特定技能と育成就労の違いについて行政書士法人塩永事務所
代表行政書士 塩永健太郎
代表行政書士 塩永健太郎
近年、日本の人手不足解消のための外国人材受け入れ制度として、「特定技能」と新たに創設された「育成就労」が注目されています。両制度は、深刻な労働力不足に対応する点で共通していますが、目的、対象者、在留期間、移行の仕組みなどに明確な違いがあります。以下で詳しく解説します。1. 制度の目的の違い
- 特定技能制度（2019年創設）：
即戦力となる一定の技能と日本語能力を有する外国人材を、特定産業分野（現在16分野）で受け入れることを目的としています。人手不足の即時的な解消を主眼に置いた就労中心の制度です。 - 育成就労制度（2024年改正法成立、2027年施行予定）：
技能実習制度を廃止・発展的に解消した新制度で、入国時点では高い技能を求めず、原則3年間の就労を通じて特定技能1号レベルの技能を育成し、人材確保を目指します。育成段階から特定技能への移行を前提とした連続性のある制度設計が特徴です。
2. 対象者と技能レベルの違い
- 特定技能：
入国時または在留資格変更時に、特定技能評価試験合格と日本語能力試験（N4以上相当）合格が必要です。即戦力として、相当程度の知識・経験を有する人材が対象です。 - 育成就労：
入国時点では専門的な技能や高い日本語能力は求められません。未熟練者を受け入れ、計画的な就労・研修を通じて育成します。1年目・3年目に段階的な試験（基礎級等）があり、最終的に特定技能1号レベルの技能・日本語能力（N4以上）を達成することを目標とします。
3. 在留期間と移行の仕組み
- 特定技能：
1号：最長5年（更新可能だが通算5年上限）。
2号：無制限更新可能（家族帯同・永住許可への道も開かれる）。
育成就労からの移行が可能で、キャリアアップの出口となります。 - 育成就労：
原則3年（試験不合格等で最大1年延長可能）。
期間終了後、特定技能1号への移行を前提としており、円滑な移行が制度的に確保されています。
4. 受け入れ分野の違い両制度とも、基本的に同じ特定産業分野（介護、建設、農業、外食など）を対象としますが、育成就労は「就労を通じて技能習得が相当な分野」に限定され、一部分野が除外される可能性があります。5. 転籍（転職）の自由度
- 特定技能：比較的自由（一定条件の下）。
- 育成就労：技能実習では原則禁止だった転籍を、一定条件（1〜2年経過後、技能水準達成等）で本人意向により認め、労働者保護を強化しています。
比較表
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項目
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特定技能制度
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育成就労制度
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|---|---|---|
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目的
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人手不足の即時解消（即戦力）
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人材育成 + 人材確保（移行前提）
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入国時技能レベル
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一定の専門性・技能必要
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不要（未熟練者可）
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日本語能力
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入国時N4以上相当必要
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段階的習得（最終N4以上）
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在留期間
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1号：通算5年 / 2号：無制限
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原則3年（最大4年）
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移行
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–
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特定技能1号へ移行前提
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転籍
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比較的自由
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一定条件で可能（保護強化）
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対象分野
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16分野
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特定技能と原則一致（一部限定）
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企業様へのアドバイス特定技能は即戦力を求める場合に適しており、育成就労は長期的な人材育成を視野に入れた受け入れに有効です。新制度の施行に向け、企業様は今から受け入れ体制の見直しをおすすめします。特に、登録支援機関の活用や協議会加入が必須となります。当行政書士法人塩永事務所は、熊本を拠点に特定技能・登録支援機関の申請支援、外国人材受け入れのコンサルティングを多数実績としております。育成就労制度への移行相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。行政書士法人塩永事務所
熊本県熊本市中央区水前寺1丁目9番6号
TEL: 096-385-9002
ホームページ: https://shionagaoffice.jp 外国人材受け入れでお悩みの企業様、私どもがお手伝いいたします。
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