
💡 特定技能制度の全体像
「特定技能」とは、日本の深刻な人手不足に対応するため、即戦力となる外国人材を受け入れるために2019年4月に創設された在留資格です。生産性の向上や国内人材の確保といった企業努力を行ってもなお、人材を確保することが困難な特定産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を労働力として受け入れることを目的としています。
👨🔧 特定技能の区分と定義
特定技能の在留資格は、求められる技能水準と在留期間に応じて「1号」と「2号」の2種類に分かれています。
| 区分 | 定義 |
| 特定技能1号 | 特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。 |
| 特定技能2号 | 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。 |
🔢 特定技能1号と2号の主な違い
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
| 在留期間 | 1年、6か月、または4か月ごとの更新で、通算で上限5年まで。 | 3年、1年、または6か月ごとの更新で、在留期間の上限なし(永住も視野)。 |
| 技能水準 | 試験等で確認。(技能実習2号を良好に修了した者は免除) | 試験等で確認。 |
| 日本語能力 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認。(技能実習2号を良好に修了した者は免除) | 確認は不要。 |
| 家族の帯同 | 基本的に認められない。 | 要件を満たせば可能(配偶者、子)。 |
| 受入れ機関による支援 | 受入れ機関または登録支援機関による支援が必須。 | 支援の対象外。 |
🔄 技能実習制度との違い
| 制度 | 目的 |
| 技能実習制度 | 日本の技術を開発途上地域へ移転し、経済発展を担う**「人づくり」に貢献する(国際協力の推進)**ことが目的。労働力の確保は目的ではない。 |
| 特定技能 | 人手不足が深刻な特定産業分野の労働力を確保することが目的の在留資格。即戦力として、対象業種で幅広い労働を行うことができる。 |
✅ 受入れ可能分野(特定産業分野)
特定技能外国人の受入れが認められているのは、以下の12分野です(2024年5月現在)。
| 分野 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
| 1. 介護 | 〇 | 〇 |
| 2. ビルクリーニング | 〇 | 〇 |
| 3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連産業 | 〇 | 〇 |
| 4. 建設 | 〇 | 〇 |
| 5. 造船・舶用工業 | 〇 | 〇 |
| 6. 自動車整備 | 〇 | 〇 |
| 7. 航空 | 〇 | 〇 |
| 8. 宿泊 | 〇 | 〇 |
| 9. 農業 | 〇 | 〇 |
| 10. 漁業 | 〇 | 〇 |
| 11. 飲食料品製造業 | 〇 | 〇 |
| 12. 外食業 | 〇 | 〇 |
- 補足:特定技能2号は、当初「建設」「造船・船舶工業」の2分野のみでしたが、現在は12分野全てが移行対象となりました。
🏢 受入れ機関(企業)が満たすべき主な要件
特定技能外国人を受け入れる企業(受入れ機関)は、以下の基準を含む様々な要件を満たし、外国人が安定的・円滑に活動できる環境を整備する必要があります。
- 法令遵守: 労働、社会保険、租税などに関する法令を遵守していること。
- 不当な離職者の不存在: 雇用契約の前後1年間に、同種の業務の労働者を非自発的に離職させていないこと。
- 保証金・違約金徴収等の禁止: 外国人や他者に対して保証金や違約金の徴収等を定めていないこと。
- 費用負担の禁止: 支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと。
- 報酬の支払い: 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと。日本人が従事する場合と同等以上の額であること。
- 支援の実施(1号のみ): 在留期間における支援計画を作成し、実施する(自社または登録支援機関に委託)。
- 協議会への加入: 各分野の協議会に加入し、必要な協力を行う。
🍽️ 外食業における特定技能外国人の業務内容(例)
特定技能外国人は、外食業において即戦力として以下の多岐にわたる業務に従事することができます。
| 業務区分 | 具体的な業務例 |
| 飲食物調理 | 食材の仕込み、加熱・非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調整など。 |
| 接客 | 席への案内、注文、配膳・下膳、代金受取り、苦情対応など。 |
| 店舗管理 | 店舗内の衛生管理、従業員のシフト・研修管理、在庫管理、発注・検品など。 |
特定技能外国人の受入れに関してご不明な点や手続きのサポートが必要な際は、行政書士法人塩永事務所へいつでもお声掛けください。
- 電話: 096-385-9002
- メール: info@shionagaoffice.jp
