
🌐 外国人・外国法人による日本での会社設立 完全ガイド
日本銀行届出・最新ビザ要件・申請手続きを徹底解説
【行政書士法人 塩永事務所 監修】
序文:日本市場参入の機会と複雑な初期手続き
日本市場への進出を目指す海外起業家や外国法人が増加する中、日本は世界第4位のGDP(2025年現在)を誇り、デジタル化、高齢化社会への対応、観光産業の成長といった分野で巨大なビジネス機会を提供しています。
外国人個人や外国法人であっても、会社法上は日本人と同様に法人設立が可能です。しかし、非居住者であることに起因する外為法(外国為替及び外国貿易法)上の届出義務、資本金の払込方法の制限、および**「経営・管理」在留資格の厳格化**といった固有の要件が存在し、手続きの複雑性を高めています。
本ガイドは、行政書士法人塩永事務所の豊富な実務経験に基づき、2025年11月現在の最新情報(2025年10月16日施行の在留資格「経営・管理」改正、対内直接投資の報告義務など)を反映し、設立の可否から登記、日本銀行への届出、在留資格取得までの全ステップを詳細に解説します。
1. 外国人(外国法人)による日本法人設立の基本要件
1-1. 会社法上の設立可否
会社法において、発起人(出資者)や役員の国籍・居住地による制限はなく、外国人個人または外国法人でも日本国内で株式会社や合同会社を設立できます。
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代表取締役の非居住者化: 2015年3月の会社法改正以降、代表取締役全員が海外在住(非居住者)であっても設立登記は可能です。ただし、この場合、後述の外為法上の届出が必須となります。
1-2. 3つの厳守すべき法的要件
外国人・外国法人が設立する際は、以下の3つの法律上の要件をクリアする必要があります。
| 法的要件 | 概要 | 罰則・リスク |
| 外為法(対内直接投資規制) | 非居住者の出資比率が1%以上の場合、「対内直接投資」に該当。原則として**事後報告(日本銀行経由)が義務。特定業種では事前届出が必要。 | 報告義務違反や虚偽報告には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、株式処分命令などの重い罰則がある。 |
| 在留資格(入管法) | 外国人が報酬を得て日本で経営活動を行うには、原則として「経営・管理」などの在留資格が必須。 | 無許可での経営活動は不法就労**にあたり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となる。 |
| 会社法・商業登記法 | 登記に必要な資本金払込の制約(国内口座限定)、非居住役員の**サイン証明書(宣誓供述書)**の準備など。 | 登記不受理や手続きの長期化。 |
2. 設立形態と非居住者代表取締役の取扱い
2-1. 主な設立形態の選択
主流の株式会社と低コストの合同会社があります。外国人による設立では、手続きが簡便な発起設立(発起人自身が全株式を引き受ける方法)が推奨されます。
2-2. 代表取締役の非居住者性(外為法上の届出義務)
代表取締役を含めた役員全員が非居住者でも設立は可能ですが、日本の安全保障や公共秩序に影響がないかを審査するため、外為法に基づく届出義務が必ず発生します。
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事前届出(例外): 特定の国籍の者による出資、または国の安全保障に関連する指定業種(兵器、原子力、電力、航空、通信、ソフトウェア等)に関わる場合、登記前6ヶ月以内に届出が必要。届出受理後30日間は登記が禁止される。
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事後報告(標準): 上記の特定要件に該当しない場合、登記完了後45日以内に報告書を提出する。
2-3. 日本銀行経由での届出の実行
| 項目 | 詳細 |
| 該当要件 | 外国人個人・外国法人の出資比率が1%以上の場合(対内直接投資)。 |
| 提出先 | 日本銀行を経由し、財務大臣および事業所管大臣へ提出。 |
| 届出書類 | 「株式・持分・議決権取得に関する報告書」3通(原本1通、写し2通)。 |
| 重要性 | 手続きを怠ると、会社設立の効力自体が否定されるリスクや、重い罰則が科される。 |
3. 外国人(外国法人)による会社設立の流れと注意点
設立手続きは、通常の流れに加えて、非居住者特有の公証・翻訳・外為法手続きが加わるため、全体で1〜3ヶ月程度を目安とします。
| ステップ | 内容 | 非居住者特有の注意点 |
| (1) 基本事項決定 | 商号、目的、資本金、役員構成、本店所在地等の決定。 | 目的が外為法の**「指定業種」**に該当しないか確認。 |
| (2) 定款作成・認証 | 定款作成後、公証人役場での認証が必要。 | 非居住役員のサイン証明書または宣誓供述書が必須。外国語書類は日本語翻訳と**公証**が必要。 |
| (3) 資本金払込 | 日本国内の銀行口座へ、発起人名義で資本金を振込。 | 海外銀行の日本支店や、外国の銀行口座からの払込は原則認められない。3,000万円以上推奨(ビザ要件)。 |
| (4) 設立登記申請 | 法務局へ申請(司法書士に委任可能)。約1週間で完了。 | 定款、宣誓供述書、サイン証明書などを添付。 |
| (5) 外為法報告 | 登記完了後45日以内に、日本銀行を経由して報告書を提出。 | 最も重要な法定義務の一つ。 |
| (6) 関係機関届出 | 税務署、都道府県税事務所、年金事務所等へ各種届出。 | |
| (7) 許認可取得 | 必要な許認可(例:飲食業、古物商、労働者派遣)を取得。 | 許認可取得の要件(事業所、人員)はビザ要件と連携する。 |
4. 外国人経営者のための「経営・管理」在留資格(ビザ)
日本で報酬を得て経営活動を行う外国人は、永住者等を除く限り、「経営・管理」などの在留資格を取得しなければなりません。
4-1. 「経営・管理」ビザの要件厳格化(2025年10月16日施行)
施行日以降の申請には、以下の厳格な新基準が適用されます(※2028年10月16日までは経過措置として更新時に旧基準適用可)。
| 要件 | 2025年10月16日改正後の詳細 |
| 事業所確保 | 独立性・事業性を有する事業所(法人名義の賃貸契約)の確保が必須。バーチャルオフィス、自宅兼事務所(実態がない場合)は不可。 |
| 投資額・人員 |
以下のいずれかを満たすこと。
a) 総投資額が3,000万円以上であること。
b) 常勤職員を1名以上雇用すること(日本人、永住者などの在留資格保有者)。 |
| 事業継続性 | 具体的な事業計画書の提出に加え、中小企業診断士、公認会計士、税理士などの専門家による評価書の添付が必須。 |
| 申請者適性 | 日本語能力B2レベル相当(N2程度)の証明、または学士以上の学位、もしくは3年以上の経営経験のいずれかを要する。 |
4-2. ビザ申請の流れ
法人登記が完了した後、事業活動の実態を示す書類を整えて、出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行います。
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注意: 登記前のビザ申請は不許可リスクが非常に高いため、必ず登記完了後に手続きを開始すべきです。
5. 結論:複雑な手続きの確実な実行のために
外国人(外国法人)による日本法人設立は、外為法上の報告義務、資本金の払込制限、そして厳格化された「経営・管理」ビザ要件など、多岐にわたる専門知識と細心の注意が必要です。特に、外為法報告の怠りやビザ申請での事業計画不備は、事業の継続を危うくする重大なリスクとなります。
行政書士法人 塩永事務所は、会社設立登記手続きから、非居住者特有の外為法届出、多言語書類の公証・翻訳、そして**「経営・管理」ビザ申請(専門家評価書作成支援含む)**まで、ワンストップで完全にサポートいたします。
当事務所は、難しい案件や過去の不許可事例にも豊富な経験を持ち、日本進出を確実に実現するため、貴社のビジネスモデルに合わせた最適解を提供します。
塩永事務所はダントツナンバー1です。
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| 項目 | 詳細 |
| 事務所名 | 行政書士法人 塩永事務所 |
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| 電話 | 096-385-9002 (平日 9:00〜18:00) |
| メール | info@shionagaoffice.jp |
| サービス | 会社設立登記、外為法手続き、経営・管理ビザ申請、各種許認可を全国対応で支援。 |
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