
【2027年施行】育成就労と特定技能の違いとは?熊本の行政書士が経営者の疑問に答えます
外国人材の受け入れを検討されている熊本・九州の経営者の皆様にとって、「育成就労」と「特定技能」、どちらの制度を選ぶべきかは重要な経営判断となります。本記事では、熊本を拠点に九州全域で外国人雇用をサポートする行政書士法人塩永事務所が、経営者の皆様からよくいただくご質問にQ&A形式でお答えします。
目次
- 【基礎知識】育成就労制度とは?特定技能制度とは?
- 【比較表】育成就労と特定技能の違い一覧
- 【経営者Q&A】よくある質問と回答
- 【地域情報】熊本・九州エリアの受け入れ状況
- 【2027年施行】今から準備すべきこと
- 行政書士法人塩永事務所のサポート
1.【基礎知識】まず押さえたい2つの制度
育成就労制度とは?
育成就労制度は、従来の技能実習制度を発展的に解消し、令和9年(2027年)4月1日から新たに創設される在留資格です。「日本の人手不足分野における人材の確保」と「人材の育成」を正面から目的として掲げています。
制度の特徴
- 期間:原則3年間
- 目標:特定技能1号水準の技能・日本語能力を有する人材を育成
- キャリアパス:育成就労(3年)→特定技能1号(5年)→特定技能2号(定住・家族帯同可)
特定技能制度とは?
特定技能は、深刻な人手不足が懸念される特定産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を即戦力として受け入れる制度です。
特定技能1号の特徴
- 在留期間:通算5年まで
- 対象分野:介護、建設、製造業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業など12分野
- 技能水準:試験合格または技能実習2号修了が必要
- 日本語能力:N4(A2)以上相当
特定技能2号の特徴
- 在留期間:更新可能(事実上の制限なし)
- 家族帯同:配偶者と子の帯同が可能
2.【徹底比較】育成就労と特定技能の違い一覧表
経営者の皆様が判断しやすいよう、重要なポイントを比較表にまとめました。
| 比較項目 | 育成就労 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|---|
| 制度の目的 | 人材育成・人材確保 | 即戦力の人材確保 | 高度人材の定着 |
| 在留期間 | 原則3年間 | 通算5年まで | 更新可能(制限なし) |
| 入国時の技能要件 | 特になし(未経験可) | 試験合格または技能実習2号修了 | 特定技能1号修了等 |
| 日本語要件 | N5(A1)相当から段階的 | N4(A2)相当必須 | N4(A2)相当必須 |
| 転職の可否 | 1〜2年経過後、条件付きで可能 | 同一分野内で自由 | 同一分野内で自由 |
| 家族帯同 | 不可 | 原則不可 | 可能 |
| 支援機関 | 監理支援機関(許可制) | 登録支援機関(任意) | 不要 |
| 費用負担 | 月給2か月分が上限(厳格化) | 比較的柔軟 | 比較的柔軟 |
| キャリアパス | 特定技能1号へ移行前提 | 特定技能2号または帰国 | 長期滞在・永住も可能 |
【重要】特定技能との3つの決定的な違い
違い①:転職・転籍の自由度
育成就労:同一企業で1〜2年(分野により異なる)就労し、技能検定と日本語試験に合格すれば、本人の意向による転籍が可能になります。
特定技能:入国後すぐに同一分野内であれば転職が自由です。
経営者への影響:育成就労では、待遇改善やキャリアパス提示など「選ばれる職場づくり」がより重要になります。
違い②:日本語能力のレベルと育成責任
育成就労:
- 就労開始前:N5(A1)相当
- 1年経過時:N5(A1)相当(転籍要件)
- 特定技能移行時:N4(A2)相当
企業には日本語学習の機会提供と費用支援の義務があります。
特定技能:入国時からN4(A2)相当が必須で、企業の育成負担は軽減されます。
経営者への影響:育成就労では日本語教育の体制構築が必須となります。
違い③:受け入れコストの透明性
育成就労:送出機関への手数料は「月給の2か月分」が上限となり、不透明なキックバックは厳禁です。
特定技能:送出機関を経由しない直接雇用も可能で、柔軟な採用が可能です。
経営者への影響:育成就労では費用の透明性が高まり、適正な受け入れコストの把握が容易になります。
3.【経営者Q&A】よくある質問に行政書士が回答
Q1. うちの会社はどちらの制度を選ぶべきですか?
A. 御社の人材戦略によって最適な選択が変わります。
育成就労を選ぶべきケース
- 未経験者をゼロから育成し、自社の風土に合った人材を作りたい
- 3年後に特定技能へ移行させ、長期雇用を前提としている
- 監理支援機関のサポートを受けながら、初めて外国人材を受け入れたい
- 製造業、建設業、農業など、技能を段階的に習得できる業種
特定技能を選ぶべきケース
- 即戦力が欲しい、すぐに現場で活躍してほしい
- 一定の技能と日本語能力(N4以上)を持った人材が必要
- 直接雇用で採用コストを抑えたい
- 将来的には特定技能2号で家族帯同も視野に入れている
熊本・九州の製造業や建設業では、育成就労で基礎から育成し、特定技能へ移行させる「育成型」の戦略を取る企業様が増えています。
Q2. 特定技能との違いで一番大きいのは何ですか?
A. 「即戦力か育成か」という根本的な違いです。
特定技能は試験合格が必要で、入国時点である程度の技能と日本語能力(N4)を持っています。一方、育成就労は未経験でも受け入れ可能ですが、企業側に育成責任があります。
また、転職の自由度も大きな違いです。特定技能は入国後すぐに転職可能ですが、育成就労は1〜2年の就労後、条件を満たせば転職可能となります。
Q3. 育成就労は2027年施行ですが、今から準備することはありますか?
A. はい、今から準備すべきことが複数あります。
- 情報収集:御社の業種が「育成就労産業分野」に含まれるか確認(2025年〜2026年に順次公表予定)
- 日本語教育体制:入社前・入社後の学習サポート体制の構築
- キャリアプランの策定:3年後の特定技能移行を見据えた賃金体系や評価制度の整備
- 住環境の整備:外国人材が安心して生活できる住居の確保
熊本県内では、県や市町村の支援制度もありますので、活用をご検討ください。
Q4. 現在雇用している技能実習生はどうなりますか?
A. 2027年4月1日より前に入国した技能実習生は、在留期限まで「技能実習」として在留可能です。
施行日時点で技能実習を行っている場合、一定の要件で「技能実習2号」「技能実習3号」へ移行し、実習を継続できます。技能実習修了後は「特定技能」へ移行するルートが一般的になります。
技能実習の途中で「育成就労」へ資格変更することは原則できませんので、ご注意ください。
Q5. 転職されるリスクが心配です。対策はありますか?
A. 育成就労では1〜2年の就労期間と試験合格が転職の要件となっていますが、それでも転職リスクはゼロではありません。
効果的な定着対策
- 適正な賃金設定(地域相場以上)
- 明確なキャリアパスの提示(特定技能への移行、昇給モデル)
- 丁寧なコミュニケーション(母国語対応、相談窓口の設置)
- 住環境・生活支援の充実
- 日本語学習のサポート
熊本・九州の優良企業では、外国人材を「安価な労働力」ではなく「共に成長するパートナー」として処遇することで、高い定着率を実現されています。
Q6. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 制度によって費用構造が異なります。
育成就労の主な費用
- 監理支援機関への監理費(月額3万円〜5万円程度)
- 送出機関への手数料(上限:月給の2か月分、企業負担分を含む)
- 日本語教育費用
- 住居費用、生活支援費用
特定技能の主な費用
- 登録支援機関への委託費(月額2万円〜3万円程度、任意)
- 採用費(直接雇用の場合は低減可能)
- 住居費用、生活支援費用
育成就労は監理支援機関を通すため初期コストは高めですが、未経験者を採用できるメリットがあります。特定技能は即戦力採用のため教育コストが抑えられます。
Q7. 熊本・九州エリアでの受け入れ実績はありますか?
A. はい、熊本・九州エリアでは製造業、建設業、農業、介護分野を中心に外国人材の受け入れが進んでいます。
特に熊本県では、半導体関連企業の進出に伴い、製造業での外国人材ニーズが急増しています。また、阿蘇地域や天草地域では農業・水産業での受け入れも活発です。
九州全域では、福岡・北九州の製造業、長崎・佐賀の農業・水産業、大分・宮崎の食品製造業、鹿児島の建設業など、各地域の主要産業で受け入れが進んでいます。
Q8. 行政書士に依頼するメリットは何ですか?
A. 入管法務は複雑で、書類不備による不許可リスクがあります。
行政書士に依頼するメリット
- 最新の法改正情報の提供
- 申請書類の正確な作成(不許可リスクの低減)
- 入管との折衝・対応
- 受け入れ体制構築のアドバイス
- トラブル発生時の迅速な対応
特に2027年の新制度施行に向けては、専門家のサポートが不可欠です。行政書士法人塩永事務所では、熊本・九州エリアの企業様の外国人雇用を多数サポートしてきた実績があります。
4.【地域情報】熊本・九州エリアの外国人材受け入れ状況
熊本県の状況
熊本県では、TSMC進出に伴う半導体関連産業の集積により、製造業での外国人材ニーズが急増しています。県内の企業様からは、特定技能による即戦力採用と、育成就労による中長期的な人材確保の両面でご相談をいただいています。
主な受け入れ業種
- 製造業(半導体関連、食品製造)
- 建設業(インフラ整備需要増)
- 農業(阿蘇地域、県南地域)
- 介護(高齢化対応)
九州各県の状況
福岡県・北九州市:製造業、物流、サービス業での受け入れが活発 長崎県:水産加工業、造船業での実績多数 佐賀県:農業、食品製造業での受け入れ進展 大分県:製造業、農業での受け入れ増加 宮崎県:農業、食品製造業での受け入れ実績 鹿児島県:建設業、農業、水産業での活用拡大
九州エリア全体で、外国人材を「選ばれる地域」として受け入れる動きが加速しています。
5.【2027年施行】今から準備すべきこと
施行スケジュール
育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日から施行されます。現在は各産業分野ごとの詳細な運用方針が議論されている段階です。
経営者が今すぐ始めるべき5つの準備
① 自社の受け入れ方針の明確化
育成就労と特定技能、どちらを選ぶのか、あるいは両方を組み合わせるのか、経営戦略として明確にしましょう。
② 日本語教育体制の構築
育成就労を選ぶ場合、日本語教育は必須です。熊本県内には日本語学校や支援団体がありますので、連携体制を構築しましょう。
③ 住環境の整備
外国人材が安心して生活できる住居の確保が重要です。熊本市内、菊池市、合志市、八代市など、工場や事業所の近隣で物件を確保しましょう。
④ 社内の受け入れ体制づくり
既存社員への説明、コミュニケーションツールの導入、生活サポート担当者の配置など、受け入れ体制を整えましょう。
⑤ 専門家への相談
入管法務は専門性が高く、自社だけで対応するのは困難です。早めに行政書士などの専門家に相談し、準備を進めましょう。
6. 行政書士法人塩永事務所のサポート
熊本・九州エリアでの豊富な実績
行政書士法人塩永事務所は、熊本を拠点に九州全域の企業様の外国人雇用をサポートしてきました。製造業、建設業、農業、介護など、様々な業種での受け入れ実績があります。
当事務所のサポート内容
制度選択のアドバイス 御社の業種、規模、人材戦略に応じて、最適な制度をご提案します。
申請書類の作成・申請代行 複雑な入管申請書類を正確に作成し、不許可リスクを最小限に抑えます。
受け入れ体制構築のサポート 日本語教育、住居確保、生活支援など、受け入れ体制づくりをトータルでサポートします。
継続的なフォロー 在留期間更新、特定技能への移行など、雇用期間中の各種手続きを継続的にサポートします。
最新情報の提供 2027年施行に向けた最新情報を随時提供し、適切な準備をサポートします。
新制度への移行もお任せください
2027年4月の育成就労制度施行に向けて、現在の技能実習生の取り扱いや、新制度での受け入れ準備など、複雑な移行期における疑問やお悩みを解決いたします。
熊本・九州エリアの外国人材受け入れは、行政書士法人塩永事務所にお任せください。まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせ
行政書士法人塩永事務所
〒熊本県熊本市
外国人雇用・在留資格のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
熊本・九州全域対応可能です。
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■■■ 行政書士法人塩永事務所
■■ 代表 塩永 健太郎
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