
就労ビザのすべて:特定技能を中心に(行政書士法人塩永事務所)
日本における外国人労働者の受け入れは、深刻な労働力不足を背景にますます重要性を増しています。2024年3月時点で、在留外国人数は約341万人、そのうち就労目的の在留資格を持つ外国人は約60万人に達しています。この記事では、日本の就労ビザの概要、主要な在留資格(特定技能、技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理など)の詳細、申請手続き、注意点、そして行政書士法人塩永事務所が提供するサポートについて、詳しく解説します。特に、特定技能ビザ(介護、建設、外食分野)に重点を置き、実務的な視点でご紹介します。
1. 就労ビザとは?
就労ビザとは、外国人が日本で就労を目的として在留するために必要な在留資格の総称です。日本の在留資格制度は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、就労が可能な在留資格(例:特定技能、技術・人文知識・国際業務)と、就労が制限される在留資格(例:留学、家族滞在)に分かれます。2024年3月時点で、就労が可能な在留資格は16種類あり、それぞれ対象となる職種や業務内容が異なります。
1.1 主な就労ビザの種類
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特定技能:人手不足が深刻な16分野(例:介護、建設、外食など)で即戦力の外国人を受け入れる。
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技術・人文知識・国際業務:エンジニア、翻訳者、通訳など専門性の高い業務に従事。
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技能:調理師や熟練工など、特定の技能を有する外国人向け。
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経営・管理:企業経営者や管理者向け。
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高度専門職:高度な学歴や職歴を持つ外国人向けで、ポイント制を採用。
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特定活動(外国人建設就労、外国人造船就労など):特定のプロジェクトや産業に限定した就労。
以下では、特に注目度の高い「特定技能」を中心に、他の主要な就労ビザについても解説します。
2. 特定技能ビザの詳細
2.1 特定技能ビザの概要
特定技能ビザは、2019年4月に導入された在留資格で、人手不足が深刻な産業分野において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人労働者を即戦力として受け入れる制度です。特定技能には以下の2種類があります:
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特定技能1号:相当程度の知識・技能を持つ外国人向け。在留期間は通算5年が上限で、家族帯同は原則不可。
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特定技能2号:熟練した技能を持つ外国人向け。在留期間に上限はなく、家族帯同や永住権申請が可能。
2024年3月時点で、特定技能の対象分野は16分野(介護、建設、外食、製造業、農業など)に拡大。約22.4万人が特定技能ビザで在留しており、2024年3月までの5年間で34.5万人の受け入れ目標に対し、順調に推移しています。
2.2 特定技能の対象分野:介護・建設・外食
介護分野
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概要:高齢化に伴う介護人材不足を補うため、介護施設での身体介護(入浴、食事、排泄介助)や生活支援に従事。訪問系サービスは現時点で対象外だが、2024年6月の厚生労働省審議会で条件付き対象化が検討中。
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試験:
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介護技能評価試験
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介護日本語評価試験
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日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト
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受け入れ上限:事業所の常勤介護職員数(日本人等)を上限に設定。
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注意点:
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特定技能2号は対象外。5年満了後は「介護」ビザへの切り替えが一般的。
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受入れ事業所は「介護分野特定技能協議会」への加入が必須(2024年6月15日以降は申請前加入が義務)。
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建設分野
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概要:インフラ整備や建築需要に対応し、型枠施工、左官、コンクリート圧送など18職種を対象。特定技能2号も認められ、長期就労や家族帯同が可能。
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試験:
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建設分野特定技能1号評価試験
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日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト
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特定技能2号は、技能検定1級または特定技能2号評価試験と実務経験(0.5~3年)が必要。
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受け入れ上限:受入れ企業の常勤職員数(社会保険加入者)を上限。
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注意点:
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建設技能人材機構(JAC)への加入必須(正会員:年会費36万円、賛助会員:年会費24万円、外国人1人あたり月額12,500円の負担金)。
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建設キャリアアップシステムへの登録が義務。
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外食業分野
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概要:レストランや飲食店での調理、接客、清掃を対象。2023年に特定技能2号の対象となり、長期就労が可能に。
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試験:
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外食業特定技能1号技能測定試験
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日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト
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受け入れ上限:上限なし(事業規模に応じた柔軟な雇用が可能)。
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注意点:
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「食品産業特定技能協議会」への加入必須(2024年6月15日以降は申請前加入が義務)。
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コンビニやスーパーの小売業は対象外。
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2.3 特定技能ビザの申請手続き
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試験合格または技能実習2号修了:
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該当分野の技能試験と日本語試験に合格、または技能実習2号を良好に修了。
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技能実習からの移行は試験免除の場合あり(同一分野に限る)。
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雇用契約の締結:
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日本人と同等以上の報酬、適切な労働条件を定めた雇用契約が必要。
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支援計画の作成:
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特定技能1号では、受入れ企業が生活オリエンテーション、住居確保、行政手続き支援などを含む支援計画を作成・実施。
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登録支援機関(例:行政書士法人塩永事務所)に委託可能。
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協議会加入:
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各分野の協議会への加入が必須(例:介護分野特定技能協議会、JAC)。
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在留資格申請:
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必要書類:申請書、雇用契約書、支援計画書、試験合格証明書、健康診断書など。
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審査期間:1~3か月。オンライン申請も一部可能。
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3. その他の主要な就労ビザ
3.1 技術・人文知識・国際業務
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概要:エンジニア、IT技術者、翻訳者、通訳、マーケティング担当者など、専門的知識や技術を要する業務に従事。大学卒業者や専門学校卒業者(日本の専門士資格)が主な対象。
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要件:
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学歴(大学卒または専門士)または10年以上の実務経験。
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日本人と同等以上の報酬。
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業務内容が在留資格の範囲内であること(例:単純労働は不可)。
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申請書類:
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職務内容説明書
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学歴証明書または職務経歴書
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雇用契約書
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注意点:
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業務内容と学歴・職歴の関連性が厳格に審査される。
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在留期間は3か月~5年で、更新可能。
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3.2 技能
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概要:外国料理の調理師、貴金属加工職人、航空機整備士など、熟練した技能を持つ外国人向け。
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要件:
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10年以上の実務経験(調理師は一部例外あり)。
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日本人と同等以上の報酬。
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申請書類:
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職務経歴証明書
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技能証明(例:調理師免許、技能検定など)
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注意点:
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技能実習からの移行が可能な場合あり。
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業務範囲が限定されるため、職種変更には注意が必要。
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3.3 経営・管理
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概要:企業経営者、支店長、工場長など、事業の経営や管理に従事する外国人向け。
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要件:
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事業所の確保(賃貸契約など)。
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事業計画書の提出。
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経営・管理の実務経験(3年以上が目安)。
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申請書類:
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事業計画書
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登記簿謄本
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財務諸表
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注意点:
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事業の継続性・安定性が厳格に審査される。
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資本金500万円以上が目安。
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4. 就労ビザ申請のポイントと注意点
4.1 共通の申請ポイント
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書類の正確性:虚偽や不備があると不許可のリスクが高まる。特に、報酬の同等性や業務内容の適合性を証明する書類が重要。
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健康診断書:異常がある場合は再検査結果や説明書の提出が必要。
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企業の信頼性:受入れ企業の財務状況や事業実態が審査対象。赤字企業や設立間もない企業は追加書類を求められる場合あり。
4.2 特定技能ビザ特有の注意点
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支援義務:特定技能1号では、受入れ企業が支援計画を適切に実施する責任がある。不履行はビザ取り消しや受入れ停止のリスク。
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転職の制限:同一分野内または技能水準の共通性が認められる業務に限定。
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協議会加入:2024年6月15日以降、申請前加入が必須。
4.3 最新動向
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特定技能の拡大:2024年3月29日の閣議決定で、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が新たに対象分野に追加。
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オンライン申請の普及:一部企業でオンライン申請が導入され、書類の一部省略が可能に。
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特定技能2号の拡大:2023年に11分野が対象となり、長期就労の道が広がった。
5. 行政書士法人塩永事務所のサポート
行政書士法人塩永事務所は、就労ビザの申請手続きを専門的にサポートします。特に、特定技能ビザの申請や支援業務に強みを持ち、以下のようなサービスを提供しています:
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ビザ申請代行:特定技能、技術・人文知識・国際業務、経営・管理などの申請書類作成・提出を代行。
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特定技能の支援業務:登録支援機関として、生活オリエンテーション、住居確保、行政手続き支援を代行。
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協議会加入サポート:介護、建設、外食などの協議会加入手続きを迅速に支援。
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無料相談・セミナー:外国人雇用に関する最新情報や手続きのポイントを解説するセミナーを開催。
当事務所は、企業と外国人労働者の双方にとって最適なソリューションを提供し、スムーズなビザ取得と就労環境の構築をサポートします。お問い合わせは、電話(045-370-9755)または当事務所ウェブサイトからお気軽にどうぞ。
6. 就労ビザのメリットと課題
6.1 メリット
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労働力不足の解消:特定技能ビザは即戦力の確保が可能で、特に中小企業にメリット。
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長期就労の可能性:特定技能2号や高度専門職は永住権への道を開く。
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多様な職種:従来の就労ビザでは認められなかった現場作業(例:建設作業、調理)が特定技能で可能。
6.2 課題
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手続きの複雑さ:試験、支援計画、協議会加入など、特定技能ビザは準備が煩雑。
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コスト:建設分野のJAC負担金や支援委託費用が発生。
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日本語能力:N4以上の日本語能力が求められ、採用のハードルとなる場合も。
7. まとめ
日本の就労ビザは、特定技能、技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理など多岐にわたり、それぞれの特性に応じた申請が必要です。特に特定技能ビザは、介護、建設、外食などの人手不足分野で即戦力となる外国人労働者の受け入れを促進し、企業と外国人双方にメリットをもたらします。一方で、複雑な手続きや支援義務への対応が求められるため、専門家のサポートが不可欠です。
行政書士法人塩永事務所は、豊富な実績と最新の制度知識を活かし、就労ビザの申請から支援業務までトータルでサポートします。外国人雇用を検討中の企業様、または日本での就労を希望する外国人の皆様は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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