
熊本県・熊本市 建設業許可申請ガイド
建設業許可について
建設業許可は、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に必要となる許可です。許可権者は国土交通大臣または都道府県知事であり、営業所の所在地により申請先が異なります。
許可が必要な場合
以下の金額以上の建設工事を請け負う場合、建設業許可が必要です:
- 建築一式工事:1件の請負代金が1,500万円以上(税込)、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事
- 建築一式工事以外:1件の請負代金が500万円以上(税込)
※上記未満の工事のみを請け負う場合は、許可は不要です(軽微な建設工事)
無許可営業の罰則
許可を受けずに建設業を営んだ場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)が科せられます。
許可の区分
建設業許可には、以下の区分があります。
1. 国土交通大臣許可 vs 都道府県知事許可
都道府県知事許可(熊本県知事許可)
- 1つの都道府県内にのみ営業所を設置する場合
- 熊本県内のみに営業所がある場合は熊本県知事許可
国土交通大臣許可
- 2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合
- 熊本県と他県に営業所を設置する場合
2. 一般建設業許可 vs 特定建設業許可
一般建設業許可
- 下請代金の総額が4,000万円未満(建築一式工事は6,000万円未満)の工事を施工する場合
特定建設業許可
- 発注者から直接請け負った工事で、下請代金の総額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)となる場合
※元請として大規模工事を行う場合のみ特定建設業許可が必要です
3. 業種別許可
建設業は29業種に区分されており、業種ごとに許可を取得する必要があります。
2つの一式工事
- 土木一式工事
- 建築一式工事
27の専門工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
許可要件
建設業許可を取得するには、以下の5つの要件を満たす必要があります。
1. 経営業務の管理責任者(経管)がいること
常勤の役員等のうち1人が、次のいずれかに該当すること:
- 建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業に関して6年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位における経験を有する者
※令和2年10月の法改正により、経営業務の管理責任者の要件が緩和されています
2. 専任技術者(専技)がいること
営業所ごとに、次のいずれかの資格を有する専任技術者を配置すること:
一般建設業の場合
- 国家資格者(1級・2級建設機械施工技士、1級・2級建築士等)
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して10年以上の実務経験を有する者
- 指定学科修了者で、高卒後5年以上または大卒後3年以上の実務経験を有する者
特定建設業の場合
- 1級の国家資格者
- 一般建設業の専任技術者の要件を満たし、かつ、発注者から直接請け負った建設工事で、請負代金額が4,500万円以上のものについて2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
3. 誠実性があること
請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
4. 財産的基礎または金銭的信用があること
一般建設業の場合(次のいずれか)
- 自己資本が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること
特定建設業の場合(すべて満たす)
- 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上
- 資本金が2,000万円以上
- 自己資本が4,000万円以上
5. 欠格要件に該当しないこと
申請者(法人の場合は役員等)が次の欠格要件に該当しないこと:
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 不正の手段により許可を受けたこと等により、許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
- 許可の取消しを免れるために廃業の届出をした者で、届出の日から5年を経過しない者
- 建設業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律等に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し、刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
申請の流れ
熊本県知事許可の場合
STEP 1:事前準備・相談
熊本県土木部監理課または熊本市都市建設局建設政策課(熊本市内に主たる営業所がある場合)に事前相談を行うことをお勧めします。
熊本県土木部監理課
- 所在地:〒862-8570 熊本市中央区水前寺6丁目18-1
- 電話:096-333-2514
- 対象:熊本市以外に主たる営業所がある場合
熊本市都市建設局建設政策課
- 所在地:〒860-8601 熊本市中央区手取本町1番1号
- 電話:096-328-2451
- 対象:熊本市内に主たる営業所がある場合
STEP 2:必要書類の作成・収集
申請に必要な書類を作成・収集します。
STEP 3:申請書の提出
申請書類一式を提出します。
- 熊本県知事許可(熊本市以外):熊本県土木部監理課
- 熊本県知事許可(熊本市):熊本市都市建設局建設政策課
STEP 4:審査
提出された申請書類について審査が行われます。
標準処理期間:申請書受付から30日程度(熊本県の場合)
STEP 5:許可通知書の交付
審査で問題がなければ、許可通知書が交付されます。許可日から営業開始が可能となります。
必要書類
共通書類
- 建設業許可申請書(様式第1号)
- 工事経歴書(様式第2号)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
- 使用人数(様式第4号)
- 誓約書(様式第6号)
- 経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)
- 専任技術者証明書(様式第8号)
- 実務経験証明書(様式第9号)※実務経験で専任技術者になる場合
- 国家資格者等・監理技術者一覧表(様式第11号の2)
- 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)
- 営業所一覧表(様式第1号別紙1)
- 専任技術者・建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号の2)
- 株主(出資者)調書(様式第14号)※法人のみ
財務諸表関係
- 貸借対照表(様式第15号)
- 損益計算書(様式第16号)
- 株主資本等変動計算書(様式第17号)※法人のみ
- 注記表(様式第17号の2)
- 付属明細表(様式第18号)
添付書類
法人の場合
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 定款の写し
- 役員の住民票の写し
- 役員の身分証明書(本籍地の市区町村長が発行)
- 役員の登記されていないことの証明書(法務局発行)
個人の場合
- 住民票の写し
- 身分証明書(本籍地の市区町村長が発行)
- 登記されていないことの証明書(法務局発行)
その他
- 専任技術者の国家資格者証等の写し
- 実務経験を証明する工事請負契約書、注文書等の写し
- 健康保険等の加入状況を証する書類
- 営業所の写真
- 営業所の賃貸借契約書の写し(賃貸の場合)
許可申請手数料
熊本県知事許可の場合
- 新規許可(一般・特定いずれか):90,000円
- 新規許可(一般・特定両方):180,000円
- 許可換え新規:90,000円
- 般・特新規:90,000円
- 業種追加:50,000円
- 更新:50,000円
※熊本県証紙で納付します
許可取得後の義務
1. 許可通知書の掲示
各営業所に、許可を受けたことを示す標識を掲示する必要があります。
2. 変更届出
以下の事項が変更になった場合は、変更届出が必要です:
- 2週間以内:経営業務の管理責任者、専任技術者、令第3条の使用人の変更
- 30日以内:商号、名称、営業所の名称、所在地、資本金額、役員等の変更
3. 決算変更届(事業年度終了届)
毎事業年度終了後4ヶ月以内に、決算変更届を提出する必要があります。
4. 許可の更新
建設業許可の有効期間は5年間です。引き続き建設業を営む場合は、有効期間満了日の30日前までに更新申請が必要です。
5. 廃業届
建設業を廃業する場合、廃業日から30日以内に廃業届を提出する必要があります。
建設業許可のメリット
1. 大規模工事の受注が可能
500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負うことができます。
2. 社会的信用の向上
建設業許可を取得していることで、発注者や金融機関からの信頼が高まります。
3. 公共工事への入札参加
公共工事の入札に参加するには、建設業許可が必要です。
4. 経営事項審査の受審が可能
公共工事を受注するには、経営事項審査(経審)の受審が必要であり、経審を受審するには建設業許可が必要です。
5. 融資・助成金の申請
建設業許可があることで、融資や各種助成金・補助金の申請がしやすくなります。
無許可営業のリスク
1. 刑事罰
建設業法違反として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)が科せられます。
2. 行政処分
監督処分として、指示処分、営業停止処分を受ける可能性があります。
3. 社会的信用の失墜
法令違反として公表され、社会的信用を失います。
4. 取引機会の喪失
公共工事の入札参加資格を失い、民間工事でも取引先からの信用を失います。
行政書士への依頼について
建設業許可申請は、要件の確認や必要書類の準備が複雑なため、行政書士に依頼することも可能です。
行政書士に依頼するメリット
- 複雑な要件の確認と適合性の判断
- 必要書類の作成代行
- 実務経験証明や技術者要件の整理
- 申請手続きの代行
行政書士への依頼費用の目安
- 新規許可申請:15万円~30万円程度
- 更新申請:5万円~10万円程度
- 業種追加:10万円~20万円程度
※依頼内容により変動します
※行政書士への依頼は任意です。自身で申請することも可能です。
よくある質問
Q1. 申請から許可が下りるまでどのくらいかかりますか?
A1. 熊本県の標準処理期間は申請受付から30日程度です。ただし、書類の不備や補正が必要な場合は、さらに時間がかかります。
Q2. 個人事業主でも建設業許可は取得できますか?
A2. はい、個人事業主でも要件を満たせば取得できます。ただし、経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たす必要があります。
Q3. 複数の業種の許可を同時に取得できますか?
A3. はい、要件を満たせば複数業種の同時取得が可能です。業種ごとに専任技術者を配置する必要があります(兼任可能な場合もあります)。
Q4. 許可取得後、何もしなくても5年間有効ですか?
A4. いいえ。毎年の決算変更届の提出が必要です。また、変更事項が発生した場合は変更届出が必要です。
Q5. 他県でも工事をする場合、その県の許可も必要ですか?
A5. いいえ。営業所がその県になければ、その県の知事許可は不要です。ただし、複数県に営業所を設置する場合は、国土交通大臣許可に切り替える必要があります。
お問い合わせ先
熊本県土木部監理課(熊本市以外)
- 所在地:〒862-8570 熊本市中央区水前寺6丁目18-1
- 電話:096-333-2514
- 受付時間:月曜日
金曜日 8:3017:15(祝日、年末年始を除く)
熊本市都市建設局建設政策課(熊本市)
- 所在地:〒860-8601 熊本市中央区手取本町1番1号
- 電話:096-328-2451
- 受付時間:月曜日
金曜日 8:3017:15(祝日、年末年始を除く)
