医療法人とは
『医療法人』とは都道府県知事による認可を受けた、「病院」・「診療所」・「介護老人保健施設」の運営を目的とする法人のことです。
設立には定款または寄附行為を作成し、診療業務に必要な施設や資産を有して各都道府県知事から認可を得なければなりません。
この法律に基づいた定款または寄附行為によって、法人の名称や所在地、役員の任期、会議の種類などのルールが決められています。
医療法では、医療法人の形態を「社団法人」または「財団法人」と定めているが、大多数は社団法人です。
出資者が、出資持分に応じて払戻請求権を保有する場合を「出資持分のある法人」といい、払戻請求権を保有しない場合は「出資持分のない法人」といいます。
「出資持分のない法人」のうち、公益性に関する一定の条件を満たしている法人は、租税特別措置法に基づき、法人税の軽減税率が適用される「特定医療法人」に分類されています。
医療法人と個人病院・診療所の違いとは
個人病院や診療所(クリニック)は、営利目的の活動が可能で、また財産や収入は経営者個人に帰属するため、自由に使えます。医療法人は個人である医師とは別人格になるため、経営で得た財産はすべて医療法人に帰属します。経営者といえども勝手に法人名義の銀行口座から引き出したり使ったりできません。また、非営利組織という位置づけであるため公益性も求められます。
医療法人の種類
大きく分けると「社団医療法人」と「財団医療法人」の2種類です
1.社団医療法人とは
病院や診療所などの開設を目的として設立される法人のことです。
設立には金銭・不動産・医療機器などの出資または拠出と、2ヶ月以上の運転資金が必要とされます。
社団医療法人の社員とは株式会社における株主、理事とは株式会社における取締役と同様の存在で、医療法人の日常的な業務の運営管理者としての役割があります。理事の選任などの重要事項は、最高意思決定機関である社員総会を開催して決議します。
2.財団医療法人とは
寄附などで集まった金銭や財産に基づいて設立される法人のことです。
金銭や財産を寄附した人に対して、金額に応じた財産権は認められていません。
■税金対策
税制面で様々なメリットがあるために医療法人を設立します。個人の所得税率が最高約56%であるのに対し、法人の税率が約34%であることを活用できるなどです。
■分院展開
個人の開業医は1つのクリニックでしか管理者になれませんので、分院を開設することはできません。
医療法人だと分院長を管理者に任命して複数の診療所を開設することができます。医療法人は介護事業、訪問看護、サ高住や整骨院、歯科技工所等の隣接分野へ展開して経営することもできます。
■事業承継
事業継承にも医療法人が活用されます。親子間の医業承継や、先代先生が開設した診療所を若先生が引き継ぐ場合には、診療所の建物、内装、医療機器といった財産を譲渡、リースまたは贈与することになります。このときに若先生に買取り資金が必要になったり、贈与税がかかってしまう問題が出てきます。
そこで、医療法人設立時に先代院長が施設や医療機器を現物拠出することで、買取り資金の借り入れや先代院長からリースをすることなく、スムーズに次世代のドクターに診療所を引き継いでもらうことができます。
「医療法人設立認可申請」
医療法人とは医療法の規定に基づき病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は老人保健施設を開設しようとする社団で、都道府県知事の認可を受けることで設立できる特別法人です。
メリットとして「プライベートと事業を明確に分離できる」「事業の拡大性」「承継対策」「税金対策」です。特に「節税対策」は非常に有効で、行政への提出書類や事務処理が増えて煩雑になる等のデメリットをはるかに上回ると思います。
必要に応じて、クリニックの経営状況分析等で信頼のおける税理士等のご紹介も行っており、難しい事案については顧問弁護士の協力を得ながら進めていきますので、ご相談ください。
設立手続きを行うためには、役所の提示するスケジュールに合わせて計画的に手続の準備を進めなくてはならないため、是非行政書士法人塩永事務所に医療法人の設立・変更手続き・事業報告書作成はおまかせください。