。お客様の状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。
行政書士法人塩永事務所