
介護(福祉)タクシー完全ガイド
介護タクシー(福祉タクシー)とは
介護タクシーは、要介護高齢者や障がい者など、単独では一般のタクシーや公共交通機関の利用が困難な方を対象とした専門的な輸送サービスです。
通常のタクシー事業に必要な「一般乗用旅客自動車運送事業」の許可とは異なり、「福祉輸送事業」の許可で運営します。利用者が限定されているため、許可要件が緩和されているのが特徴です。
利用対象者
以下の方々が介護タクシーを利用できます:
- 身体障害者手帳をお持ちの方
- 介護保険法に基づく要介護認定または要支援認定を受けた方
- 上記に準じる障がいをお持ちの方
- 単独での公共交通機関利用が困難な方
- 上記の方の付添人
使用可能な車両
福祉車両
リフト、スロープ、寝台(ストレッチャー)、回転シートなどの乗降補助装置を備えた車両
一般車両(セダン型等)
普通自動車も使用可能ですが、運転者は介護福祉士、訪問介護員(ホームヘルパー)などの介護資格が必要です。
自家用車の活用
新車・中古車の購入が一般的ですが、既にお持ちの自家用車(普通車・軽自動車)も使用できます。
条件:
- 許可取得後に「事業用」として登録変更できること
- 福祉車両でない場合は運転者に介護資格が必要
運転者に必要な資格・条件
必須資格
第二種運転免許
- 旅客運送には必須
- 普通免許取得後3年以上の運転経験が必要(21歳以上)
- 大型第二種免許でも可(乗車定員10名以下の車両使用のため)
推奨資格(努力義務)
以下のいずれかを取得することが望ましいとされています:
- 福祉タクシー乗務員研修修了
- 介護福祉士
- 訪問介護員(ホームヘルパー)
- サービス介助士
雇用条件
- 必要な資格を持つ運転者を常時十分な人数配置すること
- 適切な労働時間と給与体系を確保すること
- 労働関係法令を遵守すること
個人開業と法人開業の違い
個人事業での開業
メリット:
- 社会保険加入が不要
- 初期費用を抑えられる
デメリット:
- 事業主が死亡した場合、許可は失効し、新たに認可取得が必要
法人での開業
メリット:
- 代表者が変わっても許可を維持できる
- 「訪問介護事業」や「居宅介護事業」の指定を受ければ、介護保険タクシーの運営も可能
開業場所について
自宅での開業が可能
以下の要件を満たせば自宅でも開業できます:
- 営業所が事業を行う地域内にあること
- 建築基準法などの関連法令を遵守していること
- 賃貸物件の場合は、所有者からの「使用承諾書」が必要
最小規模での開業
車両1台から開業可能です。通常のタクシー事業とは異なり、個人・法人を問わず1台から申請できます。
介護保険タクシーとの違い
介護保険タクシーとは
訪問介護事業所または居宅介護事業所が提供する「通院等乗降介助」サービスで、介護保険が適用されます。ヘルパー資格を持つ運転者が運転し、乗降介助や移動介助を行います。
主な違い
| 項目 | 介護タクシー | 介護保険タクシー |
|---|---|---|
| 事業者 | 個人・法人どちらも可 | 法人のみ |
| 必要な指定 | 福祉輸送事業許可 | 訪問介護事業または居宅介護事業の指定 + 福祉輸送事業許可 |
| 保険適用 | なし(全額自己負担) | 介護保険適用 |
介護保険タクシーの始め方
介護保険タクシーを開業する場合は、以下の手順が必要です:
- 法人を設立する
- 介護事業者としての指定を取得する
- 訪問介護事業の指定、または
- 居宅介護事業の指定
- 介護タクシーの許可を申請する
運賃設定について
ケア運賃
自動認可運賃制度に基づく運賃設定
介護運賃
通院等乗降介助を行う際に設定できる運賃。ケア運賃より低額に設定することも可能です。
個人タクシーとの違い
| 項目 | 個人タクシー | 介護タクシー |
|---|---|---|
| 乗務経験 | 10年以上必要 | 不要 |
| 年齢制限 | 65歳未満 | なし |
| 利用者 | 制限なし | 要介護者等に限定 |
| 許可区分 | 一般乗用旅客自動車運送事業 | 福祉輸送事業 |
開業サポートについて
介護タクシー開業に関するご質問や許可申請手続きは、豊富な実績を持つ行政書士法人塩永事務所にお任せください。
地域による要件の違いや詳細な条件についても、丁寧にサポートいたします。
お問い合わせ: 096-385-9002
行政書士法人塩永事務所
