
婚前契約書に盛り込むべき特約の具体例
1. 財産に関する特約
婚前契約の中心となる項目です。結婚後の金銭トラブルを防ぐため、具体的に定めます。
● 別産制(夫婦別財産制)の明確化
- 結婚前の財産は各自のものとする
- 結婚後に取得した財産も各自の名義とする
- 共有財産とする場合は明確に合意したものに限る
※日本では「夫婦共有財産」が原則ではないため、明文化することで後の争いを防げます。
● 収入・貯金の扱い
- 給与・事業収入は各自のものとする
- 生活費の残額は共有とする/各自のものとする
- 貯金の名義と管理方法を定める
● 生活費(家計)の負担割合
- 収入比率に応じて負担
- 固定額を各自が負担
- 夫婦の財布を分けるか、共同口座を作るか
● 住宅ローン・不動産の扱い
- 名義人がローンを負担する
- 共有名義にする場合の持分割合
- 離婚時の売却・住居の扱い
● 事業・会社経営者向けの財産保全
- 会社の株式は共有財産としない
- 事業用資産は分与対象外
- 離婚時の事業継続を妨げない条項
2. 生活ルールに関する特約(夫婦関係の安定に有効)
● 家事・育児の分担
- 家事の基本担当
- 育児の協力体制
- 外部サービス(家事代行・保育)の利用方針
※法的拘束力は弱いが、夫婦の合意として非常に有効。
● 仕事・キャリアの尊重
- 転勤時の対応
- 妻・夫のキャリア継続の尊重
- 出産後の働き方の方針
● 親族との関わり
- 同居の有無
- 親の介護方針
- 過度な干渉を避ける合意
3. プライバシー・行動に関する特約(近年増加)
● 秘密保持・SNS利用ルール
- 夫婦間の情報を第三者に漏らさない
- SNSでの写真・情報公開のルール
- 位置情報共有の扱い
● 浮気・不貞行為に関する取り決め
- 不貞行為の定義(異性との旅行・密会・アプリ利用など)
- 不貞があった場合の慰謝料額
- 離婚の優先権
※金額が高すぎると無効になる可能性があるため、実務的な設定が必要。
4. 離婚時の取り決め(予防法務として重要)
● 財産分与の割合
- 原則として分与しない
- 一定割合で分与する
- 結婚期間に応じて変動させる
● 慰謝料の取り決め
- 不貞・暴力・重大な裏切り行為があった場合の金額
- 合意離婚の場合は慰謝料なし
● 養育費・親権(将来子どもが生まれた場合)
- 養育費の算定基準
- 親権・監護権の基本方針
- 面会交流のルール
※子どもに関する条項は、将来の状況により無効になる場合があるため、慎重な文言が必要。
5. 国際結婚向けの特約(外国籍配偶者がいる場合)
● 適用する法律の指定
- 日本法を適用する
- 相手国の法律を適用する
- 国際私法に基づく調整
● 国際離婚時の子の連れ去り防止
- ハーグ条約に基づく取り決め
- 子どもの居住地の指定
● 多言語契約書の整合性
- 日本語版を正本とする
- 英語版・中国語版は参考訳とする
6. 婚姻中の契約の取消(民法754条)への対策
婚前契約書は、婚姻後に取り消されないよう、次のような特約を入れることがあります。
- 契約は婚姻前に締結したものであり、婚姻後も有効である
- 婚姻後の取消権を行使しない旨の合意
- 公正証書で作成し、意思能力・自由意思を明確化
※法的に完全に取消不能にすることはできないが、実務上の有効性を高める効果がある。
まとめ:婚前契約書は「夫婦の未来設計書」
婚前契約書は、離婚対策ではなく、 夫婦が安心して結婚生活を送るための予防法務です。
特に財産・生活・離婚時の取り決めは、後のトラブルを大幅に減らします。
行政書士法人塩永事務所では、これらの特約をお二人の状況に合わせて最適化し、公正証書化までサポートしています。
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