
外国人(外国法人)による会社設立完全ガイド
日本銀行への届出・必要書類・申請手続きを徹底解説
【行政書士法人塩永事務所監修】
はじめに
日本市場への進出を検討する海外起業家や外国法人が増加する中、「日本で革新的なビジネスを展開したい」「現地法人を設立し、長期的な経営基盤を築きたい」との声が寄せられています。日本は2025年現在、世界GDPランキングで5位に位置づけられ、高齢化社会やデジタル化の進展により、医薬品・IT・観光分野で多大な機会を提供しています。
外国人や外国法人であっても、会社法上は日本人と同様に法人設立が可能ですが、在留資格取得、外為法届出、資本金払込方法などの独自要件により、手続きの複雑さが増しています。本記事は、行政書士法人塩永事務所の専門家が実務経験に基づき監修。2025年11月現在の最新情報(外為法出資1%以上報告義務、経営・管理ビザ10月16日改正)を反映し、設立可否から流れ、必要書類、日本銀行届出、在留資格取得、メリット・デメリットまでをステップバイステップで解説します。
当事務所は熊本を拠点に全国対応で、会社設立登記からビザ申請、外為法手続きをワンストップサポート。過去の不許可事例も原因分析から再申請まで対応します。ご相談は無料ですので、お電話(096-385-9002)またはメール(info@shionagaoffice.jp)へお気軽にご連絡ください。日本進出を確実に実現しましょう!
1. 外国人(外国法人)は日本で会社を設立できるか
はい、外国人個人や外国法人であっても、日本人同様に法人設立が可能です。 会社法上、国籍・居住地による制限はありません。事業内容も、違法でない限り原則自由です。ただし、以下の要件をクリアする必要があります。
代表取締役の非居住者
2015年3月改正以降、全員海外在住でも設立可能。ただし、外為法で安全保障審査のため、日本銀行経由の届出が必須です。
在留資格
設立自体は可能ですが、経営活動(報酬を得る業務)には「経営・管理」などの在留資格が必要。不法就労は3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。
外為法適用
非居住者の出資が1%以上の場合、「対内直接投資」に該当。報告義務違反で株式処分命令や罰則(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)があります。
これらを遵守すればスムーズに進められます。次に、主な設立形態を解説します。
2. 株式会社設立の2つの方法
主流の株式会社には以下の2通りの設立方法があります。合同会社も低コストで検討価値があります。
| 項目 | 発起設立 | 募集設立 |
|---|---|---|
| 概要 | 発起人自身が全株式を引き受ける | 発起人以外からも出資を募る |
| 発起人数 | 1人でも可能 | 外部投資家を募集 |
| 特徴 | 手続き簡便、小規模会社向き | 手続き複雑、大規模資本向き |
| 決定方法 | 発起人の協議で決定 | 創立総会で決定 |
非居住者には発起設立を推奨します。
3. 代表取締役が非居住者でも会社設立は可能
以前は「代表取締役の1人が日本在住であること」が条件でしたが、2015年3月以降、代表者・出資者全員が非居住者でも設立可能となりました。
ただし、外為法の規定により、日本銀行経由で財務大臣および事業所管大臣への届出義務が生じます。これは「対内直接投資」として扱われ、日本の安全保障や公共秩序を脅かす恐れがないかを審査するための制度です。
4. 日本銀行経由での届出と外為法上の要件
対内直接投資としての扱い
非居住者や外国法人が日本法人を設立する場合、外為法上の「対内直接投資」に該当します。以下の2種類の届出が必要です。
事前届出
特定国籍・事業内容(例:安全保障関連業種)の場合、登記前6ヶ月以内に提出。受理後30日間は登記が禁止されます。
事後報告(標準)
登記完了後45日以内に提出。
提出先・書類
- 提出先: 日本銀行(経由して財務大臣・事業所管大臣へ送付)
- 届出書類: 「株式・持分・議決権取得に関する報告書」3通
罰則
届出義務違反や虚偽報告で、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、株式処分命令等の対象となります。
5. 外国人(外国法人)による会社設立の流れ
全体で1〜3ヶ月程度かかります。非居住者の場合は翻訳・公証が追加されます。
| ステップ | 内容詳細 | 所要時間目安 | 注意事項(非居住者向け) |
|---|---|---|---|
| (1) 基本事項決定 | 商号、本店所在地、事業目的、資本金額、発起人・役員構成決定。商号重複確認(法務局)。 | 1週間 | 外為法該当確認。 |
| (2) 定款作成・認証 | 定款作成、公証人役場認証(電子定款で印紙代不要)。公証費用3〜5万円、印紙代4万円(紙の場合)。 | 1〜2週間 | 外国語訳必須。 |
| (3) 実印作成 | 法人代表印・角印・銀行印の3種類作成(専門業者)。 | 数日 | サイン証明書代替可。 |
| (4) 資本金払込 | 日本国内口座または協力者口座へ振込。証明:通帳コピー。 | 1週間 | 海外支店不可。3,000万円以上推奨(ビザ)。 |
| (5) 設立登記申請 | 法務局申請。約1週間で完了。 | 1週間 | 宣誓供述書追加。 |
| (6) 関係機関届出 | 税務署(設立届等)、都道府県税事務所、市区町村、年金事務所、労基署、ハローワークへ。 | 2週間 | 外為法報告(45日以内)。 |
| (7) 許認可取得 | 事業次第(旅行業・飲食業・古物商許可等)。 | 変動 | 事前確認。 |
登記は司法書士に委任可能です(費用:10〜15万円)。
6. 外国人経営者に必要な在留資格
外国人が日本で会社を経営する場合、「経営・管理」ビザまたは永住・定住などの在留資格が必要です。
取得できる主な資格
- 永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等(活動制限なし)
- 経営・管理
- 高度専門職(1号ハ・2号)
経営・管理ビザの主要要件(2025年10月16日改正後)
施行日以降の申請に適用。経過措置:2028年10月16日まで更新時は旧基準可。
| 要件 | 詳細 |
|---|---|
| 事業所確保 | 独立した事業所(法人名義、事業用契約書)。バーチャルオフィス・自宅不可。 |
| 資金・人員 | 総投資額3,000万円以上、または常勤1名以上(日本人/永住者等)。パート不可。 |
| 事業継続性 | 具体的な事業計画書+専門家(中小企業診断士・公認会計士・税理士)評価書必須。 |
| 申請者適性 | 日本語B2レベル、学士以上または3年以上の経営経験。 |
申請の流れ: 登記完了 → 書類作成 → 出入国在留管理局へ在留資格認定証明書申請(審査10〜40日) → 在外公館でビザ取得 → 入国・在留カード取得
※登記前申請は不許可リスクが高いため注意。
7. 登記・ビザ申請に必要な書類
非居住者の場合:日本語訳・公証が必須。発行から3ヶ月以内のものが必要です。
登記申請書類
- 登記申請書(日本語)
- 定款(認証済み)
- 資本金払込証明書(通帳コピー)
- 就任承諾書
- 印鑑証明書またはサイン証明書(本国官公署・公証役場・在日大使館発行)
- 会社実印・印鑑届出書
- 宣誓供述書(非居住者用)
ビザ申請書類(経営・管理)
本人関係:
- 申請書、写真、パスポートコピー、卒業証明、日本語能力証明(B2相当)
会社関係:
- 登記事項証明、事業計画書(評価書付き)、損益計画、定款コピー、株主名簿、通帳コピー、オフィス写真・契約書、税務署届出コピー(受付印付き)
事業により追加:
- 飲食業:営業許可コピー等
8. 設立費用の目安(2025年現在)
| 項目 | 株式会社(目安) | 合同会社(目安) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 定款認証印紙代 | 4万円(電子定款不要) | 不要 | 紙定款の場合。 |
| 認証手数料 | 3〜5万円 | 不要 | 資本金による。 |
| 登録免許税 | 15万円〜(資本金×0.7%の高い方) | 6万円〜(同) | 最低額。 |
| 謄本手数料 | 約2,000円 | 約2,000円 | ページ数による。 |
| 法定費用概算 | 約25万円〜 | 約10万円〜 | 専門家委任+10〜15万円。 |
| 資本金 | 3,000万円以上推奨 | 同左 | ビザ要件考慮。 |
※追加:事業環境整備費(オフィス等)。合同会社の方が低コストです。
9. 日本法人設立のメリット
信用力向上
日本企業・金融機関からの信頼が高まり、融資が受けやすくなります。
責任限定
倒産時、親会社は原則として負債を免責されます。
市場機会が豊富
GDP5位の高水準経済で、医薬・IT・観光分野の成長ポテンシャルが大きい。インフラ・人材基盤が整備され、安定した事業環境が提供されます。
雇用創出
日本人スタッフの即戦力性を活用できます。
10. 設立時の注意点と専門家活用
外為法届出の怠り
行政処分・株式処分命令のリスクがあります。
資本金払込
外国口座や海外支店からの払込は認められません。
ビザ審査の厳格化
事業計画不備で不許可となるケースが多発。改正後は評価書が必須となりました。
許認可未取得
罰則対象となります(例:飲食業の無許可営業)。
行政書士法人塩永事務所では、会社設立からビザ申請まで一括対応。 英文書類和訳、外為法届出、事業計画書作成の実績多数。難しい案件の経験が豊富で、不許可リスク低減・アフターフォローを提供します。
まとめ
外国人(外国法人)による日本法人設立は、日本銀行への届出(登記後45日以内に報告書3通、出資1%以上)、定款認証・登記申請、在留資格取得(経営・管理ビザ:2025年改正で3,000万円投資+専門家評価が必要)など、多岐にわたる手続きが必要です。不備があると登記不受理やビザ不許可のリスクがあります。複雑な制度を確実に進めるには、経験豊富な行政書士のサポートが効果的です。
行政書士法人塩永事務所
所在地: 〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺1-9-6
電話: 096-385-9002(平日9:00〜18:00、土曜相談可)
メール: info@shionagaoffice.jp
公式サイト: https://shionagaoffice.jp/(ブログで最新事例公開)
日本進出をお考えの外国人・外国法人の皆さま、日本市場での第一歩を行政書士法人塩永事務所が確実にサポートします!
