
日本への短期滞在ビザ(観光ビザ)は、観光・商用・親族訪問などを目的として最長90日まで滞在できる在留資格であり、就労や長期滞在には利用できません。 2025年時点ではビザ免除国の拡大やeVISA導入により利便性が高まる一方、目的や経済力、帰国意思などを厳格に審査されるため、事前準備の正確性がより重要になっています。
はじめに
短期滞在ビザ(Short-Term Stay Visa、いわゆる観光ビザ)は、出入国管理及び難民認定法別表第一に定められた在留資格で、日本に一時的に滞在する外国人が利用する代表的なビザです。 このビザは観光、ビジネス上の会合・商談、親族・知人訪問、学術・文化交流など幅広い活動を対象としており、通常は15日・30日・90日のいずれかの在留期間が付与されます。 2025年現在、日本への入国需要の増加に対応してビザ免除国・地域の拡大や電子申請の導入が進む一方、審査は目的の相当性や書類の整合性を重視する傾向にあり、申請者にはより精度の高い準備が求められます。
本ガイドは、熊本県の行政書士法人塩永事務所が実務経験に基づき監修したもので、短期滞在ビザ制度の概要から、申請フロー、必要書類、審査のチェックポイント、不許可となった場合の対応策までを、2025年時点の情報を踏まえて整理しています。 当事務所では、熊本を拠点に全国からのご相談に対応し、短期滞在ビザを含む各種ビザ申請について書類作成・チェック・理由書作成などをワンストップでサポートしています。
短期滞在ビザとは
短期滞在ビザは、報酬を得る就労や長期居住を目的としない、一時的な訪問・交流を対象とする在留資格です。 主な滞在目的には、観光(観光地・文化・自然の訪問)、報酬を伴わない会議・商談・展示会などの商用活動、日本に居住する親族・知人の訪問、学会やシンポジウムへの参加などの学術交流、芸術・スポーツイベント参加、研修・視察、短期の医療受診や冠婚葬祭への出席などが含まれます。
在留期間は国籍や目的によって異なり、一般的には15日以内・30日以内・90日以内のいずれかが認められます。 これらは入国審査で最終決定され、短期滞在者には在留カードが交付されず、パスポートに上陸許可のスタンプが押されるのみとなります。
主な制限事項
短期滞在ビザでは、賃金・報酬を受ける就労活動は認められず、アルバイトや報酬付きの講演・出演などを行った場合は退去強制や再入国禁止措置の対象となる可能性があります。 原則として在留期間の延長や他の就労系在留資格への変更は認められず、病気や災害などやむを得ない事情がある場合にのみ、地方出入国在留管理局で例外的な延長が検討されます。 また、近年議論されているデジタルノマド向けの在留制度との関係から、短期滞在中のリモートワークについては、報酬の支払元や活動内容に応じて別の在留資格(特定活動等)が必要となる場合があります。
ビザ免除制度の概要
日本は多くの国・地域と短期滞在目的の査証免除取決めを結んでおり、該当国・地域の一般旅券所持者は、観光や短期の商用・親族訪問などを目的として、所定の期間内であればビザを事前取得せずに入国できます。 2025年時点で、90日以内のビザ免除が認められているのは、北米(米国・カナダ)、欧州の多くの国、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)、アジアの一部(シンガポール、韓国、香港、マカオ、台湾など)を含む多数の国・地域です。 一方、ブルネイやカタールなど30日以内が上限となる国や、特別な条件を伴う国もあり、インドネシアやタイなど一部アジア諸国については滞在日数や事前登録要件が個別に定められています。
ビザ免除で入国する場合でも、滞在目的が短期滞在に該当すること、在留期間を超えないこと、復路航空券を有していること、滞在費用を賄う十分な資金があること、犯罪歴がないことなど、入国審査で示される条件を満たす必要があります。 条件を満たさないと判断された場合には、ビザ免除国の国籍であっても上陸が許可されない可能性があります。
申請窓口と基本的な流れ
ビザが必要な国籍の方は、原則として居住国を管轄する日本大使館または総領事館で短期滞在ビザを申請します。 一部の国・地域では、外務省が委託した申請センターや旅行代理店等を通じて申請する方式が採用されており、その場合は所定のサービス手数料が追加で必要になることがあります。 また、対象国・地域に居住する非ビザ免除者については、「JAPAN eVISA」システムを利用したオンライン申請が段階的に拡大されており、インターネット経由で申請・審査・査証発給通知の受領まで完結できるケースも増えています。
申請の一般的な流れは、滞在目的の整理と旅程の検討、必要書類の収集・作成、在外公館等への申請、審査・追加資料対応、査証の発給およびパスポート返却、入国審査という段階で構成されます。 近年は電子申請の導入により審査期間が短縮される傾向がある一方、申請件数の増加や繁忙期には全体で1〜2か月程度を要することもあるため、余裕を持ったスケジュールで準備することが肝要です。
目的別の主な必要書類
必要書類は滞在目的や国籍により異なりますが、共通して求められるのは、有効なパスポート、外務省指定様式の査証申請書、規定サイズの写真、往復航空券の予約確認、滞在予定表などです。 これに加え、観光目的の場合には、銀行残高証明や収入証明などの経済力を示す資料、宿泊予約確認書、日ごとの具体的な旅行計画書などが重要となります。
商用目的の場合は、日本側の招へい企業が作成する招聘理由書、滞在予定表、会社の登記事項証明や事業内容を示す資料、申請人側の在職証明書や勤務先の概要資料、商談や会議の内容を示す文書などが求められることが一般的です。 親族・知人訪問では、日本側の招聘人による招聘理由書や身元保証書、住民票や在留カードの写し、所得や課税状況を示す証明書、申請人との親族関係・知人関係を確認できる公的書類や写真などが重視されます。
審査のポイントと不許可リスク
短期滞在ビザの審査では、滞在目的が短期滞在の範囲に収まり、提出された旅程や裏付け資料と矛盾していないかが重点的に確認されます。 併せて、申請人が滞在中の費用と帰国旅費を負担できる十分な資金を有しているか、本国や居住国に安定した職業・家族・資産などの基盤があり、正当な時期に帰国すると合理的に判断できるか、といった点が重要な判断材料となります。
不許可になる典型的な要因としては、滞在目的の説明不足や書類間の不整合、残高証明等から見た経済基盤の不足、過去のオーバーステイなど入管法違反歴、日本側招聘人の信用に関する懸念、必要書類の欠落や形式不備が挙げられます。 不許可通知を受けた後は、原則として一定期間再申請ができないため、不許可の理由を分析し、資料の補強や状況の改善などを行ったうえで、適切なタイミングで再度の申請を検討することになります。
滞在中の注意点
入国後は、許可された在留期間を厳守し、短期滞在の範囲を超える活動を行わないことが重要です。 不法就労やオーバーステイは、退去強制や将来の入国拒否など重大な不利益につながる可能性があり、本人だけでなく招聘人や受入機関にも影響を及ぼす場合があります。 また、入国審査や国内での確認に備え、滞在計画や宿泊先、十分な資金を証明できる資料を携行しておくと、円滑な手続きに役立ちます。
将来的には、ビザ免除国の渡航者に対しても電子的な渡航認証(いわゆるeTA)の導入が検討されており、日本入国前のオンライン事前申告の重要性は今後さらに高まると見込まれています。 制度変更が続く分野であるため、渡航前には必ず最新の公式情報を確認してください。
行政書士法人塩永事務所によるサポート
短期滞在ビザは制度上は比較的一般的な在留資格ですが、実務上は滞在目的の説明や書類の整合性が重視されるため、準備段階でのミスが不許可につながることも少なくありません。 行政書士法人塩永事務所では、申請人と日本側招聘人の状況を丁寧にヒアリングしたうえで、必要書類のリストアップ、申請書および理由書の作成・添削、追加資料の提案、不許可となった場合の原因分析と再申請支援などを行っています。
熊本市に事務所を置きながら、オンラインや郵送などを通じて全国からのご相談に対応しており、初回相談を無料としているため、初めての申請や過去に不許可になった経験がある方でも気軽に相談できます。 行政書士法人塩永事務所(熊本市中央区水前寺1-9-6、電話096-385-9002)へご連絡いただければ、個々のケースに応じた具体的な方針をご提案し、日本入国に向けた手続きをトータルでサポートします。
