
外国人が日本でお店や会社を経営するためのビザ申請ガイド
行政書士法人塩永事務所
はじめに
外国人の方が日本で事業を始める場合、適切な在留資格(ビザ)の取得が必要不可欠です。本記事では、事業経営に必要なビザの種類、申請要件、手続きの流れについて詳しく解説いたします。
1. 経営に適したビザの種類
1-1. 経営・管理ビザ
対象者:
- 日本で会社を設立し、事業を経営する方
- 既存の会社の経営者または管理者として就任する方
在留期間:
- 5年、3年、1年、4ヶ月、3ヶ月のいずれか
1-2. その他の選択肢
事業承継の場合:
- 定住者ビザ(日本人の配偶者等の方)
- 永住者ビザ(既に永住権を持つ方)
2. 経営・管理ビザの取得要件
2-1. 事業所の確保
必須条件:
- 日本国内に事業所が存在すること
- 事業所は独立した空間であること(自宅との明確な区分が必要)
- 賃貸の場合、事業用としての使用が契約上認められていること
準備すべき書類:
- 賃貸借契約書
- 事業所の写真
- 登記簿謄本(購入の場合)
2-2. 資本金または投資額
基準額:
- 500万円以上の投資が必要
投資の対象:
- 資本金
- 事業開設のための初期費用(事務所賃料、設備、備品等)
重要ポイント:
- 投資資金の出所を明確に証明できること
- 銀行の残高証明書や送金記録が必要
- 借入金ではなく、自己資金であることが望ましい
2-3. 事業の安定性・継続性
審査ポイント:
- 事業計画書の妥当性
- 市場調査と収支予測
- 経営者の経歴と専門性
- 事業の社会的意義
事業計画書に含めるべき内容:
- 事業の概要と目的
- 提供する商品・サービス
- ターゲット市場と競合分析
- 収支計画(初年度~3年目程度)
- 雇用計画
2-4. 従業員の雇用(代替要件)
資本金が500万円に満たない場合:
- 日本に居住する常勤従業員2名以上を雇用すること
- 従業員は日本人または永住者等の身分系ビザ保持者
3. 申請の流れ
ステップ1: 会社設立準備
個人事業 vs 法人:
- 法人設立が推奨されます(信用性、ビザ取得の確実性)
- 株式会社または合同会社が一般的
必要な手続き:
- 定款の作成・認証
- 資本金の払込
- 法務局での登記申請
- 税務署等への届出
ステップ2: 事業所の確保
注意点:
- 登記可能な物件であること
- 「住居専用」物件は使用不可
- 契約名義は会社名または本人名義
ステップ3: 事業計画の策定
作成のポイント:
- 具体性と実現可能性
- 日本市場への理解
- 財務計画の妥当性
ステップ4: ビザ申請
申請先:
- 地方出入国在留管理局
申請方法:
- 在留資格認定証明書交付申請(海外から来日する場合)
- 在留資格変更許可申請(既に日本に在留している場合)
審査期間:
- 約1~3ヶ月
4. 必要書類一覧
基本書類
- 申請書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(4cm×3cm)
- 返信用封筒
- 会社関係書類
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 定款の写し
- 株主名簿
- 会社案内・パンフレット
- 事業所関係書類
- 賃貸借契約書の写し
- 事業所の写真
- 事業所の配置図
- 事業計画書類
- 詳細な事業計画書
- 収支計画書
- 市場調査資料
- 資金関係書類
- 資本金の払込証明書
- 銀行残高証明書
- 送金証明書
- 資金の出所を示す書類
- 個人関係書類
- 履歴書
- 最終学歴の卒業証明書
- 職歴証明書
- パスポートの写し
- その他
- 許認可証(必要な業種の場合)
- 雇用契約書(従業員を雇用する場合)
- 納税証明書
5. 業種別の注意点
飲食店経営
追加要件:
- 食品衛生責任者の配置
- 飲食店営業許可の取得
- 店舗の構造基準クリア
貿易業
ポイント:
- 取引先との契約書
- 具体的な商材と取引フロー
- 輸出入の実績(既存事業の場合)
IT・コンサルティング業
重視される点:
- 専門性の証明
- 顧客の確保状況
- サービスの具体的内容
6. よくある不許可事例
ケース1: 事業の実態不明確
- 事業計画が曖昧
- 収支予測が非現実的
ケース2: 資金不足
- 投資額が不十分
- 資金の出所が不明
ケース3: 事業所の問題
- 自宅との区別がない
- バーチャルオフィスの使用
ケース4: 経営能力の疑義
- 関連する経験・学歴がない
- 事業内容の説明が不十分
7. 申請成功のポイント
7-1. 綿密な準備
- 事業開始前に十分な市場調査
- 現実的な事業計画の策定
- 必要資金の確保
7-2. 書類の完全性
- 全ての書類を漏れなく準備
- 翻訳文書には翻訳者の署名
- 書類間の整合性確認
7-3. 専門家の活用
- 行政書士への相談
- 会計士・税理士との連携
- 法務関係の確認
8. ビザ取得後の義務
継続的な要件
事業の継続性:
- 実際に事業を営むこと
- 定期的な更新申請
届出義務:
- 所属機関等に関する届出
- 住居地の変更届
在留カード:
- 常時携帯義務
- 紛失時の再交付申請
9. 更新申請について
更新のタイミング
- 在留期間満了日の3ヶ月前から申請可能
更新時の審査ポイント
- 事業の継続状況
- 納税状況
- 従業員の雇用状況
- 売上・利益の推移
必要書類
- 確定申告書の写し
- 法人税納税証明書
- 決算報告書
- 事業の実績を示す資料
10. まとめ
外国人が日本で事業を経営するためのビザ取得は、適切な準備と計画があれば決して難しくありません。重要なのは:
✓ 500万円以上の投資または2名以上の従業員雇用
✓ 独立した事業所の確保
✓ 現実的で具体的な事業計画
✓ 安定した資金の確保と証明
✓ 継続可能なビジネスモデル
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