
就労ビザの調理師・建築技術者・パイロットはいずれも「技能」等に該当する専門的な在留資格であり、事前準備と証拠資料の作りこみが結果を大きく左右します。
手続き全体の流れ
就労ビザの新規取得は、一般に次のステップで進みます。
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受入れ企業側の条件・職務内容の確認(在留資格とのマッチング)
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必要書類の収集(申請人側・企業側双方)
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在留資格認定証明書交付申請(海外在住者の場合)または在留資格変更許可申請
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入管での審査(通常1〜3か月程度が目安)
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在留資格認定証明書交付後、現地大使館・領事館で査証(ビザ)申請
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来日・入国し、在留カードを受領して就労開始
ポイントは「職務内容と在留資格の適合性」と「実務経験・技能を裏付ける資料」が十分にそろっているかどうかです。
職種別の在留資格の基本
| 職種 | 主な在留資格区分 | 主な要件の方向性 |
|---|---|---|
| 調理師 | 技能 | 特定分野の料理について相当期間の実務経験(一般に10年以上)が必要とされる。学習期間を一部算入できる場合あり。 |
| 建築技術者 | 技術・人文知識・国際業務 または 技能(一部の熟練技能) | 建築・土木等の学位+関連する技術職、または日本で一般的でない熟練技能と相当な実務経験。 |
| パイロット | 技能 | 航空法等に基づく飛行経歴(一定時間以上の飛行経験)と、航空運送事業用の機材での操縦経験が求められる。 |
(具体的な年数・時間等は最新の法令や運用基準で変動しうるため、個別案件ごとに確認が必要です。)
調理師ビザ(在留資格技能)の流れとポイント
調理師として日本に招聘する場合、一般的には在留資格「技能」での申請となります。
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流れ
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受入れ飲食店・ホテル等の事業内容・メニュー構成を確認し、「外国人コックでなければならない理由」を整理。
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申請人の経歴書・在職証明書等により、特定料理分野での長期実務経験を立証。
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企業側書類(登記事項証明書・決算書・雇用契約書・店舗資料等)を準備。
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在留資格認定証明書交付申請書一式を入管に提出し、許可後にビザ発給・来日。
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重要ポイント
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「どの料理分野で、どの程度の熟練度があるか」を、在職証明書・受賞歴・メニュー内容などで具体的に示すこと。
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単純な補助的ポジションではなく、「看板シェフ」「専門料理人」として必要とされていることを、事業計画書等で説明すること。
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店舗の経営状況(売上・人員体制)が不安定だと、不許可リスクが高まるため、決算書や事業計画で継続性を補強すること。
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建築技術者ビザの流れとポイント
建築技術者(設計・施工管理・構造計算等)の場合、多くは「技術・人文知識・国際業務」での申請となります。
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流れ
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企業が担当業務(設計・施工管理・CAD等)の内容と専門性を整理。
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申請人の学歴(建築・土木・工学系)と職務内容の関連性を証明する資料を準備。
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企業側の概要資料・業務内容説明書・雇用理由書を作成し、就労ポジションの必要性を説明。
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在留資格認定証明書または在留資格変更の申請を行う。
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重要ポイント
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「学歴(専攻)」と「実際に行わせる業務」が一致していることが審査の最大の焦点となる。一般的な現場作業のみの場合は、別の在留資格(特定技能等)の検討が必要となることも多い。
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企業の継続性・収益性、採用ポジションの必要性を示すため、決算書・組織図・プロジェクト計画等を添付すると有利に働く。
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給与水準が日本人技術者と比べて著しく低いと、「名目だけの技術職」と判断されるおそれがあるため注意が必要。
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パイロットビザ(在留資格技能)の流れとポイント
パイロットとして雇用する場合は、在留資格「技能」の対象職種に含まれます。
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流れ
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航空会社等が採用条件・運航形態(路線・機種)を整理し、採用決定。
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申請人の飛行経歴・ライセンス・訓練記録などを収集し、必要飛行時間を満たすことを証明。
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雇用契約書・運航体制の概要・安全管理体制などを説明する企業側資料を整える。
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在留資格認定証明書交付申請を行い、許可後にビザ発給・来日。
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重要ポイント
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一定時間以上の飛行経歴が必須であり、その時間数は機長・副操縦士としての実務飛行であることが求められる。記録の整合性が極めて重要。
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派遣形態で受け入れる場合でも、派遣会社との契約内容や運航先企業との関係が適法・明確であることを示す必要がある。
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安全性・継続性の観点から、航空会社の体制や事業の安定性も審査対象となるため、会社概要資料の作りこみが重要。
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行政書士法人塩永事務所のサポート内容
行政書士法人塩永事務所では、調理師・建築技術者・パイロットなど在留資格「技能」・「技術・人文知識・国際業務」に関する就労ビザ新規取得について、次のようなサポートを行っています。
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個別案件ごとの在留資格の選定と要件診断
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職務内容・事業内容のヒアリングに基づく、雇用理由書・業務内容説明書等の作成
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実務経験・飛行経歴などの立証方法の検討と、必要資料のリストアップ
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在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請の代理申請および入管対応
就労ビザは一見同じ「技能」に見えても、職種ごとに要件や立証方法が大きく異なります。
自社の採用計画や候補者の経歴に応じて最適なスキームをご提案できますので、具体的な採用予定がある企業様は、早めに行政書士法人塩永事務所までご相談ください。
