
【2026年1月施行】行政書士法改正でディーラーの車庫証明・登録代行はどう変わる?
行政書士法人塩永事務所
2026年(令和8年)1月1日から、行政書士法が改正・施行されます。
特に影響を受けるのが、自動車販売店・ディーラーが行う以下の業務です。
- 車庫証明の取得
- 自動車の新規登録・名義変更・住所変更
- 軽自動車の届出
これまで「サービス」「登録代行料」「手数料0円」など、さまざまな名目で行われてきた「書類作成+官公署への提出」が、今後は行政書士法違反として厳しく見られる可能性が高まります。
本記事でわかること
- 行政書士法改正で何が変わるのか
- ディーラーのどんなやり方がリスクになるのか
- 違反を避けるために今から何を見直すべきか
- 行政書士にどう関わってもらえばよいのか
なぜ今「ディーラーの車庫証明代行」が話題になるのか
行政書士の独占業務が、あらためて明確に線引きされる
今回の行政書士法改正は、これまで「なんとなくグレーゾーン」とされてきた以下の行為について、どこから先が行政書士の独占業務なのかを改めて整理する流れです。
- 官公署に出す書類を「代行」で作成する
- 報酬をもらって、反復継続して手続きを引き受ける
今回の改正は、公的な書類を有償で代行作成、申請することは行政書士の法定業務であることを改めて明確化したものです。その対象は行政書士業務全般を指したものであり、対象業務の範囲の一つとして車庫証明申請への影響が指摘されています。
つまり、「昔からこうやってきた」「みんなやっているから大丈夫だろう」という”慣行”ではなく、法律上の線引きに沿って業務のやり方を見直してくださいというメッセージが、より強くなる改正です。
ディーラー業務に引きつけて言えば、以下のような名目で実質的に申請書の作成・提出を有償で請け負っているケースは、改正後「行政書士法違反を指摘されるリスクが高いスキーム」として見られやすくなります。
- 「登録代行手数料」
- 「車庫証明代行料」
- 「書類作成サポート料」
両罰規定で「会社側の責任」も無視できなくなる
改正で特に重く受け止めたいのが、両罰規定の導入です。
- 違法な代行業務をした「個人」だけでなく
- その業務をさせていた「会社(販売店・ディーラー)」
の両方が処罰対象となります。
「担当者が勝手にやっていたことなので……」という説明では、会社が責任を免れにくくなっていくイメージです。経営層・管理職としても、「現場の慣行」任せにせず、会社として方針を決めておく必要性が高まると言えます。
行政書士法改正のポイント
施行日と改正の概要
今回の改正は「行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)」として令和7年6月13日に公布され、令和8年1月1日から施行されます。
主な改正ポイントは以下の5つです。
- 行政書士の使命の明確化(第1条)
- 行政書士の職責の明確化(第1条の2)
- 特定行政書士の業務範囲の拡大(第1条の4)
- 業務の制限規定(第19条)の趣旨の明確化
- 両罰規定(第23条の3)の整備
このうち、自動車販売店・ディーラーの実務に直接影響するのが、第19条と両罰規定です。
第19条「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」とは?
改正後の行政書士法第19条第1項には、以下のように明記されます。
他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務を行うことができない
つまり、請求書や見積書に以下のように記載していても、実質的に対価を受けて官公署提出用の書類を作成していれば「報酬を得て」にあたるという解釈が明文化されました。
- 「登録代行料」「車庫証明代行料」「事務手数料」
- 「サービス料」「パック料金」
- 「手数料0円」「代行料無料」
重要なのは、「新しいルールができた」のではなく、「これまでの解釈を条文で明文化し、取締りを強化した」という点です。
両罰規定で「会社」も罰せられる時代に
もう一つの大きな変更が、両罰規定の拡大です。
改正により、第19条違反については以下の両方が処罰対象となります。
- 違法な書類作成をした担当者本人
- その業務をさせていた販売店・会社
罰則の内容
- 担当者: 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 会社: 100万円以下の罰金
「現場がサービスのつもりでやっていただけなので……」という説明では、会社の責任を免れにくい時代になっています。
ディーラー実務にどんな影響が出るのか
これまで「慣行」で済ませてきたパターンが見直し対象に
多くの販売店で、次のような形で運用されているのではないでしょうか。
- 見積書に「登録代行手数料」「車庫証明代行料」を一式で記載している
- 営業スタッフや登録担当者が申請書を作成し、警察署や運輸支局へ提出している
- お客様から見ると「お店が全部やってくれている」状態になっている
改正後は、このようなスキームが、
実質的に、行政書士業務を有償で請け負っていると評価されるおそれがある
と考えられます。
「周りも同じだから」「昔からやっているから」という理由だけで続けるのは、コンプライアンス上のリスクが高まっていると見ておいた方が安全です。
「無料サービス」「手数料0円」が通用しない理由
よくあるのが、
「代行料はいただきません。サービスでやっておきますよ。」
というパターンです。
一見すると「無償だから問題なさそう」に見えますが、改正後の行政書士法の考え方に照らすと、次のような点が問題になります。
(1) 名目が「サービス」でも、実質は代金に含まれていると見られやすい
ディーラーとお客様の関係は、あくまで車両販売や整備などの商取引です。このため、
- 登録・車庫証明にかかる手間やコストが、車両本体価格や諸費用に織り込まれている
- お客様から見れば、「代金の一部」として対価を支払っている
と評価されやすくなります。
つまり、
口では「サービス」「手数料0円」と言っていても、実態としては「取引全体の中で報酬を得ている」とみなされる可能性が高い
ということです。
条文にわざわざ「いかなる名目によるかを問わず」と書かれたのは、「名目を変えればセーフ」という逃げ道をふさぐためです。
(2) 「業として」「反復継続」している点も重く見られる
登録・車庫証明の手続きは、
- 店舗として日常的・反復継続して行っている
- 担当者や登録係が「仕事の一部」として処理している
ことがほとんどです。
行政書士法第19条は、「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」官公署提出書類を作成することを行政書士の独占業務と位置付けています。
この三つをまとめて考えると、
名目はサービスでも、商取引の一環として実質的に対価を受け取り、日常業務として申請書の作成・提出を行っている
というスキームは、改正後は行政書士法違反を指摘されるリスクが高いと考えておくのが安全です。
対象になるのは自動車登録申請書だけではない
行政書士法の対象は、官公署に提出する書類(およびそれに代わる電磁的記録)全般です。
自動車関連でいえば、たとえば以下のような書類すべてが該当します。
- 自動車登録申請書(OCR)
- 軽自動車届出書
- 車庫証明申請書・自認書・使用承諾書
- 委任状
- 譲渡証明書
- 申請依頼書
これらはすべて、他人の依頼を受けて報酬を得て作成すれば、行政書士の業務範囲に入ってくることに注意が必要です。
OSS・業界団体スキームはセーフ?注意すべきポイント
自販連等に認められた特例
行政書士法施行規則第20条では、以下の団体が構成員のために行うOSS(自動車保有関係手続ワンストップサービス)の電子申請データ作成については、行政書士法第19条の適用除外とする仕組みが設けられています。
- 自動車販売協会連合会(自販連)
- 自動車整備振興会(日整連)
- 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)
「OSSだから大丈夫」は誤解です
ここで誤解しやすいのが、
「OSSを使っているから、うちは行政書士法とは関係ない」
という認識です。
適用除外が認められているのは、あくまで団体そのもの(自販連・日整連・全軽自協など)であって、個々の販売店・整備工場ではありません。
ここで大切なのは、適用除外が認められているのは自販連等の団体側であるという点です。
- 個々のディーラーや整備工場が、「自社の判断で顧客から報酬を受けながら申請内容を作成・入力してよい」という意味ではありません
- あくまで、施行規則で列挙された団体が、その構成員のために行う書類・電磁的記録の作成について、行政書士法の適用が外れるという仕組みです
つまり、紙かOSSかを問わず、ディーラーが報酬を受けて、顧客のための登録・車庫証明の「書類作成や申請代理」を反復継続して行うのは行政書士法上リスクが高いと言えます。
OKになり得るのは、「申請代理・書類作成は行政書士や自販連等に任せ、ディーラーは取次・事務負担分だけを対価として受ける」構造にしている場合です。
ディーラーが取れる選択肢は2つだけ
車庫証明・登録手続きの基本原則は、非常にシンプルです。
選択肢1: お客様本人に申請書を書いてもらう(本人申請)
選択肢2: 行政書士に申請書作成・申請代理を正式に委任する
ディーラーが関われるのは、以下の「窓口業務・事務負担」の範囲にとどめるのが安全な運用です。
- 必要書類の案内
- 記載例の提供
- 書類の受け渡し・取次ぎ
- スケジュール調整・進捗連絡
違反を避けるための「これからの標準フロー」モデル
では、ディーラー側はどのようにフローを組み替えればよいのか。実務的には、
「自社で代行する」のではなく、顧客と行政書士をきちんとつないだうえで、行政書士へ外注する
というモデルに切り替えていくことがポイントになります。
ステップ1:見積・契約の段階で、行政書士関与を明示する
見積書・注文書に、次のような表記を入れるイメージです。
<code>「車庫証明・登録手続きは提携行政書士に委任します」 「手続費用内訳:行政書士報酬○円+当社事務手数料○円+法定費用」</code>
顧客に対して、
- 申請の代理人は行政書士であること
- ディーラーは「取次ぎ窓口」であること
を口頭・書面で説明し、同意を得るようにします。
ポイントは、「当社が全部やります」ではなく「提携行政書士に依頼します」とはっきり伝えることです。
ステップ2:顧客→行政書士の「委任状」をきちんと取る
- 委任状の名宛人はディーラーではなく行政書士にします
- 「使用者→行政書士」の委任関係を明確にするためです
- ディーラーと行政書士との間では、業務委託契約・守秘義務契約などを別途結び、責任範囲・報酬・情報の扱いを文書化しておきます
このステップをあいまいにすると、「実質的には販売店に委任しているのではないか」と疑われる余地が残ってしまいます。
ステップ3:ディーラーは「資料回収と進捗管理」に専念する
ディーラー側が行う主な業務:
- 必要書類の案内(住民票・認印・車検証コピーなど)
- 顧客からの書類のお預かり
- チェックリストへの記入・整理
- 行政書士への資料送付(郵送・オンライン)
申請書・所在図・配置図の作成は、原則として行政書士が担当します。
ステップ4:申請・受領・結果連絡
- 行政書士が警察署・運輸支局へ申請・受領を行います
- 完了後、車庫証明書や登録完了書類をディーラーへ送付します
- ディーラーは納車準備・顧客への完了報告に組み込みますが、「当社が申請しました」と誤解を招く言い回しは避けることが大切です
ステップ5:請求・会計処理
- 行政書士は、ディーラーまたは顧客宛に報酬を請求します(契約内容によります)
- ディーラーが立替払いをする場合でも、見積書・請求書には行政書士報酬の内訳を明示します
- ディーラー事務手数料は、「書類の案内・受け渡し・日程調整・進捗管理」といった社内事務の対価として位置づけ、書類作成・申請代理の対価と混同しないようにします
今から見直しておきたい3つの実務ポイント
改正施行まで、まだ時間がある今だからこそ、次の3点を整理しておくと安心です。
| いつまでに | 誰が | 何を |
|---|---|---|
| 施行前(2025年中)までに | 本部の法務・総務担当、各店舗の店長・登録担当者 | ①見積書・注文書・料金表の表現の改訂 ②顧客→行政書士の委任状の導入と運用ルール決め ③社内研修(NG例・OK例、営業トーク)の実施 |
1. 見積書・注文書・料金表の書き方を見直す
NGになりやすい表記例
- 「登録代行料 一式」
- 「車庫証明代行料 一式」
- 「登録・車庫証明おまかせパック」
これらは、ディーラー自身が申請書作成・代理をしている印象が強い表現です。
推奨される表記例
<code>車庫証明・登録手続費用(内訳) ・行政書士報酬 ○○円 ・ディーラー事務手数料 ○○円 ・法定費用(証紙代・手数料等) ○○円</code>
このように、行政書士報酬と自社の事務手数料をきちんと分けて表示しておくと、後から説明がしやすくなります。
2. 行政書士との契約・委任状の整備
ディーラー↔行政書士の間で、以下の内容を明文化した業務委託契約書を作成しておくと安心です。
- 業務範囲
- 報酬
- 情報の取扱い
- 責任分界点
あわせて、使用者(お客様)→行政書士への委任状をきちんと取ることで、
- 申請の代理人は行政書士である
- ディーラーは「取次ぎ窓口」である
という関係を明確にできます。
3. 社内マニュアル・営業トークのアップデート
現場の営業スタッフ・登録担当の方には、以下をまとめた社内マニュアルを用意しておくのがおすすめです。
- 行政書士法改正の概要(とくに第19条と両罰規定)
- NGになる言い回し
- 安全な説明の仕方(トークスクリプト)
NGにしたい言い回しの例
- 「当社で全部申請まで代行します」
- 「車庫証明も登録も、手数料0円で当社がやっておきます」
OKな方向性の例
- 「車庫証明・登録の申請書の作成・提出そのものは、当社提携の行政書士に依頼しています。」
- 「当社では、必要書類のご案内・受け渡し・日程調整など、窓口業務を担当いたします。」
行政書士法人塩永事務所に車庫証明・登録業務をお任せください
ここまでお読みいただき、「確かに今のやり方は少し不安。でも、実務は結局誰に任せればいいのか?」と感じられたディーラー様もいらっしゃると思います。
行政書士法人塩永事務所では、ディーラー様・自動車販売店様向けに以下のサービスをご提供しております。
サービスの全体像
当事務所がご提供している主な手続き:
- 普通車の新規登録+車庫証明
- 移転登録(名義変更)+車庫証明
- 住所変更に伴う変更登録+車庫証明
- 軽自動車の車庫届出(届出地域の場合)
熊本県内のディーラー様向け:継続的な提携
「毎月コンスタントに台数があるので、登録担当を外部に置きたい」「顔の見える行政書士にまとめて任せたい」という場合は、“提携行政書士”として、継続的な外注先に組み込む形をおすすめしています。
必要に応じてご訪問での打ち合わせや社内研修も含めた、長期的なお付き合いを想定しています。
継続提携のご相談の流れ
- お問い合わせ – 御社名、店舗名、ご担当者様のお名前、おおよその月間台数・店舗数、所在地をお知らせください
- ヒアリング・現状フローの確認 – 現在の登録・車庫証明の流れ、使用中の書式、どこまで外注したいかを確認します
- 提携プランとお見積りのご提示 – 代行範囲、想定台数に応じた報酬、フロー・書式の改善提案をご提示します
- 業務委託契約の締結・運用開始 – 委任状の様式ややり取り方法を決定し、運用を開始します
「まずは1店舗だけで試してみる」といった段階的な導入も可能です。
提供サービス
当事務所は、行政書士としての法令知識を活かし、**「現場の負担を増やしすぎないコンプライアンス対応」**を一緒に考えていきます。
- 業務委託契約書の作成
- 委任状・書式の整備
- 社内マニュアルの作成支援
- 実際の車庫証明・登録申請業務の受託
サービス提供エリア
現在、車庫証明・自動車登録は熊本市内に限定して承っています。
まとめ
2026年の行政書士法改正は、ディーラー様にとって「これまでのやり方を振り返るきっかけ」になる一方で、そのまま放置してしまうと思わぬリスクにもつながりかねません。
「うちのやり方、ちょっと危ないかも?」「改正の話はなんとなく分かったけれど、結局どこから手を付ければいいか分からない」
そんなモヤモヤを抱えたままにせず、一度棚卸しをして、スッキリした状態で2026年以降を迎えていただきたいと思っています。
行政書士法改正を、「怖いニュース」ではなく御社の体制を法令に合った形にするチャンスに変えられるよう、行政書士法人塩永事務所が、法令面と実務面の両方からしっかり伴走いたします。
お問い合わせ
電話: 096-385-9002
お気軽にご相談ください。
