
登録支援機関・受入企業が直ちに講じるべき対応 ―2026年1月1日、行政書士法の一部改正法が施行されました(2025年6月成立)。本改正は、行政書士の使命・職責の明文化、特定行政書士の業務範囲拡大、無資格者による業務制限の明確化、両罰規定の整備等を主な内容とし、特定技能外国人受入に関わる登録支援機関および受入企業(特定技能所属機関)の業務運用に大きな影響を及ぼします。特に、無資格者による官公署提出書類(入管申請書類等)の有償作成関与が、これまで以上に明確に規制対象となるため、登録支援機関・受入企業は早急な業務見直しが求められます。本稿では、改正法の核心的部分を整理し、登録支援機関・受入企業が直ちに押さえるべきリスクと適法な対応策を解説します。
- 改正行政書士法の主な変更点と影響
改正の主眼は、無資格者による行政書士業務(官公署提出書類の作成等)の抑制と制度の信頼性向上にあります。登録支援機関・受入企業に関連するポイントは以下の通りです。
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改正項目
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改正内容
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登録支援機関・受入企業への影響
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業務制限の明確化(第19条第1項)
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無資格者が「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」業として行政書士業務を行うことを明確に禁止。
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これまでグレーとされていた「支援料」「コンサル料」等に含まれる書類作成行為が、実質的に報酬を得ての作成と評価されやすくなり、違反リスクが大幅に上昇。
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両罰規定の整備(第23条の3)
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無資格業務違反等について、行為者個人に加え法人も罰金刑の対象に。
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担当者個人の行為であっても、法人業務と評価されれば登録支援機関・受入企業自体が処罰対象。法人責任の回避が困難に。
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行政書士の使命明文化(第1条)
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外国人の権利利益保護・適正手続確保を使命に追加。
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在留資格手続の適正化が強調され、無資格関与への監督が強化される可能性。
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これらの変更により、改正前から禁止されていた有償書類作成行為が、より厳格に適用される環境となりました。違反発覚時は、行政書士法に基づく罰則(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)に加え、出入国在留管理庁からの登録取消し等の行政処分リスクも高まります。
- 登録支援機関・受入企業が直面する主なリスク
登録支援機関の本来業務(生活支援、定期面談、同行等)は改正の影響を受けませんが、以下の行為が「実質的な書類作成」と評価されると違反リスクが生じます。 高リスク行為の例
- 支援委託報酬を得て、在留資格申請書・支援計画書等の下書き作成や内容の主導的決定・修正を行う。
- 名目を「支援料」「手数料」に変えても、実態が入管提出書類の作成代行である場合。
- 月額支援料に申請関連費用を分散含めて請求する。
これらは、改正後の「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の規定により、明確に規制対象となり得ます。
- 直ちに講じるべき適法対応策
改正施行後、単に「書類を作成していない」だけでなく、「実質的な関与がないことを客観的に証明できる体制」が重要です。 受入企業(特定技能所属機関)の対応
- 書類作成は社内担当者(入管法承認の取次者含む)または行政書士・弁護士に委託。
- 登録支援機関との契約とは別に、書類作成を行政書士等と個別契約。
登録支援機関の対応
- 支援委託契約書で「官公署提出書類の作成」を明示的に除外し、受入企業または行政書士が行う旨を記載。
- 社内マニュアル改訂:下書き作成・具体的な記載指示・修正を禁止、書類関連相談は行政書士へ引き継ぎ。
- 支援計画書の「補助」は、制度説明・情報提供・事実確認の範囲に厳格限定。
共通の体制整備
- 客観的記録の保存:契約書、行政書士委託記録、メール・議事録等。
- 行政書士との連携強化:書類作成を専門家に任せ、支援業務に専念。
外部システムの活用 クラウドツール等は、面談記録・データ管理に活用可能。ただし、システム経由で登録支援機関が入管提出書類を作成・修正する場合、実質的な関与とみなされるリスクあり。利用範囲を支援業務に限定。まとめ:支援業務と申請業務の厳格分離が事業継続の鍵改正行政書士法は、登録支援機関の支援業務自体を否定するものではありませんが、無資格者による書類作成関与への規制を強化した点で、運用環境が大きく変化しました。登録支援機関・受入企業は、施行日を過ぎた今、速やかに業務範囲の再整理、契約・社内ルールの見直し、行政書士等専門家との連携体制を構築してください。これにより、コンプライアンスを確保し、安定した外国人受入を実現できます。行政書士法人 塩永事務所では、改正法対応の業務フロー診断、契約書改訂支援、在留資格申請代行等を承っております。運用見直しに関するご相談は、お早めにお問い合わせください。行政書士法人 塩永事務所
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