
【育成就労制度】監理支援機関 新規許可申請ガイド
― 許可要件・必要書類・外部監査人・申請スケジュール・手数料の整理 ―
2024年6月に改正出入国管理法が可決・成立したことにより、現行の技能実習制度はおおむね2027年を目途に廃止され、新たな外国人受入れ制度として「育成就労制度」が創設されます。 この移行に伴い、「監理団体」は廃止され、新制度の枠組みとして「監理支援機関」が新たに位置付けられます。
このページでは、監理支援機関として新規許可を受けるために想定される許可要件、必要書類、外部監査人の設置義務、申請スケジュールおよび手数料の見通しについて、事業者向けに分かりやすく解説します。
育成就労制度の概要
育成就労制度は、一定の技能と日本語能力を有する外国人を原則3年以内で計画的に育成し、その後の「特定技能1号」への円滑な移行を目指す新しい在留資格制度です。 技能実習制度で指摘されてきた人権侵害や過度な転籍制限などの課題を是正し、より適正・透明な形で外国人労働力を受け入れ・育成することを目的としています。
監理支援機関とは
監理支援機関は、育成就労外国人を受け入れる企業(育成就労実施者)を支援・監督する中核的な機関であり、主務大臣の許可を受けて次のような業務を行うことが想定されています。
-
育成就労実施者と外国人との雇用契約成立のあっせん
-
育成就労計画の策定支援・履行状況の監理
-
転籍に関する手続支援や生活上の支援
-
外国人からの相談対応およびトラブル防止・是正支援
従来の「監理団体」と比べ、コンプライアンス確保のための監督機能が一層強化されることが見込まれています。
許可要件(概要)
監理支援機関として許可を受けるためには、育成就労法および関係政省令に基づき、概ね次のような要件を満たす必要があると見込まれます。
-
法人格を有する団体であること(株式会社、一般社団法人等)
-
役員等が欠格事由に該当しないこと
-
適切な監理支援体制(担当者数、相談体制、通訳体制等)が整備されていること
-
債務超過でないなど、一定の財政的基盤を有していること
-
外部監査人を設置していること(義務)
-
中立性・独立性が確保されていること(受入れ企業との過度な資本・人的関係の排除等)
-
役職員が外国人雇用、労務管理、入管法制等について十分な知識・経験を有していること
外部監査人の設置義務
新制度では、技能実習制度で任意とされてきた「外部役員」ではなく、監理支援機関の業務を独立した立場からチェックする「外部監査人」の設置が許可要件として明確に義務付けられます。
想定される外部監査人の主な要件(育成就労法第25条関係案の概要)は、次のとおりです。
-
育成就労実施者や監理支援機関と「密接な関係」を有しないこと(独立性の確保)
-
労務管理、法務、監査等に関する知識または実務経験を有し、公正かつ適正に職務監査を遂行できること
-
欠格事由に該当しないこと
-
行政書士、弁護士、社会保険労務士等、育成就労や外国人雇用に関する専門的知見を有する士業であることが予定されていること
外部監査人には、年度あたり複数回(定期・臨時を含む)の監査を実施し、その結果を報告書として育成就労機構等に提出することが求められる見込みです。
行政書士法人塩永事務所では、監理支援機関向けの外部監査人就任サービスを提供しており、育成就労制度に対応した監査・報告体制の構築支援が可能です。
必要書類(予定)
監理支援機関の許可申請に必要となる具体的な様式・書類は、今後公表される主務省令・申請要領等で詳細が定められる予定ですが、現在示されている案や関連資料等から、以下のような書類が求められると想定されています。
-
監理支援機関の登記事項証明書(商業・法人登記簿謄本)
-
定款、役員名簿、組織図
-
外部監査人の選任に関する書面(選任決議書・契約書等)
-
外部監査人の経歴書・資格証明書(登録番号等)
-
監理支援業務計画書(対象分野、受入予定人数、監査計画等)
-
育成就労支援体制に関する書類(担当者配置、通訳・相談体制、研修計画など)
-
財務諸表、資本金・自己資本の状況等を示す資料
-
欠格事由に該当しない旨の誓約書等
申請スケジュールの見通し
公表されているスケジュール案等から、監理支援機関に関する大まかな流れは次のように想定されています。
-
2025~2026年
-
育成就労制度の詳細(政省令、ガイドライン、申請様式等)が順次公表される見込み
-
-
2026年(中頃以降見込み)
-
監理支援機関の新規許可申請の受付開始(事前申請を含む)
-
-
2027年
-
育成就労制度の本格施行
-
育成就労外国人の受入れ開始、および監理支援機関としての業務開始
-
現行の監理団体として活動している法人も、自動的に監理支援機関へ移行できるわけではなく、原則として新たに許可申請を行う必要があると解されています。
申請手数料の水準(予想)
監理支援機関の許可申請手数料については、現時点で正式な額は示されていませんが、技能実習制度下の「監理団体認可申請」では概ね15万円程度からの手数料が必要とされていました。 育成就労制度では、監査・監督機能の強化等を踏まえ、同程度またはそれ以上の水準となる可能性があると想定されています。
外部監査人・申請支援のご相談
行政書士法人塩永事務所の代表者は、監理責任者講習の修了および申請取次行政書士としての登録を有しており、外国人雇用・国際業務分野での実務経験に基づく専門的なサポートが可能です。
-
全国の監理支援機関予定法人に対応
-
外部監査人の就任・契約形態に関する個別相談
-
育成就労制度に関する体制整備、許可申請、コンプライアンス対応のコンサルティング
主要ポイント一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象制度 | 育成就労制度(2027年本格開始予定) |
| 監理機関の名称 | 監理支援機関(主務大臣による許可制) |
| 重要人材 | 外部監査人(独立性・専門性・資格要件を満たす者) |
| 準備期間の目安 | 2025~2026年が体制整備・申請準備の重要期間 |
| 当事務所の対応内容 | 外部監査人就任、監理支援機関許可申請支援、全国対応可 |
今後予定されている法令・省令・ガイドラインの公表内容を適宜確認しながら、少なくとも2026年の申請受付開始前までに、法人体制や外部監査人の選任を含めた準備を進めることが重要です。
育成就労制度・監理支援機関の許可申請、外部監査人の選任に関するご相談は、行政書士法人塩永事務所(TEL:096-385-9002/E-mail:info@shionagaoffice.j)までお気軽にお問い合わせください。
