
特定活動ビザ(告示40号)の条件と必要書類について
日本で長期の観光や保養を楽しみたい方には、特定活動40号というビザがあります。
特定活動40号は、預貯金額の要件があるため、富裕層向けのビザとなっています。通常、外国人の方が日本に旅行で来る場合、最大90日までしか滞在できませんが、特定活動40号を取得すると、90日以上日本に滞在して旅行などを楽しむことができます。
また、国民健康保険への加入も可能なため、万が一病気になった際には日本で治療を受けることもできます。ただし、最初から医療を目的とする場合は、このビザではなく特定活動25号(医療滞在ビザ)を申請することになります。
今回は、旅行などで日本に最長1年間滞在できる特定活動40号の条件と必要書類について、行政書士法人塩永事務所が詳しくご説明します。
特定活動40号というビザとは?
ビザ免除国の国籍の方が日本に旅行で来る際には、1回の来日で最大90日までしか滞在できません。
短期滞在ビザでは更新申請が認められておらず、特段の事情がない限り、在留期限までに一度帰国する必要があります。さらに短期滞在ビザは1年間に最大180日間利用できますが、一度出国する必要があるため不便に感じる方もいらっしゃいます。
そこで富裕層に限定して、90日以上日本で旅行や保養を楽しみたい場合は、特定活動40号を取得することで最大1年間日本に滞在できるようになります(同行する配偶者は特定活動41号になります)。
特定活動ビザとは、法律で規定された在留資格の活動に該当しない外国人について、入国・在留を認める場合に、法務大臣が個々に活動を指定するビザです。その中で特定活動40号が「長期で日本での観光・保養を目的としたビザ」になります。
特定活動40号の条件は?
特定活動40号を取得するための条件を確認していきましょう。
特定活動40号の取得条件
- 年齢18歳以上
- 日本円に換算して3,000万円以上の預貯金があること
- ビザ免除国の国籍であること
- 死亡・負傷・疾病にかかる海外旅行保険などに加入していること
日本円に換算して3,000万円以上の預貯金があること
特定活動40号は富裕層向けのビザとなっているため、預貯金額の要件が定められています。
必要な預貯金額は日本円で3,000万円以上となり、海外の通貨の場合は日本円に換算して計算します。審査では銀行などに3,000万円以上あるか確認されます。
夫婦で一緒に来日する場合(同行)は、夫婦の預貯金の合算で3,000万円以上あれば要件を満たします。
同行とは、夫婦で一緒に日本に来て観光と保養をすることを指します。別々に日本に来て宿泊先も異なる場合には、それぞれが特定活動40号を取得する必要があり、それぞれに日本円換算で3,000万円以上の預貯金が必要になります。
注意点として、法律婚している必要があり、事実婚や同性婚は認められていません。また、子どもの同伴も認められていません。
ビザ免除国の国籍であること
ビザ免除国とは、日本と各国とでビザ相互免除の取り決めを結んでおり、短期滞在で入国する場合にビザ取得が免除されている国のことです。
2024年4月時点では、71か国とビザ免除の取り決めを結んでいます。
死亡・負傷・疾病にかかる海外旅行保険などに加入していること
特定活動40号の申請には、「死亡・負傷・疾病にかかる海外旅行保険の加入」が必要です。
加入期間は日本での滞在予定期間をカバーしているものが必要ですが、特定活動40号は6か月のビザで1回更新でき、最大1年間となるため、最初の申請では6か月分がカバーされていれば問題ありません。
ビザを更新して1年間日本に滞在する場合は、更新時に再度、保険が6か月延長されていることが必要です。最初から1年間の予定であれば、1年分の保険に加入されていても構いません。
特定活動40号でできること・できないこと
特定活動40号で来日した場合、日本でできること、できないことについてご説明します。
特定活動40号は旅行と保養を目的としているため、就労活動はできません。
日本でできること
- 旅行
- 知人・恋人訪問
- 親族訪問
- 協議会やコンテストへの参加(アマチュアとして)
- 教育機関での講習への参加
日本でできないこと
- 仕事をすること
- 会社経営
- アルバイト(1回きりの謝礼などは除く)
- 医療目的での来日(途中で風邪をひいてしまう場合などは除く)
あくまでも日本での旅行などのためのビザなので、アルバイトも含め、日本国内で働くことはできません。
働くとは、日本国内で労働したことに対して対価をもらう行為を指します。海外で仕事をしている方が、リモートで海外の仕事を続けることは問題ありません。
また、日本国内での活動でも1回きりの講演への参加で、謝礼としていくらかもらう程度であれば問題ありません。
日本滞在中に出国はできる?
日本滞在中に、急遽母国に帰らなくてはいけなくなった際などは、自由に入出国ができます。
日本では1年以内の出国であれば「みなし再入国」といい、特段の事前手続きなしで出国でき、日本に戻ってくることができます。
1年以上の出国になる場合は、入国管理局で事前に再入国許可をもらう必要がありますが、特定活動40号は6か月のビザで1回更新して最大1年なので、1年以上の出国は現実的にできません。そのため、特段の手続きなく入出国が可能となります。
申請方法と必要書類について
申請方法は、海外にある日本領事館(大使館)または日本にある入国管理局のどちらかで申請を行います。
海外の日本領事館(大使館)での申請は、すぐに申請ができて便利な一方、万が一不許可になった場合には理由を一切教えてもらえないため、再申請の対策が立てづらいです。
一方、日本の入国管理局へ申請する場合は、一度短期滞在ビザで来日しないと申請ができないため手間がかかりますが、万が一不許可になった場合には不許可理由を教えてもらうことができます。 ※短期滞在ビザから直接の変更はできないので、一度母国等に帰国する必要があります。
日本の入国管理局で申請を出すと、在留資格認定証明書(COE)が発行され、その書類を持って、再度海外の日本領事館(大使館)で申請を出します。
日本の入管から発行された在留資格認定証明書(COE)がある場合、日本領事館(大使館)での審査はかなりスムーズに行われ、虚偽申請などが疑われない限り問題なく許可されます。
どちらにもリスクや手間はありますが、適切な方を選択して申請していただければと思います。
必要書類について
必要書類は、海外の日本領事館(大使館)での申請と日本の入国管理局での申請で多少異なります。
海外にある日本領事館(大使館)の場合
本人
- パスポート
- ビザ申請書(証明写真1枚)
- 在留資格認定証明書(COE) ※在留資格認定証明書(COE)を提出する場合は、以下④〜⑥は省略可
- 滞在予定表
- 過去6か月間の預貯金通帳等、預貯金が邦貨換算3,000万円以上であり、現在高及び支出入の明細が確認できる資料(配偶者の預貯金と合算可)
- 死亡、負傷及び疾病に係る海外旅行傷害保険等の医療保険に加入していることが確認できる書類(滞在予定期間をカバーするもの)
- (第三国申請の場合)当該国に合法的に居住または職を有し、長期滞在していることが確認できる資料
同行する配偶者
- パスポート
- ビザ申請書(証明写真1枚)
- 在留資格認定証明書(COE) ※在留資格認定証明書(COE)を提出する場合は、以下④〜⑥は省略可
- 婚姻証明書
- 滞在予定表
- 死亡、負傷及び疾病に係る海外旅行傷害保険等の医療保険に加入していることが確認できる書類(滞在予定期間をカバーするもの)
- (第三国申請の場合)当該国に合法的に居住または職を有し、長期滞在していることが確認できる資料
- (本人とは別にビザ申請する場合)本人の「特定ビザ(ロングステイ)」の写し
日本にある入国管理局の場合
本人
- 申請書
- 証明写真
- パスポート
- 滞在予定表(日本における活動内容と滞在目的を説明する資料)
- 直近6か月分の預金口座入出金資料、預金残高が分かる資料
- 民間保険会社の医療保険に加入していることを証明する保険証書と約款の写し
必要な保障内容
- 死亡(傷害死亡 Accidental Death、疾病死亡 Sickness Death)
- 負傷(傷害治療費用 Accident Medical Expense)
- 疾病(疾病治療費用 Sickness Medical Expense)
- 保障期間が滞在予定期間をカバーしていること
配偶者も同行する場合
- 結婚証明書
- 滞在予定表
- 医療保険の証明
特定活動40号ビザについてのご相談は、行政書士法人塩永事務所までお気軽にお問い合わせください。
行政書士法人塩永事務所
TEL: 096-385-9002
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