産業廃棄物収集・運搬・処理業の許可
産業廃棄物と一口に言っても、例えば廃油・廃液、コンクリート片などから、お酒を造る際に生じる米ぬかに至るまで、20種の細かい種類に分かれています。
そもそも、産業廃棄物の定義自体も複雑です。事業活動により排出されるもののうち、①業種を限定せず産業廃棄物となるものと②特定の業種に限定して産業廃棄物となるものとに分かれます。①について、例えばフライパンのような金属くずは飲食店から出されても紙製品製造業から出されても産業廃棄物となります。一方、②について紙くずは飲食店から出されても産業廃棄物には当たらず(一般廃棄物)、紙製品製造業から出された場合に産業廃棄物となります。
また、産業廃棄物を集めて運ぶ収集・運搬業と最終的に処分する処理業とでは取得する許可が異なります。さらに、例えば熊本県で積み込んだ産業廃棄物を、福岡県を経由して佐賀県で降ろす場合、熊本県と佐賀県両方宛に申請を行う必要がありますが、単なる経由地の福岡県宛には申請を行う必要はありません。
このように、産業廃棄物の種類や申請のルール等々複雑ですが、正しく申請を行わなければ、せっかく取ったはずの許可も無意味なものになってしまいます。
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産業廃棄物の危険性に鑑みると、産業廃棄物収集・運搬、処理業として営業するには厳格な要件を充たす必要があります。大まかにいうと以下の要件です。
(1) 収集運搬車両・運搬容器・保管場所・処分施設など、産業廃棄物関連の施設が備えられていること。
(2) 事前に産業廃棄物処理業講習会を受け、営業を行う知能・技能を備えていること。
(3) 事業を継続して営むための経理的基礎を備えていること。
(4) 申請者・役員・一定以上の位にある使用人等が、刑法・業法関連の欠格要件、制限行為能力関連の欠格要件に当たらないこと。
これらの要件を充たしているか確認するため、産業廃棄物収集・運搬・処理業の許可申請の際には多数の書類の提出を求められます。例えば、当事務所において産業廃棄物収集・運搬許可申請を行う際にご準備頂く書類等は以下の通りです。
① 定款または寄付行為の写し(原本と相違ない旨記載したもの)
② 履歴事項全部証明書
③ 役員(監査役含む)、政令使用人、役員に準じる支配力を有すると認められる者全員の住民票
④ 役員(監査役含む)、政令使用人、役員に準じる支配力を有すると認められる者全員の登記事項証明書(後見登記)
⑤ (財)日本産業廃棄物処理振興センターが実施している講習会の収集運搬課程の修了証の写し(原本と相違ない旨記載したもの)
⑥ 収集運搬車両のカラー写真(前面・側面)
⑦ 賃借した車両を使用する場合、全車両についての使用承諾書
⑧ 全運搬車両の車検証の写し
⑨ 全運搬容器等(飛散防止用シートも含む)のカラー写真
⑩ 申請する直前3期分の各事業年度の賃借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表
⑪ 申請する直前3期分の各事業年度の法人税納税証明書(その1)
⑫ 車庫の土地の登記事項証明書
⑬ (賃借した土地上の車庫を使用する場合)土地の使用承諾書
⑭ 予定運搬先の全処理業者の許可証の写し