
🏨 簡易宿所営業許可取得ガイド:ゲストハウス・山小屋経営を確実にスタート!【行政書士法人塩永事務所】
📝 簡易宿所とは?旅館業の定義と分類
旅館業法における「旅館業」とは、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されます。ここでいう「営業」とは、施設の提供が社会性をもって継続反復されているものを指します。
旅館業法上、旅館業は以下の3つに大別されますが、本稿では近年需要が高まる簡易宿所営業に焦点を当てて解説します。
-
旅館・ホテル営業
-
簡易宿所営業
-
下宿営業
「簡易宿所」をわかりやすく解説
『簡易宿所(かんいしゅくしょ)』という言葉は耳慣れないかもしれません。
旅館業法上の定義は「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの」とされます。
簡単に言い換えると、**「1つの客室を多数の者で使用する形態で、お風呂やトイレ、洗面所などの設備が共用施設」**となっている宿泊施設を指します。
具体的な例:
-
ゲストハウス
-
ユースホステル
-
カプセルホテル
-
山小屋
-
貸別荘や一棟貸し(構造による)
これらの施設を営業開始するためには、必ず**「簡易宿所営業許可」**の取得が必要となります。
✨ 簡易宿所営業のメリットと設備要件
メリット
| 宿泊客側 | 一人当たりの料金が比較的安く設定されていることが多い。 |
| 事業者側 | 限られたスペースに多くの宿泊客を収容できるため、効率的な運営が可能。 |
簡易宿所の中には、ゲストハウスのように安価な施設もあれば、貸別荘や一棟貸しで高額な料金設定がされているケースもあります。いずれの場合も、定員上限の人数で利用すれば、一人当たりの単価を抑えられるのが特徴です。
🚨 必須となる設備要件
簡易宿所営業許可を取得するためには、以下の設備要件を満たす必要があります。ただし、地域(都道府県・保健所)の条例によって基準が細かく定められているため、事前の確認が不可欠です。
| 要件項目 | 基準(一般例) |
| 客室の延べ床面積 | 33平米以上あること。*1 |
| 寝具の間隔 | 2段ベッドなどを設置する場合、上段と下段におおむね1m以上の間隔があること。*2 |
| 衛生・環境設備 | 適当な換気、採光、照明、防湿および排水の設備があること。 |
| 入浴設備 | 宿泊者の需要を満たせる規模の入浴設備があること。*3 |
| フロント設備 | **玄関帳場(フロント)**またはこれに類する設備(チェックインシステム等)を設けること。*4 |
| トイレ設備 | 適当数のトイレがあること。複数の利用者で共同使用する場合は、男子用・女子用の別に分けて適当数設置が求められる。*5 |
*1 宿泊人数が10人未満の場合:3.3㎡ × 宿泊者数で算出される面積以上が必要です。
*2 2段ベッドの計算方法:上段と下段の面積を別々に計算できないとする保健所もありますので事前確認が必要です。
*3 近隣に銭湯などがあり、入浴に支障がないと認められる場合は免除されることがあります。
*4 国の法令上の基準はありませんが、条例で設置を基準化している都道府県があります。
*5 こちらも条例によって設置基準が細かく分かれている場合があります。
⚠️ 計画段階で注意すべき重要な制約
1. 用途地域による営業制限
すべての土地で旅館業の営業ができるわけではありません。都市計画法に基づいた**「用途地域」**の分類により、以下の地域では旅館業の営業ができません。
-
〇〇住居専用地域(第一種・第二種など)
-
工業地域、工業専用地域
検討中の物件がこれらの用途地域に該当しないか、各市町村役場の担当部門(都市計画図)やホームページで必ずご確認ください。
2. 既存物件・居抜き物件でも油断は禁物
直近まで簡易宿所営業を行っていた居抜き物件であっても、許可要件や法令の変更、周囲の施設(学校など)の変化によって、新たに許可が受けられなくなる可能性は十分にあり得ます。
新築・改修工事を行う場合は、先行投資となるため、着工前の計画段階で完成予定図面を持参し、必ず管轄の都道府県庁や保健所等に事前相談・事前確認を行うことを強く推奨いたします。
3. 申請に必要なその他の重要書類
許可申請時には、設備要件の確認書類以外にも、以下のような書類の添付を求められることがほとんどです。
-
建築基準法第7条第5項に規定する「検査済証」の写し(管轄の建築指導課発行)
-
「消防法令適合通知書」の写し(管轄の消防署発行)
-
申請物件の周囲100メートル以内の見取図
🏘 民泊(住宅宿泊事業)との関連性
民泊は年間180日以内の営業日数制限がありますが、将来的な通年営業を視野に入れているお客様の中には、最初から簡易宿所営業基準を満たした形で施設を整備し、民泊としてスタートし、その後、簡易宿所営業許可へ切り替えるという戦略をとるケースもあります。
物件の有効活用や収益性の向上を多角的に検討するためにも、さまざまな側面から計画を練ることが重要です。
当法人にも多くのご相談が寄せられています。物件の有効活用や、煩雑な許可申請手続きについてご関心をお持ちの方、対象となり得る物件を所有されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
行政書士法人塩永事務所
📞 096-385-9002
